マキシムのSpiceマクロモデルの使用方法
要約
このアプリケーションノートは、マキシムのSpiceモデルの使用方法について説明します。テキストファイルから部品のシンボルを作成する各手順が示されています。オペアンプのMAX4230は、この処理手順の例として使用されます。
はじめに
新しいIC用の図面が一旦完成したら、設計者は、回路をシミュレーションしてその機能性を試験する必要があります。シミュレーションに使用されるSpiceモデルは、最も広く使われるシミュレーションプログラムであるPSpice®を使用して生成されます。グラフィカルユーザインタフェースの出現によって、モデルのシンボルを使用して回路図を描画し、回路をシミュレーションすることができます。
Spiceモデルは本来、テキスト形式で、多くの場合、ライブラリで各種モデルのシンボルを入手することができます。ただし、シンボルが簡単に入手することができない場合は、このモデルを使用するためにシンボルを作成する必要があります。このアプリケーションノートでは、マキシムのSpiceモデルを使用して、モデルテキストファイルからシンボルを作成する方法について説明します。
例として、このアプリケーションノートでは、MAX4230オペアンプのSpiceモデルを使用します。このシミュレーションは、OrCAD® CIS 9.2 Lite Edition上で実行されます。
モデルの入手
ほとんどのマキシム部品のSpiceモデルは、 マキシムのウェブサイトで入手することができます。図1は、オペアンプおよびコンパレータモデルの例です。
図1. Spiceモデルはマキシムのウェブサイトから簡単に入手することができます。
マクロモデルファイルは、任意の標準的なテキストエディタで開くことができ、.LIB拡張子で保存する必要があります。この例では、ライブラリファイルのMAX4230.LIBがシミュレーションとシンボルの作成に使用されます。
モデルからシンボルを作成
モデルからシンボルを作成するには、次の各手順に従います。
- PSpiceモデルエディタを開きます。
- 「File(ファイル)」を選択した後、「Create Capture Parts (キャプチャ部品の作成)」を選択します。図2のようなウィンドウがポップアップします。
図2. Create Parts (部品の作成)ウィンドウでSpiceモデルシンボルの作成が開始します。 - MAX4230ライブラリ(つまり、MAX4230.LIB)の場所を探して、これを選択します。ウィンドウの2行目は、MAX4230.olb拡張子の出力ファイルを自動的に表示し、格納先は.LIBファイルと同じです。
- 「OK」をクリックし、エラーなしでシンボルが作成されることを確認します。選択された格納先にMAX4230.olbファイルが表示されます。
シンボルの使用
- Captureプログラムを開きます。プロジェクトファイルを開き、回路図ページに達したら、「Place (配置) 」をクリックし、ドロップダウンメニューから「Part (部品)」を選択します。「Add Library...(ライブラリの追加) 」をクリックした後、MAX4230.olbファイルを選択して、MAX4230.olbシンボルをライブラリリストに追加します。画面に図3のようなウィンドウが表示されます。
図3. 「Place Part(部品の配置)」ウィンドウでシンボルをライブラリに追加することができます。シンボルは図4のような表示になります。このシンボルの使用は、多少難しい可能性があります。その理由は、シンボル上の端子番号が必ずしもこのICの端子配置に対応していないためで、しかも各端子の機能が説明されていません。この不一致に対処するために、シンボル上の各端子を編集することができます。
図4. MAX4230用に開発されたサンプルシンボルシンボルの編集
- シンボルを編集する場合、MAX4230.LIBファイルがシミュレーション設定にインクルードされていることを確認します。シミュレーション設定に移動し、MAX4230.LIBファイルの場所を探します。「Add to Design (設計に追加)」ボタンをクリックします(図5参照)。
図5. このSimulation Settings (シミュレーション設定)画面ではシンボルを編集することができます。 - 次に、シンボルを右クリックして「Edit PSpice model (PSpiceモデルの編集)」をクリックし、PSpiceモデルを表示させます。モデルのテキストを大まかに調べると、シンボルの端子番号がこのICの実際の入力および出力端子にどの程度緊密に対応しているかが直感的にわかります(図6参照)。
図6. モデルのテキストを調べると、端子がこのICの実際の入力および出力端子とどの程度緊密に対応しているかすばやく決定することができます。図6に示したモデルでは、各端子番号は以下を表します。
10 = VDD
18 = VSS
17 = IN+
15 = IN-
75 = OUT図7は、シンボルを変更して、希望する端子名を表示する方法を示しています。
- シンボルを右クリックし、「edit part (部品の編集)」をクリックします。次に、個々の端子をクリックして、必要に応じて、端子番号を変更します(注:端子名を変更しないでください)。
図7. モデルの端子名ではなく、端子番号を編集します。 - すべての端子番号が編集されたら、それを保存してシンボルの使用を開始します。
また、このシンボルは、端子名の非表示やシンボル形状の変更によって、洗練させたりさらに使いやすくしたりすることもできます。
- 端子名を非表示にするには、まず、シンボルの部品をクリックし、「edit part (部品の編集)」を選択します。部品が表示されたら、「Option (オプション)」に移動した後、「User Properties (ユーザプロパティ)」に移動します。「Pin Names Visible (端子名の表示)」ボックスで、「False」を選択します(図8参照)。
図8. User Properties (ユーザプロパティ)画面でモデルの端子名を非表示にすることができます。これで、端子名が非表示になりました。通常の「Cut (切り取り)」と「Paste (貼り付け)」コマンドで、シンボルの周囲の端子を移動させ、ラインツールを使用してシンボルを編集することができます(図9参照)。
図9. この例では必要に応じてシンボルの形状が編集されます。これで、シンボルが使用可能になりました。これを保存することができます。
図10は、ユニティゲインフォロワとして接続された回路に使用されたMAX4230シンボルを示しています。各ノードのDC電圧状態が表示されています。
図10. MAX4230アンプの編集済みのSpiceモデルの例
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