様々なスイッチング・レギュレータ・トポロジのノイズ

スイッチング・レギュレータのトポロジには、様々な種類があります。その中でバック・コンバータとも呼ばれる標準的なステップダウン・コンバータ(降圧コンバータ)は、非常に広く使われているものです。反面、ZETAトポロジのように、あまり知られていないスイッチモードDC/DCコンバータも少数存在します。基本トポロジと拡張トポロジという分け方もできます。基本トポロジで使用するのは、2つのスイッチ、1つのインダクタ、2つのコンデンサだけです。これらは非絶縁スイッチング・レギュレータです。つまり、スイッチング・レギュレータ同士は電気的に分離されていません。このカテゴリには、降圧コンバータ、昇圧コンバータ、反転昇降圧トポロジが含まれます。これ以外のすべてのトポロジには、追加部品が必要です。例えば、SEPICコンバータには、カップリング・コンデンサと、更にインダクタが1個必要です。非絶縁スイッチング・レギュレータとは別に、トランスを使用して電気的絶縁を実現しているものもあります。

多くの場合、回路設計者にとって電源は、ブラック・ボックスないし4極素子と見なすことができます。電源には2本の入力ラインと2本の出力ラインがあります。ブロック図に使用するDC/DCコンバータの記号を図1に示します。上が電気的に絶縁されていないDC/DCコンバータで、下が絶縁されているコンバータです。

図1 ブラック・ボックスとしてのスイッチモード電源

図1 ブラック・ボックスとしてのスイッチモード電源

図1には、端子に関するノイズ情報は示されていません。2端子対回路の端子から見ると、スイッチング・レギュレータ・トポロジが異なれば、その応答も異なります。図2に、アナログ・デバイセズの工業用アプリケーション向けの汎用降圧コンバータ、ADP2441を示します。このコンバータは、24Vの入力を3.3Vの出力に変換します。このトポロジでは入力側がパルス電流を生成するため、ノイズが非常に多くなることが分かります。ADP2441のハイサイド・スイッチがオンになると、端子Aに電流が流れ込みます。このスイッチがオフになるとノードAに電流は流れませんが、出力側Cのノイズが非常に少なくなります。ここで、出力パスにあるインダクタによって出力側にパルス電流が生じないようになっています。

図2 スイッチング・レギュレータ・トポロジの実用的設計

図2 スイッチング・レギュレータ・トポロジの実用的設計

表1は、概念設計の段階において、システム設計者がスイッチング・レギュレータの基本的動作に関して貴重な情報を得ることができるように作成したものです。この表には、最も一般的なスイッチング・レギュレータ・トポロジが示されています。1行目に、入力側、つまり2端子対回路の端子AとBのノイズ・レベルが低いかどうかが示されています。2行目には、各トポロジの出力側、つまり2端子対回路の端子CとDのノイズ・レベルが高いか低いかが示されています。表1には、ノイズ・レベルが高いものと低いものの両方が示されています。

表1 一般的なスイッチング・レギュレータ・トポロジと、入出力ノイズに関するその特性の概要

降圧 昇圧 反転昇降圧 フライバック SEPIC Cuk 4スイッチ昇降圧
入力側ノイズ 高い 低い 高い 高い 低い 低い 高い
出力側ノイズ 低い 高い 高い 高い 高い 低い 高い

例えば、LCフィルタを別に追加してフィルタリングを行えば、スイッチング・レギュレータ回路の伝導ノイズを大幅に減らすことができます。このような方法により、表1に示した弱点を補うことが可能です。ただしその場合でも、システム設計者は、どのDC/DCコンバータが特に高いノイズ・レベルを示すのかを認識しておく必要があります。これを知ることにより、対応するフィルタや、それらのフィルタに必要な追加スペースを前もって計画することができます。

Frederik Dostal

Frederik Dostal

Frederik Dostalは、ドイツのエアランゲン・ニュルンベルク大学でマイクロエレクトロニクスについて学びました。2001年にパワー・マネージメント事業の分野で働き始め、アリゾナ州フェニックスで4年間にわたってスイッチング電源を担当したほか、さまざまなアプリケーション分野の業務に携わってきました。2009年にADIに入社し、ミュンヘンのアナログ・デバイセズでパワー・マネージメントのフィールド・アプリケーション・エンジニアとして従事しています。