概要

設計リソース

設計/統合ファイル

  • Schematic
  • Bill of Materials
  • Gerber Files
  • PADS Files
  • Assembly Drawing
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評価用ボード

型番に"Z"が付いているものは、RoHS対応製品です。 本回路の評価には以下の評価用ボードが必要です。

  • EVAL-CN0261-SDPZ ($92.98) Optimizing AC Performance in an 18-bit, 250 kSPS, PulSAR Measurement Circuit
  • EVAL-SDP-CB1Z ($116.52) Eval Control Board
在庫確認と購入

デバイス・ドライバ

コンポーネントのデジタル・インターフェースとを介して通信するために使用されるCコードやFPGAコードなどのソフトウェアです。

PulSAR ADC GitHub Linux Driver Source Code

機能と利点

  • 18ビット、250kSPS PulSAR ADC
  • 低ノイズドライバ
  • 100dB 以上のSNR @ 1kHz Input
  • 118dB 以上のTHD @ 1kHz Input

回路機能とその特長

高性能ADCの周辺回路を構成する製品の選択は簡単だとは限りません。図1の回路は、18ビット、250 kSPS PulSAR® ADCのための完全なフロントエンド・ソリューションを示しており、AC性能に対し最適化されています。

回路はAD7691を中心に構成されています。AD7691はPulSARファミリーに属する低消費電力(1.35 mW @ 2.5 V、100 kSPS)ADCです。このADCは、超低歪み、超低ノイズのアンプ AD8597 によって直接駆動され、ADCのリファレンスは5 Vで超低ノイズ ADR435 です。この回路は、1 kHzの入力トーンに対して101 dBのSNRと118 dBのTHDを達成します。

High Performance, 18-Bit ADC Front End
図 1.高性能 18 ビット ADC のフロントエンド(簡略回路図:全接続の一部およびデカップリングは省略されています)

回路説明

この回路の心臓部は、18ビット、250 kSPSの電荷再配分型逐次比較A/Dコンバータ(ADC)AD7691で、単電源で動作します。

低消費電力、かつノーミッシング・コードで高速18ビット・サンプリングAD変換部、内部変換クロック、多機能シリアル・インターフェース・ポートを内蔵しています。IN+ピンとIN−ピンの電圧差をCNVの立ち上がりエッジでサンプリングします。これらのピンの電圧は通常、0VとVREF間で、逆位相で振幅します。リファレンス電圧REFは外部より与えられますが、電源電圧の範囲で変えることができます。AD7691の消費電力はスループットに比例します。

この回路ノートで行われた実験では、AD7691をSDP (システム・デモンストレーション・プラットフォームEVAL-SDP-CB1Z)に接続しています。ADCのSPI互換シリアルポートは、SDP基板上のDSPのシリアルポート (SPORT)に接続しました。

AD7691は10ピンMSOPまたは10ピンQFN(LFCSP)のパッケージです。

ADCは、入力バッファに最適な低ノイズ、低歪みのオペアンプAD8597(内蔵1アンプあたり4.8 mAの消費電流)によって駆動されます。AD8597はノイズ性能が1.1 nV/√Hzと低く、高調波歪みもオーディオ周波数帯域で−120 dB未満と低いので、オーディオ、医療、および計装用アプリケーションのプリアンプに必要な広いダイナミック・レンジを提供します。スルーレートが14 V/μs、利得帯域幅積が10 MHzと優れているので、医療用アプリケーションに最適です。

AD8597は±15 Vまでの電源電圧で動作可能です。この回路では、消費電力を最小に抑えるために+8 Vと−2 Vの電源電圧が選択されました。

AD8597は8ピンのSOICおよびLFCSPパッケージで供給されます。180 Ω抵抗と2.7 nFコンデンサがシングル・ポール327 kHzのローパス・フィルタを形成し、ノイズをさらに減らします。

このアプリケーションで使用されている電圧リファレンスはADR435です。これはXFET®電圧リファレンス・ファミリーに属しており、低ノイズ、高精度、および低温度ドリフト性能を特長にしています。特許取得済みの温度ドリフト曲率補正およびXFET(eXtra implanted junction FET)技術を使って、温度に対する電圧変化を最小に抑えています。

ADR43xファミリーは最大30 mAの出力電流をソースし、最大20 mAをシンクすることができます。トリム端子も備えており、性能に影響を及ばすことなく、0.5%の範囲で出力電圧を調整することができます。

ADR435は、8ピンMSOPまたは8ピン細型SOICパッケージで供給されます。

こうした回路構成でのダイナミック特性を以下図2と図3に示します。

SNR = 101.02dB
THD = 118.44 dB
SINAD = 100.94 dB
ダイナミック・レンジ= 101.5 dB

Evaluation Board Software Output Screen Capture
図2.評価用ボードのソフトウェアの出力画面

 

FFT Details for 1 kHz Tone Sampling at 250 kSPS
図3.250 kSPSでサンプリング時の1 kHzトーンのFFTの詳細

バリエーション回路

その他のPulSARファミリーADCでは、サンプリング・レートは異なりますが、ピン互換である差動入力18ビットの AD7690 (400 kSPS)、AD7982 (1 MSPS)、 AD7984 (1.33 MSPS)も使うことができます。

AD7986 は20ピン4 mm × 4 mm LFCSP(QFN)で供給されます。

オペアンプAD8599 はAD8597のデュアル・バージョンで、必要ならこの回路で使えます。

ADA4841-1(シングル)および ADA4841-2 2(デュアル)は消費電力がさらに低いオペアンプですが(1アンプあたり1.1 mAの消費電流)、ノイズがわずかに高くなります(2.1 nV/√Hz)。

ADA4941-1 は差動入力の18ビットADCを駆動するように最適化されており、1アンプあたり2.2 mAの消費電流で、ノイズは10.2 nV/√Hzです。

PulSARシリーズのADCの概要と推奨ドライバに関しては、 PulSAR® Analog-to-Digital Converter Evaluation Kitを参照してください。

リファレンス電圧は、ADR43xファミリーや他のファミリーのものが弊社の製品ポートフォリオからご覧いただくことができます。

入力にバイアスを与えるVCM信号を発生するにはバッファを使うのが普通ですが、この回路ではバッファを必要とせずに、期待された性能を達成しました。

回路の評価とテスト

必要な装置(相当品で置き換え可)

  • EVAL-CN0261-SDPZ 評価用ボード
  • システム・デモンストレーション・プラットフォーム(EVAL-SDP-CB1Z)
  • 関数発生器、Audio Precision社のSYS-2522
  • 図4に示されているような外付け10 nFセラミック・フィルタ・コンデンサ
  • 電源:+8 V @ 50 mA、−2 V @ 50 mA、+5 V @ 500 mA。
  • USBポート付きWindows® XP、Windows Vista®(32ビット)、またはWindows® 7(32ビット)搭載PC


セットアップとテスト

AC性能測定用の評価環境の構成を図4に示します。EVAL-CN0261-SDPZボードは、示されているDC電源によって駆動されます。ボードのドキュメント一式に関してはwww.analog.com/CN0261DesignSupportを参照してください。

この図4に示す構成で周波数応答の測定しました。フルスケールの0.5 dB下の入力信号レベルで1 kHzトーンを出力するように、Audio Precision社のSYS-2522を設定しました。外付け10 nFコンデンサは、信号発生器出力のローパス・ノイズ低減フィルタとして機能します。評価ボードのソフトウェアを使って、FFTデータをキャプチャして解析しました。

ソフトウェア解析機能が評価ボードのソフトウェアに含まれているので、ユーザーはAC性能またはDC性能のデータをキャプチャして解析することができます。

AC性能に加えて、評価ボードのソフトウェアにより、ユーザーは波形データを解析し、測定された入力信号のヒストグラムを作成することもできます。

Test Setup for Measuring AC Performance
図4.AC性能測定のセットアップ