AD5933と AD5934は内蔵プログラマブル周波数発生器と12 ビット、1 MSPS (AD5933) または 250 kSPS (AD5934) のA/Dコ ンバータ(ADC)を組み合わせた高精度インピーダンス・コンバ ータのシステム・ソリューションです。このプログラマブル な周波数発生器を使うと、既知の周波数で外部の複素インピ ーダンスを励起することができます。
図1 に示した回路を使うと低Ω レンジから数百kΩ までの正 確なインピーダンス測定値を得られ、AD5933/AD5934 全体の 精度を最適化します。
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図1 インピーダンス測定の精度を最適化した信号チェーン(簡略化した回路、全ての接続やデカップリングは示されていません)
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AD5933 と AD5934 には4 つの設定可能な出力電圧レンジがあ ります;各レンジはそれらに対応する出力インピーダンスが あります。たとえば、出力電圧1.98 V p-p の出力インピーダ ンスは200 Ωtyp です(表1 を参照)
この出力インピーダンスは(特に低Ω レンジで)インピーダ ンスの測定精度に影響があるので、ゲイン係数を計算する時 には考慮する必要があります。ゲイン係数の計算についての 詳細は、AD5933 または AD5934 のデータシートを参照してください。
シグナル・チェーン内に示す簡単なバッファにより出力イン ピーダンスの未知インピーダンス測定に対する影響を防止す る事ができます。AD5933/AD5934の励起周波数に対応できる ように、十分な帯域幅のある低出力インピーダンス・アンプ を選択する必要があります。CMOS オペアンプ AD8605/ AD8606/ AD8608 ファミリーを使って、実現可能な低 出力インピーダンスの例を図2.に示します。このアンプの出 力インピーダンスはAV =1 の場合( AD5933/AD5934の最大 動作範囲である)100 kHz まで1 Ω 以下です。
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図2.AD8605/AD8606/AD8608 の出力インピーダンス
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送信段のDC バイアスを受信段へマッチングさせる
AD5933/AD5934 の4 種類のプログラム可能な出力電圧レンジ
には4 つの対応するバイアス電圧があります(表2)。例え
ば、1.98 V p-p 励起電圧出力のバイアスは1.48 V です。しか
し図1 に示すようにAD5933/AD5934 の電流-電圧(I-V)受信段
の電圧はVDD/2 の固定バイアスに設定されます。つまり電源
3.3V とすると、送信バイアス電圧は1.48 V で、受信バイアス
電圧は3.3 V/2 = 1.65 V です。この電位差はテスト下のインピ
ーダンスを偏極し、インピーダンスの測定精度を悪くする可
能性があります。
1つの解決方法は低Hz 領域にコーナー周波数を持つ簡単な ハイパス・フィルタを追加する事です。送信段からDC バイ アスを除去し、AC 信号のみをVDD/2 にバイアスし直す事に よりシグナル・チェーン全体を通してDC レベルが一定に保 たれます。
受信段に最適化されたI-V バッファを選択する
信号の流れの中でAD5933/AD5934 の電流-電圧(I-V)アンプ段
でまた多少の誤差が追加される可能性があります。I-V 変換段
はアンプのバイアス電流、オフセット電圧、CMRR に敏感で
す。ユーザーはI-V 変換を行う適切な外付け個別アンプを選
ぶ事により、高CMRR で、より低バイアス電流、低オフセッ
ト電圧のアンプを選択しI-V 変換をさらに精度よくする事が
できます。その時内部のアンプは単純な反転ゲイン段として
構成できます。
抵抗FB RFBの選択は、AD5933/AD5934 データシートに説明して いるようにシステム全体のゲインに依存します。
高精度インピーダンス測定に最適化したシグナル・
チェーン
図1 は低インピーダンスのセンサーを測定するために提案さ
れた回路です。AC 信号は超低出力インピーダンス・アンプで
バッファする前に、ハイパス・フィルタを通り、改めて別の
バイアス電圧が加えられます。信号がAD5933/AD5934 の受
信段に戻る前に外部回路でI-V 変換が行われます。必要とさ
れるバッファを決定するために必要な主な仕様は超低出力イ
ンピーダンス、単電源駆動、低バイアス電流、低オフセット
電圧、高いCMRR 性能です。いくつかの推奨デバイスとして
ADA4528-1、AD8628/AD8629、 AD8605、AD8606 があります。
基板レイアウトにより、1 チャンネルまたは2 チャンネル・
アンプを使用してください。誤差を小さくするためにバイア
ス抵抗(50 kΩ)とゲイン抵抗(20 kΩ と RFB)には高精度0.1%抵抗
を使用してください。
インピーダンス測定の精度を向上するために図1 の回路を開 発し、いくつかの例について測定しました。デュアル・オペ アンプAD8606 は送信経路の信号をバッファし、受信信号を 電流から電圧に変換します。3 つの例では、周波数依存誤差 を取り除くために各周波数インクリメントに対してゲイン係 数を計算します。このソリューションに関する回路、部品表、 レイアウト、Gerber ファイルを含む完全な設計パッケージは http://www.analog.com/CN0217-DesignSupport の中で提供され ています。使用されるソフトウエアは、評価基板とともに提 供されるソフトウエアと同じでAD5933 と AD5934 製品ペー ジからアクセスできます。
例 1:低インピーダンス・レンジ
低インピーダンスの測定の結果を図3、図4、図5 に示します。 図5 は10.3 Ω の測定値で、縦軸方向に拡大スケールで表示さ れています。
達成される精度は調整用抵抗(RCAL)を基準に未知インピー ダンスの範囲がどのくらい大きいかによります。従って、こ の例では未知インピーダンス10.3 Ω の測定値は、10.13 Ω と なり、誤差は約2%です。未知のインピーダンスに近い値の RCALを選ぶほど、より高精度の測定を達成できます;すなわ ち、未知インピーダンスの範囲がRCAL周辺を中心に狭ければ 狭いほど、測定はより高精度になります。すなわち未知イン ピーダンスの範囲が大きい場合には、未知インピーダンスの 範囲を分割するために、外付けスイッチを使用して各種の RCAL 抵抗に切り替える事で対応します。スイッチのオン抵抗、 RON誤差はRCALゲイン係数の計算時の調整により除去されま す。各種のRFB値を選択するスイッチを使用すれば、ADC か ら見た信号のダイナミック・レンジを最適化する事ができま す。
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図3. 低インピーダンス振幅の測定結果
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図4. 低インピーダンス位相の測定結果
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図5. 10.3 Ω 振幅の測定結果(拡大スケール)
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例 2:kΩ インピーダンス・レンジ
表2 にまとめたセットアップ条件に従い、99.85 kΩ のRCALを
使用して広範囲の未知インピーダンスを測定しました。図6
~図10 は高精度な結果を立証しています。
全体の精度を向上させるために、未知インピーダンスに近いRCAL値を選択してください。例えば、図9 ではZCの217.5 kΩ に近いRCALが必要です。もし未知インピーダンスの範囲 が大きい場合、RCAL抵抗を2 個以上使用してください。
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図6 ZC = 47 pF, RCAL = 99.85 kΩ の場合の振幅測定結果
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図7. ZC = 47 pF, RCAL = 99.85 kΩ の場合の位相測定結果
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図8 ZC = 8.21 kΩ, RCAL = 99.85 kΩ
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図9 ZC = 217.25 kΩ, RCAL = 99.85 kΩ
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図10. 例2 の振幅測定結果;R1, R2, R3, C5, C6
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例 3:R-C 並列回路 (R||C) の測定
R-C 並列タイプの測定もこの回路構成を使い、RCAL= 1 kΩ、 R
=10 kΩ、C = 10 nF とし、4 kHz~100 kHz の周波数範囲全体に
渡って測定して行いました。振幅と位相の測定結果 対 理想値
の曲線を図11、図12 に示します。
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図11.ZC = 10 kΩ||10 nF, RCAL = 1 kΩ の場合の振幅測定結果
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図12.ZC = 10 kΩ||10 nF, RCAL = 1 kΩ の場合の位相測定結果
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セットアップとテスト
EVAL-CN0217-EB1Z のソフトウエアはEVAL-AD5933EBZ ア
プリケーション基板で使用するソフトウエアと同じです。基
板のセットアップについての詳細はご提供するCD に含まれ
ている技術ノートを参照してください。回路の変更がある事
に注意してください。基板EVAL-CN0217-EB1Z のリンク接続
を表4 に記載します。また、RFB の位置は評価基板のR3 に
配置され、ZUNKNOWNの位置はC4 である事に注意してください。
回路には ADA4528-1, AD8628、 AD8629、AD8605、and the AD8608の ような他のオペアンプを使用する事ができます。
システム・アプリケーションのスイッチング・オプション
この特定の回路では、ZUNKNOWNとRCALを手動で交換しまし
た。しかし量産では低ON 抵抗のスイッチを使用する必要が
あります。スイッチの選択は未知インピーダンスの範囲の大
きさと測定結果に求められている精度の高さに依存します。
この回路ノートの例では1本のみの調整用抵抗を使用してい
るので、図13 に示すようにADG849のような低ON 抵抗スイ
ッチを使用する事ができます。クワッドのADG812のような
複数チャンネルのスイッチ・ソリューションも使用する事が
できます。スイッチ抵抗によって ZUNKNOWNにもたらされる誤
差は調整時に取り除かれますが、超低RONスイッチを選ぶ事
により影響をさらに最小にする事ができます。
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図13.ADG849を使用したRCALと未知のZとの間のスイッチング(簡略化した回路、全ての接続やデカップリングは示されていません)
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ご意見、ご提案などございましたら、アナログ・デバイセズ広報・宣伝部にメールにてお知らせください。 |