電源の小型化

小型化はエレクトロニクス産業に課せられてきた共通のテーマであり、電源にとっては特に重要な要素です。電源の品質は、しばしば体積あたりの電力で表されます。本稿では、電源小型化の助けとなる、電源設計時に考慮すべきいくつかの事項について検討します。

外付け部品の数を最小限に抑える

電源は通常、少なくとも1個の半導体と、インダクタ、複数のコンデンサ、およびいくつかの抵抗などの外付けの受動部品とで構成されます。部品数を図1に示す例のように減らすことは、電源全体のサイズを小さくするための第1ステップです。

図1 半導体と受動部品を使用した典型的なスイッチング・レギュレータ

図1 半導体と受動部品を使用した典型的なスイッチング・レギュレータ

調整可能な出力電圧やソフトスタート時間など、他の機能が必要とされる場合は受動部品の数が増えるので、全体的ソリューションに必要なスペースも増えることになります。図1の回路は、必要な受動部品の数を最小限に抑えたスイッチモード降圧コンバータの例です。

外付け部品のサイズを最小限に抑える

出力コンデンサとインダクタのサイズを可能な限り小さくするには、スイッチング・レギュレータICのスイッチング周波数をできるだけ高くする必要があります。出力電圧の電圧リップルの動作は値に関して基本的に直線的であり、外付け部品のサイズについても同様のことが言えます。例えば、スイッチング周波数が2倍になると、同じ出力電圧リップルに対して必要なインダクタンスの値は1/2になります。これにより、設計をより小型化することができます。図2に、LTC3307Aスイッチング・レギュレータに必要なスペースを示します。スイッチング周波数が3MHzと高いので、小さいインダクタを使用することができます。

図2 出力電流3Aのスイッチモード電圧コンバータに必要なスペース

図2 出力電流3Aのスイッチモード電圧コンバータに必要なスペース

スイッチング・レギュレータICのサイズを最小限に抑える

アナログ・デバイセズのLTC33xxプラットフォームは、最大5MHzの高いスイッチング周波数で変換を行うスイッチモード降圧コンバータで構成されています。このプラットフォームを通じて使用できる製品は、様々なアプリケーション用に設計されています。LTC3315Aは、スペースに制約のあるアプリケーション用に最適化されています。このデバイスは、それぞれが2Aの電流を出力できるチャンネルを2つ備えたデュアル・コンバータで、わずか1.64mm×1.64mmのウェーハ・レベル・チップ・スケール・パッケージ(WLCSP)で提供されます。また、MAX77324も優れた製品です。このシングルチャンネル降圧スイッチング・レギュレータの最大出力電流は1.5Aで、ハウジングのサイズは1.22mm×0.85mmです。MAX77324のパッケージ・フットプリントを図3に示します。

図3 超小型パッケージのスイッチング・レギュレータ

図3 超小型パッケージのスイッチング・レギュレータ

図4 デュアル降圧レギュレータICのパッケージ外形 – 寸法は1.64mm×1.64mm

図4 デュアル降圧レギュレータICのパッケージ外形 – 寸法は1.64mm×1.64mm

インダクタの集積化を通じたサイズの縮小

電源回路のサイズを小さくするもう1つの方法は、インダクタとスイッチング・レギュレータICを組み合わせることです。この組み合わせはモジュールと呼ばれます。集積化を行うとインダクタを半導体IC上に配置できるので、エッジ長を短くすることができます。更に、モジュール内のインダクタを熱伝導体およびヒート・シンクとして使用すれば、小型化に伴うもう1つの障害も解決できます。つまり、電源モジュール内でインダクタを半導体に正しく接続すれば、半導体からの熱を極めて効率よく放出することが可能です。ICは最大許容動作温度を超えては使用できないため、特に電流値の大きい小型スイッチング・レギュレータICの場合は、放熱が大きな問題となります。

革新的技術を使って電源のサイズを小さくする方法は数多くあります。ここに示したパワー・マネージメント関連の簡単なヒントがカバーするのは、そのうちの一部に過ぎません。小型化には間接的な利点が追加されます。例えば、必要とされるボード・スペースが小さいことによるコストの削減、より高い機能とそれによるより大きな利点を備えた技術度の高い装置を構築できる可能性、更には電子機器の小型化と軽量化による輸送コストの低減などです。

Frederik Dostal

Frederik Dostal

Frederik Dostalは、この業界で20年以上の経験を持つパワー・マネージメント・エキスパートです。ドイツのエアランゲン大学でマイクロエレクトロニクスを専攻後、2001年にNational Semiconductorに入社し、フィールド・アプリケーション・エンジニアとして勤務しながら、顧客プロジェクトにおけるパワー・マネージメント・ソリューションの導入に関して多くの経験を積みました。その間、アリゾナ州フェニックス(米国)でも4年間過ごし、アプリケーション・エンジニアとしてスイッチング・モード電源に取り組みました。2009年にアナログ・デバイセズに入社し、以降、製品ラインや欧州のテクニカル・サポートを担当する様々なポジションに就き、現在はパワー・マネージメント・エキスパートとして、設計およびアプリケーションに関する幅広い知識を活用しています。勤務先は、ドイツのミュンヘンにあるアナログ・デバイセズのオフィスです。