はじめに
私は技術者経験として、高周波(Radio Frequency; RF)回路の設計を長くやってきました。アナログ・デバイセズ株式会社入社後はあまり RF寄りの生活ではありませんでしたが、自分としては RF がいちばんの芸だと思っています。なお、それでも社内では RF 寄りの人間(エンジニア)として取り扱ってもらってはおります…。
その私はアナログ・デバイセズに入社後から、自分のラボ環境を整えようと測定器をだいぶオークションで購入してきました。結果的にまた幸運なことに、完全なるハズレ品は一個も掴みませんでした。それぞれ修理して直したりしましたが、元気に動いてくれています(最近はなかなか電源を入れる機会も少ないのですが)。
今回の WEB ラボは、そんな自身の世界、RF と測定器と、ものづくりの話題です。
トラジェネがほしい
図 1 のように回路の伝送特性を測定したいケースは多くあります。これはチューナブル・バンドパスフィルタ HMC890ALP5Eのデータシート Figure 8(Insertion Loss vs. Frequency)からの抜粋です。「アナログ・デバイセズ、こんな製品もあるのね!」と私も驚くものですが…。これは同図下のように系の入出力の伝達(伝送)特性を測定したものです。それこそ低周波であれば OP アンプの増幅率の周波数特性です。図 1 下では測定対象HMC890ALP5E を DUT(Device Under Test)と記載していますが、回路屋らしくカッチョよく表現するなら、この DUT という用語を使うのがよいでしょう(笑)。
私の手持ちの測定器としては、150MHz までの伝送特性(トランスミッション)を測定できる HP 3589A(図 2)はありますが、それから上の周波数は(TNJ-074 [1]でも紹介した)2.9GHz 対応のスペクトラム・アナライザ HP 8560E(以降、RF屋の言い方として「スペアナ」という用語を用います…笑)しかありません(図 3)。そのため 150MHz から上では伝送特性(トランスミッション)の測定ができないのです。
スペアナを利用して伝送特性を測定するために、トラッキング・ジェネレータ(以降、RF 屋の言い方として「トラジェネ」という用語を用います…笑^2)という付属装置があります。
トラジェネは図 4 のようにスペアナと接続して DUT の伝送特性を測定できます。トラジェネがスペアナの測定周波数に等しい周波数を出力し、それが DUT を通過した出力レベルを測定するしくみです。
最近は安くて良いネットアナが市販されている
とはいえ、こんなトラジェネを自作することなく、最近は低価格でかなり高性能なネットワーク・アナライザ(以降、RF 屋の言い方として「ネットアナ」という用語を用います…笑^3)が市販されていますので、今回ご紹介する、というか設計を検討してみるトラジェネなんぞ製作する必要もなく、それらのネットアナを購入すればよいわけです。たとえば業界やアマチュアの世界を席巻している、高橋 知宏 氏により開発されたNanoVNA(図 5。VNA は Vector Network Analyzer の意味)が、なんと 1 万円前後!と、コスト・パフォーマンスが超高く、最近のホットな話題ではないでしょうか。
スペアナとトラジェネでは伝送特性(S21 or S12)しか測定できません。ネットアナであれば S11や S22(反射係数)も測定できるわけですから、マッチング回路設計・測定などにも活用でき、応用範囲はトラジェネより圧倒的に広くなります。そのためここで説明するようなトラジェネをシコシコ自作することなく、「一か月千円貯金(笑)で、少し我慢すればネットアナ、買えちゃうじゃん」という結論に至るわけでした…。
そこに山があるから登ってみる
この論理展開からすれば「トラジェネなんて作る理由がないだろう」ということになってしまいますが、ここでは WEBラボのRF 回路設計ストーリーとして折角ですので取り上げてみたいと思います。
実は数年前では、アナログ・デバイセズの製品ラインナップでも、以下に説明していく「目的とする周波数」に対応できる製品がなかったのです。ここ数年で対応できる製品が出てきたことで可能になったのでありました。そこで折角なのでそれらの製品を用いながら、トラジェネ RF 回路設計プロセスを WEB ラボの記事としてご紹介したいと思います。それこそ「そこに山があるから登ってみる」という世界観(?)でしょうか…。
なお、もともと 8560E はトラジェネ内蔵のオプションも設定されていますが、そのスペアナは残念ながら(購入を画策していた当時は)入手できませんでした。また HP 85640A という外部に接続できるトラジェネがもともと用意されていますが、それも超大型かつ今でも売値が高く(とくに自室に置くにはサイズが問題です)、それを購入するわけにはいきません。まあ、やはり NanoVNA かと思うわけですが…。
まずは目的のトラジェネの周波数関係を考える
図 6 はスペアナ HP 8560E でトラジェネを構成する場合のトラジェネ自体のブロック図と周波数関係です。点線の部分がトラジェネのブロックです。
𝑓1𝑠tLOは、スペアナが周波数をスイープしながら観測を実現するために必要なローカル発振器(YIG Tuned Oscillator; YTO、YIGは Yttrium Iron Garnet)の出力から供給されるものです。3910.7MHz から 6810.7MHz の周波数をスイープします。これを測定対象ユニット(Device Under Test; DUT)に加える周波数0Hz から 2900MHz を、ミキサでステップ・ダウンして発生させます。
トラジェネのブロックでコアのデバイスは、ミキサと信号発生の PLL(Phase Locked Loop)です。
ミキサには𝑓1𝑠tLOの3910.7MHz~6810.7MHzと、𝑓1𝑠tLO以外に周波数ステップ・ダウンのため、別の高い固定周波数(3910.7MHz)を加えます。それぞれ周波数が意外と高く広帯域で、数年前ではこの帯域(3910.7MHz~6810.7MHz)の信号を目的に周波数までステップ・ダウンできる、つまりポート間の周波数関係を満足できる適切なミキサ製品はなかったのでした…。
またミキサに加える高い固定周波数信号を生成するための VCO内蔵 PLL IC も(VCO = Voltage Controlled Oscillator; 電圧制御発振器)、数年前には対応できるものがありませんでした。そしてさらに厄介な話しとして(以降にも示しますが)、分数型PLL/Fractional PLL を使う必要があるのでした…。技術の進展によりこの周波数を発生できる VCO内蔵 PLL製品(Fractional N PLL)が近年発売されてきています。
使用する IC を選定する
ということでトラジェネ製作に利用できる IC をまずは探してみましょう。
各 IC に必要なスペックは
ミキサ IC に最低限必要なスペックは
- RF IN の周波数 3910.7MHz~6810.7MHz
- LO IN の周波数(固定) 3910.7MHz
- IF OUT の周波数 0Hz~2900MHz
ここで LO とは無線業界用語で「局部発振 = Local Oscillation」を意味します。
また PLL IC で最低限必要なスペックは
- 3910.7MHzを発生できること(リファレンス周波数と整数関係が必要な整数型 PLL/Integer PLLは分周比率が大きくなるので、分数型 PLL/Fractional PLL の必要あり)
- リファレンス入力は 300MHzまで対応していること(これは必須ではないが)
PLL IC には Fractional N 型がよい
PLL IC の出力周波数は 3910.7MHz ということで、リファレンス入力 300MHz に対して、整数比となる周波数は 100kHz になります。これは PLL の分周比が 1/39,107 になり、PLL のサイドバンド位相ノイズ(SSB 位相ノイズと呼ばれるもの)が増加してしまいます。理由は[2]をご覧いただくとよいです。
ともあれ、このような大きな分周比を設定することなく、目的とする 3910.7MHz を発生させるためには、分数型 PLL/Fractional N 型 PLL を用いたほうが適切です。Fractional N 型 PLLは分周比を分数 = Fraction として設定できる PLLで、「分周比は整数でなくて良い」という魅力的な特徴を持っています。といってもこの分数分周動作で、フラクショナル・スプリアスというノイズが発生しますので、これを適切に取り扱っていく必要があります。
ネットでトラジェネ自作記事を探してみると[3]、その方が製作された時点では良好な Fractional PLL がなかったようで、またスペアナのスパン(表示周波数範囲)を変えるとスペアナ内部の周波数が変化する対策として、DDS(Direct Digital Synthesizer)を用いて PLL のリファレンス信号を作ったようです。涙ぐましいご苦労をされてトラジェネを作られたのだなと思いました。
300MHz のリファレンス周波数にこだわる訳は
「300MHz って、そんなにこだわる必要はないだろう」と思われる方もいらっしゃるかと思います。この理由はリファレンス周波数のソースを 8560E の CAL OUTPUT 端子(図 7)から取るからです。この出力が 300MHz であり、また 8560E 内部の基準周波数源と周波数同期していますから、結果的にトラジェネも8560E 内部の基準周波数源と周波数同期させることができます。
ミキサ IC の選定は
希望としては LO IN のドライブ・レベルが低いものがよいです。パッシブ型の DBM(Double Balanced Mixer)は、直線性はよいのですが、内蔵のダイオードをスイッチさせて乗算動作を実現するため、LO IN のドライブ・レベルが高めになります。そうするとそのレベルまで振幅を拡大できるLOドライバ・アンプを検討する必要が出てくるため、設計が厄介になります。
アナログ・デバイセズのホームページで使えそうな IC を探してみました。まずは DBM の HMC219B を見つけました。HMC219B をご紹介しておきましょう。
HMC219B 2.5 GHz ~ 7.0 GHz、GaAs MMIC 基本ミキサ https://www.analog.com/jp/HMC219B
【概要】
HMC219B は超小型の汎用ダブル・バランスド・ミキサで、露出パッドの付いた 8 ピン・プラスチック表面実装ミニ・スモール・アウトライン・パッケージ(MINI_SO_EP)を採用しています。このパッシブ・モノリシック・マイクロ波集積回路(MMIC)ミキサは、ガリウム・ヒ素(GaAs)金属半導体電界効果トランジスタ(MESFET)プロセスで製造されており、外付け部品やマッチング回路が不要です。このデバイスは、2.5 GHz ~ 7.0 GHz のアップコンバータ、ダウンコンバータ、2 相復調器、または位相コンパレータとして使用することができます。
HMC219B はバラン構造が最適化されているため、局部発振器(LO)と無線周波数(RF)および LO と中間周波数(IF)のアイソレーションが優れています。(後略)
HMC219B は図 8 のような周波数範囲で動作します。これは先に示した「ミキサ IC に最低限必要なスペック」の周波数スペックに「ドンピシャ」です。しかし LO IN のドライブ・レベルが+13dBm = 20mW と大きめです。PLL IC 出力から HMC291B を駆動させるためには、𝑉2 = 0.02W×50Ωから、V = 1 Vrms となり、ピーク・ツー・ピークで2.83Vp-p、負荷開放で考えるとさらに2倍の 5.66Vp-p が必要ですから、HMC219B をこのまま使うことには躊躇してしまいます。
そこでもう少し探してみると、LTC5562 というアクティブ・ミキサを見つけることができました。LTC5562 を紹介しておくと
LTC5562 LF–7GHz 広帯域低消費電力アクティブ・ミキサhttps://www.analog.com/jp/LTC5562
【概要】
LTC5562 は、広い入力帯域幅、低歪み、および低 LO リークが要求されるアプリケーションに対して最適化された多用途の低消費電力ミキサです。本ミキサは、アップコンバージョンとダウンコンバージョンの両方のアプリケーションで使用可能で、変換利得は公称値で 1dBです。差動入力は 1:1 の伝送線バランとともに使用した場合に合わせて最適化されており、入力は 30MHz~7GHz という広帯域で50Ωに整合されます。
LO は差動でもシングルエンドでも可能であり、優れた歪み性能とノイズ性能を発揮するために LO に必要な電力はわずか-1dBm です。LO 入力のインピーダンス整合はシャットダウン中も維持されます。本ミキサは LO リークが少ないので、LO 抑圧要求条件を満たすための出力フィルタリングの必要性を大幅に減らすことができます。
PLL IC の選定は
ミキサの LO IN に加える固定周波数は 3910.7MHz です。数年前はこの帯域の周波数を生成できる VCO 内蔵 PLL IC はありませんでした。技術の進歩により、ADF4356 のようなワンチップでこんな高い周波数にも対応できる製品がリリースされてきました。ADF4356 をご紹介しておきましょう。
ADF4356 6.8 GHz 広帯域シンセサイザ、VCO 内蔵 https://www.analog.com/jp/ADF4356
【概要】
ADF4356 は、外部のループ・フィルタと外部のリファレンス周波数を使うことによって、フラクショナル NまたはインテジャーN の PLL 周波数シンセサイザを実現することができます。他の周波数出力での一連の周波数分周器により 53.125 MHz ~ 6800 MHz の動作が可能です。
ADF4356 は、3400 MHz~6800 MHz の基本出力周波数をもつ VCO を内蔵しています。さらに、VCO 周波数は1/2/4/8/32/64 の分周回路に接続されているので、53.125 MHz までの低い RF 出力周波数を発生させることができます。アイソレーションを必要とするアプリケーション用として、RF 出力段をミュートさせる機能があります。このミュート機能は、ピンおよびソフトウェアの両方で制御できます。
これ以外にも ADF4355 という製品があります。機能的、ピン配置的にも、それぞれかなり似通った製品同士ですが、ADF4355は以下にも示すように、位相ノイズ性能は ADF4356 と比較して低めになっています。
周辺回路の検討
なお通常トラジェネは、出力レベルを可変できるアッテネータ(減衰器; Attenuator)が用意されていますが(図 6 にも ATT として示しました)、それはコネクタ出力に外付けとし、同軸アッテネータを縦続接続することで対応します。そのためこのトラジェネでは出力レベルの可変機能はナシということで考えていきます。
PLL の分周比と SSB 位相ノイズ
「PLLは 3910.7MHzを発生できればよい」というところですが、Integer N PLL(整数分周型 PLL)を用いて、位相比較周波数を100kHz とした場合を考えてみます。
PLLは図 9のように基準となる位相比較周波数𝑓𝑃FDと、出力周波数𝑓𝑂UTを N 分周器で 1/N した周波数とを、位相比較器で位相比較し、出力周波数𝑓𝑂UTを基準となる位相比較周波数𝑓𝑃FDのぴったり N 倍になるように制御するよう動作をします。これはまるで図 10 のように OP アンプ非反転増幅回路の入力信号が増幅率𝑁倍で出力に現れている(出力電圧を制御している)ことと同じ動作です。
位相比較器は Phase Frequency Detector; PFD とも呼ばれ、位相比較周波数𝑓PFDで動作する回路のことを指します。
このときは PLL 分周比 N = 39,107 となり、分周比は非常に大きくなります。PLL の分周比は図 11 のように、図 10 の OP アンプ非反転増幅回路の増幅率が大きいことと同じモデルになります。ということは、OP アンプの入力換算電圧性ノイズに相当するPLL の内部位相ノイズ(データシートには Normalized In-Band Phase Noise Floor と表記されています)も𝑁𝑁倍で出力に現れてしまいます。出力に現れる位相ノイズ密度は
ここでの単位は dBc/Hz です。𝑓𝑃FDは位相比較周波数、𝑁は PLLの N 分周器の分周比です。キャリア(carrier; 本来の信号)に対して、SSB位相ノイズの1Hzあたりの密度(dB値)として𝑃𝑁𝑆Y𝑆ガ得られることになります。SSB とはキャリア近傍の帯域のことで、キャリア傍の電力を考えましょうということです。これを「片側側波帯域」Single Side Band 略して SSB と呼びます。
ここで位相という用語が出てきましたが、ここで考えるノイズは、キャリアの位相変動によりキャリア近傍に現れるノイズです。そのため「位相ノイズ」という表現を用いています。
分周数を大きくしていくと
位相比較周波数を 100kHz とした場合、希望する出力周波数が3910.7MHz なので、さきに示したように分周比𝑁は N = 39,107 となります。これから𝑃𝑁𝑆Y𝑆は
実際に計算としてみると、-83.2dBc/Hz となり、だいぶ悪化することが分かります。さきに示したように同様な製品のADF4355 では、内部位相ノイズ(Normalized In-Band Phase Noise Floor)が低下しており、-221dBc/Hz(Fractional N PLL の場合)なので、上記と比較してもさらに 4dB 悪化することになります。
ここで使用する ADF4356 は Fractional N PLL なので、分周比𝑁を整数以外にも設定することができます。ADF4356 は位相比較周波数𝑓𝑃FDの最大が 125MHz なので、8560E の CAL OUTPUT(300MHz)をリファレンス周波数とし、それを 3 分周したものを位相比較周波数𝑓𝑃FD = 100MHzとして利用します。そうすると
となり、Fractional N モードで出力に現れる位相ノイズ密度は
から-113.2dBc/Hz が得られ、このままの単純計算では 30dB も改善することが分かります。
ADIsimPLL でやってみる
上記でみてみた SSB 位相ノイズのようすを実際に ADIsimPLL という PLL 特性計算ツールを使って確認してみましょう。
図 12 は位相比較周波数を 100kHz とした場合です。中心周波数からの離調(SSBオフセット)1kHzから 20MHzまでの帯域での積分位相ノイズは-33.12dBc(ここでは帯域で積分した位相ノイズなので dBc/Hz ではありません)です。SN 比として置き換えて考えても 33dB しか無いということです。
つづいて図 13 は位相比較周波数を 100MHz とした場合です。同じ条件での積分位相ノイズは-53.83dBc で、実質的に 20dBほど改善していることが分かります。
とか言ってもトラジェネ用なら SSB 位相ノイズはそれほど気にならないのでは?
ここまで位相ノイズについて検討してきましたが、トラジェネ用として考えるなら、SSB 位相ノイズはそれほど問題にならないのではないかとも思いました。実際はどうでしょう。
広帯域なアンプの周波数特性を測定するくらいであれば、このSSB 位相ノイズは測定結果として見えてくるものではありません。測定帯域が広いために、スペアナの分解能帯域幅 Resolution Bandwidth; RBW が広い設定で測定され、また DUT であるアンプの周波数特性の変化も緩慢であることから、SSB 位相ノイズが大きくても測定結果には顕著に表れてきません。
その一方でクリスタル・フィルタなど、数 kHz の狭帯域で特性が大きく変化する DUTも存在します。このような場合は SSB ノイズの広がりがそのまま測定結果を「広がらせた」形として影響を与えてしまいます。この考察からしても、SSB ノイズの低い PLL IC の出力信号であるほうがよさそうです。
電源はどうしよう
現代のこのような電子工作設計を考えると、やはり USB Powered が好まれます。USB ハブでバス・パワー動作を考え、5V で 100mA max を目安としてみます。100mA で NG なら USB AC アダプタ利用で 500mA としてみます。
まず LTC5562 は 3.3V 動作で 40mA typ です。ADF4356 はアナログ系、デジタル系が 3.3V で、チャージ・ポンプ(位相誤差パルス電流生成回路)が 5V となっています。
ADF4356 の消費電流はアナログ、デジタル込み込みで 82mA typです。すくなくともこの時点で USB ハブでのバス・パワー動作の望みは消え去りそうです(笑)。まあ、1.5 倍くらいのオーバであれば USB ハブさんも目をつぶってくれるかもしれませんが(笑)。
でも実際にはミキサ LTC5562 出力に、以降の技術ノートにも示すように出力アンプが必要なので、結局は 100mA をゆうに超過しそうな電流量になりそうです…。この出力アンプの考え方は次々回に示します。
結局は USB AC アダプタ利用で 500mA コースでしょうか…。
ところで 5V 電源が必要なチャージ・ポンプは、PLL での VCOの位相制御動作で誤差電流を生成する回路ですから、この電源が一番電源ノイズに注意をすべきところになります。しかしここが 5V で、USB Power を直接入れる必要があることとなり、それこそこの経路は十分に注意して設計が必要です。
とりあえず今回はここまでで
なんだかんだ書き始めてみると、あっという間にノートのページ数が増加していってしまいます!とりあえず今回はこの辺にして、次回の技術ノートに持ち越ししたいと思います。
次回以降は IC 間でどのように高周波かつ広帯域信号を受け渡しするかを検討してみます。広帯域かつ周波数特性をフラットに、また IC で必要十分な(一方でオーバ・ロードにならない)信号レベル配分をすることは、RF 回路設計で非常に重要なポイントなのです。そのあたりを実際に設計ストーリーとしてまとめてみます。
ヤ◎オクでの出品者の誠実さに心温まる想いを
最近も、(測定器ではなく)とある用途のエンジン系のものをオークションで購入しました。何モノなのかとかブツ自体は、キーワードや写真のご紹介はできませんが…(汗)。
オークション・サイトでの写真を見て「汚いかな?」と思っていましたが、キャブレターのオーバ・ホール済とのことで、それほど高くない即決価格で落としました。到着してビックリでした。
30 年くらいの年季の入ったものだったのですが、ネットでサーチすると「劣化してボロボロになっている」と注意喚起があったエア・フィルタまで新品に変えてくれてあったのでした!「自分で交換するか!」と思っていましたが、あまりのうれしさに、普段のオークションのやりとりではすることのない、お礼のメールをお送りしました。
オークションではハズレを掴ませられることもありますが、この取引は本当に、出品者様の誠実さに、心温まる想いをいたしました。