質問:
電源オフの状態にも関わらず、アンプの出力が低レベルの 信号をリークします。なぜでしょう…この回路は駄目なので しょうか?
回答:
そうですね…このような「配管」問題にはこれまでにも1~2回遭遇したことがありますが、本当に「めったにない質問」ですね。よくよくそのユーザと話し合ってみると、アンプが電圧フォロワとして接続され、電源がオフのときにアンプ入力に2V p-pの信号があることがわかりました。これがこの謎の重要な鍵です。問題は出力に関係しているように見えますが、漏れの原因をたどると入力に至ることがあります。具体的にいえば、差動入力段の入力保護回路になります。
高速アンプ(>50MHz)の製造プロセスでは、きわめて高いftのトランジスタを利用します。このデバイスは高い周波数で動作しますが、ブレークダウン電圧はかなり低いことがあるため保護する必要があります。入力保護は、アンプの非反転入力と反転入力の間に2~3個の直列ダイオードを逆並列で接続するだけで簡単にできます。入力差動ペアのベースエミッタ接合部の両端に印加される電圧の量をダイオードが制限し、逆方向降伏を防止します。直列ダイオードの数によって差動入力電圧定格が決まります。電圧定格は、±0.8Vから±VSまでさまざまな値があります。データシートの最大定格の表の差動入力電圧の項目を調べれば、簡単にこの値を求めることができます。
このユーザの場合は、±0.8Vの差動入力定格のアンプを使用していました。何が起こったかというと、入力に2V p-pの信号が印加されたときに保護ダイオードが順方向にバイアスされたのです。そのため、入力信号が帰還抵抗を介して保護ダイオードから出力に「漏れた」のです。幸い、この種の漏れをなくすためには配管工を呼ぶ必要はありません。ただ入力信号レベルを±0.8V p-pより低くするか、最大差動入力電圧定格の高いアンプを使用すればよいのです。
今後「漏れ」の多いアンプを見つけたら、差動入力電圧定格を調べるようにしてください。入力電圧を下げても問題が解決しない場合は、漏れをなくすためにワッシャを交換しなければならない配管工と同じです。アンプを交換する必要があります。