直列接続バッテリ・スタックの動作時間と寿命を延ばすアクティブ・セル・バランサ

大型の直列接続バッテリ・スタックは、電気自動車での電力供給や風力、太陽光発電システムでのエネルギー貯蔵などの用途でますます盛んに採用されてきています。電気自動車では100個のセルが直列に接続されていることも珍しくなく、代替エネルギー・システム用のエネルギー貯蔵装置ではさらに多くなります。通常、充放電システムからはスタック全体で1つのバッテリーとして扱われます。セルは直列スタックとして充電および放電され、各セルの充電状態(SOC)は各セルの容量とリーク電流によって変わってきます。容量の揃ったセルで構成される単一バッテリとしてセル・スタックを扱うと最初はうまく機能するかもしれませんが、時間が経つと次第に非効率なシステムとなって来ます。

 

Active Cell Balancer Extends Run Time and Lifetime of Large Series-Connected Battery Stacks

LTC3300は、大規模バッテリ・スタック内の各セルの充電状態のバランスを調整し、動作時間と容量を改善することができます。

 

バッテリ・スタックを最初に組み立てたとき、その構成セルの容量はよく揃っていますが、時間が経過すると、温度の違いなどの要因により、個々のセルは異なる速度で容量を失っていきます。単純な充放電方式を採用した場合には、容量の最も少ないセル(最弱セル)によって、スタックの動作時間が制限されます。スタックを充電すると、最弱セルはその他の強いセルより先に満充電電圧に達するので、強いセルは容量一杯まで充電されません。同様に、スタックを放電すると、最弱セルはカットオフ電圧に先に到達するので、動作時間が制限されます。

 

Tスタックの容量とその動作時間は、スタック内部にあるセル間の充電状態をバランスさせることで改善できます。2つの LTC3300-1 セル・バランサ・コントローラを使用した12セル・バランサの簡略化した回路図を図1に示します。

 

Active Cell Balancer Extends Run Time and Lifetime of Large Series-Connected Battery Stacks

図1. 12セルのバッテリ・スタック内にある個々のセルのバランスをLTC3300がアクティブに調整する仕組みの簡略回路図

 

LTC3300-1の詳細と、そのバッテリ・スタックの容量、動作時間、および寿命を延ばす劇的な効果については、

2013年1月版のLT Journalを参照してください。

Jim-Drew

Jim Drew

Jim Drew。2007年アナログ・デバイセズに入社。同社ボストン(マサチューセッツ州)の設計センターでシニア・アプリケーション・エンジニアとして勤務。アプリケーション固有パワーICのアプリケーション・サポートを担当ソーラー電力、エナジー・ハーベスティング、スーパーキャパシタ・チャージャ・アクティブ・バッテリ・バランシングなどを対象とするパワー・コンディショニング・アプリケーションに関心を持つ。これまで、EMC、Hewlett Packard、Compaq、Digital Equipment Corporationでコンサルティング・エンジニアとして勤務、パワー・システムの開発に従事。また、2017年に退職後、マサチューセッツ大学ローウェル校電子工学科の非常勤講師として教鞭をとる。ローウェル工科大学(Lowell Technical Institute、現在はマサチューセッツ大学ローウェル校)でBSEEおよびMSEEの学位を取得。