AN-105: 電流センス(検出)回路集 電流に対するセンスを養う
はじめに
電流の検出や制御は、多くの電子機器システムにおける基本条件で、これを行うための手法は、そのアプリケーション自身と同様、多岐にわたります。このアプリケーション・ノートでは、電流検出の問題に対するソリューションをまとめ、一般的なアプリケーション・タイプ別に整理します。これらの回路は、リニア・テクノロジーの様々な技術文書から抜粋したものです。
一般的アプリケーション別に整理された回路
各章には、ハイ・サイド電流検出や負電源検出など、類似した一般的な問題を解決するために役立つアプリケーションが集められています。章のタイトルはそれに応じて付けられています。そのため、読者は、特定の問題に対して取り得る多くのソリューションを、1ヵ所で入手できます。ここに示したいずれかの回路がある特定の設計の条件を正確に満たすということは少ないかもしれませんが、提示された多くの回路手法やデバイスが有用であることはお分かりいただけるはずです。重複を避けるため、複数の章に関連する回路が1ヵ所で示されている場合があります。
電流検出の基本事項
この章では、電流検出に用いられる基本的な手法を紹介します。一般的に使用される用語の定義としても役立ちます。各手法には長所と短所があり、それらについても説明します。回路を実装するために使用されるアンプの種類についても示します。
ロー・サイド電流検出(図1)
モニタ対象負荷への電力接続のグラウンド・リターン・パスで検出される電流です。電流は一般的に1つの方向にのみ流れます(一方向)。スイッチングはすべてモニタの負荷側で行われます。
ロー・サイドの長所
- 低い入力コモンモード電圧
- グラウンド基準の出力電圧
- 単電源設計が容易
ロー・サイドの短所
- 負荷が直接のグラウンド接続から浮いている
- グラウンド端の負荷スイッチの偶発的短絡により負荷が作動する
- 短絡による大きな負荷電流が検出されない
ハイ・サイド電流検出(図2)
モニタ対象負荷への電力接続の電源パスで検出される電流です。電流は一般的に1つの方向にのみ流れます(一方向)。スイッチングはすべてモニタの負荷側で行われます。
ハイ・サイドの長所
- 負荷が接地されている
- 電力接続の偶発的短絡により負荷が作動することはない
- 短絡による大きな負荷電流が検出される
ハイ・サイドの短所
- 高い入力コモンモード電圧(多くの場合非常に高い)
- 出力をレベル・シフトしてシステムの動作電圧レベルまで下げる必要がある
フルレンジ(ハイ・サイドおよびロー・サイド)電流検出(図3)
ブリッジ駆動負荷で検出される双方向電流、または、電源側スイッチとの一方向ハイ・サイド接続。
フルレンジの長所
- 双方向検出に必要な電流検出抵抗は1個のみ
- 誘導性負荷の負荷電流オン/オフ・プロファイルの検出に便利
フルレンジの短所
- 大きな入力コモンモード電圧振幅
- 同相ノイズ除去によりPWMアプリケーションの高周波数精度が制限を受ける可能性がある
ハイ・サイド
この章ではハイ・サイド電流検出のソリューションについて説明します。これらの回路では、負荷に供給される全電流が正側電源ラインでモニタされます。
LT6100負荷電流モニタ(図4)
これは基本的なLT6100の回路構成です。一般に、出力バッファを含む内部回路は、図に示す3Vのように低電圧電源で動作します。モニタされる電源はVCC + 1.4Vから48Vの範囲です。A2ピンとA4ピンは様々な方法で結線して、内部固定ゲインを広い範囲で設定することができます。VCCへの給電が停止されると、入力リードは非常に高インピーダンスとなり、例えばバッテリの枯渇が防止されます。内部信号ノード(ピン3)を利用することで、1個のコンデンサを追加してフィルタリング機能を含めることもできます。単電源動作時には小信号レンジがVOLにより制限されます。
「古典的な」正電源レール電流検出(図5)
この回路では、一般的なデバイスを使用してLTC6101と同様の機能を構成します。入力電圧は上側レールにちょうど等しいため、レールtoレール入力タイプのオペアンプが必要です。ここで示す回路は最大44Vのアプリケーションをモニタすることができます。外付け部品によって複雑になるのに加え、電源電圧でのオペアンプのVOS性能は一般に製造時に調整されていないため、他のソリューションに比べ精度が落ちます。バイポーラ・トランジスタには一定の電流ゲインがあり、これがゲイン誤差の原因の一部になります。
Over-The-Top電流検出(図6)
この回路は、「古典的な」ハイ・サイド回路の変種ですが、Over-the-Top入力機能を利用して低電圧レールからICに個別に給電できます。これは、低電圧電源によって出力振幅が限定されるため、後段の回路を故障から保護する手段となります。Over-the-TopモードのVOSは一般に他のモードに比べて劣っているため、精度が低下する点が短所です。バイポーラ・トランジスタには一定の電流ゲインがあり、これがわずかにゲイン誤差が生じる原因となります。
自己給電型ハイ・サイド電流検出(図7)
この回路は、LT1494のマイクロアンペアの電源電流とレールtoレール入力を利用しています。電源電流は本質的にRAによって生じる負荷電流に等しいため、回路は単純です。この電源電流は、単にRBを流れ、適切に増幅された出力電圧を形成します。
ハイ・サイド電流検出とヒューズ・モニタ(図8)
LT6100は、電流センサーとヒューズ・モニタを組み合わせたものとして使用できます。このデバイスは、出力バッファを内蔵しており、車両のデータ・アクイジション・システムによく使用される低電源電圧(2.7V以上)で動作すると共に、センス入力がバッテリ・バスの電位が上昇した際の信号をモニタするように設計されています。LT6100の入力は、大きな入力差に耐えられるため、ヒューズが切れた動作状態(出力フルスケールが示されることで検出されます)を許容します。また、LT6100は、高インピーダンスのセンス入力を維持しながらパワー・ダウンすることが可能で、バッテリ・バスからの電流は1μA未満に抑えることができます。
高精度ハイ・サイド電源電流検出(図9)
これは、レールtoレールの入出力が可能なゼロドリフト計装アンプ(IA)を使用した、低電圧の超高精度モニタです。電圧ゲインは帰還抵抗により設定されます。この回路の精度は、ユーザが選択した抵抗の質によって決まり、単電源動作時には小信号レンジがVOLにより限定されます。このデバイスの電圧定格により、このソリューションは5.5V未満のアプリケーションに限定されます。このIAはサンプリングされるため、出力は入力変化に伴って不連続になります。そのため、極めて低周波数の測定にのみ適しています。
正電源レール電流検出(図10)
これは、一般的な部品を使って実装されたLT6100に類似した構成です。レールtoレールまたはOver-the-Top入力タイプのオペアンプが(最初の部分に)必要です。この最初の部分は、古典的ハイ・サイドの変種で、P-MOSFETがR2への(バイポーラ・トランジスタに比べて)正確な出力電流を供給します。二番目の部分はADCポートなどを駆動できるバッファで、必要に応じてゲインを持つよう設定できます。図に示すように、この回路は最大36Vの動作を処理できます。単電源動作時には小信号レンジがVOLにより制限されます。
電源レールの高精度電流検出(図11)
これは、LTC2053およびLTC6800のフロント・エンドで用いられるサンプリング・アーキテクチャと同じものですが、オペアンプのゲイン段がありません。この特定のスイッチは、最大18Vを処理できるため、上述の全機能内蔵型ICより高い電圧で超高精度の動作が可能です。この回路は、フライング・センス・コンデンサからの電荷をグラウンド基準の出力コンデンサに転送するだけのものなので、DC入力条件下ではシングルエンド出力電圧が検出抵抗の両端の電圧差に正確に一致します。通常、高精度バッファ・アンプ(LTC2054など)がこの回路の後段に配置されます。電荷の転送レートは、ピン14に接続するコンデンサによって設定されます。負電源のモニタリングには、ピン15をグラウンドではなく負電源レールに接続します。
計装アンプを使用したアバランシェ・フォトダイオード(APD)へのバイアス電流の測定(図12aおよび図12b)
上の回路(図12a)では、計装アンプ(IA)を別の(VINを1V以上上回る)レールで給電して使用し、1kΩの電流シャントの両端を測定します。下の図(図12b)は、これと同様ですが、APDのバイアス・ラインから電源を引き出します。これらの回路の制限となるのは、最大35VのAPD電圧です。APDの中には、90V以上を必要とするものもあるためです。ここに示した単電源構成では、VOLによるダイナミック・レンジ制限も考慮する必要があります。この手法の長所は、IAによってもたらされる高精度です。
簡素な500V電流モニタ(図13)
2個のMOSFETを外付けして電圧を阻止することで、LTC6101を非常に高い電位に接続して電流フローをモニタできます。LTC6101の出力電流は、検出される入力電圧に比例しており、M1を通じて流れ、グラウンド基準の出力電圧を生成します。
双方向バッテリ電流モニタ(図14)
この回路は、検出抵抗のどちらの方向に流れる電流もモニタできます。負出力によって充電電流を表すことができるよう、VEEが小さな負電源に接続されています。単電源動作(VEEはグラウンド)では、正のリファレンス・レベルをVBIAS(1.25Vなど)に加えることで、出力範囲を上方にオフセットできます。C3をデバイスの出力抵抗(ROUT)と組み合わせて使用することで、フィルタを形成できます。このソリューションは、精度に優れ(非常に低いVOS)、公称ゲインは8に固定されています。
測定時に負荷として含まれるLTC6101電源電流(図15)
これは、LTC6101の基本的なハイ・サイド検出電源モニタ構成で、ICから引き出される電源電流が読取り信号に含まれます。この構成は、低消費電力のバッテリ駆動アプリケーションなど、引き出される全体の電流から見てIC電流が無視できない場合に有用です。RSENSEは、電圧降下が500mV未満に制限されるよう選択し、直線性が最善のものとなるようにします。負荷モニタリングの場合のように、IC電流を読取り信号に含めないようにする必要がある場合は、ピン5を負荷ではなくV+に直接接続することができます。この回路のゲインの確度は、ユーザの選択する抵抗の精度によってのみ制限されます。
LTC6101を使用した簡素なハイ・サイド電流検出(図16)
これは、LTC6101を使用した基本的なハイ・サイド電流モニタです。RINとROUTを選択することで、バッテリ・バスから直接給電されるこの回路の必要なゲインが定まります。LTC6101の電流出力は、このデバイスがROUTから離れた場所に配置されることを許容します。したがって、アンプをシャントに直接配置する一方で、ROUTをモニタリング用の電子回路近くに配置してもグラウンド低下の誤差は生じません。この回路の応答時間は1μsと高速であるため、MOSFET負荷スイッチの保護に最適です。スイッチ素子は、検出抵抗と負荷の間に接続されたハイ・サイド・タイプ、負荷とグラウンドの間に接続されたロー・サイド・タイプ、またはHブリッジのいずれでも可能です。回路はプログラマブルで、ROUTに最大1mAのフルスケール出力電流を供給できますが、負荷がオフの場合はわずか250μAの電源電流しか消費しません。
ハイ・サイド・トランスインピーダンス・アンプ(図17)
逆バイアス電位の大きなフォトダイオードを流れる電流が、LTC6101を通じてグラウンド基準の出力電圧に直接変換されます。電源レールは70Vもの大きな値とすることができます。電流から電圧への変換ゲイン、すなわちトランスインピーダンスは、抵抗RLの選択により設定できます。
インテリジェント・ハイ・サイド・スイッチ(図18)
LT1910は専用のハイ・サイドMOSFETドライバで、保護機能が内蔵されています。標準的なロジック電圧レベルからパワー・スイッチ用にゲート駆動を行います。スイッチを流れる電流をモニタして負荷が短絡した場合の保護を行います。LTC6101を同じ回路に追加し、同じ電流検出抵抗を共有すると、負荷電流に比例した直線的な電圧信号が得られ、更なるインテリジェント制御を行うことができます。
絶縁された出力と105V耐性を備えた48V電源電流モニタ(図19)
LTC6101のHVバージョンは、105Vの合計電源電圧で動作できます。高電源電圧レールの電流フローは、直接に、またはこの回路に示すように絶縁された方法で、モニタできます。回路のゲインとLTC6101の出力電流レベルは、使用する特定のフォトカプラに依存します。
高精度、高ダイナミック・レンジのハイ・サイド電流検出(図20)
LTC6102の精度は極めて高いため(VOS < 10μV)、値の小さな検出抵抗を使用できます。これにより、回路の消費電力が抑えられると共に、電流の変動幅が拡大しても正確に測定できます。この回路では、各素子は、10Aの測定範囲に合うようスケーリングされ、また、10mA未満に相当するオフセット誤差となっています。これは、100mW以下の消費電力で10ビットのダイナミック・レンジよりも実質的に良好な値です。
検出電流にモニタ回路の電源電流を含める(図21)
検出回路にも給電するバッテリ電源からのすべての電流を検出するには、電源ピンを適切に接続することが必要です。電源ピンを検出抵抗の負荷側に接続すると、電源電流が負荷電流に追加されます。検出アンプは、入力がデバイスのV+電源に等しい場合に適切に動作します。
広い電圧範囲の電流検出(図22)
LT6105の電源電圧は、電流検出入力の電位とは無関係です。入力電圧は、グラウンド以下、または検出アンプの電源電圧以上に拡張できます。検出する電流の流れは一方向のみであることが必要ですが、負荷の上(ハイ・サイド)または負荷の下(ロー・サイド)で検出可能です。ゲインは抵抗のスケーリングによりプログラム可能で、図の回路では50に設定されています。
簡素なフィルタリングによる滑らかな電流モニタ出力信号(図23)
LT6105アンプの出力インピーダンスは、ゲインを設定する出力抵抗の値によって定まります。1つのコンデンサを用いてこの抵抗をバイパスすると、1次のフィルタリングが実現し、ノイズを含んだ電流信号やスパイクを平滑化できます。
TimerBloxデバイスを使用したパワーオン・リセット・パルス(図24)
システムに最初に電力が供給されたとき、負荷電流が公称動作レベルに到達するまでに一定の時間が必要です。これにより、低電流状態をモニタするLT6109コンパレータがトリガされラッチされる可能性があります。電源投入時の既知の時間遅延間隔の後、R7とC1が立下がりエッジを生成して、10µsにプログラムされたLTC6993-3ワンショットをトリガします。このパルスにより、コンパレータのラッチが解除されます。R8とQ1は電源喪失時にC1を放電し、電源回復時に十分な遅延間隔が生じるようにします。
TimerBloxデバイスを使用した、遅延の正確なパワーオン・リセット・パルス(図25)
システムに最初に電力が供給されたとき、負荷電流が公称動作レベルに到達するまでに一定の時間が必要です。これにより、低電流状態をモニタするLT6109コンパレータがトリガされラッチされる可能性があります。この回路では、LTC6994-1の遅延タイマーを使用し、負荷電流がセトリングするための既知の時間より長い間隔(この例では1秒)を設定し、次に10μsにプログラムされたLTC6993-3ワンショットをトリガします。このパルスにより、コンパレータのラッチが解除されます。パワーオン遅延時間は広い範囲にわたり、抵抗によって設定可能です。
ロー・サイド
この章ではロー・サイド電流検出のソリューションについて説明します。これらの回路では、グラウンド・リターンまたは負側電源ラインの電流がモニタされます。
「古典的な」高精度ロー・サイド電流検出(図26)
この構成は基本的に標準的な非反転アンプです。使用するオペアンプは、下側レールでのコモンモード動作に対応する必要があり、ゼロドリフト・タイプ(図示)を使用することで、優れた精度が実現されます。この回路の出力は、下側のケルビン接続を基準としていますが、これは、単電源アプリケーションではグラウンドにすることができます。単電源設計では小信号レンジがVOLにより制限されます。スケーリング精度はユーザ選択の抵抗の品質によって決まります。
電源レールの高精度電流検出(図27)
これは、LTC2053およびLTC6800のフロント・エンドで用いられるサンプリング・アーキテクチャと同じものですが、オペアンプのゲイン段がありません。この特定のスイッチは、最大18Vを処理できるため、上述の全機能内蔵型ICより高い電圧で超高精度の動作が可能です。この回路は、フライング・センス・コンデンサからの電荷をグラウンド基準の出力コンデンサに転送するだけのものなので、DC入力条件下ではシングルエンド出力電圧が検出抵抗の両端の電圧差に正確に一致します。通常、高精度バッファ・アンプ(LTC2054など)がこの回路の後段に配置されます。電荷の転送レートは、ピン14に接続するコンデンサによって設定されます。負電源のモニタリングには、ピン15をグラウンドではなく負電源レールに接続します。
–48Vホット・スワップ・コントローラ(図28)
この負荷保護回路では、ロー・サイド電流検出が採用されています。N-MOSFETは、負荷のソフトスタート(電流ランプ)を行ったり、電源や負荷に故障が生じた場合に負荷を切り離したりするよう制御されます。内部のシャント・レギュレータがローカルの動作電圧を発生します。
–48Vのロー・サイド高精度電流検出(図29)
初段のアンプは、基本的に「古典的な」ハイ・サイド電流検出の相補形で、テレコムの負電源電圧で動作するよう設計されています。ツェナー・ダイオードが、初段のアンプに対する安価なロー・サイド「フローティング」シャント・レギュレータ電源を形成しています。N-MOSFETのドレインは、測定された電流を、トランスインピーダンス・アンプ(TIA)として構成されている2段目の仮想グラウンドに供給します。2段目のオペアンプは、正電源で給電され、正電圧を出力して負荷電流を増大させます。各段の電源電圧が異なるため、デュアル・オペアンプを使用してこの回路を実現することはできません。この回路はゼロドリフト・オペアンプを使用するため、極めて高精度です。スケーリング精度は、ユーザ選択の抵抗の品質によって決まります。2段目の単電源動作では小信号レンジがVOLにより制限されます。
高速で小型の–48V電流検出(図30)
このアンプの構成は、本質的に、古典的なハイ・サイド構成の相補的な実装です。使用するオペアンプは、下側レールでのコモンモード動作に対応する必要があります。シャント・レギュレータによる「フローティング」ローカル電源がツェナー・ダイオードで形成され、トランジスタは、測定された電流を出力負荷抵抗(この回路では1kΩ)に供給します。この回路では、出力電圧は正電位を基準としており、–48V負荷の増加を示す場合には下方に変化します。スケーリング精度は使用する抵抗の品質とNPNトランジスタの性能によって決まります。
–48V電流モニタ(図31aおよび図31b)
この回路では低コストのADCを使用し、検出抵抗の電圧降下を直接測定します。コンバータは、シャント・レギュレータによる高精度の「フローティング」電源から給電され、連続変換を行うよう構成されています。ADCのデジタル出力がフォトカプラを駆動し、シリアル・データ・ストリームをグラウンドにレベル・シフトします。より広い電源電圧のアプリケーションでは、13kのバイアス抵抗を、図31bに示すようにアクティブな4mAの電流源で置き換えることができます。誘電体による完全な絶縁やより高効率の動作を実現するには、図31bに示すような小型トランス回路からADCに給電することができます。
–48Vホット・スワップ・コントローラ(図32)
この負荷保護回路では、ロー・サイド電流検出が採用されています。N-MOSFETは、負荷のソフトスタート(電流ランプ)を行ったり、電源や負荷に故障が生じた場合に負荷を切り離したりするよう制御されます。内部のシャント・レギュレータがローカルの動作電圧を発生します。
簡素なテレコム電源ヒューズ・モニタ(図33)
LTC1921は、テレコムのヒューズと電源電圧のモニタリング機能を一体化したものです。3つのフォトカプラにより、電源とヒューズの状態を示すステータス・フラグが生成されます。
負電圧
この章では負電圧電流検出のソリューションについて説明します。
テレコム用電源の電流モニタ(図34)
LT1990は、コモンモード電圧範囲が広いディファレンス・アンプで、ここでは検出抵抗の電圧降下を10倍に増幅するために使用されています。5V単電源を使用する場合に必要な入力範囲を供給するために、リファレンス電位はLT6650によって約4Vに設定されています。この接続方式ではリファレンス電位から下方に向かって出力信号が変化するため、大きな出力振幅が得られます。
–48Vホット・スワップ・コントローラ(図35)
この負荷保護回路では、ロー・サイド電流検出が採用されています。N-MOSFETは、負荷のソフトスタート(電流ランプ)を行ったり、電源や負荷に故障が生じた場合に負荷を切り離したりするよう制御されます。内部のシャント・レギュレータがローカルの動作電圧を発生します。
–48Vのロー・サイド高精度電流検出(図36)
初段のアンプは、基本的に「古典的な」ハイ・サイド電流検出の相補形で、テレコムの負電源電圧で動作するよう設計されています。ツェナー・ダイオードが、初段のアンプに対する安価な「フローティング」シャント・レギュレータ電源を形成しています。N-MOSFETのドレインは、測定された電流を、トランスインピーダンス・アンプ(TIA)として構成されている2段目の仮想グラウンドに供給します。2段目のオペアンプは、正電源で給電され、正電圧を出力して負荷電流を増大させます。各段の電源電圧が異なるため、デュアル・オペアンプを使用してこの回路を実現することはできません。この回路はゼロドリフト・オペアンプを使用するため、極めて高精度です。スケーリング精度は、ユーザ選択の抵抗の品質によって決まります。2段目の単電源動作では小信号レンジがVOLにより制限されます。
高速で小型の–48V電流検出(図37)
このアンプの構成は、本質的に、古典的なハイ・サイド構成の相補的な実装です。使用するオペアンプは、下側レールでのコモンモード動作に対応する必要があります。シャント・レギュレータによる「フローティング」ローカル電源がツェナー・ダイオードで形成され、トランジスタは、測定された電流を出力負荷抵抗(この回路では1kΩ)に供給します。この回路では、出力電圧は正電位を基準としており、–48V負荷の増加を示す場合には下方に変化します。スケーリング精度は使用する抵抗の品質とNPNトランジスタの性能によって決まります。
–48V電流モニタ(図38aおよび図38b)
この回路では低コストのADCを使用し、検出抵抗の電圧降下を直接測定します。コンバータは、シャント・レギュレータによる高精度の「フローティング」電源から給電され、連続変換を行うよう構成されています。ADCのデジタル出力がフォトカプラを駆動し、シリアル・データ・ストリームをグラウンドにレベル・シフトします。より広い電源電圧のアプリケーションでは、13kのバイアス抵抗を、右の図に示すようにアクティブな4mAの電流源で置き換えることができます。誘電体による完全な絶縁やより高効率の動作を実現するには、図38bに示すように小型トランス回路からADCに給電することができます。
簡素なテレコム電源ヒューズ・モニタ(図39)
LTC1921は、テレコムのヒューズと電源電圧のモニタリング機能を一体化したものです。3つのフォトカプラにより、電源とヒューズの状態を示すステータス・フラグが生成されます。
正または負電源ラインの電流をモニタ(図40)
負電源電圧を使用してLT6105に給電すると、入力の接続を変更するだけで正または負の電源ラインの電源電流をモニタするのに使用できる回路が作成できます。どちらの構成で負電圧も、出力はグラウンド基準の正電圧です。LT6105に給電する負電源は、少なくともモニタリングする電源ラインと同じ負電圧であることが必要です。
一方向
一方向電流検出では、検出抵抗を一方向にのみ流れる電流をモニタします。
VS+に固定された電源を使用したA/Dへの一方向出力(図41)
ここではLT1787がLTC1286 A/Dコンバータと組み合わされて動作します。A/Dコンバータの–INピンは、抵抗分圧器R1およびR2によって1Vにバイアスされます。この電圧は検出電流の増加と共に増加し、増幅された検出電圧はA/Dコンバータの–IN端子と+IN端子の間に発生します。LTC1286コンバータは、その–IN入力と+IN入力をシーケンシャルにサンプリングします。サンプリング間隔の間に入力が変化すると精度は低下します。変換サイクルの間の検出電流の変化が1LSBを超える場合は、FIL+とFIL–の間およびVBIASとVOUTの間にそれぞれフィルタ・コンデンサが必要となる場合があります。
一方向電流検出モード(図42aおよび図42b)
これは、LT1787を使用できる最も簡素な接続方式を目標としたものです。VBIASピンはグラウンドに接続されており、VOUTピンは検出電流の増加と共に正方向に振幅します。可能な最小出力振幅はわずか30mVです。出力レベルが小さい場合は精度が犠牲となりますが、保護回路アプリケーションの場合、または検出電流がそれほど大きく変動しない場合は、これは制約とはなりません。VBIASをグラウンドより上にレベル・シフトすることで、低レベルでの精度を向上することができます。レベル・シフトは、抵抗分圧器、電圧リファレンス、または、単純なダイオードを使用して行うことができます。出力信号がVBIASとVOUTの間で差動で検出される場合は、精度が確保されます。
LTC2433 ADCへの16ビット分解能の一方向出力(図43)
LTC2433-1は、ソース・インピーダンスが5kΩまでの信号を正確にデジタル化できます。このLTC6101電流検出回路では4.99kΩの出力抵抗を使用してこの条件を満たしているため、追加のバッファは不要です。
インテリジェント・ハイ・サイド・スイッチ(図44)
LT1910は専用のハイ・サイドMOSFETドライバで、保護機能が内蔵されています。標準的なロジック電圧レベルからパワー・スイッチ用にゲート駆動を行います。スイッチを流れる電流をモニタして負荷が短絡した場合の保護を行います。LTC6101を同じ回路に追加し、同じ電流検出抵抗を共有すると、負荷電流に比例した直線的な電圧信号が得られ、更なるインテリジェント制御を行うことができます。
絶縁された出力と105V耐性を備えた48V電源電流モニタ(図45)
LTC6101のHVバージョンは、105Vの合計電源電圧で動作できます。高電源電圧レールの電流フローは、直接に、またはこの回路に示すように絶縁された方法で、モニタできます。回路のゲインとLTC6101の出力電流レベルは、使用する特定のフォトカプラに依存します。
LTC1286 ADCへの12ビット分解能の一方向出力(図46)
LT1787は双方向出力が可能ですが、このアプリケーションでは、一方向測定をデジタル化するために経済的なLTC1286を使用しています。LT1787の公称ゲインは8で、約100Aの負荷電流で1.25Vのフルスケール出力が可能です。
双方向
双方向電流検出では、検出抵抗を両方向に流れる電流をモニタします。
シングルエンド出力を使用した双方向電流検出(図47)
2つのLTC6101を使用して負荷の電流をどちらの方向にもモニタします。別のレールtoレール・オペアンプを使用して2つの出力を結合すると、シングルエンド出力が得られます。電流が流れていない場合、出力はリファレンスの電位となり、最大出力振幅を与える電源電圧の半分、すなわち図に示すように2.5Vとなります。接続Aを通じて負荷に給電されている場合は、出力は2.5VとVCCの間で上方に変化します。接続Bでは、出力は2.5Vと0Vの間で下方に変化します。
故障検出と双方向負荷情報を与える実際的なHブリッジ電流モニタ(図48)
この回路は1対の一方向検出測定を使用して、ADCの差動負荷測定を行います。各LTC6101は、負荷の短絡やMOSFETの故障など、故障状態に迅速に対応するハイ・サイド検出を行います。スイッチ・モジュール内のハードウェア(図示はされていない)は、保護ロジックを備え、ステータス・フラグを制御システムに供給できます。差動として取得された2つのLTC6101出力により、制御サーボの双方向負荷測定が行われます。このグラウンド基準信号は、大半の∆Σ ADCに適合します。∆Σ ADC回路には、測定結果からPWM成分を除去する積分機能も「無償で」備わっています。また、この方式は、スイッチ保護に必要なレートでA/D変換を行う必要がないため、コストと複雑さを低減できます。
従来のHブリッジ電流モニタ(図49)
操舵補助などの最新の電子ドライブ機能の多くは、本質的に双方向です。これらの機能は、一般にパルス幅変調(PWM)手法を使用するHブリッジMOSFETアレイによって駆動され、指示トルクを変更します。これらのシステムの電流モニタには主な目的が2つあります。1つは負荷の電流をモニタし、目的のコマンド(例えばクローズドループのサーボ制御則)に対する動作を追跡することで、もう1つは故障検出および保護機能です。
これらのシステムに共通するモニタリング手法は、図に示すように「フライング」検出抵抗の電圧を増幅することです。しかしながら、モータ端子で単純にグラウンドに短絡しているような、いくつかの潜在的に危険な故障状況は検出されません。この他に問題を複雑にする要素として、PWMの動作によるノイズがあります。PWMノイズは、サーボ制御則の目的でフィルタ処理できますが、保護に有用な情報が不明瞭になります。最適なソリューションは、単に各ハーフ・ブリッジを個別に保護する2つの回路を用意し、双方向の負荷電流を通知することです。場合によっては、スマートMOSFETブリッジ・ドライバにすでに検出抵抗が内蔵されており、必要な保護機能が提供されることもあります。このような状況では、最適なソリューションは最小限の付加回路で負荷情報を引き出すことです。
外部電圧リファレンスとI/Vコンバータを使用した単電源2.5V双方向動作(図50)
LT1787の出力は、I/Vコンバータとして構成されたLT1495レールtoレール・オペアンプによりバッファされます。この構成は、非常に電圧の低い電源をモニタするのに最適です。LT1787のVOUTピンは、オペアンプの非反転入力に現れるリファレンス電圧に等しくなるよう保たれます。これにより、2.5Vという低い電源電圧もモニタできます。オペアンプの出力振幅は、グラウンドからその正電源電圧までが可能です。オペアンプの低インピーダンス出力は、LT1787の高出力インピーダンスより有効に後続の回路を駆動できます。I/Vコンバータの構成は、スプリット電源電圧でも良好に動作します。
バッテリ電流モニタ(図51)
1個のLT1495デュアル・オペアンプ・パッケージを使用して、充電と放電の電流モニタリング出力を個別に構成できます。LT1495は、Over-the-Top動作が可能であるため、わずか5Vのアンプ電源電圧で36Vもの高いバッテリ電位を許容できます。
アラーム付き高速電流検出(図52)
LT1995は、単純なユニティ・ゲイン・ディファレンス・アンプとして示されています。スプリット電源でバイアスされている場合、入力電流は、どちらの方向にも流れることができ、100mΩの検出抵抗両端の電圧から1アンペアあたり100mVの出力電圧を発生させます。この検出アンプの応答は高速で、帯域幅が32MHz、スルー・レートは1000V/μsです。LT6700-3のようなリファレンス電圧回路を内蔵した簡素なコンパレータを追加して使用すると、過電流フラグを発生することができます。400mVのリファレンスの場合、フラグは4Aで発生します。
個別の充放電出力を備えた双方向電流検出(図53)
この回路では、出力は電流の方向によってイネーブルされます。充電時または放電時のバッテリ電流は、出力の1つのみをイネーブルします。例えば充電時には、VOUT D信号は、対応するLTC6101の出力MOSFETが完全にオフになるためローになりますが、他方のLT6101に対応するVOUT Cは、充電電流に比例してローからハイに増加していきます。チャージャが除去されバッテリが負荷に放電すると、アクティブな出力は逆になります。
双方向の絶対値電流検出(図54)
2個のLTC6101の高インピーダンス電流源出力は直接1つに接続することができます。この回路では、VOUTの電圧はバッテリに流れ込む、あるいはバッテリから流れ出る電流の大きさの絶対値を常時、表します。電流の流れる方向つまり極性は区別されません。
フルブリッジ負荷電流モニタ(図55)
LT1990はディファレンス・アンプで、電源電圧をはるかに超える可能性がある非常に広いコモンモード入力電圧範囲を特長としています。これは、モータなどのフルブリッジで駆動される誘導性負荷の電流をモニタするために使用する場合に、トランジェント電圧を除去できるという利点があります。LT6650は1.5Vの電圧リファレンスを提供し、これによって出力をグラウンドから1.5Vにバイアスできます。出力は負荷を流れる電流の方向によって、1.5Vより上または下に変化します。図に示すように、アンプは、抵抗RSの両端に発生する電圧に対し10のゲインを与えます。
低消費電力、双方向の60V高精度ハイ・サイド電流検出(図56)
非常に高精度のゼロドリフト・アンプをプリアンプとして用いると、非常に小さな検出抵抗を高電圧の電源ラインで使うことができます。フローティング電源はプリアンプの両端の電圧を、LT1787HV回路の60Vの限界までの任意の電圧レールで安定化します。この回路の全体的なゲインは1000です。10mΩの検出抵抗を流れる電流の1mAの変化は、どちらの方向に流れるものであっても、出力電圧に10mVの変化を生じさせます。
スプリット電源動作または単電源動作のA/Dへの双方向出力(図57)
この回路では、LT1787とLT1404の両方にスプリット電源動作が適用され、対称な双方向測定が可能となります。単電源の場合は、LT1787のピン6がVREFによって駆動され、双方向の測定範囲は、VREFがADCの入力範囲の中点より若干大きいため、わずかに非対称になります。
双方向高精度電流検出(図58)
この回路は単一の検出抵抗を流れる電流の方向ごとに1個ずつ、計2個のLTC6102デバイスを使用します。各出力は特定の方向の電流の結果のみを提供しますが、2つの出力信号を差動で取得することで、バイポーラ信号をADCなどの他の回路に供給することができます。各回路には固有のゲイン抵抗があるため、バイリニア・スケーリング(方向によって異なるスケーリング)が可能です。
差動出力の双方向10A電流検出(図59)
LTC6103にはデュアル検出アンプがあり、それぞれが単一の検出抵抗を用いて一方向の電流を測定します。出力は、ADCなどの後続の回路への差動出力として共に取得できます。図に示す値は、最大10Aを測定するためのものです。
絶対値出力の双方向電流検出(図60)
出力がそれぞれ共有検出抵抗を流れる反対方向の電流を示し、それら出力が共通の負荷を駆動するようにLTC6103を接続すると、正のみの出力機能を持ちながら双方向の検出を行うことができます。
AC
AC電源ラインの検出電流は、電流と電圧の両方が常に極性を変えているという意味で、扱いが困難です。信号をトランスで結合してグラウンド基準の回路を駆動することは、多くの場合において良い方法です。
単電源実効値電流測定(図61)
LT1966は、真の実効値からDCへのコンバータで、レールtoレール範囲のシングルエンド入力信号または差動入力信号を受け取ります。PCBに実装された電流検出トランスの出力は、直接コンバータに接続できます。最大75AのAC電流を、電源から負荷への信号経路を遮断することなく測定できます。回路の正確な動作範囲は、トランスの終端抵抗の選択によって決まります。電流の真の実効値に比例するDC出力電圧を発生させるすべての計算処理機能はLTC1966に内蔵されています。これは、AC駆動のアプリケーションの消費電力/エネルギーを決定する場合に有用です。
DC
DC電流の検出は、非常に緩やかなレートで変化する電流を測定するためのものです。
マイクロホットプレートの電圧と電流のモニタ(図62)
材料科学の研究では様々な温度で材料の性質や相互作用を調べます。興味深い性質の中には、ナノテクノロジーを応用した局所的なヒータで励起され、相互作用をする薄膜の存在を利用して検出されるものがあります。
検出の正確な方法は非常に複雑で、門外不出であることが多いのですが、局所的に熱を発生する方法は電球と同じくらい古くから知られています。図に示すのは、Boston Microsystemsのマイクロホットプレートのヒータ素子の回路図です。素子の物理的寸法は数十ミクロンです。マイクロマシーン技術によってSiCから加工されたもので、簡単なDC電力で加熱でき、損傷を受けることなく1000°Cに達することができます。
この素子に加えられる電力、したがってその温度は、LT6100が測定する電流とLT1991が測定する電圧との電圧電流積から確認できます。LT6100は10Ωの抵抗の両端の電圧を測定して電流を検出し、50のゲインで増幅してグラウンド基準の出力を供給します。したがって、電流から電圧へのゲインは500mV/mAとなります。これは、10mAのフルスケール・ヒータ電流とLT6100の5Vの電圧振幅を考慮すると、合理的な値です。LT1991の役割はその反対で、ゲインの代わりに高精度の減衰を与えます。ヒータのフルスケール電圧は合計40V(±20V)で、これを超えると環境によってはヒータの寿命が減少します。LT1991は10の減衰係数で設定されているため、40Vのフルスケール差動駆動は、LT1991の出力ではグラウンド基準で4Vとなります。どちらの場合も、電圧は0V~5VのPC I/Oカードで容易に読み出すことができ、システムはソフトウェアで簡単に制御できます。
バッテリ電流モニタ(図63)
1個のLT1495デュアル・オペアンプ・パッケージを使用して、充電と放電の電流モニタリング出力を個別に構成できます。LT1495は、Over-the-Top動作が可能であるため、わずか5Vのアンプ電源電圧で36Vもの高いバッテリ電位を許容できます。
双方向バッテリ電流モニタ(図64)
この回路は、検出抵抗のどちらの方向に流れる電流もモニタできます。負出力によって充電電流を表すことができるよう、VEEが小さな負電源に接続されています。単電源動作(VEEはグラウンド)では、正のリファレンス・レベルをVBIAS(1.25Vなど)に加えることで、出力範囲を上方にオフセットできます。C3をデバイスの出力抵抗(ROUT)と組み合わせて使用することで、フィルタを形成できます。このソリューションは、精度に優れ(非常に低いVOS)、公称ゲインは8に固定されています。
「古典的な」正電源レール電流検出(図65)
この回路では、一般的なデバイスを使用してLTC6101と同様の機能を構成します。入力電圧は上側レールにちょうど等しいため、レールtoレール入力タイプのオペアンプが必要です。ここで示す回路は最大44Vのアプリケーションをモニタすることができます。外付け部品によって複雑になるのに加え、電源電圧でのオペアンプのVOS性能は一般に製造時に調整されていないため、他のソリューションに比べ精度が落ちます。バイポーラ・トランジスタには一定の電流ゲインがあり、これがゲイン誤差の原因の一部になります。
ハイ・サイド電流検出とヒューズ・モニタ(図66)
LT6100は、電流センサーとヒューズ・モニタを組み合わせたものとして使用できます。このデバイスは、出力バッファを内蔵しており、車両のデータ・アクイジション・システムによく使用される低電源電圧(2.7V以上)で動作すると共に、センス入力がバッテリ・バスの電位が上昇した際の信号をモニタするように設計されています。LT6100の入力は、大きな入力差に耐えられるため、ヒューズが切れた動作状態(出力フルスケールが示されることで検出されます)を許容します。また、LT6100は、高インピーダンスのセンス入力を維持しながらパワー・ダウンすることが可能で、バッテリ・バスからの電流は1μA未満に抑えることができます。
ゲイン50の電流検出(図67)
LT6100は、A2とA4の両方を接地することでゲインが50となるよう設定できます。これは、1個の検出抵抗しか必要としない最も簡単な電流検出アンプ回路の1つです。
2個のLTC6101で高/低の電流レンジ設定が可能(図68)
2つの値の検出抵抗を用いる2個の電流検出アンプを使用することが、広い範囲にわたり電流を検出するための簡単な方法です。この回路では、測定の感度と分解能は、小電流(1.2A未満)の場合、大電流の場合に比べて10倍大きくなります。コンパレータは最大10Aの大電流を検出すると、大電流回路に検出を切り替えます。
2端子電流レギュレータ(図69)
LT1635はオペアンプを200mVのリファレンスと組み合わせたものです。このリファレンス電圧を抵抗R3の両端の電位にスケーリングすると、+端子から–端子に流れる電流の量が制御されます。電力はループから得られます。
ハイ・サイド電源電流検出(図70)
LTC6800のオフセット誤差は小さいため、精度を維持しながら極めて低い検出抵抗を使用することができます。
0nA~200nAの電流計(図71)
フローティング・アンプ回路は、入力に示されている方向に流れるフルスケール200nAの電流をLT1495の出力で2Vに変換します。この電圧は、電流に変換され、200µAの電流計動作をもたらします。バッテリを用いて電源を回路に対しフローティングさせることで、入力での任意の電位を処理できます。LT1495は、マイクロパワーのオペアンプであるため、バッテリからの静止電流の流出は非常に小さく、オン/オフ・スイッチは必要ありません。
Over-The-Top電流検出(図72)
この回路は、「古典的な」ハイ・サイド回路の変種ですが、Over-the-Top入力機能を利用して低電圧レールからICに個別に給電できます。これは、低電圧電源によって出力振幅が限定されるため、後段の回路を故障から保護する手段となります。Over-the-TopモードのVOSは一般に他のモードに比べて劣っているため、精度が低下する点が短所です。バイポーラ・トランジスタには一定の電流ゲインがあり、これがわずかにゲイン誤差が生じる原因となります。
通常のHブリッジ電流モニタ(図73)
操舵補助などの最新の電子ドライブ機能の多くは、本質的に双方向です。これらの機能は、一般にパルス幅変調(PWM)手法を使用するHブリッジMOSFETアレイによって駆動され、指示トルクを変更します。これらのシステムの電流モニタには主な目的が2つあります。1つは負荷の電流をモニタし、目的のコマンド(例えばクローズドループのサーボ制御則)に対する動作を追跡することで、もう1つは故障検出および保護機能です。
これらのシステムに共通するモニタリング手法は、図に示すように「フライング」検出抵抗の電圧を増幅することです。しかしながら、モータ端子で単純にグラウンドに短絡しているような、いくつかの潜在的に危険な故障状況は検出されません。この他に問題を複雑にする要素として、PWMの動作によるノイズがあります。PWMノイズは、サーボ制御則の目的でフィルタ処理できますが、保護に有用な情報が不明瞭になります。最適なソリューションは、単に各ハーフ・ブリッジを個別に保護する2つの回路を用意し、双方向の負荷電流を通知することです。場合によっては、スマートMOSFETブリッジ・ドライバにすでに検出抵抗が内蔵されており、必要な保護機能が提供されることもあります。このような状況では、最適なソリューションは最小限の付加回路で負荷情報を引き出すことです。
外部電圧リファレンスとI/Vコンバータを備えた単電源2.5V双方向動作(図74)
LT1787の出力は、I/Vコンバータとして構成されたLT1495レールtoレール・オペアンプによりバッファされます。この構成は、非常に電圧の低い電源をモニタするのに最適です。LT1787のVOUTピンは、オペアンプの非反転入力に現れるリファレンス電圧に等しくなるよう保たれます。これにより、2.5Vという低い電源電圧もモニタできます。オペアンプの出力振幅は、グラウンドからその正電源電圧までが可能です。オペアンプの低インピーダンス出力は、LT1787の高出力インピーダンスより有効に後続の回路を駆動できます。I/Vコンバータの構成は、スプリット電源電圧でも良好に動作します。
バッテリ電流モニタ(図75)
1個のLT1495デュアル・オペアンプ・パッケージを使用して、充電と放電の電流モニタリング出力を個別に構成できます。LT1495は、Over-the-Top動作が可能であるため、わずか5Vのアンプ電源電圧で36Vもの高いバッテリ電位を許容できます。
アラーム付き高速電流検出(図76)
LT1995は、単純なユニティ・ゲイン・ディファレンス・アンプとして示されています。スプリット電源でバイアスされている場合、入力電流は、どちらの方向にも流れることができ、100mΩの検出抵抗両端の電圧から1アンペアあたり100mVの出力電圧を発生させます。この検出アンプの応答は高速で、帯域幅が32MHz、スルー・レートは1000V/μsです。LT6700-3のようなリファレンス電圧回路を内蔵した簡素なコンパレータを追加して使用すると、過電流フラグを発生することができます。400mVのリファレンスの場合、フラグは4Aで発生します。
正電源レール電流検出(図77)
これは、一般的な部品を使って実装されたLT6100に類似した構成です。レールtoレールまたはOver-the-Top入力タイプのオペアンプが(最初の部分に)必要です。この最初の部分は、古典的ハイ・サイドの変種で、P-MOSFETがR2への(バイポーラ・トランジスタに比べて)正確な出力電流を供給します。二番目の部分はADCポートなどを駆動できるバッファで、必要に応じてゲインを持つよう設定できます。図に示すように、この回路は最大36Vの動作を処理できます。単電源動作時には小信号レンジがVOLにより制限されます。
LT6100負荷電流モニタ(図78)
これは基本的なLT6100の回路構成です。一般に、出力バッファを含む内部回路は、図に示す3Vのように低電圧電源で動作します。モニタされる電源はVCC + 1.4Vから48Vの範囲です。A2ピンとA4ピンは様々な方法で結線して、内部固定ゲインを広い範囲で設定することができます。VCCへの給電が停止されると、入力リードは非常に高インピーダンスとなり、例えばバッテリの枯渇が防止されます。内部信号ノード(ピン3)を利用することで、1個のコンデンサを追加してフィルタリング機能を含めることもできます。単電源動作時には小信号レンジがVOLにより制限されます。
1A電圧制御電流シンク(図79)
これは制御された簡素な電流シンクで、オペアンプがN-MOSFETゲートを駆動して1Ωの検出抵抗の電圧降下とVINの電流コマンドを一致させます。オペアンプから見たコモンモード電圧がグラウンド電位に近いため、このアプリケーションでは、「単電源」またはレールtoレールのタイプが必要です。
測定時に負荷として含まれるLTC6101電源電流(図80)
これは、LTC6101の基本的なハイ・サイド検出電源モニタ構成で、ICから引き出される電源電流が読取り信号に含まれます。この構成は、低消費電力のバッテリ駆動アプリケーションなど、引き出される全体の電流から見てIC電流が無視できない場合に有用です。RSENSEは、電圧降下が500mV未満に制限されるよう選択し、直線性が最善のものとなるようにします。負荷モニタリングの場合のように、IC電流を読取り信号に含めないようにする必要がある場合は、ピン5を負荷ではなくV+に直接接続することができます。この回路のゲインの確度は、ユーザの選択する抵抗の精度によってのみ制限されます。
負荷電源とは別に給電されるV+(図81)
LTC6101の入力は、デバイスの正側電源の1.4V上から48V DCまで機能できます。この回路では、高電圧レールの電流は0V~3Vの範囲に直接変換されます。
LTC6101を使用した簡素なハイ・サイド電流検出(図82)
これは、LTC6101を使用した基本的なハイ・サイド電流モニタです。RINとROUTを選択することで、バッテリ・バスから直接給電されるこの回路の必要なゲインが定まります。LTC6101の電流出力は、このデバイスがROUTから離れた場所に配置されることを許容します。したがって、アンプをシャントに直接配置する一方で、ROUTをモニタリング用の電子回路近くに配置してもグラウンド低下の誤差は生じません。この回路の応答時間は1μsと高速であるため、MOSFET負荷スイッチの保護に最適です。スイッチ素子は、検出抵抗と負荷の間に接続されたハイ・サイド・タイプ、負荷とグラウンドの間に接続されたロー・サイド・タイプ、またはHブリッジのいずれでも可能です。回路はプログラマブルで、ROUTに最大1mAのフルスケール出力電流を供給できますが、負荷がオフの場合はわずか250μAの電源電流しか消費しません。
「古典的な」高精度ロー・サイド電流検出(図83)
この構成は基本的に標準的な非反転アンプです。使用するオペアンプは、下側レールでのコモンモード動作に対応する必要があり、ゼロドリフト・タイプ(図示)を使用することで、優れた精度が実現されます。この回路の出力は、下側のケルビン接続を基準としていますが、これは、単電源アプリケーションではグラウンドにすることができます。単電源設計では小信号レンジがVOLにより制限されます。スケーリング精度はユーザ選択の抵抗の品質によって決まります。
レベル・シフト
システムの電子回路の電源電圧よりはるかに高い電位の電源レールで電流を検出することが必要な場合がよくあります。高電圧で電流検出が可能な回路は、情報を低電圧信号に変換して処理するのに役立ちます。
Over-The-Top電流検出(図84)
この回路は、「古典的な」ハイ・サイド回路の変種ですが、Over-the-Top入力機能を利用して低電圧レールからICに個別に給電できます。これは、低電圧電源によって出力振幅が限定されるため、後段の回路を故障から保護する手段となります。Over-the-TopモードのVOSは一般に他のモードに比べて劣っているため、精度が低下する点が短所です。バイポーラ・トランジスタには一定の電流ゲインがあり、これがわずかにゲイン誤差が生じる原因となります。
負荷電源とは別に給電されるV+(図85)
LTC6101の入力は、デバイスの正側電源の1.4V上から48V DCまで機能できます。この回路では、高電圧レールの電流は0V~3Vの範囲に直接変換されます。
電圧変換器(図86)
これはLTC6101電流検出アンプを高電圧レベル変換器として利用する便利な方法です。高いコモンモード電圧(LTC6101HVでは最大105V)に重畳する差動電圧信号がRINを通じて電流に変換され、ROUTの両端のグラウンド基準電圧にスケールダウンされます。
低消費電力双方向の60V高精度ハイ・サイド電流検出(図87)
非常に高精度のゼロドリフト・アンプをプリアンプとして用いると、非常に小さな検出抵抗を高電圧の電源ラインで使うことができます。フローティング電源はプリアンプの両端の電圧を、LT1787HV回路の60Vの限界までの任意の電圧レールで安定化します。この回路の全体的なゲインは1000です。10mΩの検出抵抗を流れる電流の1mAの変化は、どちらの方向に流れるものであっても、出力電圧に10mVの変化を生じさせます。
高電圧
高電圧ラインの電流モニタリングでは、多くの場合、測定回路の電源を高電位近くにまでフローティングする必要があります。そのため、低出力電圧を示すようにするために、レベル・シフト部品と絶縁部品がよく用いられます。
Over-The-Top電流検出(図88)
この回路は、「古典的な」ハイ・サイド回路の変種ですが、Over-the-Top入力機能を利用して低電圧レールからICに個別に給電できます。これは、低電圧電源によって出力振幅が限定されるため、後段の回路を故障から保護する手段となります。Over-the-TopモードのVOSは一般に他のモードに比べて劣っているため、精度が低下する点が短所です。バイポーラ・トランジスタには一定の電流ゲインがあり、これがわずかにゲイン誤差が生じる原因となります。
計装アンプを使用したアバランシェ・フォトダイオード(APD)へのバイアス電流の測定(図89aおよび図89b)
上の回路(図89a)では、計装アンプ(IA)を別の(VINを1V以上上回る)レールで給電して使用し、1kΩの電流シャントの両端を測定します。下の図(図89b)は、これと同様ですが、APDのバイアス・ラインから電源を引き出します。これらの回路の制限となるのは、最大35VのAPD電圧です。APDの中には、90V以上を必要とするものもあるためです。ここに示した単電源構成では、VOLによるダイナミック・レンジ制限も考慮する必要があります。この手法の長所は、IAによってもたらされる高精度です。
簡素な500V電流モニタ(図90)
2個のMOSFETを外付けして電圧を阻止することで、LTC6101を非常に高い電位に接続して電流フローをモニタできます。LTC6101の出力電流は、検出される入力電圧に比例しており、M1を通じて流れ、グラウンド基準の出力電圧を生成します。
絶縁された出力と105V耐性を備えた48V電源電流モニタ(図91)
LTC6101のHVバージョンは、105Vの合計電源電圧で動作できます。高電源電圧レールの電流フローは、直接に、またはこの回路に示すように絶縁された方法で、モニタできます。回路のゲインとLTC6101の出力電流レベルは、使用する特定のフォトカプラに依存します。
低消費電力双方向の60V高精度ハイ・サイド電流検出(図92)
非常に高精度のゼロドリフト・アンプをプリアンプとして用いると、非常に小さな検出抵抗を高電圧の電源ラインで使うことができます。フローティング電源はプリアンプの両端の電圧を、LT1787HV回路の60Vの限界までの任意の電圧レールで安定化します。この回路の全体的なゲインは1000です。10mΩの検出抵抗を流れる電流の1mAの変化は、どちらの方向に流れるものであっても、出力電圧に10mVの変化を生じさせます。
高電圧電流および温度のモニタリング(図93)
LTC2990 ADCコンバータを高電圧LTC6102HV電流検出アンプと組み合わせることで、最大104Vの非常に高い電圧レールと非常に高電流の負荷の測定が可能になります。電流検出アンプは、負荷電流に比例するグラウンド基準電圧を出力し、ADCによってシングルエンド入力として測定されます。電源電圧を分圧した値が2段目の入力となります。外付けのNPNトランジスタはリモートの温度センサーの役目を果たします。
低電圧
外部電圧リファレンスとI/Vコンバータを備えた単電源2.5V双方向動作(図94)
LT1787の出力は、I/Vコンバータとして構成されたLT1495レールtoレール・オペアンプによりバッファされます。この構成は、非常に電圧の低い電源をモニタするのに最適です。LT1787のVOUTピンは、オペアンプの非反転入力に現れるリファレンス電圧に等しくなるよう保たれます。これにより、2.5Vという低い電源電圧もモニタできます。オペアンプの出力振幅は、グラウンドからその正電源電圧までが可能です。オペアンプの低インピーダンス出力は、LT1787の高出力インピーダンスより有効に後続の回路を駆動できます。I/Vコンバータの構成は、スプリット電源電圧でも良好に動作します。
1.25V電子回路ブレーカ(図95)
LTC4213は、N-MOSFETのドレインからソースへの電圧降下を検出することで、保護および自動回路ブレーカ動作を行います。検出入力のコモンモード範囲はレールtoレールであるため、回路ブレーカは、0V~6Vのバス電圧を保護できます。ロジック信号は(READY出力信号を使用して)トリップ状態のフラグを立て、ブレーカを(ON入力を使用して)再初期化します。「スマート・スイッチ」アプリケーションでは、ON入力をコマンドとして使用することもできます。
大電流(100mA~数アンペア)
大電流を高精度で検出するには、損失を最小限に抑えるために通常は非常に小さい値となっている検出抵抗と、測定回路のダイナミック・レンジに対し、優れた制御が必要です。
大きな負荷電流に対するケルビン入力接続による精度の維持(図96)
非常に低電力のアプリケーションを除き、すべてのアプリケーションで、–IN入力と+IN入力を検出抵抗にケルビン接続する必要があります。大電流が流れるハンダ接続とPCボード相互接続は、比較的大きな抵抗であるため、大きな測定誤差の原因となる可能性があります。検出用のパターンを大電流経路から絶縁することで、この誤差は何桁も減らすことができます。ケルビン検出端子を内蔵した検出抵抗により、最良の結果が得られます。
シャント・ダイオードが最大入力電圧を制限するため、LTC6101にオーバーレンジを生じることなく低入力分解能が向上(図97)
ダイナミック・レンジが非常に広いシステムで小さな検出電流の分解能を向上する必要がある場合、抵抗RINに小さな値を使用して検出アンプのゲインを増加することができます。これにより、RSENSEの両端にショットキー・ダイオードを使用するなど、別の方法で最大電流が制限されていない限り、動作電流は最大電流の仕様規定値より大きくなります。そのため、結果が制限されることで大電流の測定精度は低下しますが、小電流の測定分解能は向上します。この手法は、時おり発生する大きな電流バーストが無視できる場合に有用です。
ケルビン検出(図98)
1Aを超えるどの大電流アプリケーションでも、検出抵抗へのケルビン接続は精度を維持するために重要です。バッテリ・チャージャ・アプリケーションのこの簡単な図は、電流検出抵抗のパッドに追加された2本の電圧検出パターンを示しています。電圧が高インピーダンスのアンプ入力で検出されると、IxRの電圧降下誤差は生じません。
フィルタ付き0A~33Aハイ・サイド電流モニタ(図99)
高電圧電源レールの大電流検出は、LT6100を使用して簡単に実現できます。検出アンプは、3Vの低電圧電源でバイアスされ、25V/Vのゲインにピン・ストラップされて電流の読取り値を2.5Vのフルスケールで出力します。FILピンからグラウンドに接続したコンデンサは、システムのノイズを除去します(220pFで12kHzのローパス・コーナ周波数となります)。
単電源実効値電流測定(図100)
LT1966は、真の実効値からDCへのコンバータで、レールtoレール範囲のシングルエンド入力信号または差動入力信号を受け取ります。PCBに実装された電流検出トランスの出力は、直接コンバータに接続できます。最大75AのAC電流を、電源から負荷への信号経路を遮断することなく測定できます。回路の正確な動作範囲は、トランスの終端抵抗の選択によって決まります。電流の真の実効値に比例するDC出力電圧を発生させるすべての計算処理機能はLTC1966に内蔵されています。これは、AC駆動のアプリケーションの消費電力/エネルギーを決定する場合に有用です。
2個のLTC6101で高/低の電流レンジ設定が可能(図101)
2つの値の検出抵抗を用いる2個の電流検出アンプを使用することが、広い範囲にわたり電流を検出するための簡単な方法です。この回路では、測定の感度と分解能は、小電流(1.2A未満)の場合、大電流の場合に比べて10倍大きくなります。コンパレータは最大10Aの大電流を検出すると、大電流回路に検出を切り替えます。
LDO負荷のバランス調整(図102)
システム設計が強化されるにつれ、当初の予想を超えた電流を負荷に供給する必要が生じることがよくあります。パワー・アンプや電圧レギュレータを変更する簡単な方法は、ここに示すように、デバイスを並列接続することです。デバイスを並列接続する場合、各デバイスは全負荷電流を等分に分担するのが最適です。この回路では、2つの調整可能な「スレーブ」レギュレータの出力電圧が検出され、マスタ・レギュレータの出力電圧に一致するようサーボ制御されます。LTC6078デュアル・オペアンプの高精度低オフセット電圧(10μV)により、各レギュレータによって供給される負荷電流は1mA以内にバランスが取られます。これは、非常に小さな10mΩの電流検出抵抗を各出力に直列に接続することで実現できます。この検出抵抗は、PCBの銅パターンまたは細いゲージ・ワイヤを使用して実装できます。
出力電流の検出(図103)
LT1970は500mAのパワー・アンプで、出力電流制限が電圧でプログラム可能です。個別のDC電源入力と1つの出力電流検出抵抗により、ソースとシンクの最大電流値が制御されます。これらの制御電圧は、マイクロプロセッサで制御されたシステムのD/Aコンバータによって供給できます。負荷への電流のクローズドループ制御のために、LT1787は出力電流をモニタできます。LT1880オペアンプは、5mV/mAの帰還信号のために、A/Dコンバータに供給される電圧のスケーリングとレベル・シフトを行います。
プリント回路検出抵抗の使用(図104)
LTC6102の傑出した精度により、従来のプリント回路手法で作製された検出抵抗を使用することができます。「1オンス」の銅クラッドの場合、パターン抵抗は約(L/W)0.0005Ωで、パターン幅1mmあたり約4Aの電流を流すことができます。下図の例は、実際的な5Aのモニタリング・ソリューションを示すもので、LおよびWは共に2.5mmに設定されています。抵抗には約+0.4%/ºCの温度変動と作製プロセスの幾何学的許容誤差による影響があるため、これは一般には高精度の測定には使用されません。しかし、様々な低コストの保護機能やステータス・モニタリング機能では有用となる場合があります。
小型パッケージでの高電圧、5Aハイ・サイド電流検出(図105)
LT6106は小型のSOT-23パッケージに収められていますが、3V~44Vの広い電源電圧範囲で動作します。わずか2個の抵抗でゲイン(図の回路では10)を設定し、出力はグラウンドを基準とする電圧です。
小電流(ピコアンペア~ミリアンペア)
小電流アプリケーションでの電流検出の最も簡単な方法は、大きな検出抵抗を用いることです。ただし、これは検出対象のラインに大きな電圧降下を生じる原因となるため、許容できない場合があります。検出抵抗値を下げ、検出アンプ段のゲインを利用するのがより良い方法です。電流が小さいということは、高いソース・インピーダンスの測定を行うことを意味し、ノイズを拾う可能性があるので、多くの場合何らかのフィルタ処理が必要になります。
フィルタリング後のゲインが20の電流検出(図106)
LT6100には、ピン・ストラップ接続があり、外付け部品を使用することなく多様なゲイン設定を行うことができます。この回路では、A2を接地しA4をオープンのままにして20のゲインを設定しています。FILピンにコンデンサを1個外付けすることで、信号パスにローパス・フィルタを設けることができます。図に示すように1000pFのコンデンサにより、フィルタのコーナ周波数が2.6kHzに設定されます。
ゲイン50の電流検出(図107)
LT6100は、A2とA4の両方を接地することでゲインが50となるよう設定できます。これは、1個の検出抵抗しか必要としない最も簡単な電流検出アンプ回路の1つです。
0nA~200nAの電流計(図108)
フローティング・アンプ回路は、入力に示されている方向に流れるフルスケール200nAの電流をLT1495の出力で2Vに変換します。この電圧は、電流に変換され、200μAの電流計動作をもたらします。バッテリを用いて電源を回路に対しフローティングさせることで、入力での任意の電位を処理できます。LT1495は、マイクロパワーのオペアンプであるため、バッテリからの静止電流の流出は非常に小さく、オン/オフ・スイッチは必要ありません。
100nA~1mAの範囲で1%の精度のAPD電流測定を可能にするロックイン・アンプ手法(図109)
アバランシェ・フォトダイオード(APD)は、高電圧電源から少量の電流を必要とします。ダイオードに流れる電流は光信号の強度を示すもので、非常に正確にモニタする必要があります。サポート回路のすべてに1つの5V電源から給電することが望まれます。
この回路は、ACキャリア変調手法を利用することでAPD電流のモニタ条件を満たしています。検出電流範囲全体にわたり0.4%の精度を備え、1つの5V電源で動作し、キャリアをベースにした「ロックイン」測定による高いノイズ除去特性を示します。
LTC1043のスイッチ・アレイは内部発振器によりクロッキングされます。発振器の周波数はピン16のコンデンサによって設定され、約150Hzです。S1のクロッキングは、レベル・シフタQ2を介してQ1をバイアスします。Q1は1kΩの電流シャントの両端のDC電圧をチョッピングし、これを差動矩形波信号に変調し、0.2μFのACカップリング・コンデンサを通じてA1に供給します。A1のシングルエンド出力は、DC出力をバッファ・アンプA2に与える復調器S2のバイアスとなります。A2の出力が回路の出力です。
スイッチS3は、負の出力チャージ・ポンプにクロック信号を供給します。チャージ・ポンプは、アンプのV–ピンに給電し、ゼロ・ボルト(およびそれ未満)への出力振幅を可能にします。Q1に接続されている100kΩの抵抗は、Q1のオン抵抗誤差の影響を最小限に抑え、どちらかの0.2μFのコンデンサが故障した場合でも破壊電位がA1(および5Vレール)に達しないようにします。A2のゲイン1.1はA1の入力抵抗によってもたらされるわずかな減衰を補正します。実際には、APDのバイアス電圧レギュレータの帰還信号を指定されたポイントから引き出し、1kΩのシャント抵抗での電圧降下をなくすのが妥当かもしれません。精度の検証には、APDのバイアス・ラインに100nA~1mAの電流を供給し、出力が一致することを確認することが含まれます。
DC結合されたAPDの電流モニタ(図110)
アバランシェ・フォトダイオード(APD)は、高電圧電源から少量の電流を必要とします。ダイオードに流れる電流は光信号の強度を示すもので、非常に正確にモニタする必要があります。サポート回路のすべてに1つの5V電源から給電することが望まれます。
この回路のDC結合された電流モニタは、前の回路の微調整を不要にしますが、APDのバイアス電源から引き出す電流は増加します。A1はフロート状態で、APDのバイアス・レールから給電されます。15Vのツェナー・ダイオードと電流源Q2により、A1が破壊的電圧にさらされないようになっています。1kΩの電流シャント抵抗の電圧降下により、A1の正入力電位が設定されます。A1はその負の入力をQ1を介して帰還制御することで、入力のバランスを調整します。このようにして、Q1のソース電圧はA1の正入力電圧に等しくなり、そのドレイン電流がソース抵抗の両端の電圧を設定します。Q1のドレイン電流によって、グラウンドを基準とする1kΩの抵抗の両端に電圧降下が生じます。これは、1kΩの電流シャントの両端の電圧降下と等しく、したがって、APDの電流と等しいものになります。この関係は、20V~90VのAPDバイアス電圧範囲で成り立ちます。5.6Vのツェナーにより、A1の入力は常にそのコモンモード動作範囲内にあり、10MΩの抵抗は、APDの電流が非常に低いレベルにある場合に適切なツェナー電流を維持します。
図には、2つの出力オプションが示されています。チョッパ安定化アンプであるA2は、アナログ出力を供給します。そのV–ピンには負電圧が供給されるため、出力をゼロ(およびそれ未満)に振幅させることができます。この電位はA2の内部クロックを使用して生成され、チャージ・ポンプを起動します。このチャージ・ポンプが次にA2のV–ピン3をバイアスします。もう1つの出力オプションは、A/Dコンバータを代用するもので、シリアル形式のデジタル出力を供給します。LTC2400 A/Dコンバータが入力をゼロ・ボルト(およびそれよりわずかに低い電圧)に変換するため、V–電源は不要です。
6桁(10nA~10mA)の電流ログ・アンプ(図111)
LTC6079のような高精度クワッド・アンプ(10μVのオフセット、1pA未満のバイアス電流)を用いると、非常に広い範囲の電流検出が可能になります。この回路では、回路の入力端子から引き出される6桁の範囲の電流が、対数形式で出力電圧に変換され、電流が1桁変化するごとに150mVずつ増加します。
モータおよび誘導性負荷
誘導性回路を流れる電流を測定する際の最大の課題は、電圧トランジェントがしばしば発生することです。検出端子両端の電圧の極性が反転しても、電流は一方向に継続的に流れることがあります。
電子回路ブレーカ(図112)
LTC1153は電子回路ブレーカです。電源入力VSとドレイン検出ピンDSの間に100mVが発生すると、検出された負荷への電流によりブレーカがオープンになります。ブレークによるトランジェントや不要なトリップを防止するため、素子RDとCDの動作には1msの遅延があります。サーミスタを使用し、シャットダウン入力をバイアスして負荷に発生する熱をモニタし、温度が70°C(この例の場合)を超えた場合に給電を停止することもできます。LTC1153の特長の1つはタイマー付き自動リセットで、この機能により、図に示す0.22µFのタイマー・コンデンサを使用して200ms後に負荷の再接続を試行します。
通常のHブリッジ電流モニタ(図113)
操舵補助などの最新の電子ドライブ機能の多くは、本質的に双方向です。これらの機能は、一般にパルス幅変調(PWM)手法を使用するHブリッジMOSFETアレイによって駆動され、指示トルクを変更します。これらのシステムの電流モニタには主な目的が2つあります。1つは負荷の電流をモニタし、目的のコマンド(例えばクローズドループのサーボ制御則)に対する動作を追跡することで、もう1つは故障検出および保護機能です。
これらのシステムに共通するモニタリング手法は、図に示すように「フライング」検出抵抗の電圧を増幅することです。しかしながら、モータ端子で単純にグラウンドに短絡しているような、いくつかの潜在的に危険な故障状況は検出されません。この他に問題を複雑にする要素として、PWMの動作によるノイズがあります。PWMノイズは、サーボ制御則の目的でフィルタ処理できますが、保護に有用な情報が不明瞭になります。最適なソリューションは、単に各ハーフ・ブリッジを個別に保護する2つの回路を用意し、双方向の負荷電流を通知することです。場合によっては、スマートMOSFETブリッジ・ドライバにすでに検出抵抗が内蔵されており、必要な保護機能が提供されることもあります。このような状況では、最適なソリューションは最小限の付加回路で負荷情報を引き出すことです。
モータの速度制御(図114)
これは、LT1970パワー・アンプを速度制御付きDCモータのリニア・ドライバとして使用します。同じ量の出力電流をソースおよびシンクできるため、モータの双方向回転が可能になります。速度制御は、モータに組み込まれているタコメータの出力を検出して行われます。代表値3V/1000rpmの帰還信号が、目的の速度設定入力電圧と比較されます。LT1970はユニティ・ゲインで安定動作するため、積分器として構成し、帰還速度信号と設定入力信号が一致するよう必要に応じてモータの電圧を強制的に設定することができます。更に、アンプの電流制限を調整して、モータのトルクとストール電流を制御することもできます。
故障検出と双方向負荷情報を与える実際的なHブリッジ電流モニタ(図115)
この回路は1対の一方向検出測定を使用して、ADCの差動負荷測定を行います。各LTC6101は、負荷の短絡やMOSFETの故障など、故障状態に迅速に対応するハイ・サイド検出を行います。スイッチ・モジュール内のハードウェア(図示はされていない)は、保護ロジックを備え、ステータス・フラグを制御システムに供給できます。差動として取得された2つのLTC6101出力により、制御サーボの双方向負荷測定が行われます。このグラウンド基準信号は、大半のΔΣ ADCに適合します。ΔΣ ADC回路には、測定結果からPWM成分を除去する積分機能も「無償で」備わっています。また、この方式は、スイッチ保護に必要なレートでA/D変換を行う必要がないため、コストと複雑さを低減できます。
ランプ・ドライバ(図116)
ランプのターンオン時に発生する突入電流は、定格動作電流の10~20倍の大きさになることもあります。この回路は、電球がオンになっている間、LTC1153電子回路ブレーカのトリップ閾値を100msの間11:1の比率で(30Aまで)シフトします。その後突入電流が収まると、このトリップ閾値は2.7Aに低下します。
インテリジェント・ハイ・サイド・スイッチ(図117)
LT1910は専用のハイ・サイドMOSFETドライバで、保護機能が内蔵されています。標準的なロジック電圧レベルからパワー・スイッチ用にゲート駆動を行います。スイッチを流れる電流をモニタして負荷が短絡した場合の保護を行います。LTC6101を同じ回路に追加し、同じ電流検出抵抗を共有すると、負荷電流に比例した直線的な電圧信号が得られ、更なるインテリジェント制御を行うことができます。
リレー・ドライバ(図118)
この回路は、2レベルの過電流保護を備えた電子回路ブレーカを使用し、高い信頼度でリレーを制御します。電流は2個の抵抗を通じて検出されます。1つはリレー・コイルに流れる電流、もう1つはリレー接点を流れる電流のためのものです。VS電源ピンとドレイン検出ピンDSの間に100mVが生じると、NチャンネルMOSFETがオフになり接点が開きます。図に示すように、リレー・コイルは350mAに制限され、接点電流は5Aに制限されます。
フルブリッジ負荷電流モニタ(図119)
LT1990はディファレンス・アンプで、電源電圧をはるかに超える可能性がある非常に広いコモンモード入力電圧範囲を特長としています。これは、モータなどのフルブリッジで駆動される誘導性負荷の電流をモニタするために使用する場合に、トランジェント電圧を除去できるという利点があります。LT6650は1.5Vの電圧リファレンスを提供し、これによって出力をグラウンドから1.5Vにバイアスできます。出力は負荷を流れる電流の方向によって、1.5Vより上または下に変化します。図に示すように、アンプは、抵抗RSの両端に発生する電圧に対し10のゲインを与えます。
Hブリッジ・ドライバでの双方向電流検出(図120)
LTC6103の各チャンネルは、ハーフ・ブリッジ駆動セクションへの電源電流を測定します。一方のハーフ・ブリッジ・セクションのみが所定の時間に測定可能な方向に電流を流し、一度に1つの出力だけが信号を生じます。差動を取ることで、2つの出力が双方向の測定を行い、この結果をADCなどの後続の回路で使用できます。この構成では、負荷に故障が生じて接地されてしまう場合も検出できるため、ブリッジ保護が可能です。この配置により、「フライング」検出抵抗回路の問題を引き起こす可能性のある、高周波数の同相ノイズ除去問題を回避できます。
単一出力が10AのHブリッジの電流と方向を示す(図121)
LTC6104の出力電圧は、どちらの側のHブリッジが電流を流しているかによって、外部の2.5Vリファレンス電位より上または下になります。ブリッジの電源ラインの電流をモニタすることで、検出アンプへの入力に生じる高速の電圧変動をなくすことができます。
ロー・サイドのソレノイド電流をモニタ(図122)
ソレノイドなどの誘導性負荷を駆動すると、電流検出アンプの入力にコモンモード電圧の大きなトランジェントが発生します。給電を停止すると、ソレノイド両端の電圧が反転し(フリーホイール状態とも呼ばれます)、電源電圧より高い電圧になろうとしますが、フリーホイール・ダイオードによりクランプされます。LT6105は、0Vから24V電源よりダイオード1個分だけ高い電圧までの入力電圧範囲にわたり、ソレノイド電流を継続的に検出します。
ハイ・サイドのソレノイド電流をモニタ(図123)
ソレノイドなどの誘導性負荷を駆動すると、電流検出アンプの入力にコモンモード電圧の大きなトランジェントが発生します。給電を停止すると、ソレノイド両端の電圧が反転し(フリーホイール状態とも呼ばれます)、グラウンドより低い電圧になろうとしますが、フリーホイール・ダイオードによりクランプされます。LT6105は、入力を最も正確な入力電圧範囲内に維持するプルアップ抵抗を用いて、ソレノイド電流を常に検出しています。
Hブリッジ・モータ電流を直接モニタ(図124aおよび図124b)
LT1999は、差動入力アンプで、–5V~80Vという非常に広い入力コモンモード電圧範囲を備えています。ACのCMRRは100kHzで80dBを超えるため、Hブリッジ駆動の負荷の双方向電流を直接測定できます。大きな高速のコモンモード入力電圧振幅は、出力時に除去されます。アンプのゲインは10、20、または50に固定され、必要なのは、電流検出抵抗1個と電源バイパス・コンデンサをアンプに外付けすることだけです。
ヒューズ付きソレノイドの電流モニタリングのための広い入力電圧範囲(図125)
LT1999は、各入力に直列抵抗があります。これによって、アンプに損傷を与えることなく入力の電圧をオーバードライブすることができます。アンプは、ソレノイド・ドライバの正および負の電圧振幅を通じて電流をモニタします。保護ヒューズが飛ぶほど差動入力が大きい場合は、出力が強制的にハイ状態になり、LT1999には損傷を与えません。
ハイ・サイド駆動ソレノイドを流れるオン電流とフリーホイーリング電流の両方をモニタ(図126)
電流検出抵抗を接地されたソレノイドとフリーホイーリング・クランプ・ダイオードによって形成されるループ内に配置すると、給電時やスイッチ・オフ時もソレノイド電流を連続的にモニタできます。LT1999は、グラウンドより5V低い電圧(–5V)までの入力コモンモード電圧で正確に動作します。
ロー・サイド駆動ソレノイドを流れるオン電流とフリーホイーリング電流の両方をモニタ(図127)
電流検出抵抗を接地されたソレノイドとフリーホイーリング・クランプ・ダイオードによって形成されるループ内に配置すると、給電時やスイッチ・オフ時もソレノイド電流を連続的にモニタできます。LT1999は最大80Vの入力コモンモード電圧で正確に動作します。この回路では、入力はソレノイド電源よりダイオード1個分高い電圧でクランプされます。
固定ゲインのDCモータ電流モニタ(図128)
LT1999は、重要な外付け部品を要することなく、Hブリッジ駆動モータと直列に接続した検出抵抗に直接接続できます。アンプの出力電圧は電源の2分の1を基準としているため、モータの回転方向は出力が停止時のDC出力電圧より上か下かで示されます。
簡素なDCモータ・トルク制御(図129)
回転するモータのトルクは、それを流れる電流に正比例します。この回路では、モータの電流をモニタして、DCの設定電圧値と比較します。モータ電流はLT6108-1で検出され、アンプとPWMモータ駆動回路を通じて設定電流値に一致するように調整されます。LTC6992-1は、MOD入力ピンの0V~1Vの変化に対応して、0%~100%のデューティ・サイクルのPWM信号を生成します。
小型モータの保護および制御(図130)
DCモータの動作電流と温度をデジタル化して、加えられた制御電圧を調整できるコントローラに送ることができます。ロータの停止やモータの過剰負荷を検出できます。
大型モータの保護および制御(図131)
高電圧/大電流モータの場合、簡単な抵抗分圧器を使用してLTC2990 14ビット・コンバータに加わる信号をスケーリングできます。比例するDCモータの動作電流と温度をデジタル化して、加えられた制御電圧を調整できるコントローラに送ることができます。ロータの停止やモータの過剰負荷を検出できます。
バッテリ
バッテリの化学的性質と充放電特性の科学は、それだけで一冊の本になります。この章では、バッテリの化学的性質は問わず、バッテリとやり取りされる電流をモニタする例をいくつか示します。
LT6100がパワー・ダウンしても入力を高インピーダンスに維持(図132)
これは、バッテリの負荷電流をモニタする、LT6100の代表的な構成です。回路は、モニタ対象のバッテリではなく低電圧電源レールから給電されます。この構成特有の利点は、LT6100がパワー・ダウンした場合にそのバッテリ検出入力が高インピーダンスに保たれるため、流出する電流は1μA未満であることです。これは、リニア・テクノロジーのOver-The-Top入力技法がフロント・エンドに適用されているためです。
VBIASがシフトされた単電源の充放電電流モニタ(図133)
ここではLT1787が単電源モードで使用されており、外付けのLT1634電圧リファレンスを使用してVBIASピンが正方向にシフトされています。VOUT出力信号はVBIASの上下に振幅できるので、検出抵抗を通じて正または負の電流をモニタできます。内部回路を飽和させずに振幅するためにVOUTに十分なヘッドルームを提供しなければならないという注意点を除いては、リファレンス電圧の選択は厳密なものではありません。図に示す部品値では、わずか3.1VのVS電源での動作が可能です。
バッテリ電流モニタ(図134)
1個のLT1495デュアル・オペアンプ・パッケージを使用して、充電と放電の電流モニタリング出力を個別に構成できます。LT1495は、Over-the-Top動作が可能であるため、わずか5Vのアンプ電源電圧で36Vもの高いバッテリ電位を許容できます。
入力電流検出のアプリケーション(図135)
LT1620は、LT1513 SEPICバッテリ・チャージャICと組み合わされて、入力の過電流保護を備えたチャージャ回路を構成します。プログラミング電圧(VCC – VPROG)は、5V入力とグラウンドの間に接続された抵抗分圧器(RP1およびRP2)によって1.0Vに設定されています。この構成では、バッテリ・チャージャによって消費される入力電流とシステム負荷の必要量の合計が3Aの電流制限閾値を超える場合は、合計入力電源電流が3Aに制限されるよう、LT1620がバッテリ・チャージャ電流を抑制します。
クーロン・カウンタ(図136)
LTC4150は、V/F機能を内蔵したマイクロパワーのハイ・サイド検出回路です。検出抵抗の両端の電圧が周期的に積分されリセットされて、バッテリとの電荷のやり取りを示すデジタル遷移がもたらされます。極性ビットは電流の方向を示します。LTC4150の電源電圧は2.7V~8.5Vです。自走モード(図に示すようにCLRとINTが接続されている)では、パルス幅は約1μsで、およそ1Hzのフルスケールです。
リチウムイオン・ガス・ゲージ(図137)
これは、マイクロプロセッサが積分周期完了状態をソフトウェアでクリアする点を除き、クーロン・カウンタ回路と同じなので、比較的遅いポーリング・ルーチンを使用できます。
NiMHチャージャ(図138)
LTC4008は全機能内蔵型のNiMHバッテリ・パック・コントローラです。これは、外部DC電源がなくなると自動的にバッテリ電源に切り替えます。電源が接続されている場合は、バッテリ・パックは常に充電され、使用可能な状態に保たれます。
単一セル・リチウムイオン・チャージャ(図139)
リチウムイオン・バッテリ・チャージャの電流制御は、安全確保とバッテリ寿命を延ばすために必須のものです。インテリジェント・バッテリ・チャージャICは非常に簡素な回路で使用して、高速で安全な充電のために電流、電圧、更にはバッテリ・パックの温度もモニタし制御できます。
リチウムイオン・チャージャ(図140)
この単一リチウムイオン・セル・チャージャには、わずかな外付け部品しか必要ありません。チャージャの電力は、ACアダプタまたはコンピュータのUSBポートから取ることができます。
バッテリ・モニタ(図141)
オペアンプ・セクションAおよびBは、それぞれQ1およびQ2と組み合わされて標準的なハイ・サイド検出回路を形成します。各セクションは異なる極性のバッテリ電流を処理し、測定した電流を負荷抵抗RGに供給します。セクションCはコンパレータとして動作し、電流が充電電流なのか放電電流なのかを示すロジック信号を供給します。S1は、セクションDのバッファ・オペアンプのゲインを+1または+10に設定します。この回路には、この例に示すLT1491クワッドのようなレールtoレールのオペアンプが必要です。
1つの出力で充電電流と放電電流をモニタ(図142)
バッテリから負荷への電流またはチャージャからバッテリへの電流は、検出抵抗1個とLTC6104を使用してモニタできます。負荷に放電される電流は、検出抵抗両端の電圧に比例した電流を出力ピンから流します。バッテリへの充電電流は、出力ピンに電流を流入させます。出力電圧が電圧VREFを超えるか下回るかで、バッテリの充電か放電かが示されます。
バッテリ・スタック・モニタリング(図143)
LT6109で使用されるコンパレータは別々に使用できます。このバッテリ・スタック・モニタリング回路では、どちらかのコンパレータ出力がローになるとバッテリから負荷を切り離します。一方のコンパレータは過電流状態(800mA)を監視し、他方のコンパレータは低電圧状態(30V)を監視します。抵抗分圧ネットワークを使用することで、3つの閾値がすべてプログラム可能です。
クーロン・カウンティング・バッテリ・ガス・ゲージ(図144)
LTC4150は、検出抵抗両端の電圧を、マイクロプロセッサの割込みパルス列に変換します。各割込みパルス間の時間は、検出抵抗を流れる電流に正比例するため、バッテリ電源とやり取りされる電荷数にも正比例します。極性の出力は電流の方向を示します。極性を積算値に加えるかまたは差し引いて割込みパルスをカウントすることで、バッテリの電荷の合計変化量の指示値が定まります。これはバッテリ・ガス・ゲージとして作用し、バッテリがフル充電か空かを示します。
高電圧バッテリ・クーロン・カウンティング(図145)
クーロン・カウンティング時、内部カウンタは各割込み区間が終了したら次の時間区間に備えてクリアする必要があります。これはマイクロプロセッサによって行うことができますが、LTC4150が自己クリアすることもできます。この回路では、ICは、割込みカウント用マイクロプロセッサの電源より高い電圧になっているバッテリ電源から給電されます。
低電圧バッテリ・クーロン・カウンティング(図146)
クーロン・カウンティング時、内部カウンタは各割込み区間が終了したら次の時間区間に備えてクリアする必要があります。これはマイクロプロセッサによって行うことができますが、LTC4150が自己クリアすることもできます。この回路では、ICは、割込みカウント用マイクロプロセッサの電源より低い電圧になっているバッテリ電源から給電されます。INTピンが高電圧にプルアップされるため、CLR信号を減衰する必要があります。
単一セル・リチウムイオン・バッテリのクーロン・カウンティング(図147)
これは、単一セル・リチウムイオン・バッテリの電源における電荷の総変化量を追跡する回路です。LTC4150のフルスケール検出電圧条件が50mVであるため、バッテリの最大電流は500mAと仮定されます。マイクロプロセッサ電源は、バッテリ電源より高電圧です。
フル機能単一セル・バッテリ保護(図148)
電圧、電流、バッテリ温度はすべて、1個のLTC2990 ADCによって14ビットの分解能でモニタできます。これらのパラメータはそれぞれ、超過状態を検出し、セル充電の終了または開始の信号を発することができます。ADCは、必要な情報を生成するために、常にシングルエンド測定または差動測定用に再構成できます。
高速
電流モニタリングは、何らかの故障によって過度な電流が発生しない限り、通常は特に高速である必要はありません。従来の電流検出回路で高速アンプを使用すれば、必要な応答時間を得るのに十分です。
高速で小型の–48V電流検出(図149)
このアンプの構成は、本質的に、古典的なハイ・サイド構成の相補的な実装です。使用するオペアンプは、下側レールでのコモンモード動作に対応する必要があります。シャント・レギュレータによる「フローティング」ローカル電源がツェナー・ダイオードで形成され、トランジスタは、測定された電流を出力負荷抵抗(この回路では1kΩ)に供給します。この回路では、出力電圧は正電位を基準としており、–48V負荷の増加を示す場合には下方に変化します。スケーリング精度は使用する抵抗の品質とNPNトランジスタの性能によって決まります。
通常のHブリッジ電流モニタ(図150)
操舵補助などの最新の電子ドライブ機能の多くは、本質的に双方向です。これらの機能は、一般にパルス幅変調(PWM)手法を使用するHブリッジMOSFETアレイによって駆動され、指示トルクを変更します。これらのシステムの電流モニタには主な目的が2つあります。1つは負荷の電流をモニタし、目的のコマンド(例えばクローズドループのサーボ制御則)に対する動作を追跡することで、もう1つは故障検出および保護機能です。
これらのシステムに共通するモニタリング手法は、図に示すように「フライング」検出抵抗の電圧を増幅することです。しかしながら、モータ端子で単純にグラウンドに短絡しているような、いくつかの潜在的に危険な故障状況は検出されません。この他に問題を複雑にする要素として、PWMの動作によるノイズがあります。PWMノイズは、サーボ制御則の目的でフィルタ処理できますが、保護に有用な情報が不明瞭になります。最適なソリューションは、単に各ハーフ・ブリッジを個別に保護する2つの回路を用意し、双方向の負荷電流を通知することです。場合によっては、スマートMOSFETブリッジ・ドライバにすでに検出抵抗が内蔵されており、必要な保護機能が提供されることもあります。このような状況では、最適なソリューションは最小限の付加回路で負荷情報を引き出すことです。
外部電圧リファレンスとI/Vコンバータを備えた単電源2.5V双方向動作(図151)
LT1787の出力は、I/Vコンバータとして構成されたLT1495レールtoレール・オペアンプによりバッファされます。この構成は、非常に電圧の低い電源をモニタするのに最適です。LT1787のVOUTピンは、オペアンプの非反転入力に現れるリファレンス電圧に等しくなるよう保たれます。これにより、2.5Vという低い電源電圧もモニタできます。オペアンプの出力振幅は、グラウンドからその正電源電圧までが可能です。オペアンプの低インピーダンス出力は、LT1787の高出力インピーダンスより有効に後続の回路を駆動できます。I/Vコンバータの構成は、スプリット電源電圧でも良好に動作します。
バッテリ電流モニタ(図152)
1個のLT1495デュアル・オペアンプ・パッケージを使用して、充電と放電の電流モニタリング出力を個別に構成できます。LT1495は、Over-the-Top動作が可能であるため、わずか5Vのアンプ電源電圧で36Vもの高いバッテリ電位を許容できます。
アラーム付き高速電流検出(図153)
LT1995は、単純なユニティ・ゲイン・ディファレンス・アンプとして示されています。スプリット電源でバイアスされている場合、入力電流は、どちらの方向にも流れることができ、100mΩの検出抵抗両端の電圧から100mV/Aの出力電圧を発生させます。この検出アンプの応答は高速で、帯域幅が32MHz、スルー・レートは1000V/μsです。LT6700-3のようなリファレンス電圧回路を内蔵した簡素なコンパレータを追加して使用すると、過電流フラグを発生することができます。400mVのリファレンスの場合、フラグは4Aで発生します。
高速差動電流源(図154)
これは、ハウランド構成の1変種で、暗に示された検出抵抗として作用する帰還抵抗を負荷電流が実際に流れます。実効検出抵抗は比較的高いため、この回路は制御された小電流を発生させるのに適しています。
故障検出
電流の欠如や急速な増加は、多くの場合システムの故障を表します。このような回路では、状態を検出するだけでなく、検出回路自体の安全な動作を確保することも重要です。システムの故障は破壊的になることがあり、しかも多くの場合予測不可能な形で生じます。
ハイ・サイド電流検出とヒューズ・モニタ(図155)
LT6100は、電流センサーとヒューズ・モニタを組み合わせたものとして使用できます。このデバイスは、出力バッファを内蔵しており、車両のデータ・アクイジション・システムによく使用される低電源電圧(2.7V以上)で動作すると共に、センス入力がバッテリ・バスの電位が上昇した際の信号をモニタするように設計されています。LT6100の入力は、大きな入力差に耐えられるため、ヒューズが切れた動作状態(出力フルスケールが示されることで検出されます)を許容します。また、LT6100は、高インピーダンスのセンス入力を維持しながらパワー・ダウンすることが可能で、バッテリ・バスからの電流は1μA未満に抑えることができます。
電源反転時の損傷のショットキー・ダイオードによる防止(図156)
LTC6101は、電源極性が外部で反転した場合に内部では保護されません。この状態で生じるおそれのある損傷を防ぐには、ショットキー・ダイオードをV–に直列に追加します。これにより、LTC6101に流れる逆方向電流が制限されます。なお、このダイオードは、電源電圧をVD分だけ実質的に減らすため、LTC6101の低電圧性能は制限されます。
電源反転時の追加抵抗R3による出力保護(図157)
LTC6101の出力が、独立して給電されるデバイスに配線され、このデバイスが電源反転状態時に出力を他のレールまたはグラウンドに(ESD保護クランプを介する場合のように)実質的に短絡する場合、LTC6101の出力は、抵抗またはショットキー・ダイオードを介して接続し、過度の故障電流を防止する必要があります。
電子回路ブレーカ(図158)
LT1620電流検出アンプは、過電流状態を検出しP-MOSFET負荷スイッチをオフにするために使用されます。故障フラグが過電流状態で生成され、自己リセット・シーケンスが開始されます。
電子回路ブレーカ(図159)
LTC1153は電子回路ブレーカです。電源入力VSとドレイン検出ピンDSの間に100mVが発生すると、検出された負荷への電流によりブレーカがオープンになります。ブレークによるトランジェントや不要なトリップを防止するため、素子RDとCDの動作には1msの遅延があります。サーミスタを使用し、シャットダウン入力をバイアスして負荷に発生する熱をモニタし、温度が70°C(この例の場合)を超えた場合に給電を停止することもできます。LTC1153の特長の1つはタイマー付き自動リセットで、この機能により、図に示す0.22μFのタイマー・コンデンサを使用して200ms後に負荷の再接続を試行します。
1.25V電子回路ブレーカ(図160)
LTC4213は、N-MOSFETのドレインからソースへの電圧降下を検出することで、保護および自動回路ブレーカ動作を行います。検出入力のコモンモード範囲はレールtoレールであるため、回路ブレーカは、0V~6Vのバス電圧を保護できます。ロジック信号は(READY出力信号を使用して)トリップ状態のフラグを立て、ブレーカを(ON入力を使用して)再初期化します。「スマート・スイッチ」アプリケーションでは、ON入力をコマンドとして使用することもできます。
ランプ切れ検出器(図161)
この回路では、ランプの連続性がオン状態とオフ状態の両方でモニタされます。オフ状態では、フィラメントのプルダウン動作によりわずかなテスト電流が5kΩに流れ、これを検出してランプに問題がないことを確認します。ランプがオープンの場合、100kΩのプルアップまたはリレー接点が、極性の反転したオペアンプのバイアス電流を5kΩを通じて供給します。ランプに給電されフィラメントに電流が流れている場合、0.05Ω検出抵抗の電圧降下は5kΩの電圧降下を超え、引き続きランプに問題がないことが検出されます。この回路には、オペアンプに特定のOver-the-Top入力特性が必要であるため、別の部品を代用することは推奨されません(ただし、同じ回路は、同じくOver-the-TopデバイスであるLT1716コンパレータを使用しても適切に動作します)。
簡素なテレコム電源ヒューズ・モニタ(図162)
LTC1921は、テレコムのヒューズと電源電圧のモニタリング機能を一体化したものです。3つのフォトカプラにより、電源とヒューズの状態を示すステータス・フラグが生成されます。
通常のHブリッジ電流モニタ(図163)
操舵補助などの最新の電子ドライブ機能の多くは、本質的に双方向です。これらの機能は、一般にパルス幅変調(PWM)手法を使用するHブリッジMOSFETアレイによって駆動され、指示トルクを変更します。これらのシステムの電流モニタには主な目的が2つあります。1つは負荷の電流をモニタし、目的のコマンド(例えばクローズドループのサーボ制御則)に対する動作を追跡することで、もう1つは故障検出および保護機能です。
これらのシステムに共通するモニタリング手法は、図に示すように「フライング」検出抵抗の電圧を増幅することです。しかしながら、モータ端子で単純にグラウンドに短絡しているような、いくつかの潜在的に危険な故障状況は検出されません。この他に問題を複雑にする要素として、PWMの動作によるノイズがあります。PWMノイズは、サーボ制御則の目的でフィルタ処理できますが、保護に有用な情報が不明瞭になります。最適なソリューションは、単に各ハーフ・ブリッジを個別に保護する2つの回路を用意し、双方向の負荷電流を通知することです。場合によっては、スマートMOSFETブリッジ・ドライバにすでに検出抵抗が内蔵されており、必要な保護機能が提供されることもあります。このような状況では、最適なソリューションは最小限の付加回路で負荷情報を引き出すことです。
外部電圧リファレンスとI/Vコンバータを備えた単電源2.5V双方向動作(図164)
LT1787の出力は、I/Vコンバータとして構成されたLT1495レールtoレール・オペアンプによりバッファされます。この構成は、非常に電圧の低い電源をモニタするのに最適です。LT1787のVOUTピンは、オペアンプの非反転入力に現れるリファレンス電圧に等しくなるよう保たれます。これにより、2.5Vという低い電源電圧もモニタできます。オペアンプの出力振幅は、グラウンドからその正電源電圧までが可能です。オペアンプの低インピーダンス出力は、LT1787の高出力インピーダンスより有効に後続の回路を駆動できます。I/Vコンバータの構成は、スプリット電源電圧でも良好に動作します。
バッテリ電流モニタ(図165)
1個のLT1495デュアル・オペアンプ・パッケージを使用して、充電と放電の電流モニタリング出力を個別に構成できます。LT1495は、Over-the-Top動作が可能であるため、わずか5Vのアンプ電源電圧で36Vもの高いバッテリ電位を許容できます。
アラーム付き高速電流検出(図166)
LT1995は、単純なユニティ・ゲイン・ディファレンス・アンプとして示されています。スプリット電源でバイアスされている場合、入力電流は、どちらの方向にも流れることができ、100mΩの検出抵抗両端の電圧から100mV/Aの出力電圧を発生させます。この検出アンプの応答は高速で、帯域幅が32MHz、スルー・レートは1000V/μsです。LT6700-3のようなリファレンス電圧回路を内蔵した簡素なコンパレータを追加して使用すると、過電流フラグを発生することができます。400mVのリファレンスの場合、フラグは4Aで発生します。
絶縁電源ラインの電流をモニタ(図167)
電流検出アンプの出力電流を使用してフォトダイオードの電流を直接変調することは、絶縁型48V工業/テレコム用電源をモニタするための簡便な方法です。電流に問題があると非絶縁型のモニタリング回路に信号を送ることができます。
ヒューズで保護された回路のモニタリング(図168)
過電流保護のためのヒューズを備えた電源ラインの電流検出には、広い差動入力電圧定格を持つ電流検出アンプが必要です。ヒューズが飛んでオープンになると、フルの負荷電源電圧が検出アンプの両入力に発生します。LT6105は、最大44Vの入力電圧差に対応できます。LT6105の出力のスルー・レートは2V/μsであるため、急速な電流変化にも高速に応答できます。ヒューズがオープンになるとLT6105の出力はハイになり、その状態を維持します。
負荷切断の早期警告およびラッチ機能による回路故障保護(図169)
2個の内蔵コンパレータを駆動する高精度電流検出アンプを備えたLT6109-2には、負荷回路に対する電流過負荷保護機能があります。内蔵コンパレータには400mV固定のリファレンスが備わっています。電流検出アンプの出力は、抵抗により分圧されているため、1個のコンパレータは初期の警告レベルでトリップし、もう1個のコンパレータは負荷への電流が危険なレベルになるとトリップします(この例では100mAおよび250mA)。コンパレータの出力はトリップ時にラッチされるため、リセット・パルスが供給されるまで負荷を切り離して保護する回路ブレーカとして使用できます。
コンパレータ出力を使用して割込みルーチンを初期化(図170)
コンパレータの出力は、任意のマイクロコントローラのI/Oや割込み入力に直接接続できます。OUTC2がロー・レベルの場合は低電流状態を示し、OUTC1がロー・レベルの場合は過電流状態を示します。これらの割込みによってマイクロコントローラのサービス・ルーチンが開始されます。
過電流ラッチ機能および電源喪失時のパワーオン・リセット機能を備えた電流検出(図171)
LT6801-2には通常の非ラッチ型コンパレータが内蔵されています。過電流状態が検出された場合は、正帰還配置に構成された外部ロジック・ゲートがラッチ出力を発生できます。同じロジック・ゲートがアクティブ・ローのパワーオン・リセット信号を生成することもできます。
デジタル化
多くのシステムでは、電流を示すアナログ電圧の大きさをシステム・コントローラに入力する必要があります。この章では、電流検出アンプとA/Dコンバータの直接のインターフェース例をいくつか示します。
出力電流の検出(図172)
LT1970は500mAのパワー・アンプで、出力電流制限が電圧でプログラム可能です。個別のDC電源入力と1つの出力電流検出抵抗により、ソースとシンクの最大電流値が制御されます。これらの制御電圧は、マイクロプロセッサで制御されたシステムのD/Aコンバータによって供給できます。負荷への電流のクローズドループ制御のために、LT1787は出力電流をモニタできます。LT1880オペアンプは、5mV/mAの帰還信号のために、A/Dコンバータに供給される電圧のスケーリングとレベル・シフトを行います。
スプリット電源動作または単電源動作のA/Dへの双方向出力(図173)
この回路では、LT1787とLT1404の両方にスプリット電源動作が適用され、対称な双方向測定が可能となります。単電源の場合は、LT1787のピン6がVREFによって駆動され、双方向の測定範囲は、VREFがADCの入力範囲の中点より若干大きいため、わずかに非対称になります。
LTC2433 ADCへの16ビット分解能の一方向出力(図174)
LTC2433-1は、ソース・インピーダンスが5kΩまでの信号を正確にデジタル化できます。このLTC6101電流検出回路では4.99kΩの出力抵抗を使用してこの条件を満たしているため、追加のバッファは不要です。
LTC1286 ADCへの12ビット分解能の一方向出力(図175)
LT1787は双方向出力が可能ですが、このアプリケーションでは、一方向測定をデジタル化するために経済的なLTC1286を使用しています。LT1787の公称ゲインは8で、約100Aの負荷電流で1.25Vのフルスケール出力が可能です。
16ビット分解能で電流を直接デジタル化(図176)
LTC6102は低オフセットの精度を持つため、ハイ・サイドで検出された電流を直接デジタル化するのに適しています。LTC2433は、フルスケール範囲が2.5Vの16ビット・デルタ・シグマ・コンバータです。分解能が16ビットであることから、LSB値はわずか40μVです。この回路では、検出電圧が50倍に増幅されます。これにより、検出された電圧の分解能は、1カウントあたりわずか0.8μVとなります。LTC6102のDCオフセットによる不確実さは、通常わずか4LSBです。
別個の2つの電流を直接デジタル化(図177)
LTC6103の2個の独立した電流検出アンプを使用すると、異なるソースからの2つの電流をLTC2436-1などの2チャンネル16ビットADCによって同時にデジタル化できます。図では、各チャンネルのゲインが等しい例を示していますが、必ずしもそうである必要はありません。2つの別個の電流範囲は、各ADCチャンネルについて同じフルスケール範囲となるよう、ゲインによってスケーリングできます。
単一の検出アンプとADCを使用して双方向電流をデジタル化(図178)
検出抵抗を流れる電流の方向に応じて出力で電流をソースまたはシンクするように、デュアル・アンプLTC6104を接続することができます。アンプの出力抵抗とADCのVREF入力を外部の2.5V LT1004電圧リファレンスにバイアスすることで、ADCの2.5Vのフルスケール電圧をどちらの方向に流れる電流にも適用できます。
バッテリ・モニタにおける充電電流と負荷電流のデジタル化(図179)
わずか1個の検出抵抗、LT1999、LTC2433デルタ・シグマADCを使用して、16ビットのデジタル出力バッテリ電流モニタを実現できます。10に固定されたゲインとDCバイアスされた出力により、システムのバッテリ電源から流れる負荷電流またはバッテリの充電電流(最大10A)が、デジタル・コードによって直ちに示されます。
フル機能のデジタル電流モニタリング(図180)
LTC2470 16ビット・デルタ・シグマ・A/Dコンバータは、回路の負荷電流を示すLT6109の出力を直接デジタル化できます。それと同時に、コンパレータ出力がMCUの割込み入力に接続され、閾値がプログラム可能な過電流状態や低電流状態を直ちに通知します。
アンペア・アワー・ゲージ(図181)
LTC4150は、電流検出抵抗を特定の値にスケーリングすることで、バッテリ源から引き出された1アンペア・アワーの電荷量に対し正確に10,000個の割込みパルスを出力するよう、設定できます。パルス数をこのように10進数に丸めることで、一連の10進カウンタを使用して可視化された5桁の表示を作成できます。この回路図は単なる概念図です。極性出力は、正味の合計電荷を示すよう、割込みパルスをカウントアップまたはカウントダウンのクロック入力に割り振るために使用できます。
内蔵A/Dコンバータによる電力検出(図182)
LTC4151は、3チャンネルの12ビット・デルタ・シグマADCに接続される専用の電流検出入力チャンネルを内蔵しています。ADCは、直接かつシーケンシャルに電源電圧(102Vフルスケール)、電源電流(82mVフルスケール)、別個のアナログ入力チャンネル(2Vフルスケール)を測定します。各測定の12ビットの分解能のデータはI2Cリンクを通じて出力されます。
絶縁電力測定(図183)
データ入力ピンとデータ出力ピンを個別に備えているため、LTC4151-1/LTC4151-2をコントローラ・システムから完全に絶縁することは簡単です。絶縁システムの電源電圧と動作電流は、デジタル化されて3つのフォトカプラを通じて伝達されます。
高データ・レートでの絶縁電力測定(図184)
データ入力ピンとデータ出力ピンを個別に備えているため、LTC4151-1/LTC4151-2をコントローラ・システムから完全に絶縁することは簡単です。絶縁システムの電源電圧と動作電流は、デジタル化されて3つの高速フォトカプラを通じて伝達されます。
温度測定を電力測定に追加(図185)
LTC4151の予備のアナログ入力を使用する1つの例は、温度を測定することです。これは、温度に比例したDC電圧を発生させるサーミスタを使用することで実現できます。温度回路用のDCバイアスの電位を与えるのは、同じく測定対象となるシステム電源です。温度は両方の測定から求めます。更に、システムの負荷電流も測定されます。
電流、電圧、ヒューズのモニタリング(図186)
冗長なバックアップ電源を持つシステムは、多くの場合電源出力にヒューズ保護を備えています。LTC4151は、いくつかのダイオードと抵抗を使用して、合計負荷電流と電源電圧を測定すると共に、電源ヒューズが正常であることを確認できます。予備のアナログ入力チャンネルの電圧で、ヒューズの状態を判定できます。
オートモーティブ用ソケットの電力モニタリング(図187)
動作電圧範囲が広いと、オートモーティブ・アプリケーションで見られるトランジェントを許容できます。オートモーティブの電源ソケットに差し込まれたデバイスの消費電力は、すべて直接デジタル化できます。
パワー・オーバー・イーサネット(PoE)のモニタリング(図188)
絶縁されたテレコム電源に接続されたデバイスが消費する電力を、電力クラスの定格に適合するよう継続的にモニタできます。給電されているデバイスの定格に比例した電圧が、LTC4151-1の予備のアナログ入力によってデジタル化されます。
電流、電圧、温度のモニタ(図189)
LTC2990は4チャンネル14ビットのADCで、シングルエンド電圧や差動電圧を測定し、また、内部または外部ダイオード・センサーから温度を判定するよう、I2Cインターフェースを介して設定できます。ハイ・サイド電流測定を行うには、2つの入力を差動入力に設定し、検出抵抗両端の電圧を測定します。最大差動入力電圧は±300mVに制限されます。それ以外のチャンネルで電圧と温度を測定できるため、フル機能のシステム電力モニタが可能です。
電流制御
この章には、制御されたレベルの電流を回路に発生させるのに有用な、様々な技法を集めています。
800mA/1A白色LED電流レギュレータ(図190)
LT6100は、A2とVEEの間のスイッチが閉じているか開いているかに応じて40V/Vまたは50V/Vのゲインに設定されます。スイッチが開いている(LT6100のゲインは40V/V)場合、LEDには1Aが供給されます。スイッチが閉じている(LT6100のゲインは50V/V)場合は、800mAが供給されます。LT3436は昇圧スイッチング・レギュレータで、LEDに供給される電圧/電流を制御します。SHDNピンに接続されたスイッチ「LED ON」により、LEDのオン/オフ状態を外部から制御できます。
双方向電流源(図191)
LT1990は、高精度抵抗を内蔵した差動アンプです。図に示す回路は、標準的なハウランド電流源で、検出抵抗を追加するだけで構成されています。
2端子電流レギュレータ(図192)
LT1635はオペアンプを200mVのリファレンスと組み合わせたものです。このリファレンス電圧を抵抗R3の両端の電位にスケーリングすると、+端子から–端子に流れる電流の量が制御されます。電力はループから得られます。
可変電流源(図193)
基本的なハイ・サイド電流源は出力部に構成されていますが、入力変換アンプのセクションが入力の柔軟なスケーリングを行います。入力段のコモンモード範囲はグラウンドに近く、2番目のセクションはVCCの近くで動作するため、両方のアンプを1つのパッケージに収めるにはレールtoレールの入力機能が必要です。
グラウンド基準の入出力を備えた高精度電圧制御電流源(図194)
LTC6943を使用すると、1kΩの検出抵抗両端の電圧を正確にサンプリングし、1μFコンデンサの電荷のバランスを取ることで、その電圧をグラウンド・リファレンスに変換できます。LTC2050は、検出電圧と入力コマンド電圧の差を積分し、負荷に適切な駆動電流を供給します。
高精度電圧制御電流源(図195)
超高精度のLTC2053計装アンプが、検出抵抗Rの電圧降下をサーボ制御してコマンドVCに一致させるように構成されています。LTC2053の出力能力により、この基本構成は低電流アプリケーションに限定されます。
切替え可能な高精度電流源(図196)
これは簡素な電流源構成で、オペアンプがサーボ制御を行い、検出抵抗の電圧降下と1.2Vリファレンスの電圧降下を一致させます。このオペアンプにはシャットダウン機能があるため、ロジック・コマンドで電流源機能をスイッチ・オフできます。オペアンプがシャットダウン・モードの場合、2kΩのプルアップ抵抗により、出力MOSFETがオフになります。
昇圧された双方向制御電流源(図197)
これは標準的なハウランド双方向電流源で、LT1990集積化差動アンプを使用して構成されています。オペアンプ回路は、RSENSEの電圧降下が入力コマンドVCTLに一致するようにサーボ制御します。負荷電流がいずれかの方向で約0.7mAを超えると、昇圧トランジスタの1つが導通し始め、指示された追加電流を供給します。
0A~2Aの電流源(図198)
LT1995は、検出抵抗の電圧降下を5V/Vで増幅してそれをVINから差し引き、誤差信号をLT1880積分器に供給します。積分された誤差は、必要に応じてP-MOSFETを駆動して指示された電流を供給します。
高速差動電流源(図199)
これは、ハウランド構成の1変種で、暗に示された検出抵抗として作用する帰還抵抗を負荷電流が実際に流れます。実効検出抵抗は比較的高いため、この回路は制御された小電流を発生させるのに適しています。
1A電圧制御電流シンク(図200)
これは制御された簡素な電流シンクで、オペアンプがN-MOSFETゲートを駆動して1Ωの検出抵抗の電圧降下とVINの電流コマンドを一致させます。オペアンプから見たコモンモード電圧がグラウンド電位に近いため、このアプリケーションでは、「単電源」またはレールtoレールのタイプが必要です。
電圧制御電流源(図201)
調整可能な低ドロップアウト電圧レギュレータの帰還ループに電流検出アンプを追加すると、簡素な電圧制御電流源になります。この回路から供給される出力電流の範囲は、電圧レギュレータの電流能力によってのみ決まります。電流検出アンプは出力電流を検出し、レギュレータの誤差アンプの加算点に電流を帰還します。次に、レギュレータは、内部リファレンス電圧を加算点に維持するために必要とされる、任意の電流を供給します。図に示す回路では、0V~5Vの制御入力によって出力電流は500mA~0mAになります。
可変ハイ・サイド電流源(図202)
図に示す広域対応電流源は、正電源レール近くの小信号を測定可能なLT1366の長所を活用しています。LT1366はQ1のゲート電圧を調整して、検出抵抗(RSENSE)両端の電圧がVDCとポテンショメータのワイパー間の電圧に等しくなるようにします。検出抵抗両端の電圧はVDCにほぼ等しいので、レールtoレールのオペアンプが必要です。Q2は、定電流シンクとして機能し、電源電圧が変動してもリファレンス電圧の誤差を最小限に抑えます。入力電圧が低い時は、回路の動作はQ1のゲート・ドライブ条件によって制限されます。入力電圧が高い時は、回路の動作はLT1366の絶対最大定格によって制限されます。
プログラマブルな定電流源(図203)
電流出力は、LT1620のPROGピンからグラウンドに接続された可変抵抗(RPROG)によって制御できます。LT1121は低ドロップアウト・レギュレータで、LT1620のために電圧を一定に保ちます。LT1121にシャットダウン・コマンドを与えると、LT1620への給電が停止し、電流安定化パス・トランジスタのベース・ドライブがなくなり、その結果IOUTがオフになります。
スナップバック電流制限(図204)
LT1970は、電流検出と電流制限の機能を内蔵しています。この回路では、電流制限イベント時に生成されるロジック・フラグが帰還構成内で接続されており、それが電流制限コマンドを低レベルに引き下げます。負荷条件により電流が制限レベルより低下するようになると、フラグはクリアされ、最大電流駆動能力が自動的に回復します。
高精度
オフセット電圧とバイアス電流は、電流検出アプリケーションにおける誤差の主な要因となります。高精度動作を維持するためには、ゼロドリフト・アンプを使用してオフセット誤差の項を実質的に除去します。
高精度ハイ・サイド電源電流検出(図205)
これは、レールtoレールの入出力が可能なゼロドリフト計装アンプ(IA)を使用した、低電圧の超高精度モニタです。電圧ゲインは帰還抵抗により設定されます。この回路の精度は、ユーザが選択した抵抗の質によって決まり、単電源動作時には小信号レンジがVOLにより限定されます。このデバイスの電圧定格により、このソリューションは5.5V未満のアプリケーションに限定されます。このIAはサンプリングされるため、出力は入力変化に伴って不連続になります。そのため、極めて低周波数の測定にのみ適しています。
ハイ・サイド電源電流検出(図206)
LTC6800のオフセット誤差は小さいため、精度を維持しながら極めて低い検出抵抗を使用することができます。
入力バイアス電流による誤差を最小に抑える2番目の入力R(図207)
2番目の入力抵抗により、入力バイアス電流によって生じる入力誤差が減少します。RINの値が小さい場合には、これを重要な考慮事項とする必要はありません。
最小限の配線によるリモート電流検出(図208)
LTC6102(など)は、通常は電圧に再変換される出力電流にローカルの負荷抵抗が伴っているため、追加される配線抵抗やグラウンド・オフセットはデバイス動作に直接影響することはありません。したがって、負荷抵抗が配線の遠方の端に置かれている場合は、目的の場所で発生する電圧はその場所のグラウンド電位を基準として正確なものとなります。
ケルビン接続による大電流精度の維持(図209)
検出アンプに直列接続されるPCBパターンを流れる大電流は、大きな誤差原因となります。VIN検出端子を統合して検出抵抗を使用すると、検出抵抗両端の電圧のみが検出アンプに供給されます。LTC6104を使用すると、両方向の電流の精度を維持できるため、バッテリ充電アプリケーションに最適です。
水晶発振器/リファレンス・オーブンのコントローラ(図210)
高精度計測器は、小型のオーブンを使用して重要な発振器やリファレンス電圧のために安定した温度を実現する場合がよくあります。ヒータへの電力(電流および電圧)や温度のモニタリングがクローズドループ制御システムに必要です。
高消費電力回路基板のモニタリング(図211)
多くのシステムには、FPGAなどの高消費電力デバイスを使用する高密度回路ボードがあります。8チャンネルの14ビットADC LTC2991を使用すると、電圧および電流を測定して消費電力がモニタできる他、ボード上のいくつかの場所の温度やデバイス内の温度でさえもモニタし、ダイ温度モニタリングが可能となります。PWM回路も内蔵されており、PCBの動作温度に対するクローズドループ制御を行うことができます。
水晶発振器/リファレンス・オーブンのコントローラ(図212)
高精度計測器は、小型のオーブンを使用して重要な発振器やリファレンス電圧のために安定した温度を実現する場合がよ図212. 水晶発振器/リファレンス・オーブンのコントローラくあります。ヒータへの電力(電流および電圧)や温度のモニタリングがクローズドループ制御システムに必要です。LTC2991にはPWM出力があり、ヒータに対するクローズドループ制御が可能です。
広範囲
広範囲の電流値を測定するには、電流検出アンプのゲインを変更する必要があります。これにより、単一の検出抵抗値を使うことができます。別の方法として、検出抵抗の値を切り替えることもできます。どちらの方法も、広範囲の電流検出に使用できます。
2個のLTC6101で高/低の電流レンジ設定が可能(図213)
2つの値の検出抵抗を用いる2個の電流検出アンプを使用することが、広い範囲にわたり電流を検出するための簡単な方法です。この回路では、測定の感度と分解能は、小電流(1.2A未満)の場合、大電流の場合に比べて10倍大きくなります。コンパレータは最大10Aの大電流を検出すると、大電流回路に検出を切り替えます。
レンジ拡大のための動的なゲイン調整(図214)
ゲインを10、12.5、20、25、40、50に固定する代わりに、この回路では、2つのゲイン設定のどちらかを選択できます。NMOSFETスイッチを2つのゲイン設定端子(A2、A4)とグラウンドの間に置き、ゲート・ドライブの状態に応じてゲイン10またはゲイン50を選択します。これにより、1個の検出抵抗だけを使用して、これ以外の方法で可能な範囲よりも広い範囲の電流を測定できます。
2つのレンジにわたる0A~10A検出(図215)
2個の検出アンプを使用することで、広い電流範囲が高レンジと低レンジに分割でき、小電流時の精度を向上できます。値の異なる2個の検出抵抗を直列に接続して使用し、それぞれがLTC6103の片方のアンプでモニタされます。小電流レンジ(この例では1.2A未満)では、大きな検出抵抗値を使用して検出電圧を大きなものにします。このレンジを超える電流では大きな検出電圧が生成されるため、単一の検出アンプの入力差動電圧定格を超えてしまう可能性があります。コンパレータは大電流レンジを検出し、大きい方の検出抵抗を短絡します。これにより、大電流レンジの検出アンプのみが電圧を出力するようになります。
デュアル検出アンプには異なる検出抵抗とゲインが可能(図216)
LTC6104は単一の出力を備え、2個の異なる検出アンプと電流のやり取りを行います。異なるシャント検出抵抗が異なる電流レンジをモニタでき、同時に、ゲイン設定を通じてスケーリングし各方向に同じレンジの出力電流を供給できます。これは、充電電流のレンジがバッテリの負荷電流よりはるかに小さいようなバッテリ充電アプリケーションに最適です。