概要
設計リソース
設計/統合ファイル
- Schematic
- Bill of Materials
- Gerber Files
- Allegro Files
- Assembly Drawing
評価用ボード
型番に"Z"が付いているものは、RoHS対応製品です。 本回路の評価には以下の評価用ボードが必要です。
- EVAL-CN0348-SDPZ ($76.51) 16-Bit Single-Supply Buffered Voltage Output Digital-to Analog Conversion with Less Than ±1 LSB Integral and Differential Nonlinearity
- EVAL-SDP-CB1Z ($116.52) Eval Control Board
デバイス・ドライバ
コンポーネントのデジタル・インターフェースとを介して通信するために使用されるCコードやFPGAコードなどのソフトウェアです。
AD5446 GitHub no-OS Driver Source Code
AD5541A - No-OS Driver for Renesas Microcontroller Platforms
AD5541A - No-OS Driver for Microchip Microcontroller Platforms
機能と利点
- 16ビット 高精度 DAC
- 低消費電力(<25mW)
- 単電源
- ±1LSBの積分非直線性と微分非直線性
製品カテゴリ
マーケット & テクノロジー
使用されている製品
参考資料
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CN0348 Software User Guide2018/10/16WIKI
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CN0348: 積分非直線性と微分非直線性が±1LSB 未満の 16 ビット、単電源、バッファ付き電圧出力 D/A 変換回路2014/01/31PDF535 K
回路機能とその特長
図1の回路はフル機能の単電源、16ビット、バッファ付き電圧出力DACで、その後段にクロスオーバー歪みのないアンプを採用することにより、±1LSBの積分非直線性と微分非直線性を維持します。この回路は、ほとんどのレールtoレールのオペアンプに関連するクロスオーバー非直線性を除去します。16ビット・システムの場合、この値は最大4LSB~5LSBになることがあります。
この業界最先端のソリューションは小型、単電源、低価格および高直線性の16ビット、バッファ付き電圧源を必要とする工業用プロセス制御や計装アプリケーションに最適です。
使用している3つのアクティブ・デバイスの6V単電源動作時の総消費電力は、標準で25mW未満です。
回路説明
電圧リファレンス、D/Aコンバータ(DAC)およびDACバッファで構成される単電源のシグナル・チェーンを図1に示します。出力のダイナミック・レンジとSN比を最大にするため、DACのリファレンス電圧は電源電圧VDDと等しい値にしてあります。この構成では、入力と出力がレールtoレールのバッファ・アンプを必要とします。
DACは16ビット、シリアル入力、電圧出力セグメント化R/2R CMOS DACのAD5541Aです。DACの出力電圧は、次式で表されるようにリファレンス電圧に依存します。
この式から、ミッドスケールで2.5V、フルスケールで5VのVOUTが得られます。
LSBサイズは5V/65,536 = 76.3μVです。
16ビットでの1LSBはフルスケールの0.0015%、つまり15ppm FSでもあります。
ADR4550電圧リファレンスは、高精度、低ノイズ(2.8μV p-p、0.1Hz~10Hz)で安定したリファレンスをDACに供給します。ADR4550は先進のコア・トポロジーを採用して高精度を実現し、業界最先端の温度安定性とノイズ性能を提供します。また、出力電圧温度係数が低く(最大2ppm/℃)、長期出力電圧ドリフトも小さいため、経時変化や温度変動に対してより高いシステム精度を維持します。
ADR4550Bの初期室温精度は最大±0.02%で、16ビットでは約14LSBです。この初期誤差は、システム・キャリブレーションによって除去することが可能です。この電圧リファレンスは、DACのREFピンを駆動するとともに、DACと出力バッファに電力を供給します。このため、最大3.9mAの負荷電流を供給する必要があります。ADR4550は、25ppm/mAの負荷電流レギュレーション状態で最大10mAを駆動することができます。
ADR4550リファレンスは、できるだけDACのREFピンの近くに配置して出力パターン長を最小化することにより、電圧降下によって生じる誤差を最小限に抑える必要があります。PCBパターンを流れる電流によってIR電圧降下が生じるので、パターンを長くするとこの電圧降下が数ミリボルト以上になって大きな誤差が生じる可能性があります。長さ1インチ、幅0.005インチの1オンスの銅箔パターンには、室温で約100mΩの抵抗があります。負荷電流が10mAの場合、これによって1mVの誤差が生じる可能性があります。
ADA4500-2は出力バッファとして選択されています。このデバイスは、最大オフセット電圧が120μV、オフセット・ドリフトが5.5μV/℃未満、0.1Hz~10Hzのノイズが2μV p-p、最大入力バイアス電流が2pAの高精度アンプです。このデバイスにはクロスオーバー歪みがなく、入力と出力の振幅がレールtoレールという特長があるため、DACバッファに適しています。
標準的なレールtoレール入力のアンプでは、2つの差動ペアを使ってレールtoレールの入力振幅を実現しています(チュートリアルMT-035参照)。一方の差動ペアは入力同相電圧の上側の範囲でアクティブになり、他方のペアは下側の範囲でアクティブになります。このような従来のデュアル差動ペア・トポロジーでは、一方の差動ペアから他方のペアに切り替える際にクロスオーバー歪みを生じます。アンプをDACバッファとして使用する場合、オフセット電圧が変化すると非直線性を生じます。ADA4500-2は、入力構造内にチャージ・ポンプを内蔵することにより、2番目の差動ペアを必要とせずに、レールtoレールの入力振幅を実現しています。したがって、このデバイスはクロスオーバー歪みを生じません。この単電源システムにクロスオーバー歪みのないアンプを使用することにより、広いダイナミック出力範囲を実現するとともに、入力同相/入力デジタル・コード範囲において直線性を維持します。ADA4500-2の動作の詳細については、ADA4500-2のデータシートを参照してください。
DACの出力インピーダンスは一定(標準6.25kΩ)で、コードの影響を受けません。ただし、誤差を最小限に抑えるため、出力バッファは高入力インピーダンス(低入力バイアス電流)でなければなりません。入力インピーダンスが高く、室温での入力バイアス電流が最大2pA、全温度範囲での入力バイアス電流が最大190pAのADA4500-2は、出力バッファに適したデバイスです。この結果、入力バイアス電流によるワーストケースの誤差は1.2μVで、1LSBよりはるかに小さな値です。
AD5541Aは10ピンMSOPまたは10ピンLFCSPパッケージを採用しています。ADR4550は8ピンSOICパッケージを採用し、ADA4500-2は8ピンSOICパッケージまたは8ピンLFCSPパッケージを採用しています。
測定結果は、AD5541A、ADR4550、ADA4500-2の組み合わせが、高精度で低ノイズ性能のアプリケーションに対して優れたソリューションであることを示しています。ADA4500-2は、クロスオーバー歪みなしでDACの直線性を維持します。
積分非直線性(INL)と微分非直線性(DNL)の測定
INL誤差は、DACの理想的な伝達関数からの実際の伝達関数のLSB単位の偏差を示します。DNL誤差は、実際のステップ・サイズと1LSBの理想値との差を示します。このシステム・ソリューションは、DNLとINLが±1LSBの16ビット分解能を実現します。この回路のDNL性能を図2に、INL性能を図3に示します。
DNLとINLの測定では測定範囲の両端から200コード(約15mV)分を除いていることに注意してください。これは、チュートリアルチュートリアルMT-035MT-035に記載されているように、これらの領域ではレールtoレール出力段が非線形になるからです。
従来のレールtoレール入力段を備えたオペアンプを使用することによって生じる非直線性を図4に示します。同相電圧が+5V電源レールから約1.7V離れると、約4LSBのピーク誤差が生じることに注意してください。
ボード・レイアウトに関する検討事項
ボード上の電源とグラウンド・リターンのレイアウトを慎重に検討することが重要です。プリント回路ボードでは、アナログ部とデジタル部を分離する必要があります。複数のデバイスでアナログ・グランドをデジタル・グランドに接続する必要があるシステムでこの回路を使用する場合、1点でのみ接続します。全ての部品への電源は、0.1uF以上のコンデンサでバイパスする必要があります。これらのバイパス・コンデンサは、物理的にデバイスのできるだけ近くに配置する必要があり、コンデンサは理想的にはデバイス真上に配置します。0.1uFのコンデンサは、セラミック・コンデンサなどの等価直列抵抗(ESR)と等価直列インダクタンス(ESL)が低いものを選択する必要があります。この0.1μFのコンデンサは、過渡電流のグラウンドへの低インピーダンス経路を提供します。また、電源ラインはできるだけ太いパターンにして低インピーダンスの電源経路を実現します。最適な性能を得るには適切なレイアウト、グランディング、デカプリング技術が必要です(チュートリアルMT-031:データ・コンバータのグラウンディングと、「AGND」および「DGND」に関する疑問の解消、チュートリアルMT-101:Decoupling Techniquesを参照)。
バリエーション回路
低消費電力ソリューション(低速時)にするには、 ADA4505-1/ADA4505-2/ADA4505-4を出力バッファとして使用します。ADA4505ファミリは、低入力バイアス電流のマイクロパワー、ゼロクロスオーバー歪みアンプです。
ADR425、ADR435、ADR445は、5Vリファレンスを供給するデバイスとして最適です。これらのデバイスは高精度、低ノイズで、最大18Vの入力電圧が可能です。
バイポーラ出力振幅にするにはAD5512A/AD5542Aを使用します。これらはシングル12/16ビット、非バッファ電圧出力DAコンバータ(DAC)で、バイポーラ・モード動作が可能です。
出力電圧範囲が狭くなりますが、クロスオーバー歪みが生じないようにするもう1つの方法は、同じ電源電圧(5V)でリファレンス電圧がより低い、たとえば2.5VのADR4525を使用することです。これにより、標準のレールtoレール入力アンプ(デュアル差動ペア・トポロジー採用)のクロスオーバー・ポイントは入力デジタル・コードの範囲外になります。
回路の評価とテスト
この回路では、 EVAL-CN0348-SDPZ 回路ボードと EVAL-SDP-CB1Zシステム・デモ用プラットフォーム(SDP)評価ボードを使用します。この2つの基板は120ピンのコネクタを備えており、セットアップと回路の性能評価を簡単に行うことができます。EVAL-CN0348-SDPZボードは、このノートで説明したような評価ができる回路を備えています。SDP評価ボードはCN-0348評価用ソフトウェアと共に使用し、EVAL-CN0348-SDPZ回路ボードからデータを取り込みます。
必要な装置
- USBポート付きのWindows XP、Windows Vista(32ビット)またはWindows 7(32ビット)を搭載したPC
- EVAL-CN0348-SDPZ回路評価ボード
- EVAL-SDP-CB1Z SDP評価ボード
- CN-0348評価用ソフトウェア
- 電源:6V~18V、または6V ACアダプタ
- Agilent 3458Aマルチメータまたは相当品
- GPIB-USBケーブル(アナログ・データをDACから取り込みPCに転送する目的のみに必要)
評価開始にあたって
CN0348評価用ソフトウェア・ディスクをPCのCDドライブに挿入し、評価用ソフトウェアをインストールします。マイコンピュータを使用して、評価用ソフトウェア・ディスクが入っているドライブを見つけます。
機能ブロック図
図5に、テスト・セットアップの機能ブロック図を示します。
セットアップ
EVAL-CN0348-SDPZ回路ボードの120ピン・コネクタをEVAL-SDP-CB1Z評価(SDP)ボードの「CON A」と記されたコネクタに接続します。120ピン・コネクタの両端にある穴を利用し、ナイロン製の固定用部品を使って2枚の基板をしっかりと固定します。 電源スイッチをオフにして、基板(J1)上の「V+」と記されたピンと「AGND」と記されたピンに、+6V(最大+18V)電源を接続します。SDPボードに付属しているUSBケーブルをPCのUSBポートに接続します。この時点では、USBケーブルはSDPボードのミニUSBコネクタに、まだ接続しないでください。
テスト
EVAL-CN0348-SDPZ回路ボードに接続されたV+電源をオンにします。PCからのUSBケーブルをSDPボードのミニUSBコネクタに接続し、評価用ソフトウェアを起動します。アナログ・デバイセズのシステム開発プラットフォーム・ドライバがデバイス・マネージャに表示されていれば、ソフトウェアはSDPボードと通信を行うことができます。
USB通信が確立すれば、SDPボードを使ってEVAL-CN0348-SDPZボードとシリアル・データで送信、受信、取込みを行うことができます。
図6はEVAL-CN0348-SDPZ評価ボードの写真です。
テストアップの詳細、およびデータ・キャプチャ用評価ソフトウェアの使用方法については、CN-0348 Software User Guideに記載されています。
SDPボードについてはSDP User Guide. (英語)を参照してください。