SIMOレギュレータ
Ultra-Low Quiescent Current in Less Space
またバッテリ管理(チャージャと残量表示)、ノイズに敏感なレールのためのLDO出力、制御された電源投入と切断のため基板に搭載されたシーケンサなどの機能が組み込まれ、低消費電力の携帯型機器の設計を更に簡素化します。12Cインターフェイスにより電源管理ICの完全なカスタマイズが可能であり、また電力を更に節約し電力プロファイルをカスタマイズできる動的電圧スケーリング(DVS)もサポートしています。
SIMOアーキテクチャ
SIMOアーキテクチャは、更に長いバッテリ寿命を必要とする小型機器に最適なソリューションを実現します。従来のスイッチング・レギュレータ構成では、それぞれのスイッチング・レギュレータが出力ごとに別のインダクタを必要とします。これらのインダクタは大きく高価なため、小型化には不利に働きます。リニア・レギュレータは高速、コンパクト、低ノイズですが、大きな損失が伴います。複数の低ドロップアウト・レギュレータ(LDO)とDC/DCコンバータとのハイブリッド設計は、LDOのみを使用する場合よりも大型化してしまいます。
SIMOアーキテクチャでは小型の機器の中で機能を統合することができ、複数の独立したコンポーネントを使用する必要がなくなります。必要なインダクタの数を削減しながらスイッチング・コンバータの効率を維持することのできるSIMOアーキテクチャは、より小型の超低消費電力の設計にとって理想に近いソリューションです。

SIMOの利点
SIMOアーキテクチャの利点
インダクタ飽和電流
インダクタ飽和電流(ISAT)とはインダクタンスが一定の比率以下に低下する電流値であり、インダクタのコアの材質と構造が同一の場合にはコアのサイズによって決まります。複数のインダクタを組み合わせることにより、必要なインダクタ全体のサイズを小さくすることが可能です。SIMOの利点には以下のものがあります。
- コストと設置面積を削減。
- 得られる成分値を定量化。
- 時分割多重化:いずれかのシステムがオンで他がオフの場合、これらのシステムの間でISATを「共有」することができます。
- 平均化:専用の時間枠が設定されていない場合であっても、電流使用のピークは多くの場合複数のタイミングで発生します。これによりISATに対する要求値が低下します。
電力散逸
アナログ・デバイセズのSIMOコンバータは設置面積と電力散逸の間のトレードオフを最適化します。これはDC/DCコンバータが持つ利点を、設置面積を単一DC/DCと組み込まれた複数のLDOのみに抑えながら、引き出すよう設計されています。またインダクタの数が減ることによって、インダクタ間のスペースが不要になり、これも全体としての設置面積削減に寄与します。

PMIC内のSIMO
アナログ・デバイセズの新しい電源管理IC(PMIC)であるMAX77650とMAX77651は、マイクロパワーSIMOバックブーストDC/DCコンバータを使って設計されています。このPMICには150mA LDOが組み込まれ、ノイズに敏感なアプリケーションのためリップルを除去します。MAX77650/MAX77651内ではSIMOが単一のインダクタから3系統の独立してプログラム可能な電源レールを供給し、それによって革新的な電源管理ソリューション構築を支援します。高度に統合化されたSIMOのアーキテクチャにより、他の個別コンポーネントによるソリューションと比較して全体のサイズを大きく削減することができます。
SIMOカルキュレータ
もうひとつの設計ツールとしてアナログ・デバイセズが提供するSIMOカルキュレータは、SIMOのパラメータ間のトレードオフ検討を支援します。このツールはスプレッドシートから構成されており、カルキュレータ・タブにある1行目のセルにパラメータの値を入力します。最も注目すべきと見なされる計算値は黄色でハイライト表示されます。パラメータ値が正常域外にある場合はセルが赤でハイライト表示されます。コメント欄には設計改善のためのガイドが示されます。