高速コンバータ:その概要と原理、利用法

2014年03月01日

「現実の世界」のアナログ領域と 1 と 0 で構成されるデジタル世界の間のゲートウェイであるデータ・コンバータは、今日の信号処理の不可欠な要素です。過去 30 年にわたり、データ変換のさまざまな革新は、医療用撮像技術からセルラー通信、民生用オーディオ&ビデオに至るまで、あらゆるものの性能とアーキテクチャの進歩を実現しただけでなく、まったく新しいアプリケーションを生み出すことにも役立ってきました。

広帯域通信および高性能画像処理アプリケーションは拡大の一途をたどっており、このため高速データ変換、すなわち帯域幅 10 MHz から 1 GHz 以上の信号を扱うことができるコンバータの重要性も増大しています。これらの高い速度を実現するためにさまざまなコンバータ・アーキテクチャが使われており、それぞれに特別な利点があります。アナログ領域とデジタル領域間の高速のやりとりは、信号品質に関する特別な課題をもたらすことにもなります。それは、アナログ信号だけではなく、クロック信号やデータ信号についても同様です。これらの問題を理解することは、部品の選択に限らず、全体的なシステム・アーキテクチャの選択においても大変重要です。

図 1.

図 1.

高速の追求(より高速に)

数多くの技術領域において、技術の進歩は、より高い速度に関連付けられるようになっています。イーサネットからワイヤレスLAN、セルラー通信に至るまでのデータ通信では、主たる技術目標はより高速にビットを移動させることです。この目標のため、マイクロプロセッサ、デジタル・シグナル・プロセッサ、FPGAは、クロック・レートの向上により大きな進歩を遂げています。デバイス性能は、主に微細化が進むプロセス・リソグラフィーによって実現されたもので、高速スイッチングが可能な(より低消費電力の)小型トランジスタを実現しています。これらの動きは、処理能力やデータ帯域幅が指数関数的に増大する環境を作り出しました。この技術を用いた強力なデジタル・エンジンによって、処理する信号やデータの量も指数級数的に増大する結果となっています。その対象は静止画像からビデオ、広帯域スペクトルにまでおよび、媒体が有線か無線かは問いません。100 MHz で動作するプロセッサは、帯域幅 1 MHz から 10 MHz の信号を効果的に処理することができます。さらに、数 GHz のクロック・レートで動作するプロセッサは、帯域幅数百 MHz の信号を扱うことができます。

より高い処理能力と速度が、より高速のデータ変換という要求に向かうのは自然なことです。広帯域信号処理技術はその帯域幅を拡大し(多くの場合は、物理的条件やレギュレータによって設定されるスペクトル限界まで)、画像システムはより高解像度の画像をより高速で処理するために、1 秒あたりに扱うピクセル数が増加する方向に向かっています。各種のシステムでは、この極めて高い処理能力の利点を生かすために、並列処理を行うなどアーキテクチャの再構築が行われています。処理を並列化するということは、マルチチャンネル・データ・コンバータが必要になることを意味します。

アーキテクチャに関するもうひとつの重要な変化は、マルチキャリア/マルチチャンネル、あるいはさらに高度なソフトウェア・ディファインド・システム(ソフトウェア設定で動作を定義できるシステム)へ向けた動きです。従来のアナログ集約型システムでは、シグナル・コンディショニング作業(フィルタリング、増幅、周波数変換)の大部分をアナログ領域で行っていました。信号は慎重に処理されてからデジタル領域に送られます。その一例が FM 無線です。無線局は、88 MHz から 108 MHz までの無線帯域のどこかに位置する 200 kHz 幅のチャンネルを使用します。従来の受信機は、この局の周波数を 10.7 MHz の中間周波数(IF)に変換して、ほかのチャンネル成分をすべてフィルタで除去し、復調に最適な振幅まで信号を増幅します。マルチキャリア・アーキテクチャでは、20 MHz FM 帯のすべてをデジタル化します。さらにデジタル処理を使用して対象無線局を選択し、受信します。マルチキャリア方式は非常に高度な回路を必要としますが、システム上の大きな利点もいくつかあります。このシステムは、側波帯局を含む複数局の放送を同時に受信できます。適切に設計すれば、マルチキャリア・システムは、ソフトウェアで構成を変更して新しい標準(たとえば、これまで無線側波帯を使用していた新しい HD 無線局)に対応することも可能です。この方式を究極まで拡張したものが、すべての帯域を取り込むことができる広帯域デジタイザと、あらゆるタイプの信号を再生することができる強力なプロセッサを使用する形態です。これはソフトウェア無線(SDR)と呼ばれます。ほかの分野においても同様のアーキテクチャ、すなわちソフトウェア計測器やソフトウェア・カメラなどがあります。これは、信号処理の仮想化と考えることができます。この種の柔軟なアーキテクチャの実現を可能にするハードウェアが、強力な信号処理能力を持つ強力な高性能のデータ・コンバータです。

図 2. マルチキャリアの例

図 2. マルチキャリアの例

帯域幅とダイナミック・レンジ

アナログかデジタルかを問わず、信号処理の基本的な次元は帯域幅とダイナミック・レンジです。これら 2 つの要素は、あるシステムが実際にどれだけの情報を扱うことができるかを決定します。通信においては、シャノン(Claude Shannon)の定理が、これら 2 つの次元を使用して、ある通信チャンネル上でどれだけの情報を運ぶことができるかについて基本的な理論上の限界を示すことができますが、この原理はさまざまなシステム形態に適用されています。画像システムでは、帯域幅は所定の時間内に処理できるピクセル数を決定し、ダイナミック・レンジは、許容最低限の光源とピクセル飽和ポイント間の輝度や色の範囲を決定します。

図3. 信号処理の基本的な次元

図3. 信号処理の基本的な次元

データ・コンバータの使用可能帯域幅には、ナイキスト・サンプリングの定理によって設定される基本的な理論上の限界があります。すなわち、帯域幅 F の信号を表したり扱ったりするには、少なくとも 2× F のサンプリング・レートで動作するデータ・コンバータが必要です(この法則は、アナログとデジタルの別を問わず、サンプリングを行うあらゆるデータ・システムに当てはまります)。実際のシステムでは、ある程度のオーバーサンプリングを行うことでシステム設計を大幅に簡素化できます。一般的なのは、帯域幅の 2.5 倍から 3 倍の速度です。すでに述べたように、処理能力の絶え間ない向上によってシステムはより広い帯域幅を扱うことができるようになり、携帯電話、ケーブル・システム、有線および無線 LAN、画像処理、計測などにおけるシステムは、より広帯域のシステムへと向かう傾向にあります。このような帯域幅の拡大は、より高いサンプリング・レートのデータ・コンバータを必要とします。

帯域幅については直感的に理解できると思いますが、ダイナミック・レンジに関しては少し分かりにくいかもしれません。信号処理におけるダイナミック・レンジは、飽和やクリッピング無しでシステムが扱うことのできる最大の信号から、システムが有効に捉えることができる最小の信号までの広がりを表します。ダイナミック・レンジの拡大については、2 つのタイプを考えることができます。浮動小数点動作のダイナミック・レンジは、低分解能 A/D コンバータ(ADC)の前段にプログラマブル・ゲイン・アンプ(PGA)を付加することで実現できます(例えば 8 ビット・コンバータの前に PGA による 4 ビット分があって、12 ビットの浮動小数点ダイナミック・レンジを構成すると考えてください)。ゲインが小さい場合は、この構成で、コンバータの処理範囲を超えない範囲で大きな信号を取り込むことができます。信号が非常に小さい場合は、コンバータのノイズ・フロア以上に信号を増幅するために、PGA を高ゲインに設定します。信号は、例として強力な無線局と微弱な無線局、あるいは画像システムの明るいピクセルと暗いピクセルとみなせます。この種の浮動小数点ダイナミック・レンジは、一度にひとつの信号だけを再生しようとする従来型のシグナル・プロセッシング・アーキテクチャにとっては、非常に効果的です。 

瞬間的なダイナミック・レンジはさらに強力です。この構成のシステムには、クリッピングなしに大信号を取り込むと同時に、14ビット・コンバータが必要な小信号を再生できるだけの、十分なダイナミック・レンジがあります。この原則は、強力な無線局と微弱な無線局、あるいは携帯電話呼び出し信号の受信や、1 つの画像の非常に明るい部分と暗い部分の再生など、さまざまなアプリケーションに適用できます。システムがより高度なシグナル・プロセッシング・アルゴリズムを求める方向へ動くにつれて、ダイナミック・レンジも拡大しなければならなくなっています。これによって、システムはより多くの信号を扱うことができるようになります。信号強度が同じと仮定して、2 倍の信号を処理する必要がある場合は 3 dB のダイナミック・レンジ拡大が必要です(ほかのすべての値が同じと想定した場合)。さらに重要と思われるのは、すでに述べたように、そのシステムが強い信号と弱い信号の両方を同時に扱う必要がある場合、ダイナミック・レンジ拡大の必要性が格段に大きくなるという点です。

ダイナミック・レンジ規定のさまざまな測定基準

デジタル・シグナル・プロセッシングにおけるダイナミック・レンジの重要なパラメータは、信号を表す際のビット数、あるいはワード長です。32 ビット・プロセッサには 16 ビット・プロセッサよりも広いダイナミック・レンジがあります。大きい信号はクリップされますが、これは非直線性が強い操作であり、ほとんどの場合は信号品質が低下します。逆に小さい信号(振幅で 1 LSB未満)は検出できなくなり、その情報は失われてしまいます。この有限分解能は量子化誤差、あるいは量子化ノイズと呼ばれることが多く、検出可能フロアを知るために重要な要素となります。

量子化ノイズはミックスドシグナル・システムでも重要な要素ですが、データ・コンバータで使用できるダイナミック・レンジを決定する要素はほかにもいくつかあり、それぞれに固有の仕様があります。

  • S/N 比(SNR)-コンバータのフルスケールと帯域内の合計ノイズとの比。このノイズは、量子化ノイズ(上述)、熱ノイズ(現実のすべてのシステムに存在)、またはその他の誤差項によるものです。
  • 静的非直線性-これは微分非直線性(DNL)と積分非直線性(INL)からなり、データ・コンバータの入力から出力への DC 変換機能における非理想性を表します(DNL は多くの場合、画像システムのダイナミック・レンジを決定します)。
  • 全高調波歪み(THD)-静的および動的非直線性は高調波トーンを生成しますが、これはほかの信号をマスクしてしまいます。多くの場合、高調波歪みはオーディオ・システムなどのダイナミック・レンジを制限します。
  • スプリアス・フリー・ダイナミック・レンジ(SFDR)-2 次高調波か 3 次高調波あるいはクロック・フィードスルーか、また 60 Hz ハムであるかどうかを問わず、入力信号と比較して最も大きいスペクトルと信号の差です。スペクトル・トーン(スペクトル・スプリアス)は小さい信号をマスクしてしまうため、SFDR は数多くの通信システムで使用可能なダイナミック・レンジの良い基準となります。

これら以外にも注意すべき仕様があります。実際、それぞれのアプリケーションにはダイナミック・レンジを効果的に表す固有の方法があります。データ・コンバータの分解能はダイナミック・レンジを表す良い目安となりますが、実際のダイナミック・レンジを表すために適切な仕様を選ぶことは非常に重要です。重要な原則は広いほど良いということです。信号処理により広い帯域幅が必要であることは数多くのシステムで認識されているものの、ダイナミック・レンジの影響はそれほど明確ではありません。しかしこの条件はより厳しくなってきています。

帯域幅とダイナミック・レンジは信号処理における 2 つの基本的次元ですが、3 つめの次元である効率について考えることも有益です。これは、「追加的な性能はどの程度のコストがかかるのか」という疑問について考える助けとなります。コストといえば購入価格を考えがちですが、データ・コンバータや信号処理に関するコストを評価する純粋に技術的な一つの方法は、消費電力に着目することです。広い帯域幅とダイナミック・レンジを備えた、より高性能のシステムは、より多くの電力を消費する傾向にありますが、技術の進歩とともに、帯域幅およびダイナミック・レンジの拡大と、消費電力の削減に目が向けられるようになっています。  

主なアプリケーション

上に述べたように、それぞれのアプリケーションには信号の各種基本的な面に関してさまざまな要求があり、ある特定のアプリケーション内にも幅広い性能基準が存在します。例として、1 メガピクセルのカメラと 10 メガピクセルのカメラを考えてみましょう。各種のアプリケーションで通常必要とされる帯域幅とダイナミック・レンジの代表例を図 4 に示します。この図の上半分が「高速」と呼ばれることが多いもので、コンバータは 10 MHz以上の帯域幅を効果的に扱うことのできるサンプリング・レート25 MHz 以上が使われます。

図 4. 各種代表的アプリケーションの帯域幅(速度)とダイナミック・レンジ(ビット分解能)に関する条件

図 4. 各種代表的アプリケーションの帯域幅(速度)とダイナミック・レンジ(ビット分解能)に関する条件

この図は固定的なものではない、という点に留意してください。既存のアプリケーションには、新しい高性能技術の利点を利用して、その能力を強化できます。たとえば高精細ビデオカメラや高分解能の 3D 超音波画像装置です。毎年出現するまったく新しいアプリケーションもあります。また、新しい動きの多くが性能向上の最前線に位置しています。これらは高速と高分解能の新たな組み合わせによって実現され、池に生じた波紋のようにコンバータ性能の限界を広げていきます。

また、大部分のアプリケーションで消費電力が課題となる点に留意することも重要です。ポータブル/バッテリ駆動アプリケーションでは消費電力が主な技術的制約となりますが、商用電源を使用するシステムにおいても、所定の物理的領域でどれだけの成果を上げられるかを最終的に制限するのは、信号処理要素(アナログとデジタルの区別なく)の消費電力です。

技術の傾向と革新-その実現方法

このように各種のアプリケーションがデータ・コンバータの性能向上を牽引しているという現実のなかで、コンバータ業界は技術の絶え間ない進歩によってこれに応えてきました。先進的な高速データ・コンバータを実現する技術的進歩の要因は、複数あります。

  • プロセス技術:ムーアの法則とデータ・コンバータ -半導体業界は拡大を続けるデジタル処理能力のために目覚ましい成果を上げてきましたが、これを大きく前進させたのが、微細化が進むリソグラフィー技術によるウェハ加工の進歩です。ディープ・サブミクロンCMOS トランジスタのスイッチング速度は従来のCMOS の速度よりはるかに高く、コントローラ、デジタル・プロセッサ、FPGA を数 GHz の速度で動作させることを可能にしました。データ・コンバータのようなミックスドシグナル回路もこれらリソグラフィーの進歩の利点を生かし、ムーアの法則を利用してさらなる高速化に向かうことができますが、ミックスドシグナル回路においてはペナルティもあります。より先進的なリソグラフィー・プロセスは、ますます低い電源電圧で動作する傾向にあります。これは、アナログ回路における信号スイングが小さくなることを意味し、アナログ信号を熱ノイズ・フロアよりも大きくしておくことがますます困難になります。つまり、速度が向上する一方でダイナミック・レンジが犠牲になるということです。
  • 先進的なアーキテクチャ(これは旧世代のデータ・コンバータでの話ではありません)-半導体プロセスの進歩を補完しながら、過去 20年間に高速データ・コンバータ・アーキテクチャに関していくつかの革新の波があり、より広い帯域幅とダイナミック・レンジ、そして優れた電力効率の実現に寄与してきました。従来から高速 A/D コンバータに使われているアプローチには、フラッシュ、畳み込み、インターリーブ、パイプラインなどの方式を含むさまざまな種類がありますが、これらは現在でも広く使われています。これに加え、高速で使用するために創造的な変更が加えられてきた逐次比較レジスタ(SAR)やシグマデルタを含め、従来は低速アプリケーションに関係付けられることが多かったアーキテクチャも登場しています。これらのアーキテクチャにはそれぞれ固有の長所と短所があり、一部のアプリケーションでは、これらのトレードオフをもとに、好ましいアーキテクチャを探す傾向にあります。高速DAC に関しては電流スイッチ・モード構造のアーキテクチャが選択される傾向にありますが、これには数多くの派生型があります。また、スイッチド・キャパシタを使用する方法は常にその速度を向上させており、いくつかの組込み高速アプリケーションでは依然として高い人気を保っています。
  • デジタル・アシストによる向上 - プロセスとアーキテクチャに加えて、ここ何年かの間に高速データ変換のための回路手法においても、多くの革新が実現されてきました。キャリブレーション方法に関しても数十年の歴史があります。これは集積回路固有の素子不整合の補正において極めて重要な存在になっており、回路のダイナミック・レンジを拡大することを可能にします。キャリブレーションは静的誤差の補正だけでなく、それ以上の領域に達しており、設定誤差や高調波歪みを含め、動的な非直線性の補償にまで使われることが多くなっています。

以上のことをもとに、これらの領域における革新は、高速データ変換における最先端の技術を大幅に発展させてきました。

実装方法

広帯域ミックスドシグナル・システムを実現する作業は、適切なデータ・コンバータを選ぶことだけで終わりではありません。これらのシステムは、シグナル・チェーンのほかの部分に厳しい要求を課すことがあります。この場合も、課題は広い帯域幅で良好なダイナミック・レンジを実現すること、すなわち、デジタル領域との間でより多くの信号をやり取りし、高い処理能力の利点を生かすことです。

  • 広帯域シグナル・コンディショニング - 従来のシングル・キャリア・システムにおける信号処理とは、おおむね、できるだけ速やかに不要信号を除去して、必要な信号を増幅することを挿します。多くの場合、これには選択的なフィルタリングと、対象信号に合わせてチューニングされた狭帯域システムが必要です。これらのよく調整された回路は必要なゲインの実現には非常に効果的であり、場合によっては周波数プランニング手法を使用して、高調波やその他のスプリアスを帯域外にすることができます。ところが広帯域システムではこれらの狭帯域手法を使用することはできず、こうしたシステムで広帯域増幅を実現するには非常な困難が伴います。
  • データ・インターフェース - 従来型の CMOS デジタル・インターフェースでは 100 MHz をはるかに超えるデータ・レートに対応できませんが、低電圧差動スイング(LVDS)データ・インターフェースは 800 MHz から1 GHz まで動作します。これより高いデータ・レートではマルチバス・インタフェースに切り替えるか、SERDESインターフェースに変更することができます。現代のデータ・コンバータは 12.5 GSPS の SERDES インターフェースを使用しており(JESD204B 規格の仕様による)、コンバータ・インタフェース内の異なる分解能と速度の組み合わせに対応するために、複数のデータ・レーンを使用することができます。また、これらのインターフェースでは、それ自体に極めて高度な機能を持たせることができます。
  • クロック・インターフェース - 高速信号の処理では、システム内で使用するクロックの要求が極めて厳しくなることがあります。時間領域のジッタ/誤差は、図 5に示すように信号のノイズや誤差となって現れます。100 MHz 以上で信号を処理する場合は、クロック・ジッタや位相ノイズがコンバータの使用可能なダイナミック・レンジを制限することがあります。一般的なデジタル信号の品質のクロックはこの種のシステムには不十分で、通常は高性能な専用クロックが必要になります。
図 5. クロック誤差と信号誤差の関係

図 5. クロック誤差と信号誤差の関係

結論

広帯域信号とソフトウェア・ディファインド・システムへと向かう傾向は加速しており、業界は、より高性能で高速のコンバータを作り出し、帯域幅、ダイナミック・レンジ、電力効率を新たなレベルに押し上げるための革新的な方法の実現に取り組み続けています。

著者について

David H. Robertson
David H. Robertsonは、1985年よりADIのデータ・コンバータ部門に所属し、相補型バイポーラ/BiCMOS/CMOSプロセスの高速DAC/ADCを幅広く担当してきました。プロダクト・エンジニア、設計エンジニア、プロダクト・ライン・ディレクターとして、米国、アイルランド、韓国、日本、中国の製品開発チームで業務に携わりました。現在は、ADIの高速コンバータ部門のプロダクト/テクノロジ・ディレクターを務めています。
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