Thought Leadership

Fiona Tracey
Fiona Treacy,

シニア・ディレクタ、産業オートメーション

Analog Devices

著者について
Fiona Treacy
Fiona Treacyはアナログ・デバイセズ産業オートメーション事業部のシニア・ディレクタで、高精度アナログ技術開発チーム、市場開拓チーム、およびビジネス開発チームのリーダーを務めています。これらのチームは、すべて顧客開発を加速することに焦点を当てています。以前は、ファクトリ・オートメーションおよびプロセス制御部門、産業用コネクティビティ部門、高精度コンバータ部門、および計測器事業部門でエンジニアリング、アプリケーション、マーケティング、業務管理などの役割に就いていました。リムリック大学で応用物理学と電子工学の学士号と経営学修士号を取得しています。
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産業用イーサネットがインダストリ4.0への移行を加速


第4次産業革命により、製造施設やプロセス施設のデジタル化が進みつつあります。その結果として、製品の製造方法にも変化がもたらされます。私たちは、これまで数十年間にわたって、自動化によってもたらされるメリットを享受してきました。そして現在では、有用なデータ、機械学習、AI(人工知能)といった新たな要素を取り込んでシステムを強化しています。また、昨今の自律型システムはネットワークによって相互に接続され、データの通信、分析、解釈を実行するようになりました。得られた結果は、工場の他の領域におけるインテリジェントな判断や行動を支援するものとして活用されています。更に、スマート・ファクトリを実現することで、生産量、設備の利用率、あらゆる事柄の生産性を高めて、ビジネスの新たなスタイルを生み出そうという取り組みが進められています。例えば、新たに取得されるようになったデータ・ストリームを活用することにより、エネルギー消費と残余廃棄物の量を抑えつつ、柔軟性を高め、品質を向上させるといった具合です。エッジからクラウドまでをネットワークでつないだインテリジェントなシステムの適応力を活用すれば、マス・カスタマイゼーションをサポートすることができます(図1)。同時に、製造環境における更なる効率向上を達成することが可能になります。

インダストリ4.0を導入すれば、活用できるデータが増えて、より良い意思決定が行えるようになるとされています。必要に応じて任意のタイミングでデータにアクセスし、そのデータをオートメーション・システム全体に伝送する能力は、どのようなネットワーク技術を選択するかにかかっています。それに加えて、インダストリ4.0を導入する製造企業は、増加するデータ量に対応できるように、自社のプロセスと方法論を進化させる必要があります。相互に接続されたインテリジェントなオートメーション環境を構築するには、情報を生成して共有するシステム、マシン、ロボットなどをデジタル的に接続しなければなりません。それらの間で通信を実現できるようにするということです。各種マシンが使用する工場の通信ネットワークは、その企業の中核的要素として、インダストリ4.0を実現するためのイネーブラの役割を果たします。

Figure 1. Cloud infrastructure.
図1. クラウドをベースとするインフラ

既存のインフラでは、遠隔地に設置されたものも含めて、工場のフロア全体に分散するすべてのセンサーやアクチュエータをシームレスに接続することは不可能です。目標は、エンタープライズ・レベルでデータを取得/統合し、利用可能な知見を得ることです。その目標を達成する上での課題は、かつてないほどの量のデータを、通信ネットワークの機能に支障をもたらすことなく伝送するための手段を見いだすことです。言い換えれば、今日のオートメーション環境と工場のフロアの将来像に必要な要件を満たす産業用の通信ネットワークを導入しなければなりません。では、そのようなネットワークは、どのように設計し、構築し、導入すればよいのでしょうか。

産業用イーサネットが必要になる理由

インダストリ4.0のビジョンの中心には、接続性があると考えられます。十分に高い接続性が実現されたエンタープライズ環境を実現するためには、次のようなことを行う必要があります。まず、上位層のIT(情報技術)環境またはエンタープライズ・インフラを、工場のフロアの制御ネットワークと融合しなければなりません。次に、工場のフロアに既に存在する多種多様なネットワークや生産セルのすべてを共存させ、相互運用させる必要があります。更に、製造環境のエッジからエンタープライズ環境のクラウドに至るまで、プロセス環境の全体にわたるシームレスで安全な接続を確保しなければなりません(図2)。

これらの課題に対処するには、基盤になるネットワーク技術を導入する必要があります。その技術は、相互運用性と拡張可能性に優れ、必要な範囲を網羅できるものでなければなりません。イーサネットは、既に広く導入されており、十分に理解されている技術です。このことから、理想的なソリューションであるようにも思われます。実際、帯域幅が広く、高速なコミッショニングが可能なので、あらゆる製造環境のITインフラにも広く採用されています。

Figure 2. The merging of two worlds: information technology (IT) and operating technology (OT).
図2. ITとOTの世界の融合

しかし、リアルタイムの動作に対応しなければならないことを考えると、標準のイーサネットは、産業用の制御インフラに対して適切なソリューションだとは言えません。OT(運用技術)分野の制御ネットワークでは、送受されるメッセージが必要な場所に必要なタイミングで届くことを保証する必要があります。それによって、目の前のタスクやプロセスの正しい動作が維持されます。トラフィックをルーティングするためのTCP/IPでは、このレベルのデタミニスティックな性能は本質的に保証されていません。オフィス環境では、標準のイーサネットを採用することにより、ファイルの共有やプリンタなどのネットワーク・デバイスへのアクセスが可能になりました。それと同じように、産業用イーサネットを採用することによって、産業用コントローラは、データにアクセスし、PLC(Programmable Logic Controller)からのコマンドを、工場のフロア全体に分散配備されているセンサー、アクチュエータ、ロボットに送信できるようになります。産業用イーサネットが標準のイーサネットと異なる点としては、メッセージの遅延や不達による影響が生じないことが挙げられます。リアルタイム動作を必要としないアプリケーションでは、例えばウェブ・ページの更新が遅いといった問題があっても、その影響は最小限で済みます。しかし、製造環境では、原材料が無駄になったり、予想外の人的被害が出たりといった具合に、大きな影響が生じるおそれがあります。制御システムを正しく機能させるためには、常にオンタイムでメッセージが宛先に届けられることを保証しなければなりません。

そうした事情から、OTの制御レベルに適した技術として、産業用イーサネットが注目されるようになりました。目標は、ITネットワークと上位層のOTネットワークの間だけではなく、工場のOTネットワークの様々な階層から末端のノードであるセンサーまでをシームレスに接続することです(図3)。現在、OTネットワークの下位層から、IT/OTを融合したコンバージド・ネットワークを必要とする上位層のイーサネットまでの接続を実現するには、複雑で消費電力の多いゲートウェイが必要です。イーサネットをベースとし、工場全体のレベルで相互運用が可能なオートメーション用のネットワークがあれば、そうしたゲートウェイは不要になります。その結果、ネットワークが大幅に簡素化されます。実際、OTネットワークの上位層との間の変換と接続に使用されるプロトコル・ゲートウェイは、アドレスを直接指定することができません。そのため、ネットワークにおいて孤立を招く要因になり得ます。この孤立は、工場のフロア全体で情報を共有する能力を制限します。このことは、OT側からのテレメトリ・データを収集し、IT側の分析とビジネス・プロセスを促進したいインダストリ4.0のビジョンと相反しています。

Figure 3. Automation pyramid.
図3. オートメーションの階層

多くのベンダーは、OTネットワークに適したリアルタイム・プロトコルの提供に取り組みました。その目標は、デタミニスティックなパケット伝送とタイミングにより、制御アプリケーションにおける必須の要件を保証することです。このようなプロトコルを基に開発されたソリューションであれば、デタミニスティックなものになります。しかし、そのプロトコルは各ベンダーに固有のものなので、互換性のない多数のソリューションが乱立するという結果を招きました。つまり、異なる生産セルで異なる通信プロトコルが使用され、各生産セルの相互運用を実現できない状態に陥るということです。これは「データの孤立」、「データ・アイランド」と呼ばれる状態が続いてしまうということを意味します。必要なのは、制御用のトラフィックが損なわれないことを保証できる形で、異なるプロトコルを使用する多様な生産セルの共存とネットワークの共有を可能にするソリューションです。この課題を解決するためのものが、IEEE 802.1 TSN(Timesensitive Networking)です。TSNは、特定のベンダーに依存しないリアルタイム・イーサネットの標準規格です。その名が示すとおり、時間を重視したものとして策定されています。TSNを利用すれば、標準のイーサネットを使う場合と同等で、なおかつミッション・クリティカルなアプリケーション向けにタイミングが保証された通信を実現することができます。同規格は、あるポイントから別のポイントまで、予測が可能な固定の時間内に確実に情報を伝送できるように設計されています。つまり、TSNでは、タイムリーな伝送が保証されているということです。時間の予測が可能な通信を実現するには、ネットワーク上のデバイスが時間の概念を共有していなければなりません。TSNでは、同規格に対応する特定のイーサネット・フレームをスケジュールどおりに送信しつつ、同規格に対応していないフレームをベスト・エフォート方式で送信する手段が定義されています(図4)。このようにすることで、リアルタイムのトラフィックと非リアルタイムのトラフィックを同一のネットワーク上で共存させることが可能になります。すべてのデバイスが同じ時間を共有するので、遅延とジッタを抑えつつ、重要なデータを最速ではギガビット/秒のレベルで伝送することができます。

Figure 4. Time sensitive networking features.
図4. TSNの概要

最終的な目標は、各種プロトコルがデタミニスティックかつ確実にワイヤを共有できるコンバージド・ネットワークを構築することです。TSNは、デタミニスティックなシステムを実現するためのツールボックスとして働きます。同規格を採用すれば、標準化された信頼性の高い接続アーキテクチャに移行し、プロプライエタリなフィールドバスによるデータの孤立を排除することが可能になります。このようなネットワークの融合を実現すれば、ネットワークそのもののスケーラビリティが高まり、10Mbpsから1Gbps以上に達する帯域幅を活用して、より多くのデータを扱えるようになります。

新規の施設全体にTSNを導入するというケースもあるでしょう。しかし、既存の施設内のセルやセグメントに段階的にTSNを導入していくというケースも多いはずです。近い将来、製造現場で使用する装置のメーカーは、従来型の産業用イーサネット・ソリューションに加えて、TSNをサポートしなければならなくなるでしょう。

エッジまでの拡張

最終的には、プロセス制御アプリケーションにおいて、エッジのノードからエンタープライズのクラウドまでをシームレスに接続できるようになるはずです(図5)。おそらく、これが最も影響の大きい変化でしょう。現時点で、エッジまでの接続性は4~20mAの電流ループやフィールドバスといった既存の技術からの制約を受けています。多くの場合、その部分はハードワイヤードのポイントtoポイント接続として実装されているはずです。そのことが、時間の経過に応じてネットワークが進化/成長するための柔軟性を制限する要因になります。イーサネットをベースとしない旧来のフィールド通信には、いくつかの課題があります。まず、帯域幅がかなり限られており、伝送される情報の量と速度が制限されます。例えば、4~20mAのHART®通信では、データ転送速度がわずか1.2kbpsしかありません。また、装置に供給される電力が限られていることから、機能が制限されるケースもあります。更に、制御やITのレベルに存在するゲートウェイが極めて大きなオーバーヘッドになります。その他にも、本質的に安全なゾーン0の環境における動作や、既存の配線(ケーブル)ネットワークを利用して、より高速で安価なコミッショニングをサポートしなければならないといった課題もあります。

Figure 5. Seamless connectivity from the edge to the cloud.
図5. シームレスなエッジtoクラウドの接続

そうした課題に対応するために、10BASE-T1Lの全二重通信に向けて、IEEE 802.3cg-2019の規格策定が進められることになりました。最近承認されたこの規格では、1本のツイスト・ペア・ケーブルを使って、最大1kmの距離で10Mbpsの全二重通信を行うための仕組みと電力供給について規定しています。センサーからのデータはイーサネットのパケットとして生成され、OTインフラ/ITインフラにイーサネットのパケットとして伝送されることになります。遅延を生み、電力を消費し、コスト面でのオーバーヘッドとなる変換処理は必要ありません。図5に示したように、既存のネットワーク・アーキテクチャは、リモートのI/Oユニットをイーサネットのフィールド・スイッチに置き換える形で変更されます。イーサネットの命令は、10BASE-T1Lに対応するマルチポートのフィールド・スイッチを介して、コントローラとフィールドの装置の間で送受できるようになります。フィールドのノードで生成された知見は、イーサネットのパケット(ならびに広い帯域幅)によって、フィールド・スイッチのネットワークを介してPLC/DCS(Distributed Control System)コントローラまで、そして最終的にはクラウドまで伝送することが可能になります。

既存のフィールドバスから産業用イーサネットへの移行を後押ししているのは、それによって得られる複数の明白なメリットです。まず、その移行においては、既存のケーブル・インフラ(最長1km)を再利用できる可能性があります。そのため、導入作業が簡素化され、改修コストを抑えられます。また、従来はケーブルを介して装置に供給できる電力量が36mWまでに抑えられていました(4~20mAが実装されている場合のベスト・ケースの値)。それが、最大で60W(ケーブルに依存)まで、またはゾーン0の本質的に安全なアプリケーションの場合で500mWまで拡張されます。追加で利用できる電力により、エンド・ノードのインテリジェンスを活用する、より高機能の装置を利用できるようになります。それに加えて、アップリンクの速度を10Mbpsのレベルに高められるので、インダストリ4.0がもたらす効率を最大限に活用して、より多くの知見を得ることができます。

現時点で利用可能な技術

オートメーション用のネットワークの進化を支えるには、遅延と消費電力が抑えられた堅牢な物理層(PHY)技術と、スケーラブルなスイッチ・ファブリックを組み合わせる必要があります。アナログ・デバイセズは、産業用イーサネットの分野で最先端の位置にいます。当社は、オートメーション分野の豊富な専門知識と高度な技術を活かし、タイム・クリティカルなデータを適切に処理できるように設計された数多くのソリューションを提供します。それらのソリューションは、産業用アプリケーション全般を対象としており、シームレスな接続性と運用効率が保証されます。スケーラブルなイーサネット・ソリューションのポートフォリオであるADI Chronousは、PHYデバイス、組み込みスイッチ、複数のプロトコルに対応するソフトウェアを備えた完全なプラットフォームから成ります。すべての製品は十分にテスト/検証されており、市場投入までの時間の短縮に貢献します。

Figure 6. ADI Chronous, industry-leading Industrial Ethernet solutions.
図6. ADI Chronousの特徴。業界をリードする産業用イーサネット向けのソリューションです。
Figure 7. Cyber security for trusted data.
図7. 信頼できるデータを得るためのサイバー・セキュリティ

ADI Chronousのポートフォリオに含まれる代表的なソリューションとしては、以下のようなものがあります。

  • ADIN1200:10Mbps/100Mbps の産業用イーサネット向けPHY デバイス。業界をリードする高度な機能セットと実証済みの堅牢性を備えています。
  • ADIN1300:業界最小の遅延と消費電力を誇る 1Gbps 対応の PHY デバイス。過酷な環境に耐えられる堅牢性を備えていることが実証されています。
  • fido5200/fido5100:TSN で提供されている機能の多くをサポートする 2 ポートの組み込みスイッチ。リアルタイム動作、マルチプロトコルに対応します。TSN の機能が新たに提供された場合には、ファームウェアのアップデートによってそれを実装することが可能です。マルチプロトコル対応のソフトウェアのアップデートもサポートしています。アップデート用のソフトウェアは、ADI Chronous の開発者向けポータルで提供しています。

ADI Chronousのソリューションは、当社のお客様を念頭に置いて特別に設計されています。その目標は、システム設計を簡素化して開発時間を短縮することです。また、堅牢性が高くスケーラブルで実証済みの完全なイーサネット・ソリューションを提供することを目指しています。ADI Chronousは、このような目標を具現化したものです。

加えて、既存のフィールド・デバイスに対するネットワーク・ブリッジを提供して移行を支援するために、ソフトウェアで構成が可能なI/Oという新たな技術を開発しました。これを採用することにより、既存の装置とそれよりも上位層のイーサネット・ネットワークの間のギャップを埋められ、フィールドで構成が可能なリモートI/Oユニットを開発することができます。この新たな技術は、「AD74413R」という製品で実用化されています。

セキュリティ

セキュリティの観点から言えば、イーサネットには脆弱性が存在します。その脆弱性は、インダストリ4.0の普及に影響を及ぼす最も深刻な懸念の1つです。OTとITの間、またエッジとクラウドの間がつながると、エンタープライズ環境の全体にわたって、情報のオープンな流れが生成されることになります。したがって、ひとたびセキュリティ上の侵害が生じると、壊滅的なレベルで影響が及ぶおそれがあります。

インダストリ4.0に関する戦略を練る際には、リスク管理における基本的な検討事項として、セキュリティを取り上げる必要があります。ますます複雑になる今日のネットワークにセキュリティ対策を施す作業は、決して容易ではありません。エッジ・デバイス、コントローラ、ゲートウェイの内部からスタックの上位層までのシステム全体にわたって本質的な対策を施すには、複数の階層をまたがるアプローチが必要です。ADI Chronousは、消費電力、性能、遅延の間のトレードオフを最小限に抑えながら、システム内の各ノード・ポイントに対してセキュリティ機能を提供します。

導入までのロードマップ

ここ数年の間に、産業用イーサネットは大きく成長しました。しかし、フィールドバスをはじめとする既存のネットワーク技術もまだ広く利用されています。産業用イーサネットに基づくコンバージド・ネットワークにより大きなメリットがもたらされるということについては、誰もが認めるところです。そうしたメリットの例としては、以下のようなことが挙げられます。

  • ネットワークのアーキテクチャが簡素化されます。
  • ゲートウェイが不要になるので、コストを削減できます。
  • ハードワイヤードの接続がなくなります。
  • システムがより最適化されます。
  • システムのアップタイムが長くなります。

新しい規格の登場/承認は、待ち望まれた移行の加速に必要な触媒の役割を果たします。この移行を強く後押ししているのは、OTシステムとITシステムの統合を強化する高性能なネットワークに対するニーズです。TSNは、コンバージド・ネットワークを実現するための手段です。これを10BASE-T1Lと組み合わせれば、エッジtoクラウドのシームレスな接続を実現できます。移行は一夜にして成し遂げられるものではありません。しかし、その潜在的なメリットはかなり魅力的なものです。そのため、産業界の標準的なペースを上回る速さで移行が進む可能性があります。

インダストリ4.0のビジョンの中心にあるのは、情報を収集/送信/受信できるコネクテッド・デバイスを使用して、プロセスを自動化する能力です。ADI Chronousは、従来は得ることができなかった多くのエッジ・デバイスからのデータや知見を取得可能にします。それにより、データの分析と知見の活用の可能性を切り拓きます。そのなかで、産業用イーサネットは、オートメーション用ネットワークの全体にわたる現在/未来のデータ・ストリームを、クラウドまでシームレスに転送する役割を果たします。

現時点ではデータ・アイランドが存在し、そこにある情報や知見に自由にアクセスすることはできません。しかし、近い将来、産業用イーサネットを導入するのは標準的な施策になるはずです。そうすると、インダストリ4.0に対する懸念の対象はセキュリティの問題に移っていきます。また、最大限のビジネス価値を引き出すためには、データをどのように活用すればよいのかということが大きな問題として浮上するでしょう。賢明な対策は、数十年間にわたり産業分野で取り組みを続けてきた信頼できる企業と手を組むことです。そのような企業の代表的な例としては、アナログ・デバイセズを挙げることができるでしょう。アナログ・デバイセズは、明日のスマート・ファクトリへの移行を加速するために必要な深い専門知識、技術、ソリューションを有しているからです。

※初出典 2020年 EDN Japan