要約
このアプリケーションノートでは、MAX2118衛星チューナの拡張ノイズ指数データを紹介しています。このデータは、MAX2118データシートを補足することを目的としたものです。デバイスの代表的な動作領域におけるノイズ指数と利得のデータを詳細に示しています。
はじめに
低コストのダイレクトコンバージョンチューナICのMAX2116/MAX2118ファミリは、デジタル直接放送衛星(DBS)テレビアプリケーション、商用VSAT (Very Small Aperture Terminal:超小型地球局)システム、及び双方向の「衛星インターネット」アプリケーション用に設計されています。MAX2116/MAX2118デバイスは、広帯域I/QダウンコンバータによりL帯域信号をベースバンドに直接変換します。動作周波数範囲は、925MHz~2175MHzです。
各ICは、利得制御付LNA、I/Qダウンコンバータミキサ、ベースバンドローパスフィルタ、及び利得/カットオフ周波数制御を装備しています。RFとベースバンド可変利得アンプは、併せて79dB以上の利得制御範囲を備えています。
これらのデバイスは、完全モノリシックVCOと完全周波数シンセサイザを内蔵しています。シンセサイザプログラミングとデバイス設定は、2線式シリアルインタフェースにより実現されます。MAX2116/MAX2118デバイスは、利用可能なDBS製品の中で最も汎用的なファミリです。シングルエンド及び差動ベースバンド出力によって、これらのデバイスはほぼすべてのQPSK/8-PSK復調器に対応しています。これらのチューナは、超小型40ピンQFNパッケージで提供されます。
図1. 代表的な動作回路
動作概要
図1に、MAX2118の代表的な動作回路を示します。ピン4と5は差動RF入力です。システムノイズ指数は、RFフロントエンドによって左右されます。低入力信号レベルでは、システムノイズ指数がチューナのキャリア対ノイズ比(C/N)を制限します。また、大入力信号レベルでは、直線性が生じるため出力アンプがC/N比を制限します。
ピン7 (GC1)は、RFフロントエンドの可変利得制御です。利得制御ラインは、通常フィルタリングされたPWM信号によって制御されます。PWM信号はベースバンド復調器ICで生成されます。閉ループシステムでは、フィルタリングされたPWM出力が利得を制御し、MAX2118のIQ出力上で一定振幅の信号を確保します。
MAX2118のピン36と37、及び33と34は差動I/Q出力です。590mVP-Pまたは1VP-Pの差動出力が得られるように差動出力アンプの利得を設定することができます。制御レジスタの「DL」ビットを変更すると、出力アンプの利得設定を切り換えることができます。DL = 1に設定すると、出力アンプに4.58dBの利得が追加されます。DL = 1の設定は、主にシステムの直線性を改善するために使用します。閉ループシステムでは、出力アンプに4.58dBの利得が追加されると、フロントエンドの利得は4.58dB低減します。
ミキサの後に、可変利得ベースバンドアンプがあります。このアンプの利得はレジスタGC2で設定します。GC2は0から31まで調整できます(10進数)。可変利得ベースバンドアンプの利得範囲は24dBです。
システムノイズ指数は、ほとんどRFフロントエンドの利得によってのみ決まります。RFフロントエンドの利得はGC1の電圧によって決まるため、ノイズ指数はGC1の電圧に左右されます。図2にこの関係を示しています。
図2. ノイズ指数対利得制御電圧
図2において、バックエンドの利得はGC2を調整することで変化しています。図2を観察すると、ノイズ指数はある一定のGC1電圧では、ほぼ一定であることがわかります。
拡張ノイズ指数データ
以下の拡張ノイズ指数データは、MAX2118用に測定したものです。このデータを使用すると、MAX2118の最適な動作を設定できます。
図3. ノイズ指数対利得とGC2の設定(DL = 0)
図3は、ノイズ指数対利得とGC2の設定を示しています。このグラフを使用すると、必要な利得とノイズ指数を得るための最適なGC2設定を求めることができます。
図4. ノイズ指数対利得とGC2の設定(DL = 1)
図4は、ノイズ指数対利得とGC2の設定を示しています。このグラフを使用すると、必要な利得とノイズ指数を得るための最適なGC2設定を求めることができます。
図5. 利得対利得制御電圧(GC1) (DL = 0の場合)
図6. 利得対利得制御電圧(GC1) (DL = 1の場合)
結論
このアプリケーションノートでは、MAX2118の拡張ノイズ指数データを紹介しています。このデータは、MAX2118データシートを補足することを目的としたものです。デバイスの代表的な動作領域におけるノイズ指数と利得のデータを詳細に示しています。