デジタルX線技術で患者の体験と医師の診断を改善

デジタルX線技術で患者の体験と医師の診断を改善

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デジタルX線技術により、放射線部門の作業が変わりつつあります。この技術は従来のX線システムに比べ、患者の放射線被曝量の低減、診断 画像品質の向上、化学的な処理費用の大幅な低減といったメリットがあります。

デジタルX線技術には多くの方式があります。これらは直接変換方式と間接変換方式に分けることができます。直接変換方式では(図1)、セレニ ウム製のパネル使って、透過性の高い光子を電荷に直接変換します。間接変換方式では(図2)、シンチレータ物質を使って光子を光に変換し、フォ トダイオード、CCD、またはCMOS画像処理センサでその光を電気信号に変換します。X線エネルギーを電気信号に変換する方法のいかんを問 わず、信号はアナログからデジタルに変換して画像処理を実行できるようにします。画像全体の更新レートはそれほど速くありませんが(毎秒15 ∼ 120フレーム)、検出器は数百万画素を有します。高速信号を正確に変換し、出力値の精度を維持しつつ、コストと消費電力を最小限に抑えるこ とは大きな課題です。

Solution

信号を直接変換または間接変換するには、アレイ・サイズに更新レートを乗じた値と同じサンプル・レートを持つADCが必要となります。最も費 用効果的で消費電力の小さいソリューションは、1個または複数の高速ADCでピクセルをシリアルにデジタル化する方法です。大型の検出器を使 用する際は、所望の更新レートでイメージをデジタル化するために複数のADCが必要となる場合があります。

標準的なイメージ増倍管は8 ∼ 10ビット深度を提供しますが、新型の検出器ではダイナミック・レンジがさらに広くなり、多くの場合、14ビット、 16ビット、時には18ビットのADCを使用します。こうした新しいフィルムレス検出器では、ダイナミック・レンジの改善と感度の向上により、よ り優れた画質とより多くの診断情報を得ることができます。放射線科医が扱うローデータの改善に加え、デジタル処理によってコントラスト比を拡 大して組織密度の違いを強調することもできます。

アナログ・デバイセズでは、検出器のさまざまなアレイ・サイズや更新レートに対応した高速、高分解能のADC製品を幅広く取り揃えています。16ビットPulSAR® ADCの AD7621は、業界最高のS/N比を提供します。S/N比は90dBで、変換レートは最大3MSPSです。14ビットSAR DACのAD7484は、低ダイナミック・レンジ・システム向けの製品で、3MSPSで76.5dBのS/N比を実現します。AD7621とAD7484は、いずれも逐次比較型ADCであり、高品質画像にとって重要なパラメータである優れた直線性を提供します。高速ADCが必要な場合は、14ビット・モノリシックAD9240AD9244があります。速度はそれぞれ10MSPSと40MSPS/65MSPSです。これらのパイプラインADCは、画像全体に対して高い更新レートを必要とするデジタルX線装置にきわめて有用です。

 製品番号. 分解能 (Bit)  サンプル・レート (MSPS)  SNR (dB) 
 AD7621  16  3  90
 AD7484  14  3  76.5
 AD9240  14  10  76.5
 AD9244-40  14  40  74.8

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