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評価用ボード

型番に"Z"が付いているものは、RoHS対応製品です。 本回路の評価には以下の評価用ボードが必要です。

  • EV-VSWR-SDZ ($353.10) VSWR Demo Board
在庫確認と購入

デバイス・ドライバ

コンポーネントのデジタル・インターフェースとを介して通信するために使用されるCコードやFPGAコードなどのソフトウェアです。

AD7091R GitHub no-OS Driver Source Code

IIO Single Channel Serial ADC Linux Driver

機能と利点

  • リターン・ロス測定システム
  • 1 GHz ~ 28 GHz
  • キャリブレーション・フリー

回路機能とその特長

図1 に示す回路は1 GHz ~ 28 GHz のワイヤレス・トランスミッタのリターン・ロスを高精度に測定し、システム・キャリブレーションを必要としません。

この回路は1 枚の回路ボードに実装され、無反射RF スイッチマイクロ波RF 検出器、12 ビットの高精度A/D コンバータ(ADC)を使用しています。できるだけ広い周波数範囲で回路を評価するため、狭帯域の表面実装ディレクショナル・カプラの代わりに、SMA コネクタ付きのデュアル・ポート・ディレクショナル・カプラを使用しました。

この回路は、25 dB の入力電力範囲で最大20 dB のリターン・ロスを測定します(これより小さな入力電力範囲では20 dB を超えるリターン・ロスを測定可能)。

この回路には、RF 検出器からのデジタル化された電圧の簡単な比を使ってリターン・ロスを計算する独自の機能があるため、システム・キャリブレーションが不要です。

図1. 電圧定在波比(VSWR)評価ボードの測定セットアップ(全接続の一部およびデカップリングは省略されています)

 

回路説明

図1に示すように、1 GHz ~ 28 GHz のRF 信号をRF カプラ(Marki Microwave のC10-0226)を介して整合した50 Ω 負荷またはアンテナに供給します。順方向と逆方向の結合ポートを単極双投(SPDT)無反射スイッチHMC547 に接続します。スイッチ入力は順方向と逆方向の結合ポートの間で切り替わりますが、反対側のポートは50 Ω に終端されているので、どちらの結合ポートも常に50 Ω 負荷になります。

RF スイッチの出力ポートは、500 MHz ~ 43.5 GHz で動作可能なマイクロ波RF 検出器ADL6010 を駆動します。この検出器の出力電圧レベルは入力信号の振幅に正比例します。ADL6010 はV/V 特性がリニアな検出器で、公称スロープは2.1 V/V です。

AD7091R 12 ビットADC は、1 MSPS のレートでパワー・ディテクタの出力電圧をサンプリングします。(低いサンプリング・レートを使ってADC の消費電力を小さくすることも可能です。)

AD7091R はアナログ電圧をデジタル・コードに変換します。次いで、EVAL-SDP-CB1Z(SDP-B)インターフェース・ボードが、シリアル・ペリフェラル・インターフェース(SPI)通信を使ってADC を制御し、システム評価とリターン・ロスの計算を行うPC に変換結果を送ります。そこで、ADC によってサンプリングされ、順方向と逆方向に結合された電圧の比を使って、VSWR、リターン・ロス、反射係数を計算します。


リターン・ロスの計算

以下の式から得られる結果から、順方向と逆方向の電圧の比とシステムのリターン・ロスの関係が分かります。この関係が、キャリブレーション不要のシステムの特性の基礎を与えます。

検出器のリニア動作領域のシステム伝達関数は、一般的な直線の方程式を使って以下のように表すことができます。

cn0387-eq1

ここで、

m はスロープ、
c はインターセプトです。

実際の回路パラメータを使用すると次のようになります。

cn0387-eq2

前に説明したようにm の公称値は2.1 ですが、周波数とデバイス間で異なる可能性があります。c は一般にゼロに近い値です。

VIN について式 1 を書き換えると、

cn0387-eq3

さらに電力に変換すると、

cn0387-eq4

次に dBm に変換します。

cn0387-eq5

ADC を含めると、次式のようになります。

cn0387-eq6

ここで、

m’ は検出器とADC を組み合わせたシグナル・チェーンのスロープ、
c’ は検出器と ADC を組み合わせたシグナル・チェーンのインターセプトです。

リターン・ロスは、順方向と逆方向の電力の差(単位: dBm)で、次のようになります。

cn0387-eq7

c’がゼロに近く、CODEF と CODER が一般にc’ よりもはるかに大きいため、この式は次のように簡単になります。

cn0387-eq8

このセクションで得られた結果から、式にはシグナル・チェーンのスロープ(m’)やインターセプト(c’)が含まれていないため、キャリブレーションを必要とせずにリターン・ロスを計算できることが分かります。


RF スイッチ

HMC547 は、周波数範囲がDC ~ 28 GHz の無反射SPDT RF スイッチです。図2 のブロック図に示すように、スイッチは内部で一方の入力を50 Ω で終端し、他方の入力をRFC に出力します。スイッチは切替え時間の代表値が6 ns と高速です。このスイッチのA とB のロジック入力は、−5 V のハイ・レベルと0 V のロー・レベルの負電圧ロジックによって制御します。HMC547 のデータシートに推奨制御回路が記載されています。この回路は、74LV04AD インバータを駆動する5.1 V ツェナー・ダイオード・レベル・シフタで構成されています。インバータは、0 V ~ +5 V ではなく−5 V ~ 0 V で給電されます。電源の全体回路は、www.analog.com/CN0387-DesignSupport から取得できるCN-0387 設計サポート・パッケージに記載された詳細回路図に示されています。

図2. HMC 547 の上面図

 


パワー・ディテクタ

ADL6010 パワー・ディテクタはV/V 特性がリニアであり、このことがこのアプリケーションで重要になります。このデバイスに給電するには、VPOS ピンに+5 V DC電圧を与えてCOMM ピンを接地します(図3 参照)。

図3. ADL6010 RF /マイクロ波検出器の機能図

 

図 4 に示すように、出力電圧は周波数によって変化します。リターン・ロスの計算は特定の周波数での比例計算に基づいているため、この周波数に対する伝達関数の変化により回路の性能が低下することはありません。

図4. 500 MHz ~ 43.5 GHz の周波数での伝達関数

 


A/D コンバータ

図5. AD7091R A/D コンバータ

 

AD7091R は、スループット・レートが最大1 MSPS の12 ビット逐次比較レジスタ(SAR)ADC です。高精度の外部リファレンス電圧を使用することができますが、このアプリケーションでは不要です。この回路では2.5 V の内部リファレンスを使用しており、そのLSB サイズは次のとおりです。

cn0387-eq9

ADL6010 の出力電圧は約3 V の最大電圧に達する可能性があるので、検出器とADC の間に200 Ω と340 Ω の抵抗分圧器を使ってこの電圧を減衰させる必要があります(図1 参照)。この分圧器の公称減衰率は1.6 です。


ディレクショナル・カプラ

ディレクショナル・カプラによって順方向または逆方向の信号の一部をパワー・ディテクタに結合して測定します。一般に、ディレクショナル・カプラには4 つのポートがあります(図6 参照)。

図6. ディレクショナル・カプラ

 

図 6 の構成では、入力信号がポート4 に結合され、ポート3 は信号の結合が無反射になるように50 Ω で終端されています。ポート3 の代わりにポート4 を50 Ω で終端すると、反射信号はポート3 に結合されます。

この回路では、上に示したようにポートに直接接続した50 Ω の終端を使用するのではなく、両方のポートをRF スイッチ入力に供給しています。したがって、スイッチの状態に応じてHCM547 の内部で50 Ω の終端がポート3 またはポート4 に与えられることから、このカプラは双方向とみなすことができます。

この回路に選択したRF カプラは、Marki Microwave のC10-0226 ストリップライン・カプラです。このカプラの結合度は10 dB です。つまり、結合信号は入力信号より10 dB 小さい値です。この回路では、SMA コネクタ付きのディレクショナル・カプラを使って、できるだけ広い周波数範囲での動作を検証しました。表面実装カプラを使用することもできますが、このようなデバイスでは一般に周波数範囲が狭くなります。


データ解析

EVAL-SDP-CB1Z システム・デモンストレ-ション・プラットフォーム(SDP)ボードを評価用ソフトウェアと組み合わせて使用し、ADC によってサンプリングされるデータをキャプチャします。

このソフトウェアは、前に得られた式8 を使ってリターン・ロスを計算します。反射係数とVSWR はこの式から得られます。

cn0387-eq8

ソフトウェアGUI の結果表示パネルを図7 に示します。

図7. CN-0387評価用ソフトウェアの表示

 


検出器のサンプリング方法

システムのリターン・ロスを正確に測定するには、順方向と逆方向の電圧を短い遅延時間で測定する必要があります。図8 に、連続してサンプリングするときに行うサンプリング・シーケンスを示します。

図8. サンプリング・シーケンス

 

RF スイッチが信号を受け取ってスイッチをトグルすると、スイッチの位置が切り替わり、順方向または逆方向の結合ポートの信号がパワー・ディテクタに供給されます。リターン・ロスの計算ステップでは、500 の順方向サンプルと500 の逆方向サンプルを平均し、平均した順方向と逆方向の電圧の比からリターン・ロスを計算します。

ADC は1 MSPS のレートでサンプリングします。したがって、500 サンプルを測定するのに500 μs かかります。SDP-B インターフェースの汎用入出力(GPIO)を使って、順方向と逆方向のサイクルの間でスイッチ位置を切り替えるには、約400 μs かかります。タイミング図を図9 に示します。

図9. タイミング図

 

リターン・ロス、反射係数、VSWR は、順方向と逆方向の電圧の測定値を平均した結果を使って計算します。更新する前に結果を確実に読み出せるように、50 サンプルの結果を平均してから、GUI の結果パネルに表示します。

回路図、レイアウト、ガーバーファイル、部品表などのEVAL-VSWR-SDZ ボードの技術文書は全て、CN-0387 設計支援パッケージ(www.analog.com/CN0387-DesignSupport)をダウンロードして入手できます。

バリエーション回路

前に説明したように、この回路では、広帯域コネクタ付きのディレクショナル・カプラを使って、できるだけ広い周波数範囲での動作を可能にしています。表面実装のディレクショナル・カプラやプリント回路のディレクショナル・カプラも使用できますが、これらのデバイスは周波数範囲が狭くなる傾向があります。

結合係数が大きいディレクショナル・カプラも使用可能で、これらは挿入損失が小さくなる傾向があります。ただし、回路の測定範囲が最大になる結合係数のカプラを使うことをお勧めします。例えば、最大システム電力が+35 dBm の場合、20 dB のディレクショナル・カプラを使用すると、検出器への最大電力が約+15 dBm(入力範囲の上限値)に設定されます。

回路の評価とテスト


必要な装置


この回路ノートで説明する評価を行うには、以下の装置が必要になります。

  • EV-VSWR-SDZ 評価ボード。
  • 適切な定格の広帯域RF カプラ。この回路の評価ではMarki Microwave のC10-0226 を使用しました。ただし、仕様が適切で3.5 mm SMA タイプのコネクタを使ったものであれば、どのカプラも使用できます。
  • EVAL-SDP-CB1Z SDP-B ボード。
  • 信号発生器(出力周波数が500 MHz ~ 28 GHz の範囲内)。
  • 6 V DC 出力電圧の適切な電源ユニット。
  • CN-0387 評価用ソフトウェア(ftp://ftp.analog.com/pub/cftl/CN0387/ からダウンロード可能)。
  • SMA アッテネータと50 Ω の終端。
  • USB ケーブル(EVAL-SDP-CB1Z に同梱)でSDP-B ボードに接続したWindows® 7 搭載PC。


セットアップとテスト


VSWR 測定システムのセットアップとテストを行うには、LK6 をポジションB に設定してLK22 を接続し、以下のステップに従います。

  1. 全てのテスト装置の電源を投入してから、装置が起動するまで待ちます。
  2. RF カプラの入力と出力の結合ポートを評価ボードのRF1 とRF2 の3.5 mm SMA コネクタに、それぞれ適切な定格のRF ケーブルを使って接続します。
  3. カプラの入力ポートを信号発生器の50 Ω 出力に接続します。
  4. カプラの出力を50 Ω の終端、または適切な定格のRF アッテネータの終端に接続します。
  5. EVAL-SDP-CB1Z SDP インターフェース・ボードをEV-VSWR-SDZ 評価ボードに接続します。
  6. SDP インターフェース・ボードを、同梱のUSB ケーブルでPC に接続します。
  7. DC 電源からの電源を評価ボードのバナナ・ソケットの電源とグラウンドに接続します。
  8. CN-0387 評価用ソフトウェアを、SDP-B コントロール・ボードに接続したPC にダウンロードしてインストールします。
  9. ソフトウェアを適切にインストールしたら、実行ファイルを起動します。
  10. 信号発生器の出力周波数を2 GHz に設定し、電力レベルを15 dBm 出力に設定します。次いで、信号発生器の出力をオンします。
  11. ソフトウェアの表示画面で、Continuous を選択してからCapture をクリックします。このソフトウェアは連続して測定を繰り返し、各測定値を収集すると、GUI の表示は、リターン・ロスの値と、それに対応するVSWR と反射係数の値を更新します。


テスト・セットアップの機能ブロック図


テスト・セットアップの機能ブロック図を図10 に示します。

 

図10. テスト・セットアップの機能ブロック図

 


テスト結果


測定値は、RF 入力電力レベルを調整することによって手動で収集しました。ADL6010 の電力範囲に対して、種々の出力構成でのリターン・ロスを測定しました。

Keysight のAdvanced Design System(ADS)を使ってRF シミュレーションも行いました。このソフトウェアは、RF アプリケーションやマイクロ波アプリケーション用の電子設計シミュレーション・ツールです。シミュレーションでは、RF 入力パターンの挿入損失と反射が一定の制限値以内であることの検証と、ディレクショナル・カプラの性能のシミュレーションを行いました。

Marki Microwave のC10-0226 ディレクショナル・カプラには、シミュレーション・モデル・ファイル(an .s4p ファイル)が付属しています。このファイルにはカプラのS パラメータを記述した情報が含まれており、シミュレーション内のADS で容易に使用することができます。シミュレーションは、DC ~ 26.5 GHz(カプラの上限周波数)の周波数範囲で行い、入力電力は各シミュレーションで0 dBm に設定しました。


リターン・ロスの測定


EV-VSWR-SDZ 評価ボードをテストする際、9 dB アッテネータの終端をカプラ出力に接続し、選択した周波数で予測減衰レベルが測定されることを、シミュレーション結果と比較して検証しました。

 

図11. リターン・ロスの測定

 

図 11 に示すように、0 dBm ~ 25 dBm の入力電力範囲内では、リターン・ロスの測定値はほぼ20 dB を維持します。この値は、上に示した順方向と逆方向の減衰量(9 dB + 9 dB)と、Marki Microwave のC10-0226 を使った2 GHz でのカプラの順方向挿入損失を加算したものです。順方向結合ポートの入力電力が約27 dBm に達した後、リターン・ロスは急に減少します。この減少は、順方向結合ポートの結合電力が、ADL6010 の電力の上限である+15 dBm(結合度10 dB )に近づくためです。入力電力が減少すると、逆方向結合ポートで反射された電力によってリターン・ロスの測定値が低下し始め、−30 dBm の下限を下回ります。ADL6010 が20 dB のリターン・ロスを測定できる電力範囲を図11 に示します。


パワー・ディテクタの測定電力


 

図12. 結合出力電力の測定値対入力電力

 

電力の測定値が入力電力によって変化する様子を図12 に示します。各電力レベルで順方向結合ポートの正確な電力測定値が得られるように2 GHz でキャリブレーション・ルーチンを実行しました。入力電力が増加すると、電力の測定値は検出器の15 dBm の限界値に達します。同様に、入力電力が減少すると、検出器の下限に達して測定精度が低下します。


オープン・サーキットの構成


 

図13. カプラの順方向と逆方向の電力の周波数特性(オープン・サーキット)

 

図 13 は、前述の50 Ω 終端の場合と比べて、順方向と逆方向の電力レベルの値が近いので、リターン・ロスが0 dB に近いことを示しています。

このオープン・サーキットのシミュレーションから、カプラを介して、大半の信号が順方向波の逆方向に反射される様子が分かります。順方向波と反射波の振幅の差は、この周波数範囲でのカプラの挿入損失から生じます。このグラフは、カプラのインピーダンス・マッチングが周波数範囲で理想的ではないため、リターン・ロスとVSWR の厳密な測定値が使用するカプラによって異なることを表しています。

さらに、システムに不整合が生じているかどうかを示すようにリターン・ロスの閾値を設定することができ、これはカプラのリターン・ロスよりもはるかに大きな値です。


50 Ω 出力終端回路の構成


 

図14. カプラの順方向と逆方向の電力の周波数特性(50 Ω 終端)

 

Marki Microwave のC10-0226 RF カプラの順方向ポートに0 dBm の電力レベルを与えたときの、カプラの50 Ω 終端出力の順方向挿入損失と反射信号を図14 に示します。このカプラは、2 GHz ~ 26.5 GHz で動作する仕様になっています。したがって、カプラは図14 では予測どおりに2 GHz を超えると動作し始めます。シミュレーションでは、出力インピーダンスが50 Ω の理想的に整合した伝送ラインをカプラに使用します。どの周波数でもリターン・ロスは順方向と逆方向の電力の差です。このグラフは、リターン・ロスが周波数によって変化することを示しています。ただし、この周波数範囲内ではリターン・ロスは20 dB に近く、20 dB より大きいリターン・ロスの値は無視できることから、この値は許容できます。


3 dB 出力アッテネータ回路の構成


 

図15. カプラの順方向と逆方向の電力の周波数特性(3 dB アッテネータ)

 

図 15 では、リターン・ロスは約15 GHz まで6 dB で比較的安定しており、その後、カプラの損失と減衰量が大きくなります。

 

図16. 減衰量が6 dB のカプラ

 

減衰量が 6 dB になるのは、3 dB のカプラで入射信号と反射信号の両方が3 dB ずつ減衰するからです。図16 に示すように、信号は順方向で3 dB 減衰してから、反射してさらに3 dB 減衰します。反射信号の測定値は、順方向と逆方向の減衰量を加算した結果になります。


キャリブレーション構造のパターンの挿入損失


EV-VSWR-SDZ 評価ボードのレイアウト・ファイルを使って、RF パターンの挿入損失をシミュレーションしました。このレイアウト・ファイルをADS ツールにインポートしてシミュレーションを行い、ボード上のRF パターンの損失を求めました。

 

図17. キャリブレーション構造

 

ボードの部分の図17 に示すキャリブレーション構造をシミュレーションに使用しました。この構造をボード設計に組み込んで、SMA コネクタからスイッチまで(距離a)の損失を測定しました。図に示すように、キャリブレーション構造の長さはRF1 とRF2 からHMC547 スイッチ(U10)までの距離のちょうど2 倍です。これらのRF パターンの特定周波数での損失を測定するには、キャリブレーション構造のコネクタの1 つに信号を与えて、反対側のコネクタで測定します。

この構造でADS シミュレーション・ツールを動作させ、DC ~ 26.5 GHz のRF パターンの挿入損失をシミュレーションしました。

 

図18. キャリブレーション構造の損失(電力対周波数)

 

図 18 に示すように、キャリブレーション構造の挿入損失は、26.5 GHz の周波数で約−0.4 dB の最大減衰量に達します。

この挿入損失は、評価ボードの許容限界内とみなされます。この挿入損失が大きいと、測定範囲が制限されます。

EVAL-SDP-CB1Z ボードに接続したEV-VSWR-SDZ ボードの写真を図19 に示します。

HMC547LC3 と電気的に等価な代替デバイスを2016 年6 月に発売予定です。

 

図19. EVAL-SDP-CB1Z ボードに接続されたEV-VSWR-SDZ ボード