高効率リチウムイオン電池製造を最適化する高精度アナログ・コントローラ

省電力と環境保護は人々の日常生活の中で重要な役割を果たしています。手頃な価格で入手できるハイブリッドカーや電気自動車の普及に伴い、省電力や環境保護への関心はさらに高まっています。いずれの技術も大量の充電式バッテリを使用しますが、現時点では、高品質で高出力のリチウムイオン電池が最良のソリューションと言えます。リチウムイオン電池は元来ラップトップ・コンピュータ、携帯電話、デジタルカメラ、ビデオカメラなど、多くの携帯機器に広く使われていますが、セルまたはセルパックあたりの充電容量が標準で 5 Ahと小さいため、これまで生産効率が大きな問題となることはありませんでした。標準的なセルパックに含まれているセルは12個以下なので、マッチングもそれほど問題となりません。

省電力を実現する方法の1つは、ピーク時の電力量を補うために、ピーク時以外に電力を蓄えておくことです。自動車や蓄電に使われる電池は充電容量がはるかに大きく、一般に数100 Ahです。これは、小型のセルを多数使用するか、大容量バッテリセルを少数使用することによって実現できます。たとえば、ある電気自動車は約6,800個の18650型リチウムイオン・セルを使用し、その重量は最大450 kgに達します。このために、高い効率で適切な制御の下に短時間でバッテリを製造し、低コストで市場のニーズに応えることが求められています。

リチウムイオン電池製造の概要

リチウムイオン電池の製造工程を図1に示します。最終調整の工程内のバッテリのフォーメーションとテストは、時間を要するばかりでなく、バッテリの寿命と品質に大きく影響します。

Figure 1
図1. リチウムイオン電池の製造工程

今日の技術ではセル製造工程でフォーメーションを行わなければなりません。これには数時間を要し、電池の化学反応によっては数日かかることもあります。フォーメーション時は0.1 C(Cはセル容量)の電流が使われるので、フル充電/放電を行うには20時間かかります。フォーメーションは、バッテリの合計コストの20%から30%を占めることがあります。
 

電気試験では通常、1Cの充電電流と0.5Cの放電電流を使用しますが、各サイクルで充電に1時間、放電に2時間かかり、標準的なテスト・シーケンスではこの充放電サイクルが数回繰り返されます。

フォーメーションと電気試験には厳しい精度仕様が定められており、電流と電圧は ±0.05% 以内の精度で制御されます。これに対し、携帯電話やラップトップなどの携帯機器用電池の充電時は、±0.5% の電圧精度と、±10%の電流精度で制御されます。標準的なリチウムイオンセルの充放電プロファイルを図2に示します。

Figure 2
図2. 標準的なリチウムイオン・セルの充放電プロファイル

リニアまたはスイッチング方式のフォーメーション およびテスト・システム

製造方法を選択する際に考慮すべき重要な要素に、電力効率、システム精度、そしてコストがあります。また、サイズが小さいことやメンテナンスが容易であるといった要素ももちろん重要です。

電池製造に必要な高い精度を得るために、システム設計者はこれまでリニア電圧レギュレータを使ってきました。しかしその場合、精度要求は容易に満たすことができるのですが、低効率という欠点もあります。低容量のバッテリではこれでも妥当なトレードオフといえますが、スイッチング技術を利用することも可能です。どちらを選ぶかは、効率、チャンネルあたりのコスト、電流にかかっています。ガイドラインとしては、容量が3Ahより大きいセルで、チャンネルあたりのコストが同じ場合は、スイッチング技術を使用すれば効率を上げることができます。電力容量と最終機能から見た各種セル・カテゴリの比較を表1に示します。

表1. リニア・システムとスイッチング・システムの比較

電池サイズ 小型 中型 大型
容量(Ah) < 2 10~15 30~100
アプリケーション 携帯電話、デジカメ、ビデオカメラ ラップトップ・コンピュータ HEV、EV、スクーター
チャンネル数 ~512 ~768 16~64
技術的要件
低温度ドリフトおよび低経時ドリフト
温度および経時変化に対して、より高精度
温度および経時変化に対して最も高精度電流シェアリングができる。
テスタ・トポロジ
リニア低効率
リニアまたはスイッチングスイッチングへ移行の傾向
スイッチングで高効率化電力再利用可能

短時間に低コストで電池を製造するため、フォーメーションとテスト工程のシステムは数百あるいは数千のチャンネルを持っています(マルチチャンネルシステム)。その際、テスタのトポロジはシステムの総電力容量によって異なります。テスタに大電流が流れると温度が非常に高くなるので、長時間にわたり高い測定精度と安定性を維持する上で、多くの課題が生じます。

放電時には、蓄えられた電力をどこかに放出しなければなりません。電池電圧を抵抗性負荷に放電して電力を熱に変換することが解決策の1つに挙げられますが、これよりはるかに優れた解決策は、電力を再利用することです。つまり、高精度で制御して放電セルから別の充電セルに電流を供給することです。この手法では、非常に高いテスタ効率を実現することができます。

電力は通常、DCバスと各セルの双方向PWMコンバータを介してバランスさせます。DCバス電圧は個々のシステムによって異なりますが、12V、24V、あるいは最大350Vにもなり得ます。電力量が同じであれば、低電圧のバスの方がより大きい電流が流れ、導体抵抗による損失も大きくなります。電圧を高くすると安全上の懸念が増え、高価な高耐圧部品や絶縁部品が必要になります。

電力再利用のための標準的なスイッチング・トポロジーを図3に示します。電力は、セル間で直接再利用するか(赤の経路)、DCリンクバスを介してセル間で 再利用できるほか(緑の経路)、電力網に戻すこともできます(紫の経路)。このように柔軟で効率の高い設計により、生産コストを削減して90%以上の効率 を実現することが可能です。

Figure 3
図3. 電力再利用機能を持つスイッチング・システム

スイッチング・トポロジーには多くの利点がある一方で、技術的課題もあります。電圧および電流制御は十分に高速でなければならず、経時変化および温度変化に対して高い精度を維持できなければなりません。空冷方式や水冷方式を採用するのも有効ですが、より重要なことは、まず低ドリフトの回路を設計することです。システムにはスイッチング電源が含まれるので、適切なコストで電源リップルを除去する必要があります。また、システム校正のために必要な時間を最小限に抑えることも重要です。校正のためにシステムが停止している間は、収益は生み出されないからです。

制御ループの設計:アナログかデジタルか

各システムには、図4に示すように電圧制御用と電流制御用にそれぞれ1つの制御ループがあります。自動車用のセルでは加速時に電流値を急増させなければならないので、これをテスト時にシミュレーションする必要があります。変化が速く、ダイナミック・レンジが広いので、電流制御ループの設計は簡単ではありません。

Figure 4
図4. 電池制御システムの制御ループ

1つのシステムには4つの異なる制御ループが必要で、これらのループはアナログまたはデジタルで実装できます。4つの制御ループとは、固定電流(Constant Current:CC)充電、CC放電、固定電圧(Constant Voltage:CV)充電、CV放電です。CCとCVの切り替えは、グリッチやピークのないクリーンなものでなければなりません。

デジタル制御ループのブロック図を図5に示します。マイクロコントローラまたはDSPが電圧と電流を継続的にサンプリングして、デジタル・アルゴリズムがPWMのデューティサイクルを決定します。このような柔軟な方法では、現場でのアップグレードとバグ修正が可能ですが、欠点もいくつかあります。ADCはループ帯域幅の2倍以上の速度でサンプリングを行わなければならず、ほとんどのシステムではループ帯域幅の10倍の速度でサンプリングを行っています。これは、1つのコンバータとシャント・レジスタで放電モードと充電モードをカバーするために、バイポーラ入力のADCを100kSPSで動作させる必要があります。システムの速度と精度を上げるために、16ビット、250kSPSのADCを使用する設計者もいます。ADCは制御ループの一部なので、ADCの精度によりシステム全体の精度が決まります。したがって、6チャンネル、16ビット、250kSPSのAD7656のように、高速で遅延が小さく、歪みも小さいADCを選ぶことが重要です。

Figure 5
図5. デジタル制御ループ

マルチチャンネル・システムでは、通常、各チャンネルに1個のマイクロコントローラと一組の専用のADCが必要です。マイクロコントローラはデータ収集、デジタル制御ループ、PWM生成、PWM制御、通信などの処理を行うので、高い処理能力を備えている必要があります。さらに、プロセッサは複数のタスクを並列処理しなければならないので、特にPWMのデューティサイクルが低い場合は、PWM信号のジッタが問題になることがあります。マイクロプロセッサは制御ループの一部なので、ループの帯域幅に影響を与えます。

アナログ制御ループを使用する電池・テスト・システムを図6に示します。2つのDACチャンネルがCCおよびCV設定値を制御します。電池のテストおよびフォーメーション・システム用高精度アナログ・フロントエンドとコントローラのAD8450/AD8451は、バッテリの電圧と電流を測定し、その測定値と設定値を比較します。CCループとCVループは、MOSFET電力段のデューティサイクルを決定します。充電モードから放電モードに変わると、バッテリ電流を測定する計装アンプの極性が反転して計装アンプの出力を正の値に保ち、CCおよびCVアンプ内のスイッチにより適切な補償ネットワークが選択されます。この機能全体は、標準的なデジタル・ロジックを使って1本のピンで制御されます。

Figure 6
図6. アナログ制御ループ

この実装ではADCがシステムを監視しますが、このADCは制御ループの一部ではありません。サンプリング速度は制御ループの性能とは関係ないので、マルチチャンネル・システムでは、1つのADCで多数のチャンネルの電流と電圧を測定できます。これはDACの場合も同様なので、複数チャンネルに対して1つの低価格のDACを使うことができます。さらに、1つのプロセッサが制御しなければならないのはCVおよびCC設定値、動作モード、およびハウスキーピング機能 (過電流・過電圧検出や温度モニタリングやその他 I/F など)だけなので、多数のチャンネルと接続することができます。プロセッサが制御ループの性能を決定するわけではないので、高性能である必要はありません。

ADP1972 PWM発生器は、1本のピンで降圧または昇圧モード動作を制御します。アナログ・コントローラとPWM発生器間のインターフェースは低インピーダンスのアナログ信号で構成されていますが、デジタル・ループで問題を引き起こすジッタに苦しむことはありません。アナログ・ループが、デジタル・ループよりもどの程度低コストで高性能を実現できるかを表2に示します。

表2. アナログ制御ループとデジタル制御ループの比較


デジタル・ソリューション アナログ・ソリューション アナログの利点
ループ帯域幅 アンプ、ADC、マイクロプロセッサに依存;250 kSPのADC使用時20kHz

アンプに依存;G = 66でAD845x使用時1.5MHz

高速制御
精度 >0.05%ADCとアルゴリズムに依 <0.04%、AD845xに依存 高精度
スイッチング周波数 アルゴリズムとマイクロプロセッサ速度に依存。低周波数ジッタの影響 最大300 kHz;ADP1972に依存 クリーンなPWM出力 低コスト 電力ソリューション
電力効率
リソースと降圧/昇圧スイッチング周波数間のトレードオフ
90%+;AD8450/ADP1972からの制約なし
高効率
電力用エレクトロニクス
大型で高価な部品が必要
小型で安価な部品
小型で安価
測定用コンバータのチャンネル間共用
不可;各セル測定に特化した高価な バイポーラ入力ADCが必要
可能;多チャンネル、 低電圧ユニポーラADCで実現
低コスト
トータル・ソリューション
高価なADCと電力用電子部品; 多額のソフトウェア投資
安価なADCと電力用電子部品; ソフトウェア不要
ハードウェア、校正、運用を含め低コスト;高性能

温度変化に伴うシステム精度

初期システム誤差のほとんどは、校正によって除去されます。残っている誤差は、アンプのCMRR、電流および電圧設定値の制御に使用するDACの非線形性、および温度ドリフトです。電池製造メーカーが異なる温度範囲を指定することもありますが、25℃±10℃が最も一般的な範囲の1つですので、今回の例でもこの範囲を使用します。

この設計では完全放電時の2.7Vから完全充電時の4.2Vまで電圧が変化する電池を使用し、5mΩのシャント抵抗使用時のフルスケール電流を12A、AD8450の電流検出アンプのゲインを66、電池電圧を測定する差動アンプのゲインを0.8とします。

電流検出抵抗のドリフトは、合計システム誤差の大部分を占めることがあります。このドリフトは、最大温度係数15ppm/℃のVishay製バルク金属抵抗(部品番号Y14880R00500B9R)を使用することで減らすことができます。また、最大INLが2-LSBのAD5689デュアル16ビットnanoDAC+D/Aコンバータを使用すると、非線形性を改善することができます。ADR4540 4.096Vリファレンスは、最大温度係数が4ppm/°Cであり、電流設定値範囲と電圧設定値範囲の両方の要求を満たしています。DACのINLを電流検出アンプのゲイン66で割ると約32ppmのフルスケール誤差が加わり、リファレンスは40ppmの利得誤差を発生させます。

電流検出アンプの最小CMRRは、ゲインが66のとき116dBです。2.7Vの電池でシステムを校正した場合、4.2Vのバッテリでは40ppmのフルスケール誤差の発生が予想されます。さらに、CMRRは0.01μV/V/°C変化します。つまり10℃の温度範囲では0.1μV/V変化します。電流検出アンプのオフセット電圧ドリフトは最大0.6μV/°Cなので、温度が10℃変化するとオフセットは6μV、つまりフルスケールの100ppmとなります。

最後に、電流検出アンプのゲイン・ドリフトは最大3ppm/℃で、合計ドリフトは10℃で30ppmです。検出抵抗のドリフトは15ppm/℃なので、10℃でのゲイン・ドリフトは150ppmとなります。図3はこれらの誤差源をまとめたもので、合計フルスケール誤差は0.04%をわずかに下回る程度です。この誤差の大部分はシャント抵抗によるものなので、必要に応じて低ドリフトのシャント抵抗を使用すれば、システム精度を向上させることができます。

表3. 10℃範囲での電流測定誤差

誤差源
誤差 単位
AD5689R INL 31 ppm FS
AD8450 CMRR 40 ppm FS
AD8450 オフセット・ドリフト 100 ppm FS
AD8450 CMRR ドリフト
3
ppm FS
合計オフセット誤差
174
ppm FS
ADR4540A ドリフト
40
ppm reading
AD8450 ゲイン・ドリフト
30
ppm reading
シャント抵抗ドリフト
150 ppm reading
合計ゲイン・ドリフト
220 ppm reading
合計誤差 0.039 % FS

同様に、電圧入力の場合、DACの2-LSB の INLは5.12Vのフルスケール入力に対し31ppmの誤差に相当します。電池電圧は2.7Vから4.2Vまで変化するので、差動アンプのCMRRが78.1dBの場合は187μVのオフセット誤差が生じます。これは、フルスケールの36.5ppmに相当します。CMRRドリフトによって新たに加わる誤差は1ppmを十分下回るので無視できます。

差動アンプのオフセット・ドリフトは5 μV/℃であり、10℃ではフルスケールの10ppmに相当します。差動アンプのゲイン・ドリフトは3ppm/℃であり、10℃では30ppmに相当します。リファレンス・ドリフトは10℃で40ppmです。表4に概要を示すように、合計電圧誤差は最大0.015%です。

表4. 10℃範囲での電圧測定誤差

誤差源
誤差 単位
AD5689R INL 31 ppm FS
AD8450 CMRR 36 ppm FS
AD8450 オフセット・ドリフト 10 ppm FS
AD8450 CMRR ドリフト
無視可能
ppm FS
合計オフセット誤差
77
ppm FS
ADR4540A ドリフト
40
ppm reading
AD8450 ゲイン・ドリフト
30
ppm reading
合計ゲイン・ドリフト
70 ppm reading
合計誤差 0.015 % FS

電流測定で高精度を実現するのは電圧測定の場合より困難です。これは、信号レベルが小さく、ダイナミック・レンジが広いためです。シャント抵抗と計装アンプのオフセットのドリフトは、温度変化に対して最も大きい誤差を発生させます。

校正時間の短縮

システムの校正時間はチャンネルあたり数分を要することがあるので、この時間を短縮すれば製造コストを削減できます。チャンネルあたり3分間を要するとすると、96チャンネルを有するシステムを校正するには4.8時間かかります。電流の極性が変化するので電圧と電流の測定経路は異なり、オフセット誤差とゲイン誤差はモードごとに異なります。したがって、これらは個別に測定する必要があります。低ドリフト部品が使われていない場合は、モードごとに温度校正を行わなければならず、校正時間が非常に長くなります。

AD845xが充電モードと放電モードの間で切り替わる際には、電流が計装アンプや他のシグナル・コンディショニング回路に達する前に、内蔵マルチプレクサが電流の極性を反転させます。したがって図7に示すように、計装アンプには充電モードか放電モードかに関係なく同じ信号が加わり、ゲイン誤差はどちらのモードでも同じになります。マルチプレクサの抵抗は充電モードと放電モードで異なりますが、計装アンプの入力インピーダンスが大きいので、この誤差は無視できます。

システム設計の観点からすると、どちらのモードでもオフセット誤差とゲイン誤差が同じであるということは、1回の校正で充電モードと放電モード両方の初期誤差を除去でき、校正時間を半分に減らせることを意味します。さらにAD845xの温度ドリフトは非常に小さいので、温度を変えて校正を行わなくても、室温での校正で十分です。システムの寿命期間中に必要となる校正作業を考慮すると、時間の節約は大幅なコスト削減につながります。

リップルの低減

リニア・トポロジからスイッチング・トポロジへ移行しようとするシステム設計者にとって課題の1つは、電流信号と電圧信号のリップルです。あらゆるスイッチング電力システムにはある程度のリップルが存在しますが、技術は急速に進歩しています。この進歩は、PCの電圧レギュレータ・モジュールや、低コストで高い効率を実現することが求められる大容量電力管理アプリケーションによってもたらされています。回路設計とPCBレイアウトを慎重に行うことにより、スイッチング電源から16ビットADCに給電しても性能を低下させないレベルまでリップルを減らすことができます。詳細については、アプリケーション・ノートAN-1141「Powering a Dual Supply Precision ADC with Switching Regulators」をご覧ください。さらにADP1878同期降圧コントローラのデータシートには、高出力アプリケーションに関して詳細に記載されています。ほとんどのスイッチング電源では1段LCフィルタを使用しますが、リップル性能とシステム精度を上げる必要がある場合は、2段LCフィルタを使用することができます。

電流シェアリング

AD8450を使用すれば、アナログ電流シェアリングを簡単に行うことができます。これは、大容量セルのフォーメーションとテストのために複数のチャンネルを組み合わせるための、迅速かつ費用対効果の高い方法です。たとえば、5V、20Aのシングル・チャンネル設計を利用し、同じチャンネルを3つ組み合わせることによって、5V、60Aのシステムにすることができます。電流シェアリングバスと制御回路は、AD8450といくつかの受動部品によって実装できます。この場合は低コストの電子部品を使用できる上に、余分な開発時間が必要ないので、シングル・チャンネル設計に比べて費用対効果が高くなります。詳細についてはAD8450のデータシートをご覧ください。

Figure 7
図7. AD845xでは充電モードでも放電モードでも オフセットとスロープが同じ

結論

スイッチング電源は、今日の充電式バッテリを製造するために、高性能で費用対効果の高いソリューションを提供します。AD8450AD8451ADP1972は、0.05%より良いシステム精度と90%を超える電力効率によってシステム設計を簡素化し、充電式バッテリ製造に時間を要する問題の解決を助け、環境にやさしい技術の普及に貢献します。

参考資料

Wang, Jianqiang, et al. “Study of High-Capacity Single-Body Li-Ion Battery Charging and Discharging System.” PEDS2009

Wolter, M, et al. “End-of-Line Testing and Formation Pro- cess in Li-Ion Battery Assembly Lines.” 9th International Multi-Conference on Systems, Signals and Devices, 2012 IEEE


著者

Wenshuai Liao

Wenshuai Liao

Wenshuai Liaoは、米国マサチューセッツ州ウィルミントンに拠点を置くアナログ・デバイセズのリニア製品グループ(LPG)のマーケティング・エンジニアです。中国の清華大学で光工学の修士号を取得後、大唐電信科技産業グループで3G Node BのRFエンジニアとして3年間勤務。その後、2002年8月にアナログ・デバイセズに入社しました。

Luis-Orozco

Luis Orozco

Luis Orozco は、ADI の産業/計測部門に所属するシステム・アプリケーション・エンジニア。2011 年、ADI に入社。それ以前の11 年間は、高精度計測器の設計に従事。現在は、テストおよび計測、化学分析、環境モニタリングなどのアプリケーションに注力しています。