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閉じる車載オーディオをアップグレードするA2B 2.0™、自動車が「第3の空間」に
主なポイント
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現代のテクノロジーに精通した人が自動車を購入する場合、インキャビン技術とオーディオ・エクスペリエンスを最上位の基準として位置づけます。実際、インキャビン機能向けにより優れたコネクティビティ(ネットワーク接続)技術を採用した車があれば、ブランドを変えることも厭わない消費者が多くなっています3。また、最近の調査によれば、自動車は真の「第3の空間」、つまりは自宅や職場に続くパーソナルな聖域になりつつあるようです。その調査の回答者の半数、そして25~34歳の74%が、車内空間はお気に入りのカフェやジムと同等の価値を持つものだと捉えています2。
従来重視されてきた外観や走行性能に代わり、現在ではインキャビン・エクスペリエンスに重きが置かれるようになりつつあります。この変化は著しいもので、特にオーディオ機能において顕著です。例えば、車内に実装されるスピーカとマイクの数は2030年までに倍増すると予想されています4。なぜなら、パーソナル・サウンド・ゾーン(PSZ:Personal Sound Zone)、空間オーディオ/没入型オーディオ、先進的なノイズ管理などの機能が求められているからです。これらを実現するには、帯域幅の大幅な拡大、柔軟性の向上、最新の車載ネットワークとの統合が必要になります。
このような厳しい要求を満たし、次世代のインキャビン・エクスペリエンスの可能性を最大限に高めるには、車載オーディオ技術の飛躍的な進化が必要です。
そうした課題の解消に貢献するのが、アナログ・デバイセズのA2B(オートモーティブ・オーディオ・バス)に代表される革新的なソリューションです。
没入型オーディオの構築に有用なA2B
ここ10年の間に、A2Bは車載オーディオの変革を実現する技術の代名詞となりました。信頼性が高くレイテンシの小さいオーディオ用のコネクティビティ技術を求める自動車メーカーにとって、A2Bは広く認められた主要技術として定着しています。実際、A2Bは、最も先進的なアプリケーションを実現するために活用されています。そうしたアプリケーションの例としては、空間オーディオ、ロード・ノイズ・キャンセレーション(RNC:Road Noise Cancellation)、没入型の3Dサラウンド・サウンドなどが挙げられます。
現在では、世界中の道路を走る何億台もの車両にA2Bが適用されており、HyundaiのRNCシステムなど、自動車メーカーによる代表的な導入事例にも活用されています。
一方、いわゆるソフトウェア・デファインド・ビークル(SDV:Software-defined Vehicle)の時代が到来しつつあるのに伴い、自動車メーカーは拡大し続ける消費者のニーズにどのように応えるかを学ばなくてはならなくなりました。また、プレミアムでパーソナライズされたHi-Fiオーディオへの期待が急激に高まった結果、自動車メーカーは、より高度なオーディオ機能を提供しなければならないというプレッシャーの高まりにさらされています。ところが、現在の車両のインフラをベースとして、そのような機能を提供することはできません。
「現在の消費者は、自動車を没入型のパーソナル空間だと捉えています。それに伴い、インキャビンのオーディオ機能はかつてないほどの速さで進化しています。実際、A2Bのような技術を利用することにより、プレミアムなサウンド、小さなレイテンシ、シームレスなコネクティビティを備えるオーディオ・システムを設計できるようになりました。A2B 2.0には、自動車におけるパーソナライズされたオーディオ・エクスペリエンスの普及を更に加速させる可能性があり、私自身もその展望に大きな期待を寄せています。」Andrew Lanfear
車載オーディオ/ネットワーキング担当ゼネラル・マネージャ | アナログ・デバイセズ
車載オーディオの次の進化を支え、自動車メーカーに力を与えるA2B 2.0
アナログ・デバイセズは、包括的な車載システムのプロバイダとして、車載オーディオに対する需要の高まりに先行して対応してきました。例えば、A2B、プロセッサ、電源、MEMS(Micro Electro Mechanical System)ベースの慣性センサー、先進的なアルゴリズムであるADI LISTN™などの技術を統合したソリューションを提供しています。
このような実績を基盤として、アナログ・デバイセズは2026年春にA2B 2.0を世界に向けて発表します。A2B 2.0を活用すれば、オーディオ用のネットワークを「インターネット接続型のインフォテインメント用スーパーハイウェイ」へと変革することが可能になります。A2B 2.0は、従来のA2Bの4倍の帯域幅を提供します。そのため、これまでは実現が不可能だと考えられていたインキャビン・エクスペリエンスを提供できるようになります。自動車メーカーとティア1サプライヤにとっては、技術革新を進める上でのボトルネックが解消されることになります。言い換えれば、最先端のアプリケーションを実現するための新たな手段を手に入れられるということです。
A2B 2.0でのアップグレード
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A2B 2.0は、進化するSDVのアーキテクチャにシームレスに統合できるように設計されています。その特徴は、イーサネット・トンネリングをサポートしている点にあります。SDVでは、イーサネット・バックボーンが拡大されていくと考えられます。そのような将来を見据え、A2B 2.0はそれらとの統合が容易なソリューションとして実現されています。
アナログ・デバイセズは、性能が高くエクスペリエンスを重視した自動車の設計を強力にサポートしています。アップグレードされたA2B 2.0のポートフォリオはそれを体現するものであり、より広範なアプリケーションに適用できます。また、A2B 2.0のプラットフォームには、使いやすい評価ツールが用意されています。更に、A2B 2.0を採用すれば、システム・コストを最大30%削減することが可能になります4。自動車メーカーは、開発効率の向上と商業的な成功の両方を達成できるはずです。
A2B 2.0のアップグレードされた機能を活用することにより、自動車メーカーは
より没入感の深いオーディオ機能を設計できるようになります。
その例としては、車両接近通報装置(AVAS:Acoustic Vehicle Alerting System)、RNC、PSZなどが挙げられます。また、RTM(Remote Tuner Module)によって
配線を削減することも可能になります。
先進的な車載コネクティビティによって実現されるオーディオ技術の革新
自動車メーカーやティア1サプライヤは、インキャビン・エクスペリエンスが今や消費者の選択を決定づける要素になっていることを認識しています。A2B 2.0を採用すれば、レイテンシが小さくスケーラブルなオーディオ用ネットワークを構築できます。その結果、自動車業界のリーダー企業は、没入型のエンターテインメントやRNC、PSZといったアプリケーションへの高まる期待に応えられるようになります。自動車がネットワークに接続された第3の“聖域”へと進化するなかで、オーディオ機能は戦略的に優位性を示せる要素となっています。アナログ・デバイセズは、メーカー/技術者がプレミアムでパーソナライズされた、そしてテクノロジーに精通したドライバーの心に響くようなエクスペリエンスを実現できるよう支援します。未来のモビリティは単なる移動手段ではなく、それ以外の目的も叶えるものとなるでしょう。そしてA2B 2.0は、そのビジョンの実現を後押ししていくはずです。
参考資料
1 S&P Global Mobility Survey(S&P 自動車の世界市場の調査)、2023年
2 「Consumer Survey 2023: From In-Vehicle Entertainment to Integrated In-Cabin Experience(2023年の消費者調査 - 車載エンターテインメントから統合型のインキャビン・エクスペリエンスへ)」DTS, Inc.、2023年
3 「Car Connectivity: What Consumers Want and Are Willing to Pay(自動車のコネクティビティ - 消費者は何を望み、何に対価を支払うのか?)」McKinsey & Company、2024年
4 ADI Internal Testing, Analysis(アナログ・デバイセズが行ったテスト/分析結果)