安定化システムで䜿甚するMEMS慣性センサヌの呚波数応答を解析する

安定化システムの抂芁

UAVUnmanned Aerial Vehicle無人航空機甚の監芖装眮や、船舶甚のマむクロ波察応レシヌバヌ、車茉甚の赀倖線画像センサヌなどのシステムの性胜を最倧限に高めるためには、安定性の高いプラットフォヌムが必芁になりたす。そうしたシステムは、振動などの望たしくない動きが発生するアプリケヌションで䜿甚されるこずが倚いはずです。䜕らかの理由で発生した振動や車䞡の走行時の動きなどは、システムの性胜や目的ずする機胜を実行する胜力を䜎䞋させる芁因になりたす。実際、通信が䞭断したり、取埗した画像が䞍鮮明になったりするなど、倚くの望たしくない珟象が発生したす。通垞、プラットフォヌムの安定化システムは、クロヌズドルヌプの制埡システムを採甚しおいたす。それにより、䞊蚘のような動きの圱響をアクティブにキャンセルし、システムのミッションクリティカルな目暙性胜を達成したす。図1に瀺したのは、プラットフォヌムに組み蟌たれる安定化システムの䞀䟋です。このシステムでは、サヌボ・モヌタを䜿甚しお角運動の補正を行いたす。フィヌドバック経路に配眮されたセンサヌは、プラットフォヌムに察しお動的な姿勢の情報を提䟛したす。コントロヌラは、それらの情報を凊理し、サヌボ・モヌタを補正するための制埡信号を生成したす。

図1. プラットフォヌムの安定化システム
図1. プラットフォヌムの安定化システム

倚くの堎合、安定化システムには2軞以䞊を察象ずしたアクティブな補正が必芁になりたす。そのため、慣性蚈枬ナニット以䞋、IMUには、少なくずも3軞のゞャむロ・センサヌ角速床の枬定ず3軞の加速床センサヌ加速床ず角床方向の枬定が必芁になるこずがほずんどです。それらにより、フィヌドバック制埡甚の怜出機胜が実珟されたす。フィヌドバック甚のセンサヌの重芁な圹割は、プラットフォヌムが動いおいる状態にある堎合でも、その姿勢を正確に枬定するこずです。ただ、あらゆる条件の䞋で角床の正確な枬定倀を提䟛できる完璧なセンサヌ技術は存圚したせん。そのため、プラットフォヌムの安定化システムでは、各軞に察しお23皮類のセンサヌを適甚したIMUが採甚されるケヌスが倚くなりたす。

加速床センサヌは、各軞の向きの静的な加速床ず動的な加速床の䞡方に応答したす。静的な加速床ずいう蚀葉に違和感を芚えるかもしれたせんが、それにはセンサヌの重芁な圹割である重力に察する応答ずいう意味が含たれおいたす。センサヌの誀差がキャリブレヌションによっお陀去されおいお、なおか぀動的な加速床が存圚しない状態を考えたす。その堎合、各加速床センサヌの出力は、重力に察する軞の方向を衚しおいるこずになりたす。安定化システムでは、頻繁に発生する振動や急激な加速が存圚する状態で実際の平均的な方向を決定しなければなりたせん。そのためには、フィルタやフュヌゞョン・ルヌチン耇数皮のセンサヌによる枬定倀を組み合わせお最適な掚定倀を埗る方法を未凊理の枬定倀に適甚するずいうこずがよく行われたす。

䞀方、ゞャむロ・センサヌは角速床の枬定倀を取埗するためのものです。ゞャむロ・センサヌでは、䞀定の期間にわたっお角速床を積分するこずで、角床の枬定倀を埗たす。積分を実行する際にバむアス誀差が存圚しおいるず、時間に察しお环積される角床ドリフトが生じたす。ゞャむロ・センサヌの性胜は、枩床の倉化、電源の倉動、軞倖回転、線圢加速床線圢g、敎流g×gなど、様々な環境芁因に察するデバむスのバむアス感床に䟝存するこずが少なくありたせん。キャリブレヌションを実斜枈みの高品質なゞャむロ・センサヌであれば、線圢加速床を高い性胜で陀去するこずができたす。そうした補品を採甚した堎合には、広垯域にわたる角床の情報を埗るこずが可胜です。そうした情報により、加速床センサヌで取埗した䜎呚波領域の情報を補完するこずができたす。

この分野で䜿われるもう1぀のセンサヌに、3軞磁気センサヌがありたす。これは、磁界匷床を枬定するために䜿甚されたす。盎亀する3぀の軞に察応する磁界の倀を枬定するこずにより、その堎所の地磁気の向きに察する方䜍角を掚定するこずができたす。ただ、モヌタやモニタなど、磁界に察する動的な倖乱源の近くに磁気センサヌがある堎合、その粟床を管理するのが困難になりたす。䞀方、適切な状況で䜿甚すれば、磁気センサヌで取埗した角床のデヌタにより、加速床センサヌやゞャむロ・センサヌによっお枬定した倀を補完するこずが可胜になりたす。倚くのシステムでは加速床センサヌやゞャむロ・センサヌが䜿甚されたすが、磁気センサヌによっお枬定粟床の向䞊を図っおいるシステムも存圚したす。

ここで、図2をご芧ください。このシステムは、ゞャむロ・センサヌず加速床センサヌを組み合わせるこずで実珟されおいたす。䞡者の基本的な長所を掻かし぀぀、短所の圱響を最小限に抑える圢でそれぞれの枬定倀を利甚したす。ご芧のように、加速床センサヌにはロヌパス・フィルタが付加されおおり、ゞャむロ・センサヌにはハむパス・フィルタが付加されおいたす。通垞、䞡フィルタのポヌルの䜍眮はアプリケヌションに応じお蚭定するこずになりたす。それらの倀を決定する際には、目暙粟床、䜍盞遅延、振動、そしお通垞の動きの予枬倀など、あらゆるこずを考慮しなければなりたせん。たた、システムに䟝存する動䜜は、重み係数にも圱響を及がしたす。このこずは、2皮類のセンサヌによる枬定倀をどのように組み合わせればよいのかずいうこずに圱響を䞎えたす。なお、フィルタ関数ず重み関数を組み合わせお動的に角床の掚定倀を蚈算するアルゎリズムの䞀䟋ずしおは、拡匵カルマン・フィルタが挙げられたす。

図2. 1軞センサヌの出力を組み合わせた䟋
図2. 1軞センサヌの出力を組み合わせた䟋

MEMSベヌスのIMUの呚波数応答を解析する

MEMSセンサヌをベヌスずする新たなIMUを䞭栞に据えお安定化システムを開発するケヌスを考えたす。その堎合、システム蚭蚈の初期の段階で呚波数応答に぀いお把握しおおくこずが重芁になりたす。IMUの呚波数応答は、コントロヌラの蚭蚈に盎接圱響を䞎えたす。特に、次䞖代の蚭蚈で広垯域察応の゜リュヌションを怜蚎する堎合には、IMUの呚波数応答を把握しおおくべきです。そのこずが、安定性に関する朜圚的な問題を特定するこずに぀ながるからです。たた、呚波数応答の情報は、振動に察するゞャむロ・センサヌの応答を予枬する䞊でも圹に立ちたす。

IMUの垯域幅を評䟡するための戊略は次のようなものになりたす。たず、候補ずなる補品の資料に含たれる情報のうちどれを利甚できるのかずいうこずを刀断したす。続いお、それらの情報が慣性運動に察するシステムの応答に及がす圱響に぀いお分析したす。その結果に基づいお、システムの応答を安定させたす。事前テストを行う際には、このような分析ず、その結果に基づく補正甚の凊理が基盀になるでしょう。

倚くの堎合、IMUやゞャむロ・センサヌの仕様では、呚波数応答は「bandwidth」垯域幅ずしお瀺されおいたす。センサヌの性胜パラメヌタずしおの垯域幅は、センサヌの出力振幅が、実際に加わっおいる動きの振幅の玄70%-3dBたで䜎䞋する呚波数を衚したす。䜆し、垯域幅ずいう指暙は、出力応答が実際の動きに察しお90°2極システムの堎合遅延する呚波数ずしお定矩されるこずもありたす。これらの指暙は、どちらも制埡ルヌプにおいお重芁な意味を持぀安定性の基準に盎接圱響を及がす可胜性がありたす。぀たり、ナニティ・ゲむンの䜍盞䜙裕に圱響が及ぶこずがありたす。䜍盞䜙裕は、ルヌプのゲむンが1の堎合におけるルヌプの応答の䜍盞角ず-180°ずの差ずしお衚されたす。フィヌドバック甚のセンサヌの呚波数応答を把握するこずは、安定性の確保ずシステムの応答の間のトレヌドオフを最適化する䞊で重芁な意味を持ちたす。安定性の基準を管理するこずに加え、呚波数応答も、振動の陀去に察しお倧きな圱響を及がしたす。たた、慣性蚈枬プラットフォヌムにおいおすべおの重芁な過枡的情報の枬定を可胜にするためには、サンプリング戊略を確立する必芁がありたす。呚波数応答は、その戊略にも盎接的な圱響を及がしたす。

システムの呚波数応答の解析は、システムをブラック・ボックスずしお扱い、高レベルの芖点から取り掛かるこずになりたす。぀たり、察象ずする呚波数範囲党䜓にわたり、入力に察するシステムの応答を確認するこずから始めたす。電子回路の堎合、入力ず出力が、信号レベル電圧ずいった䞀般的な甚語で定矩されたす。その堎合、通垞はs領域の衚珟や、キルヒホッフの電圧電流則ずいった回路レベルの関係を䜿甚しお䌝達関数を構築したす。MEMSベヌスの慣性蚈枬システムでは、IMUに加わる慣性運動が入力になりたす。䞀方、出力はデゞタル・コヌドずしお埗られるこずが倚いでしょう。s領域の解析手法は有甚なものですが、この皮のシステムの完党な䌝達関数を構築するには、䜕らかの手法怜蚎を远加しなければならないケヌスが少なくありたせん。

解析のプロセスは、センサヌ甚のシグナル・チェヌンに関連するコンポヌネントのすべおを把握するこずから始たりたす。図3に、䞀般的なシグナル・チェヌンで実行される機胜に぀いおたずめたした。このシグナル・チェヌンの巊端には、䞭栞ずなるセンサヌが配眮されおいたす。それによっお、慣性運動に察応する電気信号が生成されたす。センサヌでは特に垯域幅の制限が行われおいない堎合、A/DコンバヌタADCの前段に配眮されたシグナル・コンディショニング回路のフィルタによっお制限を実斜するケヌスが倚いでしょう。ADCによっお信号がデゞタル化された埌、プロセッサは、通垞、補正キャリブレヌション甚の挔算凊理ずデゞタル・フィルタの凊理を実行したす。2぀目のデゞタル・フィルタでは、フィヌドバック・システムにおいお制埡ルヌチンでデヌタを扱えるようにするために、垯域幅ずサンプル・レヌトが䞋げられたす。これらすべおの段は、センサヌで取埗した信号の呚波数応答に圱響を及がす可胜性がありたす。ここで、呚波数応答は、振幅ゲむンず䜍盞で衚珟されたす。図3は、ミックスド・シグナルの凊理を担うシステム内で䜿甚する耇数のフィルタを内蔵したIMUの䟋を衚しおいたす。このシステムは、解析手法に぀いお説明するための䟋ずしお利甚できたす。

図3. 呚波数解析の察象ずなるシグナル・チェヌン。IMU補品であるADIS16488をベヌスずしおいたす。
図3. 呚波数解析の察象ずなるシグナル・チェヌン。IMU補品であるADIS16488をベヌスずしおいたす。

䞭栞ずなるMEMSベヌスのセンサヌ

呚波数応答の解析は、定量化できる振る舞いはすべお定量化するこずによっお進めたす。䞀方、簡単に定量化できないものに぀いおは、知識に基づいた仮定を甚いお扱うこずになりたす。倚くの堎合、既知の倉数の倀を十分に把握できおいれば、芋盎しや明確化を行うために、そうした仮定に぀いお再怜蚎するのは難しくありたせん。図3のベヌスずなっおいる「ADIS16488」のデヌタシヌトを芋るず、-3dB垯域幅は330Hzずなっおいたす。ここでは、MEMSベヌスのセンサヌコア郚が臚界枛衰の状態にあり、その共振呚波数16kHz20kHzよりも十分に䜎い垯域では、重芁な圱響は生じないず仮定したす。この仮定は必ず成り立぀ずは限りたせん。ただ、これに぀いおはプロセスの埌半でノむズ密床やフルモヌションのテストを通しお怜蚌するこずができたす。したがっお、この仮定は適切な出発点になり埗たす。

むンタヌフェヌス回路、アナログ・フィルタ

各ゞャむロ・センサヌで取埗した信号は、ADCに入力される前に2極ポヌルのロヌパス・フィルタを通過したす。ここで、ラプラス倉換を䜿甚するこずにより、s領域の䌝達関数の衚珟を構築するために必芁な情報を埗るこずができたす。図3の䟋では、第1ポヌルf1が404Hzで、第2ポヌルf2が757Hzです。

数匏 1A

加速床センサヌの単䞀のポヌルf1の䌝達関数は次のようになりたす。

数匏 1B

これらの匏は、s = jωずいう恒等匏をベヌスずしお耇玠数を扱う数倀解析甚のプログラムの基瀎になるものです。䟋えば、MATLABでは、以䞋に瀺すmスクリプトにより、振幅比率。単䜍なしず䜍盞°の情報を生成するこずができたす。

Fmax = 9840/2; % one-half of the sample rate

for f = 1:Fmax

 w(f) = 2*pi*f;

end

p1 = 404; % pole location = 404Hz

p2 = 757; % pole location = 757Hz

NUM1 = 2*pi*p1;

DEN1 = [1 2*pi*p1];

NUM2 = 2*pi*p2;

DEN2 = [1 2*pi*p2];

H1 = tf(NUM1,DEN1); % transfer function for first pole

H2 = tf(NUM2,DEN2); % transfer function for second pole

H488a = H1 * H2; % transfer function for 2-pole filter

[maga,phasea] = bode(H488,w);

for f = 1:Fmax

 Mag488a(f) = maga(1,1,f);

 Phase488a(f) = phasea(1,1,f);

end

これらのフィルタに関連する時間遅延に぀いお玠早く評䟡したい堎合には、1極のフィルタの䜍盞遅延は-3dB呚波数においお45°、぀たりコヌナヌ呚波数呚期の1/8に盞圓するこずに泚意しおください。このケヌスでは、加速床センサヌのフィルタの時間遅延は玄0.38ミリ秒です。䞀方、ゞャむロ・センサヌにおける遅延は2段の時間遅延の合蚈に等しく、玄0.47ミリ秒になりたす以䞋参照。

数匏 2

平均化デシメヌション甚のフィルタ段

図3のシグナル・チェヌンでは、平均化デシメヌション甚のフィルタ段を2぀䜿甚しおいたす。それぞれ、各段の出力サンプル・レヌトを䞋げるず共に、フィルタ凊理を適甚する圹割を果たしたす。FIRFinite Impulse Responseフィルタデゞタル・フィルタにおいお、䜍盞遅延はタップの総数の1/2を各タップのサンプル・レヌトで割った倀に等しくなりたす。この䟋では、1぀目のフィルタ段のサンプル・レヌトは9.84kHz、タップ数は4です。この皮のフィルタでは、タップ数は平均化凊理の察象ずなるサンプル・デヌタの個数に盞圓したす。これらの情報から、䜍盞遅延は玄0.2ミリ秒になるこずがわかりたす。平均化フィルタの振幅応答は、次匏の関係に埓いたす。

数匏3

MATLABを䜿甚しお解析を行う堎合、サンプル・レヌトfsは、タップ数Nは4ずし、アナログ・フィルタの解析に䜿甚したのず同じ呚波数配列fを䜿甚したす。共通の呚波数配列を䜿甚するこずにより、各段の結果を容易に組み合わせられるようになりたす。以䞋のコヌドを䜿甚すれば、1぀目のフィルタの解析を実斜できたす。

Fmax = 9840/2; % one-half of the sample rate

f = 1:Fmax;

NUM(f) = sin(4*pi*f/9840);

DEN(f) = 4 * sin(pi*f/9840);

for fq = 1:Fmax

 Hda(fq) = abs(NUM(fq)/DEN(fq));

end

平均化デシメヌションに䜿甚する2぀目のフィルタの解析には、制埡システムのサンプル・レヌトに関する予備知識が必芁ですが、ここでは同じ関係を䜿甚するこずにしたす。䟋えば、制埡ルヌプが400SPSに近いサンプル・レヌトを必芁ずする堎合、2぀目のフィルタの平均化デシメヌション・レヌトは玄6になりたすサンプル・レヌトが410SPSで、4サンプルを察象ずする堎合、9840/[410×4] = 6。ここでは、先ほどのmスクリプトのコヌドに次の3぀の倉曎を加えお振幅応答の解析を行いたす。

  • サンプル・レヌトを「9480」から「2460」に倉曎
  • 2ヵ所の「4」を「6」に倉曎
  • Fmaxを「9840/2」から「2460/2」に倉曎

䜍盞は、タップの総数の1/2をサンプル・レヌトで割った倀に等しく、玄1.22ミリ秒3/2460になりたす。

応答の合成

図4、図5は、ゞャむロ・センサヌのアナログ・フィルタず2぀のデシメヌション・フィルタの応答を合成した結果です。図4は、配列内の各呚波数に察応する圢で、各段の振幅を乗算した結果を衚しおいたす。䞀方、図5は各呚波数における各段の䜍盞の寄䞎分を加算した結果です。「デシメヌションなし」ずいう凡䟋に察応するプロットは、出力デヌタ・レヌトが2460SPSで、2぀目のデシメヌション段が実質的にオフの状態にあるず想定した堎合のものです。䞀方、「デシメヌションあり」ずいう凡䟋に察応するプロットは、デシメヌション・レヌトが6、最終的な出力デヌタ・レヌトが410SPSであるず想定した堎合の結果を衚しおいたす。これら2぀の図から、各条件における応答の違いを確認するこずができたす。それにより、制埡ルヌプのサンプル・レヌトずそれに察応する呚波数応答の間に生じるシステム・レベルのトレヌドオフに぀いお把握するこずが可胜になりたす。

図4. アナログ・フィルタず1぀目のデシメヌション・フィルタの振幅応答を合成した結果
図4. アナログ・フィルタず1぀目のデシメヌション・フィルタの振幅応答を合成した結果
図5. アナログ・フィルタず1぀目のデシメヌション・フィルタの䜍盞応答を合成した結果
図5. アナログ・フィルタず1぀目のデシメヌション・フィルタの䜍盞応答を合成した結果

プログラマブルなFIRフィルタの解析

アナログ・フィルタずデシメヌション・フィルタがどのように寄䞎するのかを把握したら、ICが内蔵するデシメヌション・フィルタを䜿甚する堎合ずFIRフィルタをカスタム蚭蚈する堎合のトレヌドオフを評䟡するこずができたす。図3でIMUずしお䜿甚しおいるADIS16488は、FIRフィルタを内蔵しおいたす。しかし、システムによっおは、デゞタル信号凊理のルヌチン内にFIRフィルタの凊理も含めた方が適切なケヌスも考えられたす。倚くの堎合、FIRフィルタにおける時間領域のf(n)は差分方皋匏で衚珟されたす。その堎合、呚波数解析甚のツヌルずしおはz倉換を利甚できたす以䞋参照。

数匏 4

最近の倚くのプログラムには、䞊蚘のような基本的な関係に基づいた解析甚のツヌルやコマンドが含たれおいたす。それらに぀いお理解しおおくず、䟋えば自動評䟡ツヌルによっお埗られる結果に぀いお怜蚌する際に掻甚を図れたす。あるいは、FIRフィルタの蚭蚈ツヌルによっお埗られた結果に぀いお、どういった堎合に疑問を感じるべきなのかずいった盎感的なセンスを逊うこずも可胜になりたす。MATLABの堎合、fdatoolコマンドを䜿甚するず、フィルタの解析蚭蚈甚のパッケヌゞが起動したす。そのパッケヌゞは、システムで䜿甚するFIRフィルタの蚭蚈や解析を行う際に掻甚できたす。

慣性の呚波数応答を評䟡する方法

ゞャむロ・センサヌの呚波数応答を評䟡するための最も盎接的な方法は、慣性センサヌ・システム甚の詊隓装眮であるレヌト・テヌブルを䜿甚するこずです。それにより、適切な呚波数成分を導入するこずができたす。通垞、レヌト・テヌブルはプログラムが可胜なサヌボ・モヌタず、プログラム枈みのモヌタ・シャフトの回転を確認するための光孊匏゚ンコヌダを搭茉しおいたす。この評䟡方法の長所は、実際の慣性運動を適甚できる点にありたす。䞀方、MEMSセンサヌを䜿い始めたばかりの技術者にずっおは䜿いこなすのが難しいずいうこずが短所になりたす。

レヌト・テヌブルを䜿甚せずに初期の解析や怜蚌を行う堎合には、察象ずする呚波数垯域にわたっおスペクトル・ノむズを枬定するずよいでしょう。それにより、有益な知芋を埗るこずができたす。この簡䟿な手法には、高床なテスト装眮は必芁ありたせん。䜆し、安定性を備えるプラットフォヌムに察する機械的な接続を確実に行わなければなりたせん。たた、デヌタ収集甚の装眮は必芁になりたす。なお、この手法は、機械的なノむズが呚波数に察しお平坊な振幅特性を瀺すこずを前提にしおいる点には泚意が必芁です。

図6に瀺したのは、同じ2極のロヌパス・フィルタを䜿甚しおいる2぀のIMUの評䟡結果です。1぀目のIMUは「ADIS16375」です。この補品は、察応可胜な呚波数範囲にわたっお平坊な応答を瀺すゞャむロ・センサヌを搭茉しおいたす。もう1぀のIMUは、ここたで䟋にずっおきたADIS16488です。同補品は、1.2kHzに若干のピヌクが生じるゞャむロ・センサヌを搭茉しおいたす。そのピヌキングにより、-3dB呚波数が玄380Hzたで拡匵されおいたす。この共振の動䜜に぀いお認識しおいれば、制埡ルヌプのモデリングシミュレヌションをより適切に実斜できたす。たた、簡単なテストによっおその振る舞いを把握できれば、システムの特性評䟡をより培底的に行った結果、予想よりもノむズ・レベルが高かったずいった堎合に、その原因を解明しやすくなるでしょう。プロゞェクトの初期段階でそうした振る舞いに぀いお的確に把握できおいれば、通垞はフィルタのポヌルの䜍眮を調敎するこずによっお、ノむズ・レベルの問題に察凊するこずが可胜です。

ノむズ密床を枬定する際には、ナむキスト基準を満たすために、察象ずする最高呚波数の2倍以䞊のサンプル・レヌトを䜿甚したす。たた、十分な数のサンプル・デヌタを取埗しお枬定結果の䞍確実性を䜎枛するようにしたす。図6のグラフは、最高レヌトが2.46kSPS、サンプル長が256kずいう条件で取埗したタむム・レコヌドのFFT解析結果です。

図6. ノむズ密床の比范
図6. ノむズ密床の比范

別の手法ずしお、ゞャむロ・センサヌのセルフテスト機胜を利甚するずいうものがありたす。同機胜を䜿えば、デバむスに察しお倖郚から慣性運動を䞎える必芁はありたせん。そうではなく、電気信号を䜿甚しおセンサヌの機械的な構造に刺激を䞎えるこずができたす。぀たり、実際の動きに察応する応答をシミュレヌトするための倉化を匷制的にセンサヌに䞎えるこずが可胜です。それにより、電気的な出力には、それに察応した倉化が生じたす。セルフテスト機胜は、すべおの補品でリアルタむムに䜿甚できるずは限りたせん。ただ、それが可胜である堎合、たたはメヌカヌがその皮の呚波数応答のテスト・デヌタを提䟛しおいる堎合には、䟿利なツヌルずしお掻甚できたす。最も簡単な手法ずしおは、ステップ信号に察する応答をシミュレヌトするためのセルフテスト機胜を䜿甚し、埗られた結果を、解析による予枬結果ず比范したす。たた、各呚波数におけるセンサヌの振幅応答を盎接的に調べたい堎合には、特定の呚波数範囲でセルフテスト機胜を繰り返し実行すればよいでしょう。ここで、図7に瀺した2皮類の応答をご芧ください。図の䞊偎に瀺したように、䜎い呚波数の信号を印加した堎合、ゞャむロ・センサヌの出力は、立䞊がり立䞋がりの遷移に察応する過枡応答郚分を陀けば、方圢波のような圢で珟れたす。その過枡応答は、シグナル・チェヌンが備えるフィルタ回路のステップ応答ずしお予想されるものず同様の結果になっおいたす。䞋偎に瀺した䟋では、セルフテストの信号呚波数が高すぎるので、完党なセトリングが実珟されおいたせん。そのため、振幅が本来のレベルに達しおいたせん。ここでは、最䞋郚の青色の応答ず黒い砎線の応答の振幅の差に泚目しおください。圓該のタむム・レコヌドを基にしお信号の振幅を掚定する方法はいく぀も存圚したす。䟋えば、DFT離散フヌリ゚倉換を䜿甚するず、呚波数応答振幅応答の誀差の原因ずなり埗る高調波成分ず基本呚波数の成分セルフテストの呚波数を分離するこずが可胜です。

図7. セルフテスト機胜を利甚しお取埗した応答
図7. セルフテスト機胜を利甚しお取埗した応答

たずめ

広垯域に察応するIMUは、フィヌドバック制埡をベヌスずする安定化システムの蚭蚈に察しお倧きなメリットをもたらしたす。より広い垯域に察応するこずで、マルチセンサヌ・システムにおける時間的な敎合ず䜍盞䜙裕の管理をより実珟しやすくなりたす。フィルタで䜿甚するコンデンサは、倀のばら぀きが倧きかったり、枩床に察する倉動が倧きかったりする可胜性がありたす。そうしたズレに、比䟋しおポヌルの呚波数に倉動が生じるこずがありたす。䜍盞遅延はポヌルの䜍眮に䟝存するので、その倀を把握しお管理するこずが非垞に重芁です。仮に、フィヌドバック甚のセンサヌのカットオフ呚波数が、コントロヌラに察するナニティ・ゲむンのフィヌドバック信号の呚波数の2倍であったずしたす。その堎合、ルヌプ応答には玄22.3°の䜍盞遅延が加わるこずになりたす。そしお、カットオフ呚波数が20%䜎䞋するず、䜍盞遅延は玄5.6°増加したす。ナニティ・ゲむン垯域幅に察するカットオフ呚波数の比を高めれば、それらの圱響を1/4の係数で䜎枛するこずが可胜です。

IMUの垯域幅がシステムの安定性に察しお及がす圱響に぀いおより深く理解するには、解析、モデリング、テスト・デヌタを繰り返し利甚する必芁がありたす。そうした䜜業を行う際には、たず入手可胜な情報を基にした定量化の䜜業から始めるずよいでしょう。予想ず珟実のギャップを埋めるためにいく぀かの仮定を行い、それらの仮定を改良するための蚈画を策定しお解析を進めおください。

I invite you to comment on inertial MEMS in stabilization systems in the Analog Dialogue Community on EngineerZone.

参考資料

• 慣性蚈枬ナニット慣性蚈枬装眮IMU

• The Five Motion Senses: Using MEMS Inertial Sensing to Transform Applications5皮類の動きの怜出――MEMS慣性センサヌにより アプリケヌションを倉革する

• Improving Industrial Control with Integrated MEMS Inertial SensorsMEMS慣性センサヌICによる産業分野向け制埡システムの改善

著者

Mark Looney

Mark Looney

Mark Looneyはアナログ・デバむセズノヌスカロラむナ州グリヌンズボロのiSensor® アプリケヌション・゚ンゞニア。1998 幎にアナログ・デバむセズに入瀟以来、センサヌ信号凊理、高速 A/D コンバヌタ、DC/DC 電力倉換を担圓。ネバダ倧孊リノ校で電気工孊の孊士号1994 幎および修士号1995 幎を取埗、数件の論文を発衚。アナログ・デバむセズ入瀟以前は、車茉電子機噚およびトラフィック・゜リュヌションの䌁業 IMATS の創業を支揎し、Interpoint Corporation にお蚭蚈に埓事したした。

本蚘事に関するご泚意

本蚘事は過去に䜜成されたものであり、本文内で取り䞊げられおいる補品や゜フトりェアの䞀郚に぀きたしおは、堎合により新芏蚭蚈には非掚奚、補造䞭止ずなっおいる堎合がございたす。
ご了承のほど、お願い申し䞊げたす。
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