起電力とオペアンプ

質問:

オペアンプを+10V 単電源で動作させてもいいですか? それとも、±5V 両電源を使わなければなりませんか?

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回答:

このご質問は、RAQ(めったにない質問)よりもよくお受けしますが、FAQ(よくある質問)ほどしょっちゅうというわけではありませんので、ここで取り上げてみるのもいいだろうと考えました。答えは「イエス」とも言えるし、「ノー」とも言えます。そのとおり、たしかに+10V 電源を使用できます。しかし、あえてそうしたいというのでない限り、±5V のバイポーラ電源を使用する必要もありません。バイポーラ電源を使えば楽になりますが、それぞれの電圧方式を使用することの意味を理解する必要があります。 

電源電圧、電位差、起電力など(「起電力」という呼び名、これが私は好きなのですが、いいでしょう?)、呼び名はどうであれ、覚えておきたい重要なことは、アンプ電源ピン間の電圧が問題だということです。オペアンプにはグラウンド・ピンがないため、+10Vなのか、±5Vなのか、+7Vと-3Vなのか、その違いを区別できません。いずれの場合も、電源ピン間は10Vだと判断します。しかし、電源電圧によってアンプの動作ポイントが決まります。動作ポイントは一般に電源中央値であり、+10V単電源では+5V、±5V 電源では0Vとなります。

しかし、なぜ電源中央値なのでしょうか?信号の入力範囲と出力振幅の範囲を決めるのは、最終的には電源レールです。オペアンプを電源中央値で動作させれば、入力ダイナミックレンジと出力振幅の両者を最大にすることができます。ほとんどの信号源と負荷はグラウンド(対称的なバイポーラ電源では0V または電源中央値)を基準にするため、バイポーラ電源での動作のほうが簡単です。この場合、入力信号源、出力負荷、オペアンプのいずれも、同じ基準ポイントを持ちます。一方、単電源を使用すると、入力と出力のレンジが0Vからシフトするため、新しい動作ポイントを定める必要があります。動作ポイントは、アンプの入力レンジと出力振幅が可能な範囲内ならどこでもかまいませんが、入力レンジと出力振幅を最大にするため、一般には電源中央値になってしまいます。お分かりかと思いますが、信号が今やDCレベル(電源中央値)の上に乗っているため、少し面倒なことになります。このDC レベルは入力と出力で分離したり(AC 結合)、システムによって対処したりすることができます。

このような疑問が生じたときに一番よい方法は、とにかくデータシートを読むこと、そして単電源アプリケーションでアンプを使用することに含まれる意味合いを十分に理解することです。「フォースがあなたとともにあらんことを!」つまり、「起電力が」ということです。

John Ardizzoni

John Ardizzoni

John Ardizzoniは、アナログ・デバイセズの高速リニア・グループの上級アプリケーション・エンジニアです。 マサチューセッツ州ノースアンドーバーのメリマック・カレッジでBSEE(電子工学士)を取得し、2002年にアナログ・デバイセズに入社しました。エレクトロニクス業界で30年以上のキャリアがあります。