AD737は、低消費電力で高精度の真のモノリシックRMS／DC変換器です。レーザ・トリミングによって、正弦波入力で最大読取り誤差が±0.2mV ±0.3％になっています。さらに、高精度を保ちながら、可変デューティ・サイクルのパルスやトライアック（位相）制御の正弦波など広範囲の入力波形を測定できます。低価格で物理的にも小さいこのコンバータは、多くのアプリケーションで非RMSの「高精度整流器」の性能を向上するのに適しています。非RMSの高精度整流器と比較して、AD737は同等もしくはこれより低いコストで高い精度を提供します。 

AD737は、ACおよびDCの入力電圧のどちらのRMS値も計算できます。外付けコンデンサを1つ追加すれば、AC結合でも動作します。このモードでは、温度や電源電圧の変動にかかわらず、100μV rms以下の入力信号レベルを処理できます。入力波形のクレスト・ファクタが1～3あるいはフルスケール入力レベルの2.5％以下の場合、高精度を維持します。 

AD737は出力バッファ・アンプを備えていないため、出力端で発生するDCオフセット誤差が大幅に低減します。このため、ハイ・インピーダンス入力のA/Dコンバータに最適です。 

160μAの消費電流しか必要としないため、AD737はポータブル・マルチメータなどのバッテリ駆動アプリケーション用に最適です。パワーダウン・モードのスタンバイ電流は25μA（typ）です。 

AD737は高Z（10¹²Ω）と低Zの2つの信号入力用端子を選択できます。1つは高ソース・インビーダンス入力の減衰器に接続する高Z・FET入力端子で、もう1つは、最小電源電圧±2.5Vから動作可能で0.9Vのrms電圧を測定できる低インピーダンス（8kΩ）の入力端子です。2つの入力端子は、シングルまたは差動のいずれでも使用できます。 

AD737は、10kHzを超える帯域幅で読取り誤差1％を達成し、入力振幅範囲は20～200mV rmsで、消費電力はわずか0.72mWです。 

AD737には2つの性能グレードがあります。AD737JグレードとAD737Kグレードは、0～70℃の商用温度範囲で動作します。AD737JR-5は±2.5V dcの電源電圧でテストされています。AD737Aグレードは、－40～＋85℃の工業用温度範囲で動作します。AD737は、PDIP、SOIC_Nの2つの低価格8ピン・パッケージで提供しています。