質問:
レール to レール・オペアンプで 単電源動作というと、成功間違いなしの 組み合わせのように思われますが、 このようにアンプを使用した場合 どんな欠点が予想されるでしょうか?

回答:
単電源でレールtoレール出力とは、すばらしい組み合わせです。しかし、パラメータの中には、もうちょっと検討したほうがよいものもあります。ご質問では、単電源アンプという特定のクラスのアンプのことなのか、それとも従来のオペアンプを単電源で動作させる場合のことなのかわかりませんが、ここでは両方の場合についてご説明しましょう。
定義上、真の単電源オペアンプとは1個の電源で動作するものであり、アンプの入力同相電圧範囲には負電源レールが含まれます。ちなみに、アンプの入力が負側レール以上までになることがあるとしても、出力もそうなるというわけではありません。これについては、レールtoレール出力についてご説明するときにもっと詳しく述べましょう。
どんなアンプも単電源で動作します。オペアンプにはグランド・ピンがなく、バイポーラ電源でも単電源と同じように問題なく動作します。ただし、この構成でアンプを動作させるには、バイアス回路を追加する必要があります。その結果、アンプの性能が若干劣化し、帯域幅が低くなり、電源電圧変動除去(PSR)も低くなり、ノイズが大きくなることがあります。
「レールtoレール出力」という名前は間違っており、アンプ出力は電源レールに近づきますが、電源レールに達するわけではありません。バイポーラ・アンプでは、レールtoレール出力段は一般にコモン・エミッタ形状となっているため、出力電圧がレールに最も近くなるポイントはトランジスタが飽和状態の際のドロップ電圧Vcesatになります。Vcesatの値は、アンプによって出力される負荷電流の値に依存します。電流が小さいと、出力はレールの数十mVの範囲内になりますが、電流が大きい場合はVcesatが0.5V以上になります。新しいアンプの中にはVcesatドロップを補償するオンチップ・チャージ・ポンプを搭載しているものもあり、その場合は出力が本当にレールまで達します。
オシロスコープで測定すると、アンプの出力が電源レールに近づいても問題なく思われますが、ネットワーク・アナライザを使うと別の結果が出ることがあります。出力がレールの近くでスイングすると、出力トランジスタの動作が直線領域から外れます。その結果、歪みが発生します。歪みは、レールから数百mVで発生することがあります。したがって、できればレールから少し余分にヘッドルームを持たせて設計してください。このようにすると、アンプの歪み性能を改善できます。