概要

設計リソース

設計/統合ファイル

  • Schematic
  • Bill of Materials
  • Gerber Files
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  • Assembly Drawing
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評価用ボード

型番に"Z"が付いているものは、RoHS対応製品です。 本回路の評価には以下の評価用ボードが必要です。

  • EVAL-CFTL-6V-PWRZ ($20.01) Wall Power Supply for Eval Board
  • EVAL-CN0150A-SDPZ ($70.62) Software Calibrated, 1 MHz to 8 GHz, 70 dB RF Power Measurement System Using the AD8318 Logarithmic Detector
  • EVAL-SDP-CB1Z ($116.52) Eval Control Board SDP
在庫確認と購入

デバイス・ドライバ

コンポーネントのデジタル・インターフェースとを介して通信するために使用されるCコードやFPGAコードなどのソフトウェアです。

AD7887 - Microcontroller No-OS Driver

AD7887 IIO ADC GitHub Linux Driver Source Code

機能と利点

  • Software calibrated RF power measurement system
  • RMS, peak, and crest factor outputs
  • Functions from 1 MHz to 8 GHz

参考資料

  • すべてを表示 (6)
  • ユーザ・ガイド (1)
  • チュートリアル (3)
  • セミナー資料 (1)
  • リファレンス設計 (1)
  • セミナー資料

    回路機能とその特長

    この回路は、1 MHzから8 GHzまでのRF電力を、約60 dBの範囲で計測できます。シリアル・インターフェースと内蔵電圧リファレンスを搭載した12ビットA/Dコンバータ(ADC)により、デジタル・コードで計測結果を出力します。このRF検出器は出力をADCに直結することができ、特にレベル変換しなくても、ADC入力範囲にほぼ適合しています。簡単に2点補正をデジタル領域でおこない、キャリブレーションします。

    AD8318 は1 MHz~6 GHzの信号に対して、正確な対数特性を示し、8 GHzまで動作します。このデバイスの出力電圧の温度安定性は±0.5 dB(typ)です。

    ADCのAD7887は、制御レジスタによりデュアル・チャンネルまたはシングル・チャンネルのいずれかの動作を選択できます。デフォルトのシングル・チャンネル・モードでは、AD7887は読出し専用ADCとなり、制御ロジックを簡単化できます。

    ここでは、−40°C~+85°Cの温度範囲で動作する2つのデバイスの代表的な特性を示します。

    Software Calibrated RF Measurement System
    図 1. ソフトウェア・キャリブレーション方式のRF計測システム(簡略回路図:すべての接続が図示されているわけではありません)

    回路説明

    計測対象のRF信号をAD8318に入力します。デバイスは「計測モード」と呼ばれるモードに設定し、VSETピンとVOUTピンを互いに接続します。このモードでは、入力信号レベルに対する出力電圧はデシベル・リニア(−24 mV/dB typ)で、出力電圧範囲は0.5~2.1 V(typ)です。

    AD8318の出力は、12ビットADCのAD7887に直接接続します。このADCは内蔵リファレンスを使用し、0~2.5 V入力に設定されているため、610 µVが1LSBになります。RF検出器からは−24 mV/dBが出力されるので、分解能は39.3 LSB/dBに相当します。このように 十分な分解能が得られる場合は、RF検出器の出力の0.5~2.1 Vをレベル変換して、ADCの入力電圧範囲である0~2.5 Vに正確に合わせることは、あまり意味がありません。

    検出器の伝達関数は、次式で表すことができます。

    CN0150_image1

    ここで、SLOPEはmV/dB(−24 mV/dB typ)単位の係数、INTERCEPTはdBm単位によるX軸におけるインターセプト(20 dBm typ)、PINはdBm単位による入力電力です。検出器の入力電力と出力電圧の関係の代表例を図 2に示します。

    Typical Output Voltage vs. Input Signal Level
    図 2. AD8318の入力信号レベルと出力電圧の代表的な関係

     

    ADC出力は次式で表すことができます。

    CN0150_image2

    ここで、SLOPE_ADC はコード/dB単位、PIN INTERCEPT はdBm単位です。図 3は入力電力を変化させたときの、入力電力レベルから得られたAD変換値の代表例です。

    システムのスロープとインターセプトは、個体ごとに異なるため、システム・レベルでキャリブレーションが必要です。キャリブレーションを行うには、AD8318のリニアな入力範囲の両端に近いところで、おのおのの既知の信号レベルを入力し、AD変換値を計測します。2つのキャリブレーション・ポイントには、デバイスがリニアに動作する範囲内のポイントを選択してください(この場合は、−10 dBmと−50 dBm)。

    2つの既知の入力電力レベルPIN_1、PIN_2、それに対応するAD変換値CODE_1、CODE_2によって、次式を使ってSLOPE_ADCINTERCEPTを計算します。

    CN0150_image3

    SLOPE_ADCINTERCEPTを計算し、工場出荷時のキャリブレーション結果として(不揮発性RAMに)保存しておけば、現場で装置を使用するときに、それらのデータを使って、未知の入力電力レベルPINを計算することができます。PINの計算には次式を使用します。 

    CN0150_image4

    図 3~図 8では、システムの伝達関数が、この直線式から逸脱している領域、特に伝達関数の両端部分で偏差が大きいことを示しています。この偏差(dB単位)は次式で表すことができます。

    CN0150_image5

    ここで、

    CODE_OUTはAD変換値です。

    SLOPE_ADCは保存されたAD傾斜量(コード/dB単位)です。

    INTERCEPTは保存されたインターセプト値です。

    PIN_TRUEは実際の入力レベルです。

    図 3~図 8は、RF電力計測システムにAD8318およびAD7887BRを使用することによって得られる、システム性能の代表例を示しています。これらのグラフは、dBm単位のRF入力電力に対する、AD変換値をdB単位にした、出力誤差(右側の軸)を表しています。さまざまな入力電力レベル、周波数、温度条件、ADC電圧リファレンスが内蔵および外付けの条件、これらで得られたデータに基づいています。これらのグラフから、低ドリフトの外付けの電圧リファレンスを使用することで、システム性能が改善でき、温度ドリフトが低くなることがわかります(外付けリファレンス使用の詳細については、「バリエーション回路」を参照してください)。

    この回路ノートの設計支援パッケージについては、www.analog.com/CN0150-DesignSupportをご覧ください。

    Input = 900 MHz, ADC Using an Internal 2.5 V Reference
    図 3. 入力 = 900 MHz、2.5 V内蔵リファレンスを使用

     

    Input = 900 MHz, ADC Using an External 2.5 V Reference
    図 4. 入力 = 900 MHz、2.5 V外付けリファレンスを使用

     

    Input = 1.9 GHz, ADC Using an Internal 2.5 V Reference
    図 5. 入力 = 1.9 GHz、2.5 V内蔵リファレンスを使用

     

    Input = 1.9 GHz, ADC Using an External 2.5 V Reference
    図 6. 入力 = 1.9 GHz、2.5 V外付けリファレンスを使用

     

    Input = 2.2 GHz, ADC Using an Internal 2.5 V Reference
    図 7. 入力 = 2.2 GHz、2.5 V内蔵リファレンスを使用

     

    Input = 2.2 GHz, ADC Using External 2.5 V Reference
    図 8. 入力 = 2.2 GHz、2.5 V外付けリファレンスを使用

    バリエーション回路

    AD7887は、SPIインターフェースを備えた2チャンネルの12ビットADCです。このデバイスの第2の入力チャンネルを用いてAD8318のTEMPピンに接続できます。このように接続すると、AD8318の周囲温度を計測することができます。AD8318の電力測定出力と同様に、TEMP電圧出力もキャリブレート(校正)する必要があります

    実際の用途が1チャンネルしか必要としない場合は、12ビット AD7495が使用できます。複数のADCと複数のDACが必要な、マルチチャンネル・アプリケーションでは、AD7294が使用できます。このシステム化された製品は、4チャンネルの12ビットDAC出力を持っているほか、汎用かつ多目的なADCを4チャンネル、ハイサイド電流センスを2入力、3個の温度センサーも内蔵されています。電流と温度の測定値もデジタル変換され、I2C互換インターフェースから読み出すことができます。

    回路の温度安定性は、外付けADCリファレンスを使えば改善できます。AD7887の2.5 V内蔵リファレンスはドリフトが50 ppm/°Cであり、125°Cの温度範囲で約15 mVです。検出器のスロープが−24 mV/dBであるため、温度ドリフト誤差としては、ADCリファレンスのドリフトによる影響度は、約±0.3 dBになります。AD8318の温度ドリフトは、同様な温度範囲で約±0.5 dBです(これは周波数によって異なります。詳細については、AD8318のデータシートを参照してください)。

    外付け電圧リファレンスを使用する場合は、 ADR421の2.5 Vリファレンスを推奨します。温度ドリフトが1 ppm/°Cであるため、リファレンス電圧の変動は、−40°C~+85°Cの範囲でわずか312 µVです。これはシステム全体の温度安定性にほとんど影響しないレベルです。

    ダイナミック・レンジがもっと狭くてもよい場合は、ログ検出器 AD8317(55 dB)またはAD8319(45 dB)が使用できます。また、真のRMS値の電力測定が必要な場合は、AD8363(50 dB)またはADL5902(65 dB)が使用できます。

    回路の評価とテスト

    この回路では、EVAL-CN0150A-SDPZボードとEVAL-SDP-CB1Z システム・デモ用プラットフォーム(SDP)評価用ボードを使用します。この2つの基板は120ピンの嵌合(かんごう)コネクタを備えているため、セットアップと回路性能の評価が短時間で可能です。EVAL-CN0150A-SDPZボードには、前述したように、評価対象の回路も含まれています。SDP評価用ボードはCN0150A評価用ソフトウェアと一緒に使用し、EVAL-CN0150A-SDPZボードからのデータを取り込みます。


    必要な装置

    • USBポートとWindows® XP、Windows Vista®(32ビット)、またはWindows 7(32ビット)を搭載したPC
    • EVAL-CN0150A-SDPZ回路評価用ボード
    • EVAL-SDP-CB1Z SDP 評価用ボード
    • CN0150A 評価用ソフトウェア
    • 電源:6 Vまたは6 V ACアダプタ
    • 環境評価用恒温槽
    • RF信号源
    • SMAコネクタ付き同軸RFケーブル


    測定の準備

    CN0150A評価用ソフトウェアCDをPCのCDドライブに挿入し、評価用ソフトウェアをインストールします。「マイコンピュータ」から評価用ソフトウェアCDのあるドライブを参照し、readmeファイルを開きます。readmeファイルの指示に従って、評価用ソフトウェアをインストールして使用してください。


    機能ブロック図

    簡略回路図については、この回路ノートの図 1に、各回路図についてはEVAL-CN150A-SDPZ-SCH-Rev0.pdfファイルを参照してください。このファイルは設計支援パッケージに含まれています。


    セットアップ

    EVAL-CN0150A-SDPZ回路ボードの120ピン・コネクタをEVAL-SDP-CB1Z評価用(SDP)ボードの「CON A」コネクタに接続します。ナイロン製の固定用部品を使って2つの基板をしっかりと固定します。120ピン・コネクタの端部に固定用の穴があります。所定のRFケーブルを使って、EVAL-CN0150A-SDPZのSMA RF入力コネクタにRF信号源を接続します。電源スイッチをオフにして、6 V電源を基板上の +6VピンとGNDピンに接続します。6 VのACアダプタがある場合は、それを基板上のACアダプタ用ジャックに接続して、6V電源の代わりに使用することができます。SDPボードに付属しているUSBケーブルをPCのUSBポートに接続します。注:この時点では、USBケーブルは、SDPボードのミニUSBコネクタに、まだ接続しないようにしてください。


    テスト

    EVAL-CN0150A-SDPZ基板に接続された6 V電源(またはACアダプタ)をオンにします。評価用ソフトウェアを起動し、PCとSDPボードのUSBミニ・コネクタ間をUSBケーブルで接続します。

    USB通信が確立すれば、SDPボードを使ってEVAL-CN0150A-SDPZボードとシリアル・データで送信、受信、取込みができます。

    この回路ノート内のデータは、Rohde & Schwarz SMT-03 RF信号源とAgilent E3631A電源を使って測定しました。グラフに示した周波数に信号源を設定し、入力電力を段階的に上げていき、1 dB単位でデータを取得しました。

    温度テストでは、Test Equity Model 107環境評価用恒温槽を使用しました。EVAL-CN0150A-SDPZ評価用ボードは、恒温槽のドアのスロットから中に入れ、SDP評価用ボードは外に出したままの状態にしました。評価用ソフトウェアを使用してデータを取り込む方法については、CN0150A評価用ソフトウェアのreadmeファイルを参照してください。

    SDPボードについては、SDP User Guide(英語)を参照してください。