未発表論文から

データ・アクイジション向けの超高性能差動出力プログラマブル・ゲイン計装アンプ

  Reem Malik ;Sandro Herrera共著 (コメントは英語でお願いいたします


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データ・アクイジション・システムやプログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)は、汎用の高性能アナログ・フロントエンドをさまざまなセンサーに接続し、信号を正確かつ確実に測定する必要があります。センサーの種類や測定する電圧または電流の大きさに応じて、信号を増幅あるいは減衰させ、後に続くデジタル処理やフィードバック制御に使用するA/Dコン バータ(ADC)のフルスケール入力レンジに対応させる必要があります。

データ・アクイジション・システムの代表的な電圧測定範囲は、±0.1V~±10Vです。正しい電圧範囲を選択することでシステム・ゲインを修正し、A/Dコンバータ(ADC)の入力におけるサンプリング電圧の振幅を最大化し、これによって高いS/N 比と測定精度を実現できます。一般にデータ・アクイジション・システムでは、減衰しなければならない信号と増幅しなければならない信号は、異なる信号パスで処理します。このため、通常、システム設計が複雑になり、追加の部品が必要とされ、使用する基板面積も大きくなります。 同じ信号パスで減衰と増幅を行うソリューションは一般にプログラマブル・ゲイン・アンプと可変ゲイン・アンプを使用しますが、通常これらのアンプには工業用および計測用アプリケーションの多くで必要とされる高いDC精度と温度安定性がありません。

1つの信号パスで減衰と増幅の両方を行い、高性能A/Dコンバータを駆動する差動出力を提供する強力なアナログ・フロントエンドを構成するには、図1に示すような回路で、AD8250 (ゲイン=1、2、5、10)、AD8251(ゲイン=1、2、4、8)、 AD8253(ゲイン=1、10、100、1000)などのプログラマ ブル・ゲイン計装アンプ(PGIA)をAD8475などの完全差動ファンネル(減衰)アンプとカスケード接続する方法があります。このソリューションは、優れた精度や温度安定性を実現するとともに、単純性、柔軟性、高速性を提供します。

前述のプログラマブル・ゲイン計装アンプは、5.3GΩの差動入力インピーダンスと-110dBの全高調波歪み(THD)を特長とし、多種多様なセンサーとの接続に最適です。ゲイン=10の場合、AD8250は、3MHz の帯域幅、18nV/√Hz の電圧ノイズ、0.001%まで685ns のセトリング時間、1.7μV/°cのオフセット・ドリフト、10ppm/°cのゲイン・ドリフト、DCから50kHz まで90dBの同相ノイズ除去性能を保証します。このアンプは、高精度のDC性能と高速性を備え、マルチプレクサ入力のデータ・アクイジション・アプリケーションに最適です。

高精度の抵抗を内蔵した高速、完全差動のファンネル・アンプAD8475は、0.4または0.8の高精度減衰、同相レベル・シフト、シングルエンド/差動変換、入力過電圧保護を提供します。この使いやすい完全集積型の高精度ゲイン・ブロックは、+5Vの単電源で±10Vまでの信号レベルを処理できるように設計されています。このため、工業用レベルの信号を最大4MSPSのサンプリング・レート、低電圧、高性能の16ビット/18ビット逐次比較型(SAR)ADCの差動入力電圧範囲に対応させることができます。

AD825x とAD8475 を図1 に示すように連携させることで、柔軟で高性能なアナログ・フロントエンドが実現します。表1に、入力と出力の電圧範囲条件に応じて可能なゲインの組み合わせを示します。

図1. AD825x PGIAとAD8475差動出力ファンネル・アンプを使用したデータ・アクイジション用アナログ・フロントエンド

表1. AD8475をAD8250、AD8251、AD8253と組み合わせた場合の入力電圧範囲と可能なゲイン

機能:入力電圧範囲と帯域幅
AD825x PGIAファミリーの最大入力電圧範囲は、±15V電源の動作時で約±13.5Vです(AD8250とAD8251には、電源レールを最大13V上回る過電圧に対する保護も備えています)。このアプリケーションでは、PGIA入力電圧範囲に対する有効な限度は、ADC入力のフルスケール電圧範囲のほか、センサーからADCまでの信号パス・ゲインによって決まります。たとえば、18ビット、2MSPSのPulSAR ADCのAD7986は、 4.096V(typ)のリファレンス電圧を使用し、+2.5V単電源で動作します。その差動入力は±4.096V(差動の各入力上で0V~4.096Vおよび4.096V~ 0V)まで対応できます。アナログ・フロントエンドの全ゲインを0.4に設定し、AD825xをゲイン=1、AD8475をゲイン=0.4に設定した場合、システムは最大±10.24Vの入力信号を処理できます。

どのシステムでも必要とされるゲイン設定の組み合わせを決定す るには、ADC(VFS)のフルスケール入力電圧と、センサーか らの予想される最小/最大電流または電圧レベルを考慮します。

このアナログ・フロントエンドの速度と帯域幅は、その精度と機 能性のレベルを考えると非常に優れています。この回路の速度と帯域幅は、以下の要素の組み合わせによって決まります。:

  • AD825xのセトリング時間:出力電圧ステップが10Vの場合、AD8250は615nsで0.001%(16ビット精度)までセトリングします。
  • AD825x のスルーレート:AD825x のスルーレートは、ゲイン設定に応じて20V/μs~ 30V/μs です。AD8475のスルーレートは50V/μs であるため、システムを制限するのは、AD825x のスルーレートになります。
  • アンチエイリアシング・フィルタ(AAF)のカットオフ周波数:ユーザ設定のこのフィルタによって、ADC入力に供給される信号の帯域が限定され、エイリアシングを防ぎ、シグナル・チェーンのS/N比を改善します(詳細についてはアンプとADCのデータシートを参照)。
  • ADCのサンプル・レート:AD8475は、18ビットの分解能を持つ最大4MSPSのコンバータを駆動できます。

データ・アクイジション・システムとプロセス制御システムの多くでは、圧力、温度、その他の低周波入力信号を測定するため、システムの性能実現にはフロントエンド・アンプのDC精度と温度安定性が重要になります。このようなアプリケーションでは、多くの場合、複数のセンサーを使用しており、ポーリング方式で多重化してアンプに入力します。一般に、ポーリング周波数は、対象となる信号の帯域幅よりかなり高くなります。マルチプレクサがセンサーを切り替えるとき、アンプ入力に生じる電圧変化は未知数であるため、設計は最悪のシナリオ(フルスケール電圧ステップ)に対応できるようにしておく必要があります。アンプは、切替えに割り当てられた時間内にこのフルスケール・ステップからセトリングしなければなりません。このセトリング時間は、信号のサンプリングと取込みのためにADCが必要とするセトリング時間より短くする必要があります。

AD8475とADCの入力の間には、アンチエイリアシング・フィルタ(AAF)を挿入することを推奨します。AAFはADC入力に供給される信号とノイズの帯域を限定して、エイリアシング効果を防止し、システムのS/N比を改善します。また、AAFはADCの入力過渡電流の一部を吸収するため、これによってアンプとADCのスイッチド・キャパシタ入力の間の絶縁効果も得られます。一般に、AAFは図1に示した簡単なRCネットワークによって実装できます。次の式は、フィルタ帯域幅を表しています。

多くの場合、フィルタのR値とC値は、ADCに必要な帯域幅、セトリング時間、駆動能力が提供できるように経験に基づいて最適化します。具体的な推奨事項については、ADCのデータシートを参照してください。

結論 AD8475とAD825x PGIAファミリーを組み合わせることで、高い性能、機能性、柔軟性を提供する簡単なアナログ・フロントエンドが実現します。さまざまなプログラマブル・ゲインの組み 合わせによって増幅と減衰の両方が可能になり、多様な測定電圧範囲を最適化できます。AD825xの性能とプログラマビリティは多重化計測システムに最適であり、またAD8475は高精度A/Dコンバータに対する優れたインターフェースとなります。この2つのアンプの見事な連携により、工業計測システム向けの高 性能アナログ・フロントエンドとして高品質のセンサー信号が維持できます。
高精度逐次比較型ADC向けのドライバとなるAD8475の詳細については、回路ノートCN-0180「工業向けレベルの信号に対する、高精度・単電源・差動ADCのドライバ回路」を参照してください。

沪ICP备09046653号
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