概要
設計リソース
設計/統合ファイル
- Schematic
- Bill of Materials
- Gerber Files
- Allegro Files
- Assembly Drawing
評価用ボード
型番に"Z"が付いているものは、RoHS対応製品です。 本回路の評価には以下の評価用ボードが必要です。
- EVAL-CN0407-SDPZ ($1470.07) Pico-Ammeter Test System
- EVAL-SDP-CS1Z ($57.67) Eval Control Board
デバイス・ドライバ
コンポーネントのデジタル・インターフェースとを介して通信するために使用されるCコードやFPGAコードなどのソフトウェアです。
AD7173 GitHub Linux Driver Source Code
機能と利点
- フェムトアンペア・レベルの測定
- 電位計グレードの入力アンプ
- 最大入力バイアス電流: 20 fA(85 ℃)
- 24 ビットのシグマ・デルタ ADC
製品カテゴリ
マーケット & テクノロジー
使用されている製品
参考資料
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CN0407: 超高感度フェムトアンペア計測プラットフォーム2017/04/24PDF1 M
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AnalogDevices-F042024/12/12
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Valeria2024/12/12
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sample_iTunes2024/12/12
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FET入力のオペアンプの電流ノイズ2020/02/01
回路機能とその特長
図 1 のシステム機能図は、フェムトアンペア範囲までの微小電流を計測するための高精度アナログ・フロント・エンドです。業界最先端のこのソリューションは、フォトダイオード、光電子増倍管、ファラデー・カップなどのシグナル・コンディショニング電流出力センサー用に超高感度のアナログ・フロント・エンドが必要とされる化学分析装置や研究室用の計測機器に最適です。このソリューションの応用分野としては、質量分析、クロマトグラフィー、電量分析などがあります。
EVAL-CN0407-SDPZ は、低リークのメザニン・ボードとデータ・アクイジション・ボードにシステムを分割することにより、実際のアプリケーションのリファレンス設計とすることができます。入力信号コンディショニングは、メザニン・ボード上の ADA4530-1 によって行います。ADA4530-1 は電位計グレードのアンプで、バイアス電流値は85 ℃ において最大 20 fA ときわめて微小です。また、入力ピンを絶縁してプリント回路基板(PCB)へのリーク電流を防ぐために、チップ内にガード・バッファを内蔵しています。デフォルトのアンプ構成はトランスインピーダンス・モードで、リーク電流がボードの高インピーダンス・パスに入り込むのを防ぐ ために、10 GΩ のガラス抵抗と金属シールドを使用しています。さらに、表面実装帰還抵抗や、その他の入力構成によるプロトタイピングが可能なように、メザニン・ボードには、抵抗およびコンデンサ用の空きパッドが設けられています。
データ・アクイジション・ボードでは、24 ビットの AD7172-2ΣΔ A/D コンバータ(ADC)と、9 V DC の単電源を使用します。このオンボード電源は、2 枚のボードに電源を供給するために必要なすべての電圧を生成します。ボードは SDP-S ボード(EVAL-SDP-CS1Z)を介して PC に接続し、デジタル絶縁を使用してUSB バスやグラウンド・ループからのノイズを防ぐことによって、低電流計測の性能が低下しないようにします。
回路説明
低リーク・メザニン・ボード
(EVAL-CN0407-1-SDPZ)
メザニン・ボード(EVAL-CN0407-1-SDPZ)は、リーク電流をできるだけ低く抑えるために、FR-4 と Rogers 4350B で構成されたハイブリッド積層板上に実装されています。この積層板は外側 2 層がセラミック(Rogers 4350B)で、内層が標準的なガラス・エポキシ(FR-4)で構成されています。Rogers 4350B 素材は、ガラスやエポキシ素材と比較して、湿気がある状態でも優れた絶縁抵抗を示します。また、この素材はリーク電流を最小限に抑え、誘電緩和時間もガラスやエポキシ製の誘電体より大幅に短くなっています。誘電緩和の詳細については、ADA4530-1 のデータシートを参照してください。
ボードの積層構造を図 2 に示します。敏感なパターンはすべて最上層に置かれており、ガード・パターン、ビア、プレーンに囲まれています。
ガラス抵抗使用のトランスインピーダンス・アンプ
メザニン・ボードの詳細回路図を図 3 に示します。図のADA4530-1 は、デフォルトで、10 GΩ のガラス抵抗を持つトランスインピーダンス・アンプ(TIA)として構成されています。この構成では、SMA コネクタのセンター・ピンと -IN パッドの間にソリッド・ワイヤがハンダ付けされています。SMA 入力コネクタのセンター・ピンとアウター・シールドの間には、PTFE 誘電体が埋め込まれています。コネクタはメザニン・カードの下面に取り付けられており、PTFE コアとセンター・ピンが上面に突き出しています。接続は、空中配線により、突き出したセンター・ピンとボード上面のパッドとの間で行われるので、重要な高インピーダンス・パターンはすべてボードの上面のみになります。したがって、ボードの下面側にシールドを施す必要はありません。上面側の金属シールドは、電磁干渉を防ぐためのものです。
デフォルトでは、メザニン・ボード上のコンポーネントは表 1に示すように構成されており、あらかじめ組み立て済みです。
Component | Value |
R1 | 0 Ω |
R2, R3, R4, R6 | Open |
R5 | 0 Ω |
Feedback Resistor | メイン・ボードのテフロン・サポートには 10 GΩのガラス抵抗が取り付けられています。そのリード線の中の 1 本(高インピーダンス・リード)はメザニン・ボード上のシングル・ピン・ソケット P2 に挿入され、他のリード線は、データ・アクイジション・ボードの J4(これは低インピーダンス・ノード)にハンダ付けされます。 |
10 GΩ の帰還抵抗を使用して出力電圧範囲を 4.96 V とすると、これに対応する入力電流範囲は ±496 pA になります。
SMT 抵抗使用のトランスインピーダンス・アンプ構成
ガラス抵抗によってリーク電流を低く抑える必要のないアプリケーションに備え、R2 用のパターンがマルチパッドで構成されており、0805、1206、1210、または 2510 サイズの SMT 抵抗を使用することができます。トランスインピーダンス・アンプ構成を図 4 に示します。
この構成では、メザニン・ボードの P2 からガラス抵抗リードを取りはずし、代わりに R2 の位置に必要な抵抗を使用します。この構成では、メザニン・ボードだけを覆う小さい金属シールド(個別に取り付け)を使用できるのでプロファイルが小さくなり、メザニン・ボードを取りはずして個別に評価するか、データ・アクイジション・ボードとは別のエンド・システムの一部として評価することができます。
高インピーダンス電圧出力センサーのバッファ構成
メザニン・ボードには、高インピーダンス電圧出力センサー用に、バッファまたは非反転アンプとしてアンプを構成するためのパッドもあります。電圧コンディショニング用にボードを構成するには、SMA コネクタの特定ピンと +IN パッドをソリッド・ワイヤで接続して、表 2 の設定を使用します。
Component | Value |
R1, R5, R6 | Open |
R2, R3 | Values for Desired Gain |
R4 | 0 Ω |
表 2 の設定では、SMA シールドはガード電圧に接続します。グラウンド・リファレンスを回路へ接続するには、ポークホーム・コネクタ J5(メザニン・ボードの下面側)を使用します。
図 5 に示すようにボードが電圧バッファ・モードで構成されている場合は、ADA4530-1 のコモンモード入力電圧範囲のために、出力がおよそ −4.96 V ~ +3.5 V の範囲に制限されます。アンプが 1 より大きいクローズドループ・ゲインで構成されている場合は、アンプ入力のコモンモード電圧範囲を維持するために、入力範囲を制限する必要があります。
データ・アクイジション・ボード
(EVAL-CN0407-2-SDPZ)
データ・アクイジション・ボード(EVAL-CN0407-2-SDPZ)には、パワー・マネージメント機能、デジタル絶縁機能、24 ビット ADC、高精度電圧リファレンスが含まれています。このボードは、メザニン・ボードに加えて SDP-S ボードにも接続でき、さらに SDP-S ボードは USB を介して PC に接続できます。データ・アクイジション・ボードの詳細な回路図とレイアウトは、CN-0407 デザイン・サポート・パッケージに収められています。このパッケージは www.analog.com/CN0407-DesignSupport から入手できます。
パワー・マネージメント
データ・アクイジション・ボードに含まれるパワー・マネージメント・セクションの簡略図を図 6 に示します。J1 バレル・コネクタに接続された 9 V DC 外部電源は、メザニン・ボード、ADC、デジタル絶縁セクションに電源を供給します。入力回路には、過電圧過渡および逆電圧に対する保護機能が組み込まれています。3 個の ADP7118 低ノイズ・リニア・レギュレータが、ADA4530-1 用の 5 V 電圧、AD7172-2 ADC 用の 2.5 V 電圧、およびデジタル入力/出力アラインおよびアイソレータ用の 3.3 V 電圧を生成します。SDP-S ボードは、ボードの絶縁セクション用電源を供給します。
オンボード LED は、電源がオンになっていること、およびシステムが正常に機能していることを示します。アプリケーションによっては敏感な光センサーが使われるので、評価ソフトウェアには、ボードがデータ・アクイジションを行っている間はDS1 をオフにするオプションが含まれています。
ADP2442 を中心に構成された反転降圧レギュレータは、DC 入力から約 -5.8 V の電圧を生成します。スイッチング・コントローラは、固定周波数モードで(強制 PWM)動作します。この場合は効率が低下しますが(パルス・スキッピング・モードと比較した場合)、1 MHz 付近では一定のスイッチング周波数が保たれるので、フィルタリングが容易になります。負電源使用時にシステム全体で消費する電流は 5 mA 未満なので、電源効率が低くても問題はありません。
反転降圧レギュレータの出力は 2 個の ADP7182 負電圧リニア・レギュレータに電源を供給して、AD7172-2 用に −2.5 V、ADA4530-1 用に −5 V の電圧を生成します。
パワー・マネージメント回路を含むデータ・アクイジション・ボードの詳細な回路図とレイアウトは、CN-0407 デザイン・サポート・パッケージに収められています。このパッケージは、www.analog.com/CN0407-DesignSupport から入手できます。
ADC とリファレンス
メザニン・ボードの出力電圧範囲は最大 ±5V で、AD7172-2ADC の入力範囲は ±2.5 V です。10 kΩ/10 kΩ にマッチングされた抵抗分圧器は、メザニン・ボードの出力を 1/2 に減衰させます。ADC によるオフセット誤差を最小限に抑えるために、ADG1419 単極双投(SPDT)アナログ・スイッチが抵抗分圧器の入力をグラウンドに短絡して、ADC と抵抗分圧器によるオフセット誤差をソフトウェアが測定できるようにします。オフセット・キャンセレーションを有効にすると、ソフトウェアが測定値から測定オフセットを差し引きます。残りのオフセットはADA4530-1 の回路によるものだけです。
AD7172-2 の GPIO0 デジタル・ライン(EN_ADCOFFSETCAL)は、ADG1419 スイッチの位置を制御します。ソフトウェアはレジスタ GP_DATA0 への書込みを行い、その結果 GPIO0 の出力は 0 または 1 になります。出力は -2.5 V 基準なので、ADG1419のグラウンド・ピンはグラウンドではなく -2.5 V に接続します。
ADR4525 は、低ノイズの高精度リファレンスを ADC に提供します。ADC のフロント・エンドは ±2.5 V の電源を使用するので、ADR4525 の GND ピンも −2.5 V 電源に接続します。この接続により、AD7172-2 REF+ ピンと REF- ピンの間に2.5 V のリファレンス電圧が生成されます。
トリガ・インとトリガ・アウト
EVAL-CN0407-SDPZ ボードには、ボードと外部機器の接続を容易にするために、トリガ・イン制御とトリガ・アウト制御が含まれています。トリガ・イン信号とトリガ・アウト信号は、どちらも標準 TTL レベルを使用します。
ソフトウェアを通じてトリガ・インがイネーブルされると、システムは、トリガ・インの立上がりエッジを待ってからデータ・アクイジションを開始します。同様にトリガ・アウトがイネーブルされると、システムは、データ・アクイジションの開始時に立上がりエッジを出力します。
メザニン・ボードのクリーニングと取り扱い
メザニン・ボードの取り扱い時には必ずエッジを持ち、SHIELD1 シールド・アウトライン内の領域には絶対に手を触れないでください。
メザニン・ボード上のコンポーネントに修正を加える場合は、低リーク性能を維持するために、ボードを適切にクリーニングして、ハンダ・フラックス、塩分を含む湿気、埃、塵などの汚染物を取り除く必要があります。汚染物は、この製品のフェムトアンペア・レベルの計測性能を大幅に低下させます。
効果的なクリーニング手順は以下のとおりです。
- クリーンルーム等級のイソプロピル・アルコールを入れた超音波槽に 15 分間ボードを浸します。超音波クリーニングは、高周波の超音波を使用するのでクリーニング液にキャビテーションが発生します。このプロセスにより、ボード表面の汚染物や、手の届きにくいハンダ付け部品下の汚染物を取り除くことができます。以下のクリーニング手順には、未使用のイソプロピル・アルコールを使用する必要があります。
- ピンセットを使用して超音波槽からボードを取り出します。イソプロピル・アルコールでボードをすすいで洗い流し、残留汚染物を取り除きます。
- ボードにイソプロピル・アルコールを注いで、酸性ブラシで優しくこすります。U1 ピン、J1、ガード・リング、シールド・アウトライン内の領域を集中的にクリーニングしてください。
- イソプロピル・アルコールでボードをすすいで洗い流します。
- 最終洗浄として、イソプロピル・アルコールでボードの上面と下面を洗い流します。
- 圧縮乾燥空気を使用して、ボードを乾燥させます。U1 ピン、J1 への入力パターン、ガード・リング領域の周囲に空気を吹き付けます。J1 と U1 の下にも圧縮空気を吹き付けてください。
- ボードが完全に乾燥するように、125 ℃ のオーブンで 15分間加熱します。
- クリーニング後は、忘れずに金属シールドを取り付けてください。金属シールドは、保護されている領域への接触を防止する役割も果たします。
回路の評価とテスト
この回路には、EVAL-CN0407-SDPZ 評価用ボードと、SDP-S システム・デモンストレーション・プラットフォーム(EVALSDP-CS1Z)評価用ボードが使われています。
評価用ソフトウェアは SDP-S ボードと通信を行って、EVALCN0407-SDPZ からのデータをキャプチャします。
必要な装置
以下の装置が必要になります。
- USB ポート付き Windows® XP、Windows Vista(32 ビット)、または Windows 7(32 ビット)搭載 PC
- EVAL-CN0407-SDPZ 評価用ボード。低リーク・メザニン・ボード(EVAL-CN0407-1- SDPZ)とデータ・アクイジション・ボード(EVAL-CN0407-2-SDPZ)を含む。
- SDP-S ボード(EVAL-SDP-CS1Z)
- 9 V DC 電源または AC アダプタ
- EVAL-CN0407-SDPZ 評価用ソフトウェア。このソフトウェアは ftp://ftp.analog.com/pub/cftl/CN0407/ からダウンロードできます
以上に加えて、目的の信号をボードに接続する場合は、高品質の同軸ケーブルを使用することを推奨します。
テスト・セットアップの機能ブロック図
テスト・セットアップの機能ブロック図を図 7 に示します。
評価の開始にあたって
評価用ソフトウェアをダウンロードし(ftp://ftp.analog.com/pub/cftl/CN0407/)、setup.exe ファイルを実行してインストールします。
EVAL-CN0407-SDPZ ボードと SDP-S ボードを接続し、さらにUSB ケーブルを使って SDP-S ボードを PC に接続します。EVAL-CN0407-SDPZ ボードに 9 V DC 電源を接続して、ユーザー・インターフェースのインストーラ・ソフトウェアをロードします。このインストーラは、CN0407 Evaluation Software という名前で Program Files > Analog Devices 内に置かれています。USB 通信が確立された後は、SDP-S ボードを使い、EVALCN0407-SDPZ との間でシリアル・データの送受信と収集を行うことができます。
SDP-S ボードに関する詳細は、SDP-S のユーザ・ガイド(UG-291)を参照してください
AN-1373 アプリケーション・ノートには、低電流計測に関する詳細が記載されています。
評価用ソフトウェアの実行
評価用ソフトウェアの[Sampled Data]タブには、時間領域と周波数領域のデータが表示されます。また、[Configuration]タブでは、トリガリング、オフセット補正、ボード構成、手動構成などのパラメータを設定することができます。
[Configuration]タブ
図 8 に[Configuration]タブを示します。[Triggering]セクションには、トリガリング機能を示すグラフィックが表示されます。該当するチェックボックスを選択してトリガ・インまたはトリガ・アウトをイネーブルし、トリガ・イン信号およびトリガ・アウト信号から、ADC がデータ・アクイジションを開始する時点までの遅延を入力してください。ADC の入力オフセット電流と入力バイアス電流によるオフセット誤差を測定して除去するには、[Offset Cancellation]ボックスを選択します。
メザニン・カード上にあるアンプの構成のマッチングを行うには、[Board Configuration]([Amplifier Configuration & Calibration Parameters]セクション内)を設定します。アンプは、トランスインピーダンス・モードに構成されて出荷されるので、デフォルト設定は[Current Input]です。このモードでは、帰還抵抗を工場設定値と異なる値に変更できるように、帰還抵抗制御が表示されます。デフォルトでは 10 GΩ に設定されます。[Full Scale Input Range]の値は、入力を基準としたシステムのフルスケール入力を表わし、帰還抵抗値に基づいて計算されます。ただし、電圧バッファとして構成された時は、指定ゲインに基づいて計算されます。
オフセット補償に加えて、ゲインとオフセット値を指定することにより、手動でシステム補正を行うこともできます。デフォルトでは、[Offset Adjustment]が 0 に、[Gain Adjustment]が 1 に設定されます。評価用ソフトウェアに提供されたデータは、次の式に対応しています。
Output Measurement = (Raw Reading + Offset Adjustment) × Gain Adjustment
[Configuration]タブの[LED Configuration]セクションは、ボード上の LED を制御します。[General Purpose LED]をクリックすると、対応する LED である DS2(CN-0407 デザイン・サポート・パッケージの対応詳細回路図を参照 )がオンまたはオフになります。[General Purpose LED]をクリックすると、システムが評価用ソフトウェアと通信しているかどうかを即座に確認できます。さらに、[Turn off Board LEDs During Sampling]は、ADC によるデータ・アクイジション中に電源LED(DS1)と汎用 LED(DS2)をオフにします。フォトダイオードまたはその他の光センサーを使用する場合は、ボード上の LED をオフにすると、より正確な測定結果が得られます。
[Sampled Data]タブ
[Sample Rate]ドロップダウン・ボックスは、0.83 SPS ~867.3 SPS の範囲で ADC の出力データ・レートを選択します。
必要なサンプリング・レートを選択したら、アクイジション・バッファのサイズを秒数で選択します。この選択は、画面上に表示するデータとメモリ内に保持するデータの量を決定します。ボードからのデータの収集を開始するには、[Start Sampling]をクリックします。19.99 SPS 以下のデータ・レートでは、ローリング・ウィンドウのように表示が連続的に更新されます。19.99 SPS を超える出力データ・レートでは、チャートの更新レートはアクイジション・ウィンドウの時間と同じになります。画面下にあるステータス・バーには、次の更新までの残り時間がカウントダウン形式で表示されます。
[Continuous]アクイジションでは、システムは[Stop Sampling]がクリックされるまでデータ・アクイジションを続けます。[Single]アクイジションでは、[Buffer Size]で指定されたバッファ・サイズに達した時点でデータ・アクイジションが停止します。
[Start Sampling]ボタンの上には、信号の DC 値や標準偏差などの時間領域情報が、各種インジケータによって表示されます。DC 入力の測定時には、標準偏差は信号の RMS ノイズに等しくなります。
[Sampled Data]タブの下側セクションには、システムの周波数領域データが表示されます。右側にあるコントロールは、周波数領域チャートの構成を、パワー・スペクトラムまたはパワー・スペクトラム密度として設定します。また、ウィンドウ・タイプの設定、平均計算のイネーブル、実行する平均の回数設定などを行うこともできます。パワー・スペクトラム・プロットを表示する時は、Y 軸スケーリング・コントロールを使ってY 軸の単位(フルスケールの dB または線形単位)を設定します。
[Save Data To CSV File]をクリックすると、現在時間と周波数領域のチャートが 2 つのカンマ区切りファイルに保存されます。
システムのテスト
外部電源を接続して、評価用ソフトウェアを起動します。[Device Manager]ウィンドウにアナログ・デバイセズのシステム開発プラットフォーム・ドライバが表示されれば、ソフトウェアと EVAL-CN0407-SDPZ の通信が可能になります。USB通信が確立された後は、SDP-S ボードを使い、EVAL-CN0407-SDPZ との間でシリアル・データの送受信と収集を行うことができます。
システム・ノイズを測定する場合は、ボードにシールドが取り付けられていることを確認します。入力 SMA コネクタには、何も接続しないでください。また、最大限の性能を得るには、アセンブリ全体を、グラウンドに電気的に接続された金属製ボックスの中に入れます。
[Configuration]タブの[Offset Cancellation]チェックボックスをオンにして、システムが 10 GΩの抵抗で[Current Input]として構成されていることを確認します。さらに[Sampled Data]タブで、ドロップダウン・ボックスから希望のサンプリング・レートを選択し[Start Sampling]をクリックします。10GΩ 抵抗の熱ノイズはシステム・ノイズを支配する可能性があるので、最大限の性能を得るには、受入れ可能な最小限のサンプリング・レートを選択します。例えば図 10 は、0.83 SPS で120 分間サンプリングした場合のシステム・ノイズを示しています。この場合の RMS ノイズは 1.4 fA で、DC 値は -150 aA です。
低リーク・メザニン・ボードとデータ・アクイジション・ボードを含む EVAL-CN0407-SDPZ の写真を図 11 と図 12 に示します。