概要

設計リソース

設計/統合ファイル

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評価用ボード

型番に"Z"が付いているものは、RoHS対応製品です。 本回路の評価には以下の評価用ボードが必要です。

  • EVAL-ADICUP3029 ($52.97) ADuCM3029 Arduino Form Factor Compatible Development System
  • EVAL-CN0414-ARDZ ($129.47) PLC Input Module with HART and Open Wire Detection
在庫確認と購入

デバイス・ドライバ

コンポーネントのデジタル・インターフェースとを介して通信するために使用されるCコードやFPGAコードなどのソフトウェアです。

AD717x / AD411x IIO Sigma-Delta ADC Linux Driver

AD411x, AD717x GitHub no-OS Driver Source Code

機能と利点

  • 4チャンネル
  • +/- 10V、4mA~20mAの入力
  • HART互換
  • 断線検出機能内蔵

回路機能とその特長

図1に示す回路は、絶縁が確保された、柔軟性の非常に高い全機能内蔵型の4チャンネル・アナログ入力システムで、非常に過酷な工業環境での使用に適しており、複数の電圧入力、断線検出機能、HART互換性、4mA~20mAの電流入力、過渡的な過電圧や過電流の発生に対する保護機能を必要とする、プログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)アプリケーションおよび分散型制御システム(DCS)アプリケーションに最適です。 

各チャンネルは、1つの差動電圧入力または2つのシングルエンド電圧入力、および1つの電流入力で構成されています。すべての電圧チャンネルは、外部センサーやソース信号がシステム入力から断線した場合にこれを検出する、断線検出機能という独自の機能を備えています。外部回路を追加することなく断線の発生を防止できるため、アプリケーション・ソフトウェアに検出方法を組み込むことで、診断手法が簡素化されます。これによって、システムの開発と維持に関するコスト、サイズ、複雑さを抑えることができます。 

このアナログ入力回路には、±5V、±10V、0V~+5V、0V~+10Vの範囲に対応する4通りの電圧入力と、4mA~20mAおよび0mA~20mAの範囲に対応する4通りの電流入力が可能です。すべての入力は、入力端子ブロックと絶縁されたグラウンドを基準とし、アップストリームのホスト回路とはガルバニック絶縁されています。

HART互換性を備えたこのモジュールは、使いやすく低コストで高信頼性の全機能内蔵型フィールド通信ソリューションを提供します。

回路は標準的な24Vバス電源を使用し、フィルタリングおよび保護回路を内蔵しています。多くの工場環境や工業環境ではPLC/DCSの電源を24Vの標準バス・ラインから得ているため、このモジュールは既存システムに容易に統合可能です。また、12VDC~28VDCの他の標準電源から電源供給することもできます。 

図1. PLC/DCSクワッド・チャンネル電圧/電流入力フロント・エンド (簡略化した回路図:全接続の一部およびデカップリングは省略されています)

回路説明

A/Dコンバータ 

回路の中心は、±10V、20mAのアナログ・フロント・エンド内蔵、低消費電力、低ノイズ、24ビットのΣ-Δ A/Dコンバータ(ADC)AD4111です。

AD4111はソフトウェア設定が可能で、断線検出機能を備えた4つの完全差動または8つのシングルエンド電圧入力チャンネルと、4つの電流入力チャンネルがあり、内蔵のクロスポイント・マルチプレクサによって高い柔軟性をもたらします。

また、キャリブレーション・レジスタを内蔵し、外部シグナル・コンディショニング回路を含む全入力パスのオフセットとゲインの補正を行うよう設定することができます。このADCは、小型の6mm × 6mm LFCSPパッケージに収容されており、スペースを重視する場合に最適です。

クロックと高精度2.5Vリファレンスを内蔵しているため、外付け部品を最小限に抑えることができ、更にスペースが節約できます。2個のプログラマブルな汎用出力ピン(GPO0とGPO1)が補助回路を制御し、プロセッサ/コントローラからの制御ラインを追加する必要はありません。

CN-0414は、GPO0とGPO1を使用して、ADG704マルチプレクサをイネーブル/ディスエーブルするため、1つのAD5700-1 HARTモデムで4つの電流入力チャンネルに対応可能です。 


電圧入力回路

 

図2. 電圧入力の等価回路(簡略図)

 

図2に示す回路には4つの差動入力があり、最大±10Vの入力範囲に対応します。入力インピーダンスは最小1MΩが確保されています。

高電圧のトランジェントが発生した場合、D1とD2により入力が保護されます。

入力のコモンモード・ノイズのフィルタ処理は、R1||RIN_ADC/C1とR2||RIN_ADC/C2によって行われ、約190kHzです。差動ノイズのフィルタ処理は、R1||RIN_ADC、R2||RIN_ADC、C5によって行われ、約18kHzです。

表1に、4つの電圧入力チャンネルのパラメータと性能を示します。

表1. 電圧入力回路のパラメータ
Parameter Value Unit Test Conditions/
Comments
Input Impedance >1
Input Range ±10 V
Offset Error ±.15 mV 25°C, uncalibrated
Offset Drift ±7 µV/°C
Gain Error ±0.05 % of FS Internal full-scale calibration, 25°C
Gain Drift ±1 ppm/°C
Input Filer 18 kHz Differential
190 kHz Common mode

 

電流入力回路

図3. 電流入力の等価回路(簡略図)

 

図3に示す回路には4つの電流入力チャンネルがあり、最大で0mA~24mAの入力範囲に対応します。回路の入力インピーダンスは250Ω(うち60ΩがAD4111の内部抵抗)で、入力はグラウンドを基準としています。

高電圧または高電流のトランジェントが発生した場合、D1とF1により入力が保護されます。

内蔵の50Ω電流検出抵抗により、24mAの入力に対し1.2Vが生成されますが、これはADP2441(内蔵の2.5V電圧リファレンスを使用)の2.5Vのフルスケール電圧範囲内に収まります。

入力パスは、Σ-Δ ADCの最大入力帯域幅までの信号に対応します。また、内蔵のsincフィルタを使用して、1.2 kHz~2.2 kHzのHART周波数を除去することもできます。AD4111のフィルタ・モデルは、AD4111製品ページのツール・セクションのリンクにあります。ツール・セクションの設計ツールを参照して、HART周波数を除去するための最適なソリューションを探してください。

表2に、電流入力チャンネルのパラメータと性能を示します。

表2. 電流入力回路のパラメータ
Parameter Value Unit Test Conditions/
Comments
Input Impedance 250 Ω Referred to ground
Offset Error ±2 µA
Offset Drift ±3 nA/°C
Gain Error ±0.02 % of FS Internal full-scale calibration, 25°C
Gain Drift ±10 ppm/°C
Input Filer 5.6 kHz

 

断線検出機能 

断線検出機能は、外部センサーまたはソース信号がシステム入力から切断されたことを検出するシステム・レベルの診断機能です。AD4111は、5Vまたは3.3V単電源動作時における±10Vの電圧入力で断線検出を可能にする独自の機能を内蔵しています。既存の設計でこの機能を実現するには、±10V以上の電源が必要です。  

この断線検出機能は、ユーザ・ソフトウェアでサポートする必要があります。入力での断線は、入力に関連する2つのチャンネル間の絶対差を閾値と比較することによって検出され、推奨閾値は入力を基準として300mVです。差がこの閾値より大きい場合、ユーザ・ソフトウェアで断線をフラグする必要があります。 

提供されているソフトウェアのソース・コードは、AD4111のデータシートに記載の断線検出機能を実際に実装する方法を例で示したものです。コスト、サイズ、複雑さ、開発時間の点から、この機能によりハードウェアおよびソフトウェアの設計を簡略化できます。 

図4に、シングルエンド/差動構成のチャンネル1での断線検出に必要な電圧入力構成を示します。 

図4. 断線検出構成を完備した電圧入力等価回路

 

シングルエンド入力構成(この場合チャンネル0(VIN0)とチャンネル15(VINCOM))での断線検出を例にとると、対応するレジスタのデータ、ステータス、断線検出機能、入力バッファ、モード、リファレンス源を有効にし、その後チャンネル0とチャンネル15の電圧差を計算する必要があります。この2入力がフロート状態になっている場合は、300mVを超える電圧差が生じ、断線がフラグされます。逆に、センサーまたは信号源が接続されている場合は、電圧差は300mVを下回り、断線はフラグされません。 

差動入力構成での断線検出イベントの場合、アルゴリズムは同じで、唯一の相違点は、計算する必要があるのがチャンネル1(VIN0)とチャンネル2(VIN1)の電圧差であることです。

断線検出を使用する場合、各電圧入力の測定ごとに2つのチャンネルが必要です。また、断線検出測定が正しく機能するように、電圧入力を特定のチャンネル・ペアに割り当てることも必要です。 

シングルエンド入力での断線検出測定の場合、使用する必要のあるチャンネルの組み合わせは以下のとおりです。 

  • チャンネル15とチャンネル0 
  • チャンネル1とチャンネル2 
  • チャンネル3とチャンネル4
  • チャンネル5とチャンネル6
  • チャンネル7とチャンネル8
  • チャンネル9とチャンネル10
  • チャンネル11とチャンネル12
  • チャンネル13とチャンネル14

差動入力での断線検出測定の場合、使用する必要のあるチャンネルの組み合わせは以下のとおりです。 

  • チャンネル1とチャンネル2 
  • チャンネル5とチャンネル6 
  • チャンネル9とチャンネル10 
  • チャンネル13とチャンネル14

更に、差動入力の場合、正常に動作させるには入力を以下の差動ペアに設定する必要があります。 

  • VIN0とVIN1
  • VIN2とVIN3
  • VIN4とVIN5
  • VIN6とVIN7 

断線検出機能を実行するには、AD4111を正しく構成した後に出力データをユーザ・ソフトウェアで処理しなければなりません。入力での断線は、入力に関連する2つのチャンネル間の絶対差を閾値と比較することによって検出されます。推奨閾値は入力を基準として300mVです。この閾値は、2.5Vの電圧リファレンスとAVDD = 5Vのバイポーラ構成で動作する場合、ADCの10進出力コードで約100,000(0x0186A0)です。ユニポーラ構成で動作する場合、この閾値は約200,000(0x030D40)です。


HART入出力回路 

ハイウェイ・アドレス指定可能リモート・トランスデューサ(HART)は双方向の通信プロトコルで、スマート・フィールド・デバイスや制御またはモニタリング・システムを代表とする、HARTが可能な2つのデバイス間のデータ・アクセスを実現します。

HARTは、小規模の自動化アプリケーションから非常に精巧な工業用アプリケーションに至るまで、プロセス・システムや計装システムで広く用いられています。HARTは、1つはアナログ、もう1つはデジタルの、2つの同時通信チャンネルを提供します。

4mA~20mAの信号が、計測器に電力を供給するための配線を使用して、1次側の測定値を電流のアナログ値として伝達します。次にホスト・システムが、電流値をHARTソフトウェアによって定義されるパラメータに従って、物理値に変換します。デジタルのデバイス情報は、デジタル信号を復号して通信されます。これには一般に、アナログ通信に使用されるのと同じ4mA~20mAの配線で、周波数シフト・キーイング(FSK)と呼ばれる手法を使用します。デジタル信号には、1次側の測定データ、デバイスのステータス、診断、その他の測定値や計算値などの、デバイスからの情報が含まれています。

この2つの通信チャンネルが組み合わさって、設計が容易で使いやすく、低コストで高信頼性の全機能内蔵型フィールド通信ソリューションを提供します。詳細については、HART協会のWebサイトを参照してください。

AD5700-1は、超低消費電力、小型フットプリントのHART互換モデムで、AD4111電流入力チャンネルと共に使用することで、HART互換の4mA~20mAのレシーバー・ソリューションを形成します。AD5700-1には高精度発振器が内蔵されているため、特に絶縁型アプリケーションにおいて、スペースを更に節約できます。

HART機能は4つの電流入力チャンネルでマルチプレクスされます。HART入出力ネットワークは、2つのADG704マルチプレクサ(図5のSW1とSW2)を使用して4チャンネル間で共有されます。

図5. HART入出力回路(簡略図)

 

HART入力回路は、R3、C1、C2、R4、R5で形成されるHARTバンドパス・フィルタで構成されています。このフィルタについてはAD5700-1のデータシートで説明されています。

SW1スイッチはチャンネルごとに使用され、HART入力回路をアクティブなHARTチャンネルに切り替えます。

150kΩの抵抗(R3)は、各チャンネルにあり、HARTバンドパス・フィルタの一部ですが、SW1スイッチの保護を追加するものでもあります。

HART入力は電流入力端子に直接接続するため、適切な電圧レベルがAD5700-1のADC_IPピンに確実に印加されます。

スイッチSW2はチャンネルごとに使用され、HART出力回路をアクティブなHARTチャンネルに切り替えます。コンデンサC3はHART信号を結合します。

R1、C3、R6、R7を組み合わせて、25Hzの4mA~20mA入力信号(HARTを有効化したデバイスが許容できる最速のスルー・レートに相当)の間に、AD5700-1のHART_OUTピンの電圧がGND未満に低下しないようにすることができます。


電源回路

ボードは、9.5V~36VのDC電源から電力供給され、オンボードのスイッチング・レギュレータを使用してシステムに7.5V電源を供給します(図6と図7参照)。試験のセットアップでは、この7.5VがEVAL-ADICUP3029ボードの電源となります。次に、EVAL-ADICUP3029ボードはレギュレーションされた3.3VをVIO(図7のIOREFピン)の電圧に供給し、5Vをその他の回路に供給します。

36Vの降圧DC/DCレギュレータADP2441は、工業標準の24V電源に対応し、入力電圧に対し広い許容度を持っています。ADP2441は入力電圧を、プラットフォーム・ボード用には1Aで7.5Vに降圧し、Arduino互換プラットフォームに通常備わっている5Vレギュレータを使用するその他のEVAL-CN0414-ARDZ向けには、5Vの電源に降圧します。回路には、24V電源端子でのフィルタリングと保護も含まれています。

ADP2441のスイッチング周波数が高いため、小さいインダクタを使用した場合でも出力電圧のリップルを最小限に抑えることができます。 

インダクタのサイズを選択する場合は、効率と過渡応答の間のトレードオフを考慮する必要があります。インダクタが小さいとインダクタ電流のリップルが大きくなり、優れた過渡応答が得られますが、効率は低下します。ADP2441のスイッチング周波数が高いため、シールドされたフェライト・コア・インダクタを使用することを推奨します。コアの損失が低く、電磁干渉(EMI)も低いためです。 

図6の回路では、162kΩの抵抗が外付けされ、スイッチング周波数は約550kHzとなります。33µHというインダクタの値はADP2441のデータシートから選択されています。回路は、ネジ端子を使って9.5V~36V(通常は12V~28V)のフィールド用電源に接続します。EARTH端子は、外部アースに接続するか、または外部アース接続を使用しない場合はGND端子に接続することができます。. 

図6. 電源回路(簡略化した回路図:接続の一部は省略されています)

 

パワー・インダクタ、バリスタ、パワー・ダイオード、1.1Aのヒューズにより、高電圧トランジェントが発生した場合の入力保護を強化します。

図7. CN-0414ボードのパワー・ツリーと構成

 

図7と表3に示すように、EVAL-CN0414-ARDZには3通りの方法で電力供給できます。いずれの場合でも、EVAL-CN0414-ARDZは、EVAL-ADICUP3029またはその他の互換性のあるArduinoベースのボードから電力供給されます。 

更に多くの電源をEVAL-CN0414-ARDZまたはEVAL-ADICUP3029に接続する場合、電源には優先順位があります。電圧値が最も高い電源を選択してください。

表3. CN-0414の電源オプション
Power Source USB Power1 Barrel Jack Power1 Terminal Block Power1
ADICUP3029 USB (5 V) Connected Connected for data only Connected for data only
ADICUP3029 Barrel Jack (7 V to 12 V) N/A Connected N/A
CN-0414 Terminal Block (12 V to 28 V) N/A N/A Connected
1N/A は適用なしを意味します。

絶縁

ADuM5411は、SPIインターフェース(SCLK、SDI、SDO、CS)を絶縁し、更に、isoPower®技術を統合して絶縁型5V電源を提供します。これに対し、ADuM3151 SPIsolator®はHARTインターフェースと制御信号の絶縁を行います。これらのアイソレータは、ディスクリートのトランスをベースとするソリューションに比べ、面積を大きく節約できます。詳細については、Analog Dialog 記事、PLC/DCS用アナログ入力モジュールのチャンネル間絶縁、高密度化の壁を打ち破るを参照してください。 


ノイズ・テスト 

ADICUP3029プラットフォームで実行されるCN-0414ソフトウェアには、複数のサンプルを取得する機能があります。ほとんどの端末プログラムは、受信データのログをファイル化する機能を備えています。この受信データは、次にスプレッドシートまたは他の解析プログラムにインポートされます。

システム・ノイズの評価は、チャンネルごとに入力端子を短絡して行います。これにより、電圧入力チャンネルの差動電圧はゼロになり、電流入力チャンネルの入力はグラウンドになります。入力を短絡した状態でデータを収集し、所定数のサンプルから拡散符号とノイズ・フリー・コードの分解能を計算します。

ADC入力の実効値ノイズは、多数のサンプルの標準偏差をとって計算できます。各チャンネルの拡散符号とノイズ・フリー・コードの分解能を取得でき、データはヒストグラムに表示できます。図8と図9に、チャンネル1の電圧入力と電流入力で取得したサンプル・データのヒストグラムを示します。  

図8. チャンネル1の電圧入力、入力を短絡、31.25kSPS、 Sinc5 + 1フィルタ、2000サンプル

 

図9. チャンネル1の電流入力、入力を短絡、31.25kSPS、 Sinc5 + 1フィルタ、2000サンプル

 

表5には、AD4111のノイズ性能について、データシートに記載されている値と、CN-0414ボードを使用して実際に決定したノイズとの比較を示します。

表 4. CN-0414 における、Sinc5 + Sinc1 フィルタを使用した±10V 電圧入力の実効値ノイズ分解能と ODR の関係
Output Data Rate (sps) Data Sheet (μV) Channel 1 (μV) Channel 2 (μV) Channel 3 (μV) Channel 4 (μV)
31,250 106 108.52 122.15 132.7 111.8
15,625 94 96.59 108.42 116.42 95.76
10,417 82 84.3 92.27 86.64 81.91
5208 62 60.95 63.09 65.31 61.7
2597 47 54.98 56.65 55.12 54.26
1007 27 30.08 31.06 30.55 29.37
504 21 21.46 21.65 21.25 20.75
381 17 18.43 18.1 18.36 17.86
200.3 13 13.17 13.54 13.23 13.26
100.2 8 9.6 9.77 9.74 9.94
59.52 7 8.21 8.04 7.52 8.3
49.68 7 6.95 7.08 7.59 7.09
20 4 5.2 5.5 4.95 6.49
16.67 4 5.18 4.92 4.88 4.6
10 3.7 3.65 4.52 5.32 4.58
5 3.4 5.47 5.36 3.76 4.13
2.5 2.4 3.38 3.6 3.77 3.75
1.25 2.3 3.6 5.03 3.27 4.14

 

表 5. CN-0414 における、Sinc5 + Sinc1 フィルタを使用した 0mA~20mA 電流入力のノイズ分解能と出力データ・レートの関係
Output Data Rate (sps) Data Sheet (μV) Channel 1 (μV) Channel 2 (μV) Channel 3 (μV) Channel 4 (μV)
31,250 155 188.07 190.23 188.82 183.33
15,625 136 162.33 165.41 164.15 166.78
10,417 113 138.19 145.44 140.42 137.43
5208 84 105.15 103.63 105.9 108.61
2597 75 89.44 91.07 90.6 91.4
1007 43 53.12 51.21 51.23 51.76
504 29 34.4 35.32 36.91 34.39
381 21 30.46 29.61 30.48 30.82
200.3 18 22.18 22.12 22.03 22.47
100.2 13 15.27 15.51 15.4 15.48
59.52 10 11.77 11.72 11.87 11.83
49.68 9 10.83 10.78 11.05 11.04
20 6 6.86 6.8 6.82 7.5
16.67 5.3 6.8 6.71 6.84 6.82
10 4.6 4.88 5.32 5.16 5.33
5 3 3.73 3.74 3.65 3.94
2.5 2.8 2.95 2.83 2.67 3.1
1.25 2.7 2.29 2.13 2.34 2.29

 

HARTテスト

HART機能は、HART物理層テスト仕様(HCF-TEST-2)に従ってテストしました。HART仕様の詳細については、HART協会から直接入手可能な他、技術記事、HARTとの互換性を容易にするフレキシブルな帯域幅の4mA~20mA電流入力でも説明されています。

物理層のHARTコンプライアンス・テストによって、波形、搬送波の開始/停止/減衰、搬送波の開始/停止トランジェント、無動作時の出力ノイズ、インピーダンス測定、ノイズ感度、搬送波検出レベル、搬送波検出開始/停止などが検証できます。

回路図、部品表、レイアウトなどを完備した、EVAL-CN0414-ARDZボードの設計サポート・パッケージは、www.analog.com/jp/CN0414-DesignSupportからダウンロードできます。 

バリエーション回路

電圧入力モードで断線検出機能が不要の場合も、AD4112を使用できます。CN-0364で示すような低集積ソリューションも使用可能です。この場合、使用面積は大きくなりますが、入力帯域幅が広くなるように最適化できます。

チャンネルのデータ・レートを増加させる必要がある場合は、AD7175-2 ADCを使用できます。AD7175-2は、最大250kSPSのデータ・レートと最大50kSPSのチャンネル・スイッチング・レートに対応します。AD7175-2は、250kSPSのデータ・レートでノイズフリー・ビットが17.2の分解能を実現します。高データ・レートである点以外は、AD7175-2の機能はAD7173-8と同様です。

150mWを超える絶縁電力が必要なアプリケーションでは、ADuM5400ファミリADuM5400、ADuM5401、ADuM5402、ADuM5403、ADuM5404を含む)またはADuM3470ファミリADuM3470ADuM3471、ADuM3472、ADuM3473、ADuM3474を含む)が使用できます。ADuM5400ファミリは、isoPower技術を使用して最大500mWの絶縁電力を供給します。ADuM3470ファミリは、外付けのディスクリート・トランスを駆動して、最大70%の効率で2Wまでの電力を供給します。

回路の評価とテスト

図10に示す回路には、EVAL-CN0414-ARDZ評価用ボードとEVAL-ADICUP3029が使用されています。

CN-0414ソフトウェアは、EVAL-ADICUP3029と通信し、EVAL-CN0414-ARDZ評価用ボードからのデータの設定と取得を行います。

提供されているソフトウェアは、EVAL-ADICUP3029プラットフォームを対象としていますが、他のマイクロコントローラ・プラットフォームにも容易に移植可能です。

他のプラットフォームに移植する場合、必ず、電圧レベルと機能を含めたハードウェア互換性を詳細に確認してください。


必要な装置 

  • USBポート付きでWindows® 7(32ビット)以降を搭載のPC 
  • シリアル端末プログラム(Tera Term、PuTTYなど) 
  • EVAL-CN0414-ARDZ回路評価用ボード 
  • EVAL-ADICUP3029評価用ボードまたはこれと互換のArduinoボード 
  • Micro USBケーブル 
  • CN-0414ソフトウェアまたは事前構築済みHEXファイル 
  • 電源:9.5V~36V DC、1A 
  • 高精度電圧源および電流源(入力用)


設計の開始にあたって

CN-0414ソフトウェアをインストールします。次に、https://wiki.analog.com/resources/eval/user-guides/eval-adicup3029/tools/cces_user_guide?doc=cn0414.pdfの手順に従ってソフトウェアをインストールし、使用します。セットアップの詳細については、CN-0414ユーザ・ガイドを参照してください。


機能ブロック図 

テスト・セットアップの機能ブロック図を図10に示します。

図10. テスト・セットアップの機能ブロック図

 

セットアップ

図11. EVAL-CN0414-ARDZ評価用ボードの写真

 

CN-0414ソフトウェアとEVAL-ADICUP3029ボードで、PCを使用してデータを収集し解析できます。EVAL-CN0414-ARDZ評価用ボードの写真を図11に示します。

以下に示すのは、セットアップの基本的な手順です。

1. ジャンパがマウントされていない場合、図12と同じ位置のボックスにジャンパをマウントします。  


図12. EVAL-CN0414-ARDZのデフォルトのジャンパ位置/接続

図12. EVAL-CN0414-ARDZのデフォルトのジャンパ位置/接続

 

2. 図13と同じように、EVAL-CN0414-ARDZ評価用ボードをEVAL-ADICUP3029に接続します。

図13. EVAL-ADICUP3029に接続したEVAL-CN0414-ARDZ

 

3. 信号源を接続します。高精度の電圧源と電流源をアナログ・フロント・エンドへの入力に使用して、システム性能を評価できます。図14では、定電流源がチャンネル1の電流入力に接続され、電圧源がチャンネル4の電圧入力に接続されて、差動電圧を測定しています。 

図14. アナログ入力のセットアップ例

 

4. HART信号源を接続します。CN-0267回路(HARTインターフェースを備えたフル機能の4mA~20mAループ駆動フィールド計測器)を図15に示すように接続すると、HART物理層の機能を容易にテストできます。CN-0267ハードウェアは、CN-0414ソフトウェアで使用可能なHARTコマンドに応答します。 

図15. HARTセットアップ例