デジタル電源技術による節電

アナログ・デバイセズ、パワーマネジメント・グループ
   James Xie  (アプリケーション・エンジニア)
   Jason Duan  (アプリケーション・エンジニア)
   Jerry Zhai  (グレーター・チャイナ地域事業部長)共著

ECNmag.com Network Sit掲載記事 2010年10月27日掲載

概要:この記事では、デジタル電源技術とその技術が節電に及ぼす影響について考察します。デジタル電源技術は、その優れた柔軟性、高度なリアルタイム制御アルゴリズム、アナログ制御方式と比べインテリジェントな動作によって、負荷が大きい場合も小さい場合も簡単に電力を節約することができます。この記事では、入力電圧に合ったスイッチング周波数制御、アダプティブ・デッドタイム制御、軽負荷モードと超軽負荷モード、インターリーブ制御、コールド冗長性という節電技術について説明します。動作分析と実験結果も示します。急速に発展しているデジタル制御技術を考えると、デジタル電源ソリューションは将来の節電においてますます重要な役割を担うものといえるでしょう。


はじめに



エネルギーの節約はなぜ重要なのでしょうか?節電によって二酸化炭素の排出量を低減し、環境を改善するとともに、グリーンなライフスタイルを促進し、さらに熱を除去するために空調が必要な場合など、電気料金の負担が大きいアプリケーションのコストを低減することができます。 この記事では、デジタル電源技術によるスイッチ・モード電源の節電方法をご紹介します。


入力電圧に合わせたスイッチング周波数制御



スイッチ・モード電源における電力損失の主な要因としては、スイッチング損失、磁気コア損失、銅損失、ゲート駆動損失、コンデンサESRのリップル電流などがあります。スイッチング周波数はこれらの損失に直接影響します。ここでは、全体的な性能を維持しながら、スイッチング周波数を最適化することによって電力損失を抑える方法を考えてみましょう。
フルブリッジ・トポロジーの場合、出力インダクタのピークtoピーク電流リップルを次のように表すことができます。


ここで、Vin は入力電圧、
   D はデューティサイクル
   n は巻数比
   Lo は出力インダクタンス
   fsw はスイッチング周波数

図1に、入力電圧 対 出力インダクタの電流リップルの例を示します。この図から、入力電圧と出力インダクタの電流の関係が非直線的であることがわかります。出力リップル仕様を満たすには、最大入力電圧時の∆Iが制限範囲内に収まるようにスイッチング周波数を高くする必要がありますが、このようにすると、ほとんどの入力電圧条件で最適な効率が得られません。
アルゴリズムでスイッチング周波数を変化させれば、低い入力電圧でもスイッチング周波数を低減することができます。この場合、電源の高効率を実現できるだけでなく、出力電流リップルも許容できるレベルになります。このアルゴリズムは、デジタル電源コントローラによって簡単に実現できます。



図1. 入力電圧 対 出力インダクタの電流リップル

図1. 汎入力電圧 対 出力インダクタの電流リップル
例:Vin=36~72V、Vout=12V、n=5:2、Lo=10μH、fsw=100kHz、理想的なモデル


アダプティブ・デッドタイム制御



効率を改善するには、適切なデッドタイムの設定が必要です。デッドタイムが長いと、ハード・スイッチングとボディ・ダイオードの大きい導通損失によって電力損失が増大します。また、デッドタイムが短くても、クロス導通によって電力損失が増大します。高効率を実現するには、デッドタイムの最適化が必要です。ただし、最適なデッドタイムの値は、全負荷か軽負荷か、高ライン電圧か低ライン電圧かなどの動作条件が異なれば、違ったものになります。



図2. アダプティブ・デッドタイム制御設定

図2. アダプティブ・デッドタイム制御設定

この問題を解決するために、アダプティブ・デッドタイム制御を行います。簡単な方法としては、さまざまな出力電流しきい値に基づいて複数のデッドタイムを設定することです。これらの設定をプログラムすれば、さまざまな負荷条件でデッドタイムを最適化することができます。図2に、負荷電流に対するデッドタイムの設定例を示します。


軽負荷モードと超軽負荷モード



負荷の全範囲で節電を行うために、スイッチング電源はさまざまなモード(ノーマル、軽負荷、超軽負荷など)に設定することができます。同期整流器の動作方式は、動作モードによって異なります。

電源の負荷が中程度もしくは大きい条件で動作すると、ノーマル・モードになります。同期整流器は、フルブリッジPWM(パルス幅変調)チャンネルと相補的な関係になります。一般に負荷が全負荷の20~30%まで低下すると、軽負荷モードになります。このモードでは、同期整流器は機能しますが、フルブリッジPWMチャンネルと同位相になります。負荷が非常に軽いときには、超軽負荷モードが可能です。このモードでは、同期整流器が無効になります。

デジタル電源コントローラにさまざまな軽負荷/超軽負荷しきい値を設定するには、負荷電流情報を使用します。図3に、ノーマル、軽負荷、超軽負荷モードの動作を示します。

図3.ノーマル、軽負荷、超軽負荷の各モードの動作

図3.ノーマル、軽負荷、超軽負荷の各モードの動作


インターリーブ制御



インターリーブ技術によって、回路の効率を高め、出力電流リップルを低減し、実効リップル周波数を増大し、出力フィルタのコンデンサの条件を低減することができます。また、インターリーブ方式によって、入力フィルタのインダクタとコンデンサの条件を大幅に低減することもできます。2つの位相を並列に動作させると全負荷時の導通損失が減少しますが、軽負荷時のスイッチング損失が増大します。1つの位相をオフにすると導通損失が増大しますが、スイッチング損失は減少するため、軽負荷時の効率が高くなります。出力電流を監視すれば、位相数をリアルタイムに最適化することができます。ユーザは位相遮断の負荷電流しきい値を変更することができます。 二相システムの場合、コントローラによって位相をインターリーブし、電流を平衡化し、位相を追加したり遮断したりする必要があります。デジタル制御技術を利用すれば、これらの機能をコントローラに簡単に実現できます。図4は、位相遮断制御を使用することによって軽負荷時の効率を改善する実験の結果を示しています。

図4. 位相遮断時の効率の測定値

図4. 位相遮断時の効率の測定値


冗長電源



アイドル・モードなどの低消費電力時にシステムのエネルギー効率を改善し、節電を行うには、冗長機能を利用します[2]。冗長性モードでは、制御回路が節電のために必要な電源モジュールのみをオンにします。その他の電源モジュールは、スタンバイ状態でオフになります。負荷が大きくなるか、オンになっている電源で故障状態が生じると、冗長電源がオンになります。
冗長機能を行うには、スイッチング電源コントローラによってシステムを監視し、さまざまな状況下で電源を制御する必要があります(図5)。たとえば、デジタル・コントローラは負荷や故障状態を検出し、異なるソフト・スタート・タイミングでスタンバイ電源をオンにします。アナログ方式と異なり、柔軟な方法が利用できるデジタル電源技術の場合は、冗長性というインテリジェントな制御が可能です。

図5. 冗長性動作

図5. 冗長性動作


結論



この記事では、入力電圧に合わせたスイッチング周波数制御、インターリーブ制御、軽負荷モードと超軽負荷モード、位相遮断、冗長性について説明しました。これらの機能はGUIにより簡単に設定調整が可能になっています。デジタル電源技術は、節電のために技術上および経済上大きなメリットを提供します。


参考文献
[1]. Viktor Vogman、「Cold redundancy – a new power supply technology for reducing system energy」、 Intel Development Forum、IDF2009
[2]. アナログ・デバイセズ、「ADP1043Aデータシート(rev 0)」、2009年10月
[3]. アナログ・デバイセズ、「ADP1053予備データシート」、2010年8月

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