電圧レギュレータの動作原理

電圧レギュレータは、あらかじめ設定された大きさに固定された出力電圧を生成し、その出力は入力電圧や負荷状態が変化しても一定に保たれます。電圧レギュレータには、リニア電圧レギュレータとスイッチング・レギュレータの 2 つのタイプがあります。

リニア電圧レギュレータには、高ゲインの差動アンプによって制御される能動(BJT または MOSFET)パス・デバイス(直列またはシャント)が使われます。この差動アンプは出力電圧と高精度のリファレンス電圧を比較して、パス・デバイスが一定の出力電圧を保つように調整します。

スイッチング・レギュレータは、DC 入力電圧を、パワー MOSFETまたは BJT スイッチに加えるスイッチング電圧に変換します。フィルタを通過したパワー・スイッチ出力電圧は、パワー・スイッチのオン/オフ時間を制御する回路にフィードバックされ、入力電圧や負荷電流の変化に関わらず出力電圧を一定に保ちます。

スイッチング・レギュレータのトポロジー

一般的には、降圧(ステップダウン)、昇圧(ステップアップ)、昇降圧(バックブースト)の3つのタイプがあります。これ以外にもフライバック、SEPIC、チョーク(Cuk)、プッシュプル、フォワード、フルブリッジ、ハーフブリッジなどの構成があります。

スイッチング周波数がレギュレータの設計に与える影響

スイッチング周波数が高いということは、電圧レギュレータのインダクタとコンデンサを小さくできることを意味します。その一方で、回路のスイッチング損失とノイズは大きくなります。

スイッチング・レギュレータに伴う損失

MOSFET のオン/オフには電力が必要なので、その結果として損失が発生しますが、これは MOSFET のゲート・ドライバに関係しています。また、MOSFET が導通状態から非導通状態へ移行したり、逆に非導通状態から導通状態へ移行したりするには一定の時間がかかるので、MOSFET 自体でも電力損失が発生します。損失は、スレッショールド電圧とゲート電圧間でMOSFET ゲートの容量を充放電するためのエネルギーによっても発生します。

リニア電圧レギュレータとスイッチング・レギュレータの一般的なアプリケーション

リニア電圧レギュレータの消費電力は、所定の入力電圧と出力電圧に対するその出力電流に正比例するので、標準的な効率は50 % 以下です。スイッチング・レギュレータの場合は、最適な部品を使用することによって 90 % 台の効率を実現することができます。ただしノイズ出力は、出力電圧と出力電流の要求値が同じ場合、リニア電圧レギュレータのほうがスイッチング・レギュレータよりはるかに低くなります。また、一般にスイッチング・レギュレータのほうが、リニア電圧レギュレータよりも大きい電流負荷を駆動できます。

スイッチング・レギュレータの出力制御方法

スイッチング・レギュレータには、入力電圧と出力電圧の変化に対して、レギュレータ自身の出力電圧を変化させるための手段が必要です。その方法の 1 つが、対応するパワー・スイッチへの入力を制御する PWM を使用することで、これによってスイッチのオン/オフ時間(デューティ・サイクル)を制御します。動作時は、レギュレータのフィルタ出力電圧が PWM コントローラにフィードバックされて、デューティ・サイクルを制御します。フィルタ出力が変化することが多くても、PWM コントローラへのフィードバックがデューティ・サイクルを変化させて、出力電圧を一定に保ちます。

電圧レギュレータ IC にとって重要な設計仕様

基本的なパラメータの中で重要なのは、入力電圧、出力電圧、および出力電流です。アプリケーションによっては、出力リップル電圧、負荷過渡応答、出力ノイズ、効率といった他のパラメータが重要になることもあります。リニア電圧レギュレータにとって重要なパラメータは、ドロップアウト電圧、PSRR(電源電圧変動除去比)、および出力ノイズです。

参考資料

アナログ・デバイセズ 電源IC設計支援ツール

ADIsimPower™ 電圧レギュレータ設計ツール