質問:
オペアンプの分野では 電流帰還型アンプに比べて 電圧帰還型アンプが 一般的であるようなのですが、 その理由は何ですか?
回答:
オペアンプの選択に関しては、アンプに対する個人的な好みや趣味の問題だという人もあります。人生の場合と同様に、私たちは個人的な経験に基づいて物(オペアンプも然り)を選択する傾向があります。多分そのために、技術者は電流帰還型(CFB)よりも電圧帰還型(VFB)のオペアンプを選択することが多いのでしょう。
しかし、一体どうして?それには多くの理由があると私は思っています。もちろん、電流帰還型アンプに比べて電圧帰還型アンプの品揃えが豊富だということもあります。しかし、もう1つの理由は教育です。大学の授業で標準的に使われているのは、ほとんどの場合電圧帰還型なのです。教科書、研究室、シミュレーションで使用されるオペアンプ例の多くは、電圧帰還型に焦点を合わせています。大学の教科書に電流帰還型オペアンプが記述されることはきわめて少なく、たとえ記述されたとしても、手短に触れられる程度です。
ここで電流帰還型と電圧帰還型のアンプの違いとその選択に関して説明しつくすことはできませんが、いくつかの重要なポイントを取り上げておきたいと思います。まず、電圧帰還型アンプに使用される設計式は、電流帰還型アンプにも同様に有効であるため、何も新しいことを学習する必要はありません。電圧帰還型アンプは一定のゲイン帯域幅積(GB積)を備えていますが、電流帰還型アンプではGB積は一定ではなく、電流帰還型アンプでは高いゲインで広い帯域幅を得ることができます。電圧帰還型アンプには2つの高入力インピーダンス・ノードがあります。電流帰還型アンプでは、高インピーダンス入力は1つで、これは非反転入力です(反転入力は低インピーダンス入力となっています)。電圧帰還型アンプには「オープン・ループ・ゲイン」があります。電流帰還型アンプには「オープン・ループ・トランスインピーダンス」があります。電流帰還型アンプには、電圧帰還型アンプに比べて、きわめて広い帯域幅ときわめて高いスルーレートを備えて います。電圧帰還型アンプの場合とは異なり、電流帰還型アンプの安定性には帰還抵抗が大きな役割を演じます。このため、帰還抵抗(値はメーカーのデータシートに公表されています)の選択が制限され、ゲイン設定抵抗の値も制限されることがあります。
ここでは、電流/電圧帰還型アンプについての上っ面だけを論じました。回路を設計する際に、電流帰還型アンプは、もう1つの強力なオプションとなります。電流帰還型と電圧帰還型のアンプに関しては、豊富なラインアップを用意しています。次に電圧帰還型アンプを使いたくなったとき、少し時間をとってメニューに目を通せば、魅力的な代替ソリューションに出会えることがあります。