自己給電し、専用ネットワークを形成して、産業環境での容易な展開を可能にする高精度ワイヤレス温度センサ

インターネットは世界中のコンピュータ・ネットワークを介して人々を結びつけていますが、モノのインターネット(IoT)とは、コンピュータや人間の介在なく相互接続してデータを共有する比較的簡単なデバイスが増えていく傾向を指しています。IoT には、生活や産業のあらゆる側面について、効率を高め、安全性を向上し、まったく新しいビジネス・モデルを実現できる可能性があります。たとえば、工場を確実かつ効率的に稼働する場合、IoT はできるだけ多くのモニタリング点(または制御点)を確保するのに役立ちます。センサが多いほどモニタリングの質も向上するからです。IoT のデバイス間ネットワーキングにより、分散およびネットワーキングが単純化され、センサの数と有効範囲が工場全体に簡単に広がります。

センサの数を指数関数的に増大するには、小型バッテリで何年も動作する堅牢な無線を使ったマイクロパワー・センサを使用して、ケーブルの敷設を無くすことが必要です。できれば、バッテリの交換や再充電の必要性もなくします。代わりに、センサは設置場所の環境からエネルギーを収集し、光、振動、温度勾配などの現地で得られるエネルギー源を利用します。

この記事は、光エネルギーが得られる場合は光エネルギーで動作し、光エネルギーが少ない場合は小型のバッテリ・バックアップで動作する高分解能温度センサを容易に構築する方法を示します。設計回路には、信頼性の高いメッシュ・ネットワークを自動的に形成して、センサを中央のアクセス・ポイントに無線で接続する低消費電力の無線モジュールも含まれています。

設計の概要

自己給電型ワイヤレス温度センサのブロック図を図1に示します。温度センサは、低ノイズの電圧リファレンスLT6654によってバイアスされているサーミスタが基本になっています。24ビットのΔΣA/DコンバータLTC2484は、サーミスタの電圧を読み取り、SPIインタフェースを介して結果を報告します。LTP5901-IPM無線モジュールは、以下に示すいくつかのタスクを引き受けます。このデバイスは、IP ベースのメッシュ・ネットワークを自動的に形成し、シグナルチェーン部品の電源シーケンシングを管理し、その組み込みのマイクロプロセッサはA/DコンバータLTC2484のSPIポートを読み取ります。

図1.ワイヤレス温度センサは、ワイヤレス無線機モジュールをA/Dコンバータ、リファレンス、およびサーミスタに接続することにより構成されます。この回路の電源は、バッテリまたは太陽電池パネルからの電力を変換できる環境発電装置から供給されます。

図1.ワイヤレス温度センサは、ワイヤレス無線機モジュールをA/Dコンバータ、リファレンス、およびサーミスタに接続することにより構成されます。この回路の電源は、バッテリまたは太陽電池パネルからの電力を変換できる環境発電装置から供給されます。

LTC3330は、光量を確保できるときは太陽電池パネルから電源を得て、出力電圧の安定化を維持するために必要な場合はバッテリ・バックアップに戻る低消費電力のデュアル・スイッチ・モード電源です。また、LTC3330は、温度センサの電源をデューティ・サイクルで制御する目的で使用するLDOを内蔵しています。

設計回路全体は、リニアテクノロジーのデモ回路DC2126Aとして実装されました。バッテリと太陽電池パネルを含むソリューション一式は、図2に示すように7立方インチ未満の小型プラスチック・ケースの中に収まります。

図2.自立型で自己給電型の温度センサ・システム全体が体積7立方インチ未満の筐体内に収まります。バッテリ、太陽電池パネル、およびワイヤレス・ネットワーク・コントローラが含まれています。外部配線や外部接続は不要です。設置は簡単です。どこか適当な場所に置いてください。(a)シグナルチェーン回路、電源回路、制御回路、およびワイヤレス・メッシュ・ネットワーク・モジュールを示す基板正面(b)バッテリを装着した基板裏面(c)筐体内に収容し、太陽電池パネルを取り付けたソリューション全体

図2.自立型で自己給電型の温度センサ・システム全体が体積7立方インチ未満の筐体内に収まります。バッテリ、太陽電池パネル、およびワイヤレス・ネットワーク・コントローラが含まれています。外部配線や外部接続は不要です。設置は簡単です。どこか適当な場所に置いてください。(a)シグナルチェーン回路、電源回路、制御回路、およびワイヤレス・メッシュ・ネットワーク・モジュールを示す基板正面(b)バッテリを装着した基板裏面(c)筐体内に収容し、太陽電池パネルを取り付けたソリューション全体

高精度で消費電力が最小の温度測定シグナルチェーン

図3 は、サーミスタやA/Dコンバータ(とLT6654高精度電圧リファレンス)を含む設計回路のシグナルチェーン(温度測定)部品を示します。

図3.24ビットA/DコンバータLTC2484はサーミスタ電圧を読み取ります。入力同相電圧は中心電圧のままなので、このEasyDrive™A/Dコンバータには入力電流が流れません。これにより、レシオメトリック測定値が容易かつ正確に得られます。

図3.24ビットA/DコンバータLTC2484はサーミスタ電圧を読み取ります。入力同相電圧は中心電圧のままなので、このEasyDriveA/Dコンバータには入力電流が流れません。これにより、レシオメトリック測定値が容易かつ正確に得られます。

サーミスタ

サーミスタは広範囲にわたって温度を読み取ることができます。サーミスタは大きな負の温度係数を持つ抵抗にすぎません。たとえば、US Sensor 社のKS502J2の抵抗値は25°Cで5kですが、–30°C~70°Cの温度範囲では88kから875Ω の範囲に広がります。

A/Dコンバータと高精度電圧リファレンス

サーミスタは2 本の高精度49.9k 抵抗と直列に接続されており、LT6654 高精度電圧リファレンスによってバイアスされています。LTC2484ΔΣA/Dコンバータは、抵抗分割器の比を24ビットの分解能で測定します。A/Dコンバータの全未調整誤差は15ppmで、このサーミスタの勾配の場合は0.05°C未満の温度不確実性に相当します。このサーミスタの精度は0.1°Cと規定されているので、その精度までの温度を較正なしで測定できます。

A/Dコンバータのノイズは4μVP–P 未満であり、これは温度に換算すると0.005℃未満の変動に相当します。したがって、較正手順を踏むことにより、このシステムを使用して、きわめて高い分解能まで温度を測定できる場合があります。

A/Dコンバータはサーミスタ電圧とリファレンス電圧との比を測定するので、厳密に言えば、高精度のリファレンスは必要ありません。とは言っても、A/Dコンバータの変換期間中にリファレンス電圧が変動すると誤差が発生することがあるので、基準電源は低ノイズでなければなりません。

A/DコンバータLTC2484はEasy Drive入力構造を特長としており、これは変換期間中の差動サンプリング電流がほぼゼロであることを意味します。その結果、抵抗性のサーミスタ回路網を流れる入力サンプリング電流によって測定誤差が生じることはなくなります。このことは、外付けのオペアンプ・バッファが不要であることを意味します。バイパス・コンデンサは、高周波での低インピーダンス経路となります。

シグナルチェーンへの供給電力のデューティ・サイクル制御による節電

温度モニタリングが常時必要なアプリケーションは、ほとんどありません。測定頻度が1秒に1回または1分に1回で十分な場合、このマイクロパワー・アプリケーションでは、使用されていないほとんどの時間に消費される電力を最小限に抑えることが理にかなっています。抵抗回路網には、2.5Vのリファレンスから最大25μAの電流が流れます。測定と測定の間にこの電力損失が発生しないようにするには、リファレンスへの電源が測定中にのみオンするようデューティ・サイクルを制御します。

必要なデューティ・サイクルの決定

A/Dコンバータの入力でのRC時定数は約5msです。測定開始前に電源を80msオンすることにより、A/Dコンバータ入力での十分なセトリングが確保されます。実際には、2つの入力ノードが同じ勾配でオンするので、測定値は理論的なセトリング時間に達する前に十分に正確な値になります。LT6654の電源は、LTC3330の3VのLDO出力から供給されます。LTP5901-IPM の内蔵マイクロプロセッサは、温度測定を行う前後の正しい時間にLTC3330のLDOイネーブル・ピンを“H” および“L” に駆動します。

LTC2484は、変換しないときは自動的にスリープ・モードに入ります。1μAのスリープ電流は、既に低消費電力であるワイヤレス受信機と比較しても低電流です。したがって、A/Dコンバータの電源をデューティ・サイクルで制御する必要はありません。A/Dコンバータの電源をLTP5901-IPMと同じ電源電圧で常時供給することにより、SPIインタフェースでのロジック・レベルが同じになることが保証されます。

温度測定値のサイクルごとの更新

LTC2484は、変換結果をSPIポートを介して出力後、新しい変換を自動的に開始し、その変換結果を内部レジスタに蓄積して、結果を再度読み取るよう要求されるまで保持します。これにより、温度を頻繁に読み取るシステムでの迅速なデータ処理手順が単純化されますが、測定間隔が著しく長い超低消費電力アプリケーションでは、長時間経過した温度測定値を発生させる可能性があります。

伝達した温度測定値が常に最新のものになるようにするため、このアプリケーションは、まずCSピンとSCKピンの状態を切り替え、古くなった温度測定値をA/Dコンバータのレジスタから消去して、新しい温度測定値の変換を自動的に開始します。マイクロプロセッサは、変換が終了するまで待機し、その後SPIポートを通じて結果を読み取ります。電力を節約するため、A/Dコンバータが次の温度測定を自動的に開始しようとする間に、システムは(LDOをオフにすることにより)ただちにサーミスタ回路網を遮断し始めます。この次の温度測定値の結果は、マイクロプロセッサが次に測定を要求するときに消去されるので関係ありません。

シグナルチェーンの消費電力の計算

温度センサ回路全体の消費電力を概算するには、以下のように、消費した全電荷を算出して温度測定の時間で割ります。

  1. リファレンスの電流(350μA)、サーミスタ回路網の電流(25μA)、およびA/Dコンバータの電流(変換時は160μA)を合計して、535μA(表1)になります。
  2. この電流がどれくらいの時間流れるか検討することにより、消費される全電荷を求めます。A/Dコンバータの変換所要時間は約140msで、リファレンスとサーミスタを安定化するための事前準備に80msかかります。SPI の読み取りにある程度の時間を見込むと、オン時間は約300msになります。535μAの電流を300msの間に消費するのは、160μCの電荷に相当します。このノードは測定ごとに0Vから3Vまで再充電されるので、4.7μF 電源バイパス・コンデンサを電圧リファレンスまで充電するのに必要な電荷をこれに追加する必要があります。この14μCの電荷により、温度測定ごとの全電荷は174μCになります。
  3. 温度測定の割合を10秒に1回にすると、平均電流消費量は17μAという結果になります。平均電源電流のその他の例を表2に示します。
表1.シグナルチェーンの消費電流
回路素子 動作時に流れる電流
LT6654リファレンス 350μA
サーミスタ回路網 25μA
LTC2484 A/Dコンバータ 160μA
合計 535μA
表2.読み取り頻度に基づくシグナルチェーンの平均消費電流
温度の読み取り頻度 平均電流
1秒に1回 170μA
10秒に1回 17μA
1分に1回 2.9μA

ソリューション全体のパワー・マネージメント向けのシングル・パワーIC

図4に示すように、LTC3330はこのアプリケーションに関するすべての電源を管理します。このデバイスには、小型のモノリシック・パッケージにスイッチ・モード電源2つとリニア・レギュレータ1つが収容されています。

図4.LTC3330は太陽電池パネルまたはバッテリから電源をとりますが、この2つの電源に自動的に優先順位を付けて安定化出力電圧を維持します。追加のLDO出力はロジック入力ピンによって制御されます。このピンは温度センサの電源をデューティ・サイクルで制御する目的で使用します。LTC3330は、太陽電池とバッテリ電源のどちらが使用されているかを示す出力フラグを生成します。

図4.LTC3330は太陽電池パネルまたはバッテリから電源をとりますが、この2つの電源に自動的に優先順位を付けて安定化出力電圧を維持します。追加のLDO出力はロジック入力ピンによって制御されます。このピンは温度センサの電源をデューティ・サイクルで制御する目的で使用します。LTC3330は、太陽電池とバッテリ電源のどちらが使用されているかを示す出力フラグを生成します。

バッテリ入力と太陽電池入力に対応する2つのスイッチ・モード・コンバータ

昇降圧コンバータは、バッテリから電源をとって安定化出力電圧(このアプリケーションでは3.6Vに設定)を維持できます。独立した降圧コンバータは、太陽電池パネルから電源をとって、出力電圧を同じレベルに安定化することができます。内蔵のプライオリタイザにより、可能な場合は太陽電池を使用し、必要な場合にのみバッテリから給電することが保証されます。他のアプリケーションでは、LTC3330は圧電結晶など、振動エネルギーに比例したAC電圧を生成するAC環境発電電源もサポートします。

LTC3330に流れる静止電流は1μA未満なので、このほとんど使用されない低消費電力ワイヤレス・アプリケーションにぴったりです。動作中の電源での電力損失は、全電力のごく一部であり、ほとんどの電力は温度センサとワイヤレス・ネットワークの動作に利用できます。

シグナルチェーンに対する給電とデューティ・サイクル制御を行うLDO

2つのスイッチ・モード電源の他に、LTC3330はLDOを1つ内蔵しており、独立したLDOイネーブル・ピンを備えています。このイネーブル機能は、この低デューティ・サイクル・アプリケーションに役立ちます。ここでは、電圧リファレンスとサーミスタ回路網の電力がLDOから供給され、スイッチング・ノイズが最小限に抑えられます。LDOのイネーブル機能により、ワイヤレス受信機に対してスイッチ・モード電源が常時投入されている場合でも、アプリケーションがシグナルチェーンの電源のオンとオフを単純に切り替えることができます。

ワイヤレス受信機が伝送と伝送の間にあまり電力を消費しない場合でも、常にバイアスがかかった状態を維持してタイマを正確に動作させ続け、ネットワーク全体が時刻同期状態を保つようにすることは非常に重要です。ワイヤレス受信機内部のマイクロプロセッサは、LDOイネーブル・ピンを正しいタイミングでシーケンス制御して、温度測定用のシグナルチェーンを準備します。

電力供給源がバッテリか太陽電池パネルかを出力フラグで表示

LTC3330は出力フラグ(EH_ON)を備えており、電源がバッテリと太陽電池パネルのどちらから供給されているかをこのフラグによってシステムに伝達します。エンド・ユーザーがこの情報にリアルタイムにアクセスできることが役に立つ場合があります。したがって、弊社ではワイヤレス受信機内部のマイクロプロセッサにこの出力フラグを読み取らせ、温度データと一緒にネットワークを介して送信することにしました。

このEH_on 出力のロジック・レベルはLTC3330の内部バイアス電圧を表しますが、このレベルは動作モードに応じて変化し、4Vより高くなることがあります。その出力ピンをワイヤレス受信機の低電圧ロジック入力に直接接続するのではなく、出力電圧を分割して、内蔵の10ビットA/Dコンバータ(マイクロプロセッサの一部)に入力します。この場合は、LTC3330がどの電源を使用しているかを示すコンパレータとしてこのA/Dコンバータを使用します。

単一モジュールによる完全なワイヤレス・ネットワーク

LTP5901-IPMは、無線トランシーバ、組み込みのマイクロプロセッサ、ネットワーク・ソフトウェアを含む包括的なワイヤレス無線モジュールです。このモジュールを使用して自己形成ワイヤレス・ネットワークおよびデータ収集/ 通信システムを構築するために必要なのは、図5に示すように、数箇所の接続だけです。

図5.LTP5901-IPMがアプリケーションのネットワーキング・タスクとハウスキーピング・タスクを管理するのに必要なのは、数箇所の単純な接続だけです。ファームウェアおよびRF回路を含むすべてのワイヤレス・ネットワーク機能は組み込まれています。3線式のSPIマスタはLTC2484のSPIポートと通信します。GPIOピン(DP2)は、センサの電源シーケンシングの制御ピンです。内蔵のA/Dコンバータは便利なレベル変換器として動作し、環境発電状態フラグEH_ONをLTC3330から読み取ります。

図5.LTP5901-IPMがアプリケーションのネットワーキング・タスクとハウスキーピング・タスクを管理するのに必要なのは、数箇所の単純な接続だけです。ファームウェアおよびRF回路を含むすべてのワイヤレス・ネットワーク機能は組み込まれています。3線式のSPIマスタはLTC2484のSPIポートと通信します。GPIOピン(DP2)は、センサの電源シーケンシングの制御ピンです。内蔵のA/Dコンバータは便利なレベル変換器として動作し、環境発電状態フラグEH_ONをLTC3330から読み取ります。

その物理的構成は小型のプリント回路基板であり、シグナルチェーン部品とパワー・マネージメント部品を実装しているメイン基板上に容易に半田付けすることができます。

LTP5901-IPM がこのアプリケーションで実行する2つの機能は、ワイヤレス・ネットワーキングと、マイクロプロセッサを介したハウスキーピングです。LTP5901-IPMの複数のノードがネットワーク・マネージャの近くで電力を供給される場合、ノードは互いを自動的に認識し、ワイヤレス・メッシュ・ネットワークを形成し始めます。ネットワーク全体の時刻は自動的に同期されます。これは、各無線機への電力供給が、一定周期の非常に短い時間のみ行われることを意味します。その結果、各ノードは、センサ情報を送るだけでなく、他のノードからマネージャ宛てのデータを中継するルーティング・ノードとしても機能することができます。これにより、信頼性の高い低消費電力メッシュ・ネットワークが構築されます。ここでは、ルーティング・ノードを含むすべてのノードが非常に低い消費電力で動作している場合でも、各ノードからマネージャまでの複数の経路を利用できます。この無線技術の標準的な範囲はノード間で100mですが、屋外の良好な条件ではさらに範囲が広がる可能性があります。

LTP5901-IPM はARM Cortex-M3 マイクロプロセッサ・コアを内蔵しており、これがSmartMesh IPネットワーク・ソフトウェアを実行します。このコアはユーザー指定のアプリケーション・ファームウェアを介して高度にプログラム可能なので、マイクロプロセッサを追加せずに多種多様なソリューションを構築することが可能です。この例では、LTP5901-IPMのマイクロプロセッサがLTC3330のLDOをオン/オフすることにより、温度センサに対する電源シーケンシングを管理して、消費電力を節約します。LTP5901-IPMは、24ビットA/DコンバータのSPIポートと直接通信します。最後に、LTP5901-IPMはLTC3330からの電力状態出力フラグ(EH_on)を読み取ります。このフラグは、太陽光とバッテリのどちらを使用して回路に電源を供給しているかを示しています。

ワイヤレス無線機の消費電力は、www.linear-tech.co.jp/products/smartmesh_ip にある「SmartMesh® Power and PerformanceEstimator」スプレッドシートを使用して概算できます。20モートの標準的なネットワーク(10モートがマネージャに直接ワイヤレス接続(1ホップ)し、その他の10モートはマネージャに間接接続(2ホップ)するネットワーク)の場合、平均消費電力は2ホップ・ノードでは約20μAであり、1ホップ・ノードでは約40μAです。これらの数値は、10秒に1回温度を報告するノードごとの数値です。

1ホップ・ノードはノード自体のセンサ・データを送信するだけでなく、ルーティング・ノードとして動作して一部の2ホップ・ノードのセンサ・データを転送するので、1ホップ・ノードは2ホップ・ノードの約2倍の電力を消費します。通知機能をオフにした場合は、前述の電力レベルを約半分に低減できます。いったん通知機能をオフにすると、ネットワークはネットワークに加入したい新しいノードを認識しなくなります。ネットワーク動作に対するそれ以外の影響はありません。

図6.高精度温度センサは、堅牢なSmartMesh IPワイヤレス・メッシュ・ネットワークに容易に加入します。

図6.高精度温度センサは、堅牢なSmartMesh IPワイヤレス・メッシュ・ネットワークに容易に加入します。

全体の消費電力

全体の消費電力は、各センサがどの程度の頻度で温度を測定するか、あるいはノードがネットワーク内でどのように構成されているかなど、いくつかの要因により異なります。報告頻度が10秒に1回のセンサ・ノードの標準的な消費電力は、センサ部分は20μA未満なので、全体の平均負荷電流が約40μAの場合、ワイヤレス受信機部分は20μAとみなせます。

2 インチ×2 インチの小型太陽電池パネル(Amortonシリーズなど)は、比較的中程度の室内照明状態(200ルクス)で40μAを生成できます。大光量の場合は、はるかに大きい電力を発生可能です。このアプリケーションは、さまざまな環境で太陽電池(太陽光発電)だけで完全に動作できます。

そうではなく、バッテリ電源だけで回路を動作させる必要がある場合、2.4Ahの単三電池(Tadiran XOLシリーズなど)を使用すれば、ほぼ7年間このアプリケーションに電力を供給できます。

低光量状態または光量が変わりやすい状態では、回路は太陽電池とバッテリ電源の間を自動的に往復するので、使用可能な太陽電池は、すべてバッテリの寿命を延ばすために使用されます。

まとめ

使いやすい高性能パワー・マネージメント・デバイスとワイヤレス・ネットワーク・デバイスを組み合わせると、自立型で完全にワイヤレスのセンサ製品を設計できます。時刻同期式のワイヤレス・メッシュ・ネットワークは、最小限の電力を使用してデータをノード間で確実に送信することを保証します。また、内蔵のマイクロプロセッサは、センサ回路への電力をデューティ・サイクル制御することにより、消費電力をさらに節減できます。効率と集積度の高いパワー・マネージメントICは、小型の太陽電池パネルまたは小型バッテリから長年にわたってアプリケーション全体に電力を供給できます。

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Kris Lokere

Kris Lokere is a strategic applications manager for signal chain products, joining ADI as part of the merger with Linear Technology. Kris enjoys architecting systems that combine technologies from multiple product lines. In the past 20 years, Kris has designed op amps, built engineering teams, and managed product line strategy. Kris holds multiple patents and received an M.S.E.E. degree from Katholieke Universiteit Leuven and an M.B.A. from Babson College.