お使いのアンプはディスエーブル状態、それとも単なるスリープ状態?

質問:

パワーダウン、シャットダウン、 スタンバイ、スリープ・モード、 ディスエーブルには、どのような 違いがあるのでしょうか?

RAQ:  Issue 59

回答:

これらの機能はすべて同じように思えるかも知れませんが、特定のアンプやメーカによって意味がかなり異なる場合があります。

当社では、静止時の電源電流が通常動作時のレベルから低下したときのアンプの状態に対して 「パワーダウン」または「シャットダウン」という用語を使います。電源電流は、一般にアンプの内部バイアス回路の電流を低減させることによって調整します。たとえば、静止時の電源電流がノーマル・モードでの動作時で数ミリアンペアのアンプでは、パワーダウン・モードになるとわずか数マイクロアンペア、場合によっては数ナノアンペアにまで流れる電流が低下します。アンプの出力電圧は、パワーダウン、シャットダウンのいずれのモードでも定義されていません。

ディスエーブル」という用語も、静止時の電源電流が通常のオン状態よりも低下したときのアンプの状態を指しますが、ディスエーブル・モードではそれに加えて出力が高インピーダンス状態になっています。この状態は非常に役に立ちます。優れた入出力間の絶縁を提供すると共に、出力をワイヤードOR接続してマルチプレキシング(多重化)することができます。

データシートは注意深くお読みください。単なるパワーダウン機能については、仕様表に電源パラメータについての短い説明が記載されていたり、通常時の電源電流とパワーダウン時の電源電流の関係を示すグラフが掲載されていることがあります。また、温度範囲にわたってパワーダウン電流の変化を示したグラフが掲載されている場合もあります。ディスエーブル機能(高インピーダンス状態)については、同じく仕様表に参照データがあることに加えて、出力インピーダンスの周波数特性を示すグラフ(高出力インピーダンスの周波数特性は一定ではない)や、多重化アプリケーション向けデバイスの高インピーダンス機能を示す回路例も示されています。さらに、パワーダウン・スレッショールド電圧にも注意してください。オペアンプにはグラウンド・ピンがないので、ほとんどのパワーダウン回路は内部で電源レールの一つを基準とします。スイッチング・ レベルは従来のロジック信号と互換性がない場合があるために、ある種のレベル変換が必要になる場合があります。

すべてのメーカが用語を同じ意味で使用しているわけではなく、あるメーカがディスエーブルと呼んでいるものを別のメーカではシャットダウンと呼んでいる場合もあります。そのため、パワーダウン、シャットダウン、ディスエーブルの定義については、各メーカのデータシートを参照する必要があります。


著者

John Ardizzoni

John Ardizzoni

John Ardizzoniは、アナログ・デバイセズの高速リニア・グループの上級アプリケーション・エンジニアです。 マサチューセッツ州ノースアンドーバーのメリマック・カレッジでBSEE(電子工学士)を取得し、2002年にアナログ・デバイセズに入社しました。エレクトロニクス業界で30年以上のキャリアがあります。