アナログ電子回路設計技術ノート

石井聡の回路設計WEBラボ

アナログ電子回路設計技術ノート

2020年12月7日公開

 

FDNR(Frequency Dependent Negative Resistor; 周波数依存性負性抵抗)型フィルタは高いQ値が必要なフィルタ回路など、特殊なケースで威力を発揮します。FDNR型フィルタは1/s変換(Bruton変換とも呼ばれます)という何だか謎の変換をして回路を構成します。1/s変換によりFDNRという謎の素子ができるのですが、この第1回目では、そのFDNR、そしてその元となるGIC(Generalized Impedance Converter)回路について、それらのしくみを考えてみます。3回のシリーズです。

2020年11月2日公開

 

CMOS信号伝送回路は当たり前のように設計しているものです。私も駆け出しのころから、デジタル・システムのプリント基板設計を当たり前のように「5Vを送り5Vで受けるデジタル回路」として設計していました。

しかしこれが多層基板になってくると、パターンがマイクロストリップ・ライン的になり、「設計してきた4層基板のパターンは、特性インピーダンスはどれほどなのか?」、そして「ミスマッチによる多重反射が、なぜ現実のCMOS信号伝送回路では生じないのか?」と疑問が増大するのでした。 今回の技術ノートではこの疑問にぶつかってみたいと思います。最後に人生の生き方の小ネタもつけておきました(笑)。

2020年10月5日公開

 

前回は高速OPアンプLTC6252に負荷容量を接続したとき、位相遅れ増大により動作が不安定になる状態を考えました。そしてこのとき、二つの帰還抵抗の大きさが近接していると、形成される位相最大進み量が思いのほか小さいことが分かりました。これにより回路の増幅率が低いとき、進み位相補償が効かなくなります。

今回は、OPアンプ入力に存在する寄生入力容量により位相遅れが増大しているとき、これを進み位相補償が補償する場合のうごきについて考えてみたいと思います。前回の「回路の増幅率を低下させると進み位相補償が効かなくなる」ということが、入力容量を補償する場合も同じとなるのかを探究してみます。 そして今回も本題とは全く無関係な、私的物語「Jリーグ・ネタ」付きです…。

2020年9月7日公開

 

進み位相補償はOPアンプ増幅回路の安定性を高める方法として、よく用いられるものではないでしょうか。私も初級から卒業するころ、「どんな条件でも進み位相補償が効くはずだ」と思いつつ実際にOPアンプで実験すると、自分の想いと回路の動きが異なっていた経験があります。

今回と次回はその限界と理由について考察してみたいと思います。なおその今回は、「広島に行って驚いたこと」という、本題とは全く無関係な私的物語からスタートしています…。

2020年8月3日公開

 

今回はだいぶ違う切り口で、「Excel使い」に挑戦(?)してみたいと思います。目的は、製造現場で製品(機器)ごとのばらつき誤差を得てから、高次数補正関数(誤差補正多項式)を計算し、その係数を当該製品(機器)に書き込むことで、その製品の動作を補正する(精度を向上させる)というものです。

この技術ノートでは「Excel使ってどうやって誤差補正多項式を算出するか」という「やり方」をご紹介します。数学チックな理論ネタではございません…。しかしExcel恐るべし!です…。

2020年7月6日公開

 

前回はフォトダイオード・アンプの周波数特性を決める支配的要因がフォトダイオード自体の接合容量だと説明し、帰還抵抗とで形成される時定数により、ループ・ゲインが-12dB/Octで低下を始め、より高速なOPアンプに変えても、思ったように周波数特性が伸びないことを説明しました。

今回はもう少しこのようすを見ていき、周波数特性の改善方法を考えていきます。併せて「フェルミ推定」などというものをご紹介し、私が普段感じている「マーフィーの法則」との確率論的推論?も「酔」ネタとして触れてみます。

2020年6月8日公開

 

フォトダイオード・アンプ(電流電圧変換)回路は、簡単そうでとても奥の深い回路です。最初にひっかかるところが、周波数特性ではないでしょうか。 実験とかシミュレーションしていただくと分かるのですが、周波数特性を伸ばそうと、高速OPアンプに変更しても、思ったほど特性が改善しないのです。

今回はその周波数特性の考え方について、前回までの技術ノートで示したブロック線図の考え方を活用して、解きほどいていきたいと思います。

2020年5月12日公開

 

前回はOPアンプDCサーボ回路を考えていくうえで、まず非反転増幅回路のブロック線図からスタートし、反転増幅回路のブロック線図から反転構成DCサーボ回路を考え、周波数特性を求めるところまで説明しました。

今回は非反転構成DCサーボ回路の周波数特性をブロック線図から考えてみたいと思います。こちらのほうが難易度が高く、検討しがいがあるものなのです。 また最後にLinear Time-Invariantという家庭内ストーリーから展開していく、タワーマンションのネタ(技術的には全く意味がありませんが…汗)もご紹介しています。

2020年4月6日公開

 

物事は学んでいけばいくほど、次の課題やら疑問が生じます。今回と次回では、書籍に紹介されていたOPアンプのオフセットを補正するDCサーボ回路について、その低域カットオフ周波数特性の導出という話題を、回路動作をブロック線図として考えてみます。ブロック線図の強力さを肌で感じられました。 実はこの話題は以降の技術ノート(TNJ-064, 065)の記事、電流電圧変換回路(IVアンプ)の周波数特性というネタにもつながっていくものなのでした…。

2020年3月3日公開

 

前回はOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex)…直交周波数分割多重を理解する前振りとして、IQ変復調の「直交」について説明しました。今回は本来の目的であるOFDM(これまたイメージがつかみづらい)について、ひきつづき「直交」という視点からLTspiceを使いつつ解きほどいていきたいと思います。複雑、難解に見えるこの変調方式も、「基本」の積み重ねで橋渡しされていることに気がつきます。

2020年2月3日公開

 

今回と次回は嗜好を(無線屋からすれば「指向性を」かも)変えて、LTspiceで無線通信ネタにチャレンジしてみます。ゴールは「OFDM信号をLTspiceで理解してみる」というところです。 今回の無線通信ネタ第1回目としては、現代の無線通信変調方式の主役であるPSK(Phase Shift Keying)の変調・復調プロセスをLTspiceで示し、つづいていまひとつ理解できないという人も多い、IQ変調・復調(IQ変復調)のしくみをLTspiceのシミュレーションを用いながら理解していきたいと思います。

2020年1月6日公開

 

前回までは電流帰還の簡易モデルを作ってきました。RHPZ(Right Half Plane Zero; 右半面ゼロ)を用いてAD811の特性をかなり模倣できるようになりました。今回は電流帰還OPアンプ探究シリーズの最終回として、低入力インピーダンスな反転入力に存在する入力抵抗の影響を深く見ていきます。この入力抵抗の影響が結構奥深いことを知ることができました。また電圧帰還OPアンプでは当たり前な、帰還抵抗に容量を接続して進み位相補償を形成することが、電流帰還OPアンプでは逆効果になってしまうことも見ていきます。 しかし、電流帰還…、奥深いです…(笑)!

2019年12月2日公開

 

前回の技術ノートでは電流帰還OPアンプAD811を用いたシミュレーションを行い、帰還抵抗により周波数特性にピーキングが出たり、周波数特性が低下したりすることを見てきました。これにより電流帰還OPアンプでは最適な帰還抵抗値が存在するということが分かりました。しかしそのピーキングのようすは、簡易モデルを使ってのシミュレーションでは得られるものではありませんでした。まだモデル化が不足していたわけです。 そこで今回の技術ノートでは簡易モデルを少し変更し(高度化し)、ピーキングが生じるようにしてみます。その中では「触ったら火傷をする」ともいえる(?)、右半面ゼロ(Right Half Plane Zero; RHPZ)なんというものも持ち出して簡易モデルを改良してみます。

2019年11月5日公開

 

前回の技術ノートでは、電流帰還OPアンプについてそのループ・ゲインをまず考え、ループ・ゲインが帰還抵抗に反比例していることを示しました。そして明確な理論検討ができるように、原理モデルを構築してみました。今回の技術ノートでは、電流帰還OPアンプの信号増幅率周波数特性について考えてみたいと思います。しかし「電流帰還」…、よくできています…。よく考えられているものです。「先達」というのはアタマ良いひとたちだなあと深く感じるところです。今回もその「先達」の業績を解き明かしていきましょう。

2019年10月7日公開

 

「電流帰還OPアンプは高速な用途に適している」という話しはよく聞くところと思いますが、詳細なしくみまで調べてみたとか、その動作解析をしてみたという機会は、意外と少ないのではないかと思います。そういう私も昔から「電流帰還OPアンプを技術的に深堀りしてみたい」と思っていました。最近、背中を押されることがあり、そのネタを考える機会を得ました。電圧帰還OPアンプとは全く異なるのだという驚きとともに探究できました。4回の連載で進めます。

2019年9月2日公開

 

前回の技術ノートでは帰還増幅回路のループ・ゲインの基本的測定方法をご説明し、ZOUT ZFBという関係になっていない系で誤差が生じるようだという課題(疑問)を提示いたしました。今回はこの課題を解決するMiddlebrook法を適用し、併せてその正当性などを検証してみます。江崎玲於奈博士とアイザック・ニュートンに関する、研究者・エンジニアの生き方なんて話題も添えてみました。

2019年8月5日公開

 

今回と次回の技術ノートでは、これまでこの回路設計Webラボでも何回かご紹介してきた、帰還増幅回路のループ・ゲインを測定する方法である「Middlebrook法 [1]」について、その本格的な活用方法を説明したいと思います。今回は基本的なループ・ゲインの測定方法をご紹介し、そのしくみを考察していき、そしてその限界がどのように生じるかを見ていきます。

2019年7月1日公開

 

今回は前回の技術ノートの理解と、怪しい(?)LTspiceテクニックをツールとして、実際のΣΔADCで用いられているsincフィルタについて解析していきたいと思います。ΣΔADCで用いられているフィルタ形状は、回路構成としては「平均化フィルタ」には見えないものなのですが、これがsincフィルタになる理由や、サンプリング定理から考えてちょっと不思議に思われる話題などを掘り下げてみたいと思います。

2019年6月3日公開

 

今回の技術ノートでは、ΣΔADCで使われているsincフィルタ(cardinal sine function filter)がどんなもので、そしてその周波数応答特性を、どうすればLTspiceを用いてシミュレーションできるのかについて検討をしてみます。あわせて今回編み出した怪しいLTspiceテクニック(?)もご紹介していきたいと思います。

2019年5月7日公開

 

長大アクティブ・フィルタ・シリーズの全体最終回です。今回はロー・ノイズな高次アクティブ・フィルタを実現するため、複数のOPアンプのアクティブ・フィルタ回路をカスケードに接続していくときに、Q値の異なるOPアンプ2次LPF回路をどの順番で接続していけばよいかを考えていきます。 Q値が大きくなってくると、信号ゲインのピークよりも、ノイズ・ゲインのピークのほうが上昇率が高くなることに注意が必要だからです。 これはローノイズ・アンプのカスケード接続と同じ考えでよいと思われるところですが、実はそれがなかなか思ったとおりにいかないという「出口なし」のストーリーでありました…。

2019年4月1日公開

 

ひとつ前の技術ノートでは、LTspiceを使って「アクティブLow Pass Filter(LPF)」のノイズ特性に関して、その基本的な考え方や特性自体について検討してみました。 今回の技術ノートでは、どうすればローノイズなアクティブLPFを実現できるかを考えていきます。ここまで見てきたサレン・キー型LPFと多重帰還型LPFのノイズ特性の違いを検討し、OPアンプを超ローノイズOPアンプ LT1128に変えてシミュレーション実験もしてみます。

2019年3月4日公開

 

とある日、とある方と、とあるメールのやりとりをしていました。その話題は「アクティブLow Pass Filter(LPF)のノイズ特性はどうなるんでしょうかね」というものでした。 フィルタは余計な信号を除去するものですが、フィルタすべきフィルタさんが、自分でノイズを出してはいけません…。そこでLTspiceを使ってそれぞれLPF形状ごとでのノイズ特性について考察してみたくなりました。まず今回の技術ノートでは、そのうちサレン・キー型LPFのノイズ特性を確認してみました。全3回シリーズで進めます。

2019年2月4日公開

 

アクティブ・フィルタ・シリーズの5回目です。フィルタ・シリーズとしてはあと4回続きます。この技術ノートでは、これまで示してきた「フィルタ特性を決定するには、パラメータ ω_0とQを求めればよい」という説明に対して、このパラメータとサレン・キー型LPFの素子定数がどのように関連しているかを考えてみます。その結果として、パラメータ ω_0とQから素子定数を決定できるまでを説明していきましょう。

2019年1月7日公開

 

アクティブ・フィルタ・シリーズの4回目です。アクティブ・フィルタの伝達関数に関する考察の最終回です。ここまでQ > 0.5の条件のとき極が複素数になり、それが複素数平面でベクトルとして表され、伝達関数の周波数特性に関係してくると説明してきました。ここまで分かったところで、今回の技術ノートでは、このベクトルがフィルタ特性としてどのように構成されているかについて、具体的にグラフで検討してみます。ここまでの説明の全てが確かにつながっていることに気がつかれると思います。

2018年12月3日公開

 

アクティブ・フィルタ・シリーズの3回目です。今回の技術ノートでは、Q > 0.5の条件のときの分母多項式をイコール・ゼロとした解、つまり極が複素数のとき、それを複素数平面で表すとどうなるかをより深く考察していきます。そしてそれが、「フィルタ特性として複素数平面でベクトルで考えられる」というあたりまでお話しします。次の技術ノートで、極とフィルタ特性がどのように関連づけられているかについて、さらに具体的に検討してみます。

2018年11月5日公開

 

前回からつづくアクティブ・フィルタに関する話題の2回目です。この2回目では、昔に学校で習ったとか、教科書で見た、実回路とは到底結びつきそうにもない、「システム(回路)の伝達関数多項式」…私も長らく実回路との関係が理解不可能だった…、というものに挑戦してみたいと思います。前回・今回の2冊の技術ノートの説明により「なるほど、多項式になるのだな」とご理解いただけるものかと思います。

2018年10月1日公開

 

今回からアクティブ・フィルタを複数回にわたって考えてみます。アクティブ・フィルタの考え方は「とても」奥が深いこと、またアナログ技術として興味をそそるものです。その1回目は「サレン・キー型LPFはRLC型2次LPFと等価」というお話しです。共振の鋭さQというパラメータで特性が決まってくること、また、サレン・キー型LPF伝達関数の分母多項式の根による「極」が、複素数平面上でどうなるかを見ていきます。

2018年9月3日公開

 

TNJ-042の続きとなります。TNJ-042では素子の接続を「足し算」で考えるには直列接続ならインピーダンスでそのまま、並列接続ならアドミッタンスで考えればよいと説明しました。今回の技術ノートではこの考え方をスミス・チャート上に発展させてみます。並列接続はスミス・チャートのアドミッタンス面上で表せばよいこと、それらを合成した「イミッタンス・チャート」で考えればすべて解決することを説明していきます。

2018年8月6日公開

 

2015年のアナログ技術セミナーでスミス・チャートの導入を簡単に説明しました。そのときのアンケートに「スミス・チャートによるマッチングについて、より詳細を聞きたい」というフィードバックが多数ありました。また「スミス・チャートは難解だ」と思われている方も多数いらっしゃるようなので、今回は「スミス・チャートとマッチング」についてお話をさせていただこうと思います(次のTNJ-043とで一連の説明となります)。

2018年7月2日公開

 

高周波、ハイスピード回路設計で必要な「マッチング」について考えてみたいと思います。マッチングはSパラメータやスミス・チャートと関連して説明されますが、「なんだか良く分からない」ということも多いと思います。そこで通常の回路計算からマッチングを見ていくと、どのように考えられるかという流れで説明したいと思います。

2018年6月4日公開

 

今回の技術ノートは、TNJ-039での「伝送線路」と「特性インピーダンス」の理解を基礎として、ネットを騒がせている(?)「電球が点灯する順番」を、実際にツイストペア・ケーブルを使って実験検証してみます。この実験は「戯れ」ではありません。ハイスピード信号伝送の根本原理を知るために重要なものです。また「位相速度」についても考えてみます。

2018年5月7日公開

 

近年では回路設計・仕様がどんどんハイスピード化しており、Black Magicとされてきた高周波回路に関する回路設計技法が、どんどん一般的な電子回路設計にも活用されてきています。

今回の技術ノートでは、Black Magicのうち「伝送線路」と「特性インピーダンス」について考えていきます。ちなみにBlack Magicなどと呼ばれてはいますが、結局は「別にMagicなんてモノではない」のだと気がつきます。

2018年4月3日公開

 

今回は趣向を変えて、どのようにすれば分かり易い日本語表現が可能かということを、データシートの翻訳と校正を例として、その経験から編み出したテクニックをご説明いたします。

ご説明するのは、たった三つのノウハウ(翻訳ネタのほう)です。この技術ノート(「技術」か…?)が、皆様の日々の文章作成、それも「伝わり易い文章」作成のための一助にでもなれば幸いです。

2018年3月2日公開

 

ひとつ前の技術ノートTNJ-036では、ディファレンス・アンプ回路における電圧源抵抗によるCMRR劣化と、それをブレークスルーする「計装アンプ」というお話しをしました。

この技術ノートもCMRR劣化についてですが、ディファレンス・アンプ回路や計装アンプ回路での寄生容量がCMRR劣化に与える影響度を周波数特性としてみていきます。「結構シビアなんだな」とお感じになると思います。

2018年2月5日公開

 

ひとつ前の技術ノートTNJ-035では「重ね合わせの理」から始まり、それをディファレンス・アンプにどのように適用していくかというお話をしてきました。

今回はそのディファレンス・アンプを現場視点でより深くみていき、ディファレンス・アンプの使い方、そしてその限界、さらにその限界をブレークスルーする「計装アンプ」というストーリーで進めていこうと思います。

2018年1月9日公開

 

今回の技術ノートは回路の基本に戻って、「重ね合わせの理(Superposition Theorem)」という基本的な定理を、OPアンプ回路でどのように活用するかという視点で進めていこうと思います。 この重ね合わせの理を使うと、直流レベルオフセット量の計算が正確にできますし、また本稿でお話するような「ディファレンス・アンプ(Difference Amp; 差電圧アンプ)」の動作を適切に理解し、解析できるようになります。

2017年12月5日公開

 

前編TNJ-032では現実世界の正弦波と、複素信号との理論的関係を考えていきました。

中編TNJ-033では前編での考察をもとに、現実の回路で複素信号が活用されるアナログ方式の「イメージ除去ミキシング」をご紹介しました。

今回の「後編」では、高速ADCのデータシートの中で見つけたDigital Down Convertでの複素信号表現と、その理論的な考え方をご紹介していきたいと思います。

2017年11月6日公開

 

一つ前の前編TNJ-032では、複素信号がナニモノか、またオイラーの公式を考えていきながら、回路理論での計算における現実世界の正弦波と、複素信号との関係を示していきました。

今回と次回の技術ノート「後編」では前編での考察をもとに、現実の回路で複素信号がどのように用いられ、表されているかを考えてみたいと思います。まずこの中編では、イメージ除去ミキシングという方法についてご紹介します。

2017年10月2日公開

 

分かっている人には「アタリマエ」、分からない人には「一体なに?」という、不思議な「ejωt」。その分かっている人が「アタリマエ」として使っている/思われていたとしても、「一体、ejωtは現実世界ではどのように考えればいいのか」と、数回「なぜなぜ」を繰り返せば、どこかで答えられなくなるのではないでしょうか。今回はそんな「ejωt」を探求してみたいと思います。

2017年9月5日公開

 

私が以前作ったアナログ回路プリント基板は、LNA( Low Noise Amp)にAD8092、VGA(Variable Gain Amp)にAD603が用いられたものでした。この技術ノートではそこで発生した「不具合」のお話しと、それをどのようにトラブルシュートして修正を施したかという話題をご提供します。低周波回路であったにもかかわらず、高周波回路で良く遭遇する「異常発振」が原因だったという、結構おどろくような話しでありました。

2017年5月1日公開

 

これまでのふたつの技術ノート、TNJ-028(前編)ではトランスのM結合の測定方法の理論的な面と確認のシミュレーションについてご説明し、TNJ-029(中編)ではローコストLCメータのしくみと、その性能を調べたりノウハウや関連情報もご紹介してきました。この技術ノートではトランスのM結合の測定方法の理論的な面を、ローコストLCメータで実際に測って検証してみたという内容です。精巧に相互が合致したというお話しです。

2017年4月3日公開

 

ひとつまえの技術ノートTNJ-028 ではトランスのM結合の測定方法について、その理論的な面とそれを確認するためのシミュレーション結果をご説明しました。この中編では、TNJ-028で見てきた理論的な点を、私が購入したローコストLCメータで実際に測って検証するための「予備実験」という内容です。LCメータの購入の顛末、そしてそこで実現されている測定の原理や、関連情報もご紹介していきます。

2017年3月6日公開

 

トランスは最近、電源回路だけではなく、差動信号などでの広範な設計・応用もあります。しかしその考え方は意外と難しく、たとえば一次、二次の自己インダクタンスL1、L2、そして相互インダクタンスMはどうやって測ればよいでしょうか。この三部作の前編では、それらの理論的な側面を説明し、ADIsimPEを用いてシミュレーションでその測定方法を検証してみます。

2017年2月6日公開

 

回路を直流的に絶縁するアナログ・デバイセズの高速デジタル・アイソレータ「iCouplerADuM4402CRIZ (90Mbps品)の性能がどんなものか実験してみました。高速信号の測定方法も解説しています。またiCouplerは「トランス構造」ですが、同じ「トランス」でも日本一大きい、東京電力新榛名変電所の100万V実証試験設備もご紹介しています。

2017年1月10日公開

 

寒い朝、私個人のPCの電源を入れたら起動しません。そう、PCの電解コンデンサの故障なのでした。私も「電気屋のはしくれ」。自分で修理をしてみようと思いたち、また無駄な時間を消費してしまうことになるわけでした。この技術ノートでは、この「修理物語」のお話と、コンデンサの電気的特性について技術的に突っ込んだ話題をご紹介してみたいと思います。

2016年12月5日公開

 

「とあるプロジェクト」の仕込みを行うために、超高速PECL(Positive Emitter-Coupled Logic)出力のコンパレータ ADCMP553の特性を実験してみました。この技術ノートでは、高速な回路での性能の出し方や測定の方法、そしてコンパレータの原始回路である差動回路を用いて、レベル変換回路を実現してみた話題を説明していきたいと思います。

2016年11月7日公開

 

下記のTNJ-022, TNJ-023で「飛び込みや迷結合の問題」ということをお話させていただきましたが、その問題は主に「コモンモード(同相モード)の飛び込みや迷結合」が原因です。しかしコモンモードが余計な成分となってしまうコモンモード・ノイズのしくみは、なかなか理解できないところではないかと思います。この技術ノートでは、このことについて考えてみたいと思います。

2016年10月1日公開

 

CQ出版社から「すぐ使えるディジタル周波数シンセサイザ基板[DDS搭載]」という本を2012年9月に上梓しました。私はその執筆・開発プロジェクトの中で、主に94.5dBの減衰量をもつ30MHz広帯域アッテネータを担当しました。この後編では、試作基板の特性確認、最終形となる基板のCAD設計と評価、そして性能の最適化などの話題をご説明していきます。30MHzで-94.5dB、さて「高い周波数で高減衰」か、はたまた「チョロイ」か…。思いをはせながらご覧いただければと思います。

2016年9月5日公開

 

CQ出版社から「すぐ使えるディジタル周波数シンセサイザ基板[DDS搭載]」という本を2012年9月に上梓しました。私はその執筆・開発プロジェクトの中で、主に94.5dBの減衰量をもつ30MHz広帯域アッテネータを担当しました。この技術ノートでは、この94.5dBステップ・アッテネータ回路の実験・試作ネタ(エンジニア的にはこれを「遊び」という場合もあります)をご紹介します。この前編では、構想段階から、周波数特性の改善検討、試作基板を組み上げたあたりまでご説明します。と言っても、周波数特性の改善検討が「休むに似たり」だったことを、つづいて次の後編でご説明していきます。

2016年8月1日公開

 

異なる、でも似たような、ふたつのご質問「反転アンプで減衰型を構成した場合に、出力で得られるノイズ・レベルをどう考えるか?」、「差動アンプで減衰型を構成した場合に、得られる位相余裕をどう考えるか?」をいただきました。「減衰構成」とした場合に、G = 1の回路より「出力ノイズ量は低くなる」はずは無いと直感的に感じるものと思います。「位相余裕」はどうなるかについても、はたと行き詰ってしまうのではないでしょうか。この技術ノートではそのあたりを考えてみたいと思います。また関連した話題として、非反転増幅と反転増幅の周波数特性の違いについても考えてみます。

2016年7月4日公開

 

超高速DACのAD9789の評価ボードの基本動作とソフトウェアの使い方を理解するために、スペアナを接続して実験を行いました。本来のスペクトルがだ いたい得られたのですが、なぜか変な、小さいスプリアスがキャリアの近傍に出ています。外部からの混入だということは目星をつけられました。しかし「東京 タワーの近くとはいえ、FM東京の80.0MHzではないしねえ…」と、「これはなんだろう?」と考えていました。そしてそれが何の放送波かを見つけ出 し、そのスペクトルを測定し、それが観測された原因を考察してみました。

2016年6月6日公開

 

またアマチュア無線をやりたいと思っています。それも全てを自作で作って。そんな想いから「1kWのリニアアンプは送信電力以上にロスになる消費電力が大きいので、SSB(シングル・サイドバンド)変調送信時に電源回路からリニアアンプに加える電源電圧を、包絡線追従型にしたらどうか?そうすれば電力効率を改善できるのではないか」と考え始めたのが、この「B級増幅回路の電力効率を式で求めてみる」検討の始まりでした。

2016年4月28日公開

 

一般的に2次系帰還回路において、周波数特性と位相特性、そしてオーバーシュートは、相互に関係しているものとして、回路検討・回路評価に用いられます。果たしてこれは「位相余裕=オーバーシュート量」…「必ずそうなる」と言い切れるでしょうか。
この疑問について、いろいろ検討していった結果がこの技術ノートです。検討を終えて最後に考えなおしてみれば、「当たり前といえば当たり前。よく考えれば当然」な答えだったのですが…、それが意外と深い話なのでした。

2016年1月6日公開

 

「スイッチのチャタリングはアナログ的振る舞いなのか?」という疑問もあるかもしれませんが、アナログ・チックだろうという考えのもと、ここで話題としてみます。
この技術ノートでは、スイッチのチャタリング対策(「チャタ取り」とも呼ばれる)について、電子回路の超初級ネタではありますが、デジタル回路、マイコンによるソフトウェア、そしてCR回路によるもの、これら3種類を綴ってみたいと思います。

2015年12月1日公開

 

AD5611という10bit DACがあります。小型の6ピンのパッケージで「nanoDAC」と呼ばれていますが「プチDAC」という感じです。謎の一石二鳥をめざし(笑)、これをFPGAから駆動させてみます。技術ノートの後半では、そのRTLも公開しています。このDACを用いたΣΔ変調に関するアイディアもプチ紹介しています。

2015年11月2日公開

 

ADCやDACは実時間連続信号と離散信号(デジタル値)の間で変換動作がなされています。この技術ノートでは、それぞれの時間軸波形と周波数スペクトルとの関係について、理論的な考え方を説明していきます。考え方の基本は「畳み込み」というものです。あわせてADCのクロック・ジッタとSNR(Signal to Noise Ratio; SN比)の関係がどうなるのかと、DACのクロック・ジッタとSNRの関係がどうなるのか、こんな話題も考えてみたいと思います。

2015年10月2日公開

 

アナログ・デバイセズではナイキスト周波数を超えたところでもD/Aコンバータ(以下DAC)が十分な出力レベルを得られるようにするために、DAC出力をスイッチ(変調)する「MIX MODE」という機能を持つ製品があります。通常であればDAC出力は、サンプル周波数fs[Hz]で出力レベルがゼロとなるsinc関数特性になりますが、このMIX MODEでは、なんと!そこでレベルが最大になります。この技術ノートでは、この周波数特性のカーブがどんな成り立ちで出来上がっているか、数式的にどのように表されるのかを考えてみます。

2014年11月4日公開

 

SPICEシミュレーションで高速差動アンプが発振し、その理由が負性抵抗だったという話について説明します。群馬大学の(業界でも著名な!)遠坂客員教授がご指導されている同大学、山越研究室の学生さんが、ご研究に使用される予定の高速差動アンプ(Diff Amp)を試作していました。しかし「OPアンプ3個構成でシミュレーションで発振してしまうのだが…」というメールをいただきました。そのやりとりのようすを途中の解析などを含めて、ドキュメンタリータッチでご紹介させていただきたいと思います。

2014年10月10日公開

 

とあるところで、複数の遅延した信号同士が足し算されたようすをシミュレーションで示す必要性があったため、ADIsimPE(ADI simulator Personal Edition; 新しいアナログ・デバイセズのSPICEツール)でシミュレーションしてみた結果をご紹介します。「どうやって遅延した信号を作るか?」はSPICEの「伝送線路」(Transmission Line)というモデルで遅延信号の系を実現可能です。このニッチな(でも興味深い)話題をご紹介します。なおADIsimPEはSIMetrixベースなので、SIMetrixでも同じように実行できます。

2014年8月22日公開

 

アナログ・エンジニアが好んで使う「無垢基板」を使って回路を試作してみたようすを、加工方法なども含めてご紹介します。ここではこの無垢基板をベタ・グラウンドとして使用します。アナログ回路は「安定したグラウンド」が大切です。ワイヤを使ってグラウンドを手配線すると、どうしてもインダクタンスの問題が生じてしまいますので、このような形が良いといえます。周りにアナログ回路ご専門のエンジニアの方がいらっしゃらない方などにとっては、ご参考になろうかと思いましたのでご紹介します。また回路にはランダムビットを生成できるPRBS-16も実装しましたので、このRTL(VHDL)のコードも合わせてご紹介いたします。

2014年5月26日公開

 

超ローノイズOPアンプAD797を2個使って2段アンプを作ってみました。AD797は最新のアンプではありませんが、現在でも最高レベルのローノイズな特性を持っている高性能なOPアンプです。とはいえこの2段アンプ回路は、特に深く考えずに、適当に電卓ポンポンと計算して、適当に作った回路です。そこでこの回路の周波数特性とノイズ特性を実際に測定して、理論値とどれほどの差異があるかを検証してみたいと思います。またノイズ特性の実際の測定方法についてもご紹介します。

2014年2月17日公開

 

AD8021という「高速め」なOPアンプを使って、入力容量の非常に小さい2チャンネルの低入力容量アンプ回路をバラックで作ってみました。AD8021はアンプ自体の入力容量がかなり小さく、一方で電源電圧範囲が最大±12Vととても広い「稀有(けう)」なアンプです。このアンプ回路を試行錯誤のうえで(バイアス電流の見誤りとか…)、なんとか1pFの低容量実現までこぎつけたストーリをご紹介します。アナログ・デバイセズの低入力容量OPアンプ製品群も表で多数紹介しています。

2014年1月20日公開

 

FFTでは窓関数を用いることが一般的です。これについて「正弦波周期の途中でサンプリングが『窓関数なしに』打ち切られるとFFT結果がおかしくならないか?」というご質問をいただきました。この答えは「たしかに打ち切られるケースではスペクトルはおかしくなる」ということなのでした。とはいえこれを検討していく過程は、まさにデジタル信号処理理論の奥底をのぞきこむような興味深い話なのでした。

2014年1月6日公開

 

技術ノート TNJ-005 「ロー・ノイズOPアンプの性能をSPICEで最適化してみる」では、NI Multisim活用の応用編として、ロー・ノイズOPアンプAD797を用いたノイズ解析を説明してきました。実際問題として、設計する(ノイズ特性の最適化が必要な)回路に対して適切なOPアンプを選定する必要があります。OPアンプごとで電流性・電圧性ノイズのレベルが異なりますので、どのような用途にどのようなOPアンプが良いかを適切に選定しなくてはいけません。またアンプをカスケード(直列)に接続する際に、どのようなところに注意を払えばよいかも注意する必要があります。この技術ノートでは、そのあたりの話題を掘り下げてみたいと思います。また電圧性ノイズ、電流性ノイズの小さいアンプも表で紹介しています。

2013年12月4日公開

 

負荷条件に不安定領域のあるLDOを用いた電源回路設計では、バイパス・コンデンサにセラミック・コンデンサだけを用いた場合、不安定な動作に陥らないように注意が必要です。LDOが異常発振を引き起こしてしまうことがあるからです。とあるディスカッションの中で「LDOの不安定性を検討するうえで、抵抗とコンデンサを並直列変換して考えてみると…??」という話題がありました。このことをSPICEシミュレータ、NI Multisimで見ていきたいと思います。なお単にAC解析で解析するのではありません。NI Multisimに付属しているPost Processorという機能(この機能はかなり便利です!)を使って、解析していきたいと思います。

2013年11月1日公開

 

技術ノートTNJ-004では、ノイズ・フリーな理想アンプを用いて抵抗から発生するサーマル(熱・ジョンソン)ノイズについて考えてみました。この技術ノートでは、実際のロー・ノイズOPアンプ「AD797」を使ってSPICEシミュレーション上でノイズ特性の最適化をしてみます。ノイズ源が電圧性ノイズと電流性ノイズに分けられ、それがどのように出力にノイズとして現れるかをシミュレータを使って詳しく解説します。AD797は最新のデバイスではありませんが、今でもトップ・クラスのロー・ノイズ性能をもっているものです。当然、ここでの考え方は他のOPアンプにも応用できます。

2013年9月10日公開

 

なかなか理解が難しい、抵抗体から発生する「ホワイト・ノイズ」の回路上での振る舞いについて、基礎理論とNI Multisimでのシミュレーションについて、それぞれの関係を考えてみます。とくにSPICEシミュレーションでノイズ解析をどう行うかも理解できます。そしてそれがOPアンプなどと組み合わされたときの考え方の基礎を知ることができます。

2013年7月19日公開

 

「アンプのTwo Tone 3次歪はdB比で1対3で上昇していくが、さて5次歪みは一体どうなる?」これをNI Multisim Ver.10でシミュレーションで計算してみました(現バージョンではPro Editionで計算可能)。複雑かつ興味深いうごきをする5次歪みのようすを確認できたことをご紹介します。

2013年6月19日公開

 

OPアンプのループを開いたときの利得(オープンループ・ゲイン/開ループゲイン/一巡伝達関数などとも言います)のSPICEシミュレーションでの確認方法について、理論的な考え方も交えて説明します。理論的に示すため、OPアンプは理想モデルを使っています。この方法により、アンプの安定性の確認なども可能です。NI Multisim ADI Editionの機能のご紹介もしています。

2013年6月19日公開

 

低周波発振回路であるWienブリッジ発振器というものがあります。お遊びがてらWienブリッジ回路の製作と、いっぽう真面目に発振原理の解説を実験と理論計算を交えておこなってみました。発振の仕組みと発振が安定して継続する仕組みがご理解いただけるものと思います。なお「発振を安定させる」ものとしてランプを用いていますが、これが簡便かつ便利な一方で、かなりの曲者でありました…。