質問:
最近のRAQに 電流トランスが登場しました。 電流トランスはどんなもので、 どう使用するのですか?
回答:
電流トランス(CT)は通常のトランスですが、少し使い方が異なります。教科書には載っていますが、多くの技術者は見落としてしまうようです。私は電流トランスを使って電気掃除機の電源を入れています。
一般にトランスとは、1:Nの巻数比で、磁気的に結合した2本のコイル(1次と2次)で構成されています。1次側のAC信号電圧Vから2次側の信号電圧N×Vを生成します。
トランスを電流トランスとして使用する場合、1次側からAC電流を流します。架空の理想的トランスであれば、2次側の短絡電流は入力電流に比例し、巻数比に逆比例します。
2次側を短絡せず、抵抗に接続すれば、抵抗値があまり大きくないと想定する限り、この関係が成立します。この方法で、2次側のAC電流を測定できます。そこから1次側のAC電流を推定できるため、絶縁型回路でAC電流を測定することができます。
電流トランスの設計はふつうごく単純ですが、極端なもの(AC+DC測定、高電圧、低損失測定)については注意が必要です。ライン周波数やオーディオ周波数では、一般的な部品店で購入した小さな鉄心トランスに巻線を足すスペースがあるならば、それで十分な場合がほとんどです。既存の巻線のまわりにフックアップ・ワイヤを1~5回巻き、新しい1次コイルを作って使います。市販の電流トランスは一般に環状巻鉄心で出来ており、環状体の中心を通るワイヤが一次側になります。この環状体をヒンジで連結しているものもありますが、その場合はこれを開いて一次側を挿入します。
トランスのコアが飽和しないように、2次側の抵抗値を十分に低く抑える必要があります。抵抗値が低いほど、所定のトランスの可能な動作周波数が低くなります。抵抗帰還を持つオペアンプの反転入力にトランスの出力を接続した場合、抵抗値が非常に低いため、最小動作周波数もかなり低くなります。オペアンプを負荷として、わずか50/60 Hzでミニチュアの電流トランス(200 Ω負荷で10 kHzの仕様)を使用することもできます。
AC電流を測定するだけでなく、電流トランスは制御目的で電流を検出することもできます。たとえば、私は木工用電動のこぎりの電流を検出して集塵用の電気掃除機を動作させています。電流トランスは、家庭の電力監視(電力量計)に広く使用されています。