産業用イーサネット物理層デバイス
アナログ・デバイセズの業界をリードする低遅延、低消費電力のPHY技術は、サイクル回数とシステムの消費電力を削減することで、決定論的アプリケーションにおけるデータ伝送と信号の完全性を最大限に向上します。この技術は、産業用ネットワーク間の信号の同期に優れており、TSNの開発を支援します。
超低消費電力10BASE-T1L製品のこのポートフォリオにはPHYとMAC PHYの両方のソリューションがあり、設計時の柔軟な選択を可能にすると共にシステムの使用可能電力の最適化を支援します。独特のMAC PHY技術により、以前からあるイーサネット・インターフェースをサポートせず代わりにSPIを介して接続を行う、既存の低消費電力プロセッサ技術が再利用できるようになります。
ADI Chronous PHY製品は、EMCおよび堅牢性に関する徹底的なテストを完了しており、予測可能でセキュリティの高い通信が必要なアプリケーションに最適なものとなっています。産業用イーサネット物理層デバイスは、拡張工業用周囲温度範囲にわたり動作するよう設計されており、現在および将来の産業用イーサネット・アプリケーションに最高レベルの信頼性を提供します。
10BASE-T1Lとは
IEEE 802.3cg™-2019規格が10BASE-T1L接続を規定します。単一ペア・イーサネット(SPE)媒体規格であり、1秒あたり10メガビットの通信を実現し、最長1kmの単一のツイスト・ペア・ケーブル上で電力とデータを使用可能にします。
アナログ・デバイセズのChronous™ポートフォリオの1つである、10BASE-T1L物理層トランシーバーは、エッジ・ノードへのイーサネット接続と直接IPアドレス指定を可能にします。当社の技術により、システムを制御するためのプロセス変数またはビル・パラメータについて新しい知見を伝達できます。これにより、プロセス制御におけるアセット利用が最適化され、ビル管理効率が向上します。
アプリケーション・レベルの価値
低コストの単一のツイスト・ペア・ケーブル
このケーブルは、軽量で低コスト、標準のCATxケーブルよりも小型で、多くの場合、設置も容易です。10BASE-T1L技術により、既存の一部の単一のツイスト・ペア・ケーブル・インフラストラクチャを再利用できます。
1kmの伝送距離
フィールド・センサーは遠隔地に配置されることが多いですが、既存のイーサネット物理層技術では通常100メートルに制限されます。伝送距離が延びたことで、より長距離のデバイス接続が可能になります。
10Mbpsによる新しい知見
4mAから20mAへ、またはフィールド・バスのように、技術と共に帯域幅が著しく増加することで、リモート・ノードから新しい知見を転送できるようになりました。
電力とデータを2本のワイヤで
フィールド・センサーには電力が必要なため、遠隔地ではケーブルで電力を供給できることが重要です。この規格は、本質安全アプリケーションでは最大500mWの電力、非本質安全アプリケーションでは60Wまでの電力の供給を促進しています。これはケーブルによって異なります。
本質安全アプリケーション
本質安全アプリケーションのゾーン0/ゾーン1領域での配備をサポートしているため、イーサネットを危険な場所まで延長できます。
10BASE-T1Lによる新しいデータ、新しい知見
長距離、単一ペア・イーサネットの10BASE-T1L物理層デバイスは、インダストリ4.0バージョンのシームレス接続の実現に向かう革新的なものを提供しています。この技術は、イーサネット接続を遠隔地のエッジ・ノードまで延長することで、新しいデータ・ストリーム、追加のプロセス変数、および送信される補助測定値を有効にします。

産業用物理層デバイス(PHY)とは?
産業用イーサネットPHYは、OSIネットワーク・モデルに基づいてイーサネット・フレームを送受信するための物理層トランシーバー・デバイスです。イーサネットは、OSIモデルでは第1層(物理層)および第2層(データ・リンク層)の一部を受け持ち、IEEE 802.3標準によって定義されています。物理層は、種々の電気信号、信号速度、メディアおよびコネクタのタイプ、ネットワーク・トポロジの仕様を規定し、1000BASE-T(1000Mbps)、100BASE-TX(銅線使用で100Mbps)、および10BASE-T(10Mbps)標準のイーサネット物理層部分を担います。
データ・リンク層はメディアを介した通信方法と、送受信されるメッセージのフレーム構造に関する仕様を規定します。すなわち、ビット・ストリームからデータを取り出すには、ビットをどのようにワイヤから取り出し、どのようなビット配列にするのかを示します。イーサネットでは、これをメディア・アクセス制御、または略してMACと呼びます。
産業用PHYを選択する際の重要な考慮事項
産業用イーサネット物理層デバイスの自動化アプリケーションには、高い信頼性とネットワークの回復力を確保する上で欠かせない重要機能がいくつかあります。
産業用PHY選択時の重要な考慮事項
性能
ネットワーク・サイクル時間は、コントローラがすべてのデバイスのデータ・メモリを収集して更新するために必要な通信時間です。低遅延のPHYでは、ネットワーク・サイクル時間が短くなるため、ネットワークの更新時間が短縮されると共にネットワークに接続できるデバイス数が増加します。
堅牢性
PHYは、過酷な動作環境下に置かれた場合、外部の放射ノイズ源および伝導ノイズ源に対する耐性を備えるように構築されます。CISPR 32およびIEC 61000-4-2~IEC 6100-4-6などのEMI/EMC標準に従ってテストされ、適合した製品を選択してください。この堅牢性が、認証を得るために後の開発フローで延々と再設計を繰り返すことを回避する助けとなります。
低消費電力
産業用アプリケーション向けデバイスは、通常、IP65等級またはIP66等級で埃や湿気から保護されています。そのため、空気の流れが抑制され消費電力に制限が生じます。また、これらのデバイスは産業環境でしばしば高い周辺温度にさらされます。ライン・トポロジやリング・トポロジには2つのポートと2つのPHYが必要であるため、消費電力はデータの入出力で2倍になります。
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