心臓のあるところが「ホーム」

2013年05月01日
myAnalogに追加

myAnalog のリソース セクション、既存のプロジェクト、または新しいプロジェクトに記事を追加します。

新規プロジェクトを作成

「ホーム・ヘルス・モニタリング」という言葉がつくられたと き、それは、人が住む家に限らず病院環境外にいるときの個人 のバイタル・サインのモニタリングを意味する言葉でした。 「ホーム」とは、理論上、人がほとんどの時間を過ごす場所で あるので「ホーム・ヘルス」という表現が使用されました。し かし、モニタリングの対象は人であり、環境ではありません (とはいえ、バイタル・サインをどのように測定し通信するか という点において、環境は重要な役割を果たしています)。 「ホーム・ヘルス・モニタリング」を「パーソナル・ヘルス・ モニタリング」と分類し直すことにより、家という概念は崩 れ、バイタル・サインを測定する場所と方法に境界はなくなり ます。ここでは、この再分類した「ホーム・ヘルス」のモニタ リングについて考察します。ここでの「ホーム」は、文字どお り人の心臓がある場所です。

ヘルスケアは変わりつつあり、ケアの受け手が期待する種類や レベルも、それに応じて変化しています。先進国では、ヘルス ケア産業への投資により、健康の診断とモニタリングが著しい 進歩を遂げました。ヘルスケアはこのまま進歩し続け、それを 先進国では簡単に利用できるようになり、これまで最小限のサ ポートしか受けられなかった地域にまで地球規模で拡大するだ ろうという考え方が一般的でした。しかし、ヘルスケア・コス トの急上昇により、このような期待を変えざるを得ない現実に 直面しています。世界では、ヘルスケアの提供は地域によって 大きな違いがあり、すべての人にヘルスケアを提供するという 考えは理念としては崇高なものですが、達成にはまだ長い道の りがあります。

ヘルスケア・コストを削減する革新的技術

ヘルスケア・コストの削減策の 1 つが、入院患者が早期に安 心して退院するための最新技術とイノベーションの活用です。 自宅などの低コストの環境で治療とモニタリングを続けること で、ヘルスケア・システムのコストは削減できます。また、患 者は、快適な環境で静養できるという追加のメリットも得られ ます。患者の安全を確保し、再入院回数を減らすには、患者の 環境支援を目的とする高性能なバイタル・サイン・モニタリン グ(VSM)機器が不可欠です。

病院外でのモニタリング(診療所や個人医院を除く)という と、普通は昔ながらの自宅環境が連想されます。昔から、自宅 での健康/ウェルネス・モニタリングには、シンプルな体温計と 体重計、また家庭によっては血圧計が使用されてきました。疾 病管理の場合は、糖尿病患者の増加に伴い、機器では血糖値測 定器が現在最も使用されています。スポーツやフィットネス向 けの心拍モニタ(HRM)は、主にジムのトレッドミルに備え付 けの胸ストラップ型や携帯型の電極で定義されますが、これらは、一部で病院外や遠隔でのモニタリング市場にも含まれてい ます。

 

 

図 1. 従来のホーム・モニタ

リモート・ヘルス・モニタリングの利点に関しては、これまで多くの報告書、論説、論文が書かれてきましたが、VSM を自らのエンド・システムに組み入れようと時間と労力を注いでいる企業や機関の多さを見れば、リモート・ヘルス環境が従来の自宅やジムよりはるかに大きいことがすぐにわかるでしょう。病院外での VSM の市場は急成長を続けており、他の多くの市場分野よりも拡大する可能性があります。

以下のような複数の推進力が結びつくことで、VSM はさまざまな市場分野に展開されつつあります。

負の推進力:

  • 世界的に高騰するヘルスケア・コストを抑制し削減する必要性(米国では、ヘルスケア支出が国内 GDP の約 18 %)
  • 高齢者人口が医療制度に与えるかつてない負担(アメリカ合衆国国勢調査局の 2016 年の報告書によると、2030 年までに、史上初めて 65 歳以上の人口が 5 歳児人口を上回る見込み)
  • 不健康なライフスタイル(糖尿病、高血圧症、肺疾患などの慢性疾患増加の主な原因は肥満)

正の推進力:

  • ヘルスケア資源へのグローバル・アクセスを提供する通信インフラ
  • リモート・ヘルス・モニタリングを、実行可能で人々のライフスタイルに適合したものにする技術の進歩
  • 健康的なライフスタイルを維持するためのリアルタイムの動機付けを与えるサポート・インフラの発達
  • 予防健康モニタリングにより、入院の期間を短縮し発生を抑制できるという認識

 

 

図 2. 拡大定義した「ホーム」におけるバイタル・サイン・モニタリング(VSM)市場

導入方法を検討中の市場分野:

  • 病院(自宅へのモニタリング導入を促進)
  • 介護施設
  • 運動場などのスポーツ施設
  • 学校/教育機関
  • 保険会社や企業が提供するウェルネス・プログラム
  • 防衛
  • 自動車業界
  • コンスーマ業界(スマートフォン、スマートウォッチ、ゲーム)
  • アニマル・ヘルス*(家畜の管理、ペットのケア)

これらの市場分野でモニタリングするバイタル・サインには共通性がありますが、環境による制約や情報の解釈の仕方や使い方が、モニタリング・デバイスの有効性に大きな影響を及ぼします。アナログ・デバイセズは、このような制約に取り組むための革新的な対処法を提供するテクノロジ・リーダーです。

* 厳密にいえば、人間のヘルスケアの問題には含まれませんが、動物の健康モニタリングは急成長市場で、ここでは人間の健康モニタリング機器と同様の先進技術が一部利用されています。

 

 

図 3. 今後のバイタル・サインの測定方法

以下では、いくつかの市場分野と、必要なバイタル・サインの測定およびモニタリング機能を実現するうえでの目標、制約、技術案に重点を置いて説明します。

自宅

従来、自宅で使われてきたモニタリング機器(体重計、体温 計、血圧計、血糖値測定器)については上で簡単に触れまし た。これらの機器は、通常は必要に応じて定期的に使用するも のです。継続的にモニタリングするには、モニタの設計変更に 加え、多くの場合本人のモチベーションを変える必要がありま す。

機器は、非侵入型でライフスタイルにシームレスに適合する こと。これが、あらゆる市場分野で共通して求められる条件 です。機器は小型で、おそらく大抵は身に付けるものになるの で(使い捨てか充電式の)バッテリ駆動型にする必要がありま す。頻繁なバッテリ交換や充電は好まれないので、機器は低消 費電力で長時間連続使用できることが必要です。

遠隔での健康管理には、接続性が重要な役割を果たします。情 報伝達の方法は、実際にモニタリングするバイタル・サイン と、その情報を受け取る相手によって決まります。例えば、転 倒検知モニタには低遅延でリアルタイムの通信が必要ですが、 心拍モニタ(HRM)は定期的なアップロードだけでよいでしょ う。通信の動向は、無線モダリティに向かいつつあります。現 在、新製品の開発には Bluetooth Smart、Wi-Fi、GPRS への対 応と独自の無線プロトコルが義務付けられています。ホーム・ ヘルス・モニタリング機器には、通信が定期的な場合でも毎日 24 時間連続の場合でも、信頼性が高く低消費電力のワイヤレス 通信が不可欠であることは明白です。第三者機関の監督の下で 異種の機器同士を接続させようという動きの中で、コンティニ ュア・ヘルス・アライアンスが重要な役割を果たしています。

ホーム・ヘルス・モニタリングは次の 3 つのカテゴリに分類さ れます。

  • 疾病管理
  • 健康およびウェルネス
  • 安全

疾病管理には、血糖値測定、心臓モニタリング、パルス・オキ シメトリ(Sp02)、連続血圧、呼吸モニタリングなどがあり ます。これらの機器は、臨床診断に従って処方されることが想 定されています。機器は規制機関(FDA など)による所定のレ ベルの認証を受ける必要があり、その認証を受けるには、病院 での使用が前提のデバイスと同じように高い条件が求められま す。また、小型で携帯可能で、低消費電力であり、ネットワー ク接続可能なことも要求されます。

アナログ・デバイセズの ADAS1000_3 のような、3 リードの ECG アナログ・フロント・エンド(AFE)は、診断に使用可能 な信号品質を実現しており、規制当局の認証に準拠し、小型、 携帯可能、低消費電力というホーム・ヘルスの必要条件を満足 しています。

疾病管理では、人間をモニタに接続する動機が明白(つまり、 緊急を要する結果になり得る)であるのに対して、健康/ウェ ルネス機器では、第三者による動機付けが必要な場合がありま す。例えば、体重計に乗ったとき、次に取るフォローアップ行 動は、結果に対する感情的反応によって異なるでしょう。体重 が数ポンド減っていることに元気づけられて、トレッドミルで のランニングを続ける動機付けをされることもあれば、一生懸 命やったのに効果がほとんど得られずみじめな気分になり、リ ビング・ルームのソファでくつろいで慰めとすることもあるで しょう。(逆もまた真なりで、数ポンド減量できた褒美として 夜にソファでくつろぐこともあるでしょう。)

 

 

図 4. ADAS1000 3 電極 ECG AFE の簡略ブロック図

私たちは誰でも、特に明確な成果や見返りがなくても、自分自 身の健康管理という課題を受け入れざるを得ません。多くの場 合、第三者による動機付けが必要です。スマートフォンのアプ リケーションには、カロリーの燃焼量や摂取量、歩数計、ダイ エット管理、エクササイズ指導など、健康法の管理支援を目的 としたものが多数あります。いずれも、健康増進に向けた活動 を続けるための動機付けを意図したものです。

ゲーム機は、動機付けとなる目標を組み込んだホーム・エクサ サイズのプラットフォームです。自宅で健康・ウェルネスを目 指すには、モニタリング機器に搭載された技術と、フィードバ ックと励ましを与える指導を組み合わせることが必要です。

転倒検知器は、現在高齢者の間で最も普及している機器の 1 つ です。これらの機器は転倒を防ぐことはできませんが、遠隔 からアラームを発し、転倒が発生したことを医療機関に知らせ ます。転倒検知器の重要な条件は、低消費電力、小型、接続 性です。また、素早い動作で座ったのか、実際に転倒したの かを識別できなければなりません。長いバッテリ寿命も非常に 重要です。バッテリ交換には介護者や第三者の訪問が必要とな り、機器の装着者に追加コストが要求されるためです。バッテ リが切れると検知器が動作しないため、装着者のリスクが増 大することになります。転倒検知器には、動きの種類を検知・ 識別するために低 g の加速度センサーが使用されています。 ADXL362 は業界で最も低消費電力の 3 軸 MEMS 加速度センサ ーです。ADXL362 は、動作電流が 100 Hz の出力データ・レー ト(ODR)で 1.8 μA、400 Hz の ODR で 3 μA、モーション起 動のウェークアップ・モードではわずか 270 nA で、スタンバ イ電流が 10 nA であり、転倒検知器のバッテリ寿命を何か月も 延ばすことができます。

 

 

図 5. アナログ・デバイセズの ADXL362 マイクロパワー 3 軸 MEMS加速度センサーが、歩数計や高齢者用の転倒検知器などの活動モニタリング・アプリケーションをサポート

スポーツ/フィットネス

健康モニタリングで急成長している市場分野の 1 つがスポーツとフィットネスです。モニタリングには次の 2 つのカテゴリがあります。

  • フィットネス
  • 安全

従来、フィットネスの管理は、心拍モニタリング・デバイスを胸ストラップにしたり、トレッドミルのハンドル・バーに内蔵したりして行われてきました。電極を用いる心拍モニタリングは、心拍出量を記録する方法として今も広く用いられています。しかし、電極の作成方法は変化しつつあります。例えば、布地に導電材料を織り込む新しい織物技術により、身体のより広い表面積から生体電位信号を検出できるようになっています。

ここでも、身体に装着するモニタには低消費電力で小型であることが要求され、性能面での妥協も許されません。アナログ・デバイセズの AD8232 心拍モニタ(HRM)アナログ・フロント・エンド(AFE)は、効率的に生体電位信号を取得できると同時に、低消費電力かつ低価格です。主な機能には、リードオフ検知、高速回復、ライト・レッグ駆動、モーション・アーチファクトの影響を低減するために外付けフィルタを構成可能にする柔軟なアーキテクチャなどがあります。AD8232 HRM AFEは、175 μA(代表値)で単電源動作するため、開発工程を簡素化できます。

 

 

図 6. アナログ・デバイセズの AD8232 HRM AFE の機能ブロック図

心拍数を測定するもう 1 つの方法が、光学デバイスを使用してフォトプレチスモグラフィ(PPG、光電式容積脈波記録法)信号を検出するものです。PPG デバイスは通常手首に着けて、尺骨動脈から血流を検出することにより心拍数を測定します。この方法は、運動選手向けの多数のモニタリング機器で使用されています。

エネルギー消費量やカロリー燃焼量など、おおよそのフィットネス・レベルを測定するために利用できる他のバイタル・サインには、以下のようなものがあります。

  • 活動量モニタリング(低消費電力 MEMS 加速度センサー)
  • 呼吸モニタリング(胸郭インピーダンスまたは MEMS 式)
  • 発汗量測定(皮膚インピーダンス)
  • 体温(体表からの熱流束およびコア)

スポーツの安全性に関して言えば、スポーツに起因する怪我で最上位の 1 つに位置するのが脳震とうです。米国疾病対策予防センター(CDC)によると、米国では、スポーツに起因する脳震とうが毎年最大 380 万件も発生しています。このため、同センターはスポーツによる脳震とうが米国で「エピデミック(流行)レベル」に達したと結論付けました。高校からアマチュア・スポーツを経てプロでの試合に至るまで、脳震とうを繰り返し発症した場合の長期的な影響について理解が進むにつれ、頭部に加わる衝撃の程度を検知する技術の必要性が高まっています。問題は、衝撃センサーをどこに取り付ければよいかということです。アメリカン・フットボールのようなスポーツであれば、問題は簡単に解決します。MEMS 慣性センサーをヘルメットに取り付ければ、どこから衝撃が加えられても検知できます。自動車レースの場合は、MEMS 慣性センサーをドライバーのイヤーピースに取り付けます。しかし、衝撃が加わるスポーツのすべてにヘルメットやヘッド・ギアが必要なわけではありません。こうしたスポーツの選手の場合、脳震とうレベルの衝撃は、衝撃センサーをマウス・ガードに埋め込んで検知および測定します。

アナログ・デバイセズの 3 軸 MEMS 加速度センサー ADXL377(15 μA、±200 g)は、ウェアラブル・モニタの要求を満たす衝撃センサーです。

 

 

図 7. アナログ・デバイセズの ADXL377 MEMS 加速度センサーが、コンタクト・スポーツにおける脳震とうレベルの衝撃力を高精度に測定

頭部への衝撃の検知は脳震とうを管理するための大きな一歩ですが、頭部への衝撃を防止することも必要です。現在、ヘルメットにエア・バックを装備する研究が進められており、いずれ実用化されることが期待されます。

職場

職場は、健康モニタリングと真っ先に関連付けられる環境ではないかもしれませんが、医療給付が企業レベルのコストとなるため、その給付コストの削減手段として、仕事関連の健康管理プログラムが導入されつつあります。北米では、従業員が登録して毎週または毎月の身体活動レベル(例えば、毎週の歩数など)をチェックできるプログラムを、保険会社が率先して導入しています。目標を達成すると、保険料の減額、あるいは他の奨励金などの特典に換えることができます。こうしたプログラムを提供する企業は福利厚生制度のコストを削減できます。また、健康な従業員の生産性の高さを示す証拠も増えています。

職場における健康モニタで最も一般的なのが歩数計です。この小型機器はポケットに入れたり、靴や腰に取り付けて使用できるうえ、組込み技術によりスマート化されており、装着者が歩いているのか、走っているのか、あるいは機器を試したりふざけて使ったりするために不規則に動かしているだけなのかを識別できます。アナログ・デバイセズの ADXL362 低消費電力MEMS 加速度センサー は、歩数計アプリケーションのサポートに必要なすべての機能を備えています。

職場の健康管理におけるもう 1 つの領域がストレス検知です。米国国立労働安全衛生研究所(OSHA)の報告書によると、被雇用者の 4 分の 3 が、労働者が抱える仕事上のストレスは 1 つ前の世代より大きいと考えています。ストレスは、ガルバニック皮膚インピーダンスと心拍数で測定できます。コンピュータのマウスやキーボードなど、毎日仕事で使用する機器に技術を組み込むことにより、これらの必要なバイタル・サインを測定できます。アナログ・デバイセズの ADuCM360 低消費電力、高精度アナログ・マイクロコントローラは、ガルバニック皮膚インピーダンスを高精度に測定するのに最適なシステム・レベルのソリューションです。ADuCM360 は完全に集積化された 24 ビット・データ・アクイジション・システムで、デュアルの高性能マルチチャンネル・シグマデルタ A/D コンバータ(ADC)、32 ビット ARM Cortex™-M3 プロセッサ、フラッシュ/EE メモリをシングル・チップに搭載しています。

 

 

図 8. 完全に集積化されたアナログ・デバイセズの ADuCM360 24 ビット・データ・アクイジション・システムがガルバニック皮膚インピーダンスの高精度な測定を実現

防衛

兵士は最も過酷な状態にさらされており、体に装着したセンサーを介して遠隔でバイタル・サインを測定できることは、兵士の健康維持と保護のために不可欠です。

戦場では、医師が遠隔でトリアージを行う場所が、医療チームと負傷者の安全にとってきわめて重要です。戦場に踏み込む前に、多数の負傷者の治療の優先順位を決め、最初に治療が必要な人を特定できれば、命を救えます。

心拍モニタ(AD8232)、活動量モニタ(ADXL362)、温度センサー(ADT7320)、ストレス・インジケータ(ADuCM360)、衝撃センサー(ADXL377)を個別に、またはトータルで使用することにより、兵士の健康をモニタできます。

スマートフォン

スマートフォンの利用に関しては、サード・パーティのアプリケーションを利用した健康管理について簡単に触れました。スマートフォンそのものを医療用のモニタリング機器として使用することは、多くの人にとって、とりわけスマートフォン開発者にとって魅力的なことです。歩数計、活動量モニタリング、睡眠モニタリングなどのアプリケーションに対応する技術は、加速度センサーの内蔵という形ですでにスマートフォン内部に存在しています。CMOS 撮像センサーも、さまざまな画像解析技術を利用して血流の変化を検知することにより、簡単なHRM として使用できます。ただし、これらの技術は電力を消耗する傾向があります。必ずしもセンサーによってではなく、上記のアプリケーションに対応するための技術によって消耗しているのです。電子メールや SNS のアプリケーション用にスマートフォンに蓄えておくべき電力を消費してしまうため、これは問題です。アナログ・デバイセズの AD8232 シングルリード HRM AFE と ADXL362 低消費電力 3 軸 MEMS 加速度センサーは、サイズや性能、消費電力において必要な仕様を満たしており、スマートフォンに組み込めば、AD8232 は心拍数の測定を、ADXL362 は動作の検知をそれぞれ独立して実行できます。

バイタル・サインのモニタリング機能をスマートフォンのアクセサリとして追加するのも現実的な提案です。USB やオーディオ・ポートに接続して、あるいは Bluetooth で接続して使用するヘルス・モニタリング・デバイスが急速に入手できるようになってきています。

オートモーティブ

車内という制約の中でバイタル・サインを効果的に測定するにはどうすればよいか、多くの研究が進められています。感情およびストレス・センサー、心拍モニタリング、温度センシング、C02 センシング、血糖値モニタリング、Sp02、花粉量測定はいずれも、ドライバーの安全性向上とより快適なドライビング体験を目的としたアプリケーションとして有望です。

しかし、課題があります。… どうやって測定すればよいのでしょうか?ハンドル、シート、あるいはシートベルトを使って?カメラ技術、電極、光センサー、あるいは MEMS を使用して?また、測定した情報をどう扱えばよいのでしょうか?

心臓発作を起こすかもしれないとドライバーに伝えたら、パニックになり、さらなる惨事を招くおそれがあります。ただ、ドライバーに目を覚ますよう伝えるのは、心拍モニタリングの実用的な使い方の 1 つです。

ハンドルは、バイタル・サインのモニタリング機器を取り付けるにはうってつけの場所で、ハンドルの被覆材に埋め込んだ電極に AD8232 HRM を接続できます。この電極を利用するか別の電極を追加してガルバニック皮膚インピーダンスを測定し、ストレスや感情のレベルを知ることができます。アナログ・デバイセズの高集積、低消費電力のデータ・アクイジションSoC ADuCM360 は、ガルバニック皮膚インピーダンスを測定し、AD8232 の出力をデジタル・フォーマットに変換するためのプラットフォームを提供します。

図 9. 将来の自動車は、ハンドル、シート、シートベルトのセンサーで HRM やガルバニック皮膚インピーダンスを測定できるようになります。

まとめ

要約すると、「ホーム・モニタリング」という概念には、さまざまな新しい側面が加わりつつあります。先進技術、サポート・インフラの進歩、ヘルスケア・コストの削減という明白なニーズにより、バイタル・サインのモニタリングは日常生活で当たり前のこととなり、必要なときに必要な場所で利用できることから、個人向けの遠隔医療エコシステムの一部になる可能性があります。病院や診療所の外での疾病管理、高齢者の自立支援、健康的な生活習慣の動機付け、身体の安全性の向上、あるいは単に安心を与えること、のいずれが目的であれ、アナログ・デバイセズは VSM 市場のダイナミクスの最先端で、センサーおよびシグナル・コンディショニング技術のソリューションを開発し、次世代のバイタル・サイン・モニタリングを実現します。

 

著者について

Tony Zarola

最新メディア 20

Subtitle
さらに詳しく
myAnalogに追加

myAnalog のリソース セクション、既存のプロジェクト、または新しいプロジェクトに記事を追加します。

新規プロジェクトを作成