MEMS 振動センシング:速度から加速度を算出

MEMS 加速度センサーは、状態監視(CM)システム用の振動センサーとして広く使われるようになってきました。測定範囲、帯域幅、分解能(ノイズ)などのセンサー能力が近年向上したことで、これまでにない概念とシステム・アーキテクチャが実現可能となりました。MEMS センサーは小型、低コスト、高信頼性という利点を備えており、CM システムの開発者もそれらを活用したいとかねてより考えていました。システム設計者は初期のフィージビリティ・スタディを進める段階で、ある範囲の振動振幅(VMIN、VMAX)と周波数(fMIN、fMAX)に対応するために、特定のセンサーの能力を評価する必要があると判断する場合があります。振幅属性が速度を基準としたものである場合、設計者はそれらの属性を重要なセンサー仕様(ノイズ、範囲)に対して評価するために、振幅属性を加速度基準の属性に変換する必要があります。式 1 は、この変換を行うために、速度に関する単一周波数(fV)モデル V(t)を微分して等価加速度の式 a(t) を求める方法を示しています。

Equation 1

式 1 に示す加速度の式を用いれば、そのピーク値と実効値レベルを等価速度レベルに関連付ける、単純な式を作成することが可能です(式 2 を参照)。

Equation 2

これらの関係を RMS 形式で表したものを用いて、システムの振動境界の最もストレスのかかる部分、つまり、周波数(fMIN)と振幅(VMIN)が最小となる部分を通じた動作を仮定することによって、加速度センサーのノイズに関する境界条件を確立することができます。この形式の関係は、業界標準の振動強度分類を基準に特定の加速度センサーを評価する際に、有用なものとなります。例えば式 3 は、10 Hz の最小振動周波数において、ISO-10816-1 に定めるクラス 2 の装置にとって良好な範囲の振動シビアリティを検出するには(VMIN = 1.12mm/sec)、加速度測定時のノイズが 7.18 mg 未満でなければならないことを示しています。

Equation 3

加速度センサーのノイズ密度(ND)にノイズ帯域幅(fNBW)の平方根を乗じると、特定の加速度センサーとフィルタの組合わせにおける合計ノイズを、比較的簡単に予測することができます。

式 4 に、その一般式と例を示します。例では、ADXL357 加速度センサー(ND = 80 µ g/ √ Hz)を、カットオフ周波数1000 Hz(fC = 1000 Hz)の 単極ローパス・フィルタとともに使用した場合の合計ノイズを予測しています。4.7 mg では、ADXL357 は式 3 の境界条件を満たしていることがわかります。

Equation 4

式 2 のピーク形態(式 5 を参照)は、もう 1 つの重要な境界条件である、加速度センサーの測定範囲を予測するためのツールを提供します。式 5 には、周波数 1000 Hz(fMAX)において ISO-1081-1 のクラス 4 装置上で許容できない振動シビアリティ(VMAX = 28 mm/sec)を測定するには、少なくとも ±25.3 g の測定範囲が必要であることを示す具体的な例も挙げられています。

Equation 5

最終的なセンサーの選択にあたっては、さらに検討や評価が必要になる場合もありますが、このレベルの解析は、テスト・プラットフォームや特性評価への投資に先立ち最も基本的な境界条件への適合性を保証する助けとなります。

著者

Mark Looney

Mark Looney

Mark Looney。アナログ・デバイセズ(ノースカロライナ州グリーンズボロ)のiSensor® アプリケーション・エンジニア。1998 年、アナログ・デバイセズに入社。センサー信号処理、高速 A/Dコンバータ、DC/DC 電力変換を担当。ネバダ大学リノ校で電気工学の学士号(1994 年)と修士号(1995 年)を取得、数件の論文を発表。アナログ・デバイセズ入社以前は、車載電子機器およびトラフィック・ソリューションの企業 IMATS の創業を支援し、Interpoint Corporationにて設計に従事。