質問:
私の回路のオペアンプと コンデンサには奇妙な 相互作用があるのですが、 何なのでしょうか?
回答:
この質問は、RAQ(珍問/難問集)というよりもFAQ(よくある質問)ではないかと思いましたが、実はそのどちらでもなかったのです。
オペアンプとコンデンサとの間の相互作用は、3つの古典的な問題がしょっちゅう発生していた、オペアンプ時代の初期にさかのぼります。私はこのユーザが直面していた問題を絞り込もうとしました。数分で解決できると思ったのですが…大間違いでした。
オペアンプの安定性の研究における最初の古典的な問題は、反転入力の容量にありました。これは、オペアンプの入力容量と反転入力の寄生容量とが帰還抵抗と相互作用することによって発生します。この容量と帰還抵抗によってフィードバック応答に極が発生し、位相余裕が低下し、不安定になります。「ああ、違いますよ、そうじゃないんです。それとは別の問題です」とユーザ。「そうですか、大丈夫。では次に行きますよ」と私。
次のポイントは、出力負荷容量でした。出力での容量は、オーバーシュート、リンギング、安定性の問題を引き起こすことがあります。オペアンプの出力インピーダンスと負荷容量に極が生じますが、これによってオペアンプの伝達関数が変わり、位相余裕が低下することによって、リンギングやオーバーシュートが発生します。「いいえ、それでもありませんね」とユーザ。
最後にこのユーザは、バイパス・コンデンサによる問題(3番目の古典的な問題)のようだと言い出しました。私がバイパス・コンデンサに関するいつもの説明を始めようとすると、彼は私をさえぎってこう言いました。「これは、どうも普通のバイパス・コンデンサの問題ではないようです。どこか違うのです」。彼が電源をオフにしても、バイパス・コンデンサは充電されたままで、オペアンプは出力電圧を供給し続けました。「それは、ごく当たり前です。出力電圧はバイパス・コンデンサが放電されるまで続きますが、数ナノ秒で消えます」と私は言いました。「いいえ、コンデンサが放電しないのです」とユーザ。彼はもう何ヶ月もこの問題に取り組んでいました。
回路に一ヶ月以上も電力を供給しなくても、コンデンサはまだ充電されたままで、回路はちゃんと機能していました。なぜこんなことが?マイクロパワー・デバイスでさえ、その頃には蓄積した電荷を完全に放出してしまうはずです。一体どんなコンデンサを使用しているのかと聞くと、顧客は笑って答えました。「フラックス・コンデンサ1に決まっているじゃないですか。」
エイプリル・フールです!
1 フラックス・コンデンサは、1985年のユニバーサル・ピクチャーズ映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に登場します。1個のフラックス・コンデンサは1.2ギガワットの電力を供給できるので、映画ではこれでタイム・トラベルができました。