非絶縁型フライバックLEDドライバ回路の設計

2023年02月20日
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概要

フライバックLEDドライバは、アプリケーションの入力電圧が、必要な出力電圧よりも大きい場合、あるいは小さい場合に使用することができるため、多方面に使用されています。さらに、不連続なインダクタ電流モードで動作するようにフライバック回路を設計するときには、簡単な回路構成で、追加の制御ループを使用せずにLEDの電流を一定に保つことが可能です。このアプリケーションノートで説明する回路は、MAX16802の高集積PWM LEDドライバICをベースにして設計されています。

アプリケーション

  • 入力電圧範囲:10.8V~24V
  • 3.3Vの単一LEDに350mA (typ)を供給(他のLED構成については、設計手順にしたがってください)
  • アノード端子-グランド間の最大開放電圧:29V (typ)
  • スイッチング周波数:262kHz
  • サイクルごとの電流制限
  • オン/オフ制御入力
  • 低周波PWM調光を実現可能
  • C直列接続または並列接続による複数のLED構成に対応可能

特長

注意:LEDを+VLED、-VLED間に接続しない状態では通電しないでください。

注意:LEDを+VLED、-VLED間に接続しない状態では通電しないでください。

部品リスト
Designation Qty. Description
C1 1 1nF ±10%, 50V X7R ceramic capacitor (0603) TDK C1608X7R1H102K
C2 1 220pF ±10%, 50V X7R ceramic capacitor (0603) TDK C1608X7R1H221K
C3, C4, C7 3 0.1µF ±10%, 50V X7R ceramic capacitor (0603) TDK C1608X7R1H104
C5 1 10µF ±10%, 25V X7R ceramic capacitor (1206) TDK
C6 1 10µF ±10%, 16V X7R ceramic capacitor (1206) TDK C3216X7R1C475K
C6 1 10µF ±10%, 16V X7R ceramic capacitor (1206) TDK C3216X7R1C475K
D1 1 40V, 1A Schottky diode (SMA) CMSH1-40M Central Semiconductor
L1 1 10µH inductor Coilcraft DO3308P-103
Q1 1 40V, 0.045W MOSFET Vishay Si2328DS
R1, R3 2 499kΩ ±1% resistor (0603)
R2 1 22.1kΩ ±1% resistor (0603)
R4 1 73.2kΩ ±1% resistor (0603)
R5 1 100kΩ ±5% resistor (0603)
R6 1 150Ω ±1% resistor (0603)
R7 1 100Ω ±1% resistor (0603)
R8 1 10Ω ±5% resistor (0603)
R9, R10 2 1Ω ±1% resistor (0805)
R11 1 1Ω ±1% resistor (0805)
U1 1 PWM IC Maxim: MAX16802AEUA (8-pin µMAX®)

回路トポロジ

開ループで非絶縁型のフライバックLEDドライバは、汎用性に優れ、簡単に使用することができます。また、極めて魅力的な一連の利点を提供します。以下に利点のいくつかを挙げます。

  • LEDの電流レギュレーションを行うのに特別な制御ループが不要
  • 不連続なインダクタ電流の結果としてEMI放射が低減
  • ダイオードの逆回復損失がない
  • スイッチのターンオン損失が低減
  • 回路と設計手順が簡単
  • 入力電圧よりも大きな、または小さなLED電圧に対応可能
  • 入力電圧の動作範囲が広い
  • 調光PWM信号の適用が比較的容易

ただし、この容易性を得るためには、以下の犠牲を伴います。

  • LEDの電流は、インダクタなどの部品の許容誤差と電流検出コンパレータの伝播遅延によって左右されます。
  • 不連続なインダクタ電流の動作によって、このトポロジは低電力のアプリケーションに適したものになります。

設計手順

最重要なパラメータはLED電流です。高輝度LEDは数百mAで動作します。LEDの寿命のためには、この電流を一定に保つ必要があります。すなわち、電源は本質的に電流ドライバでなければなりません。これを実現するにはいくつかの方法があります。簡単で低コストな方法は、MAX16802などの専用の電流モードPWMコントローラICを使用するというものです。このデバイスの利点は、以下のとおりです。

  • 高集積化―最少限の外付け部品
  • 262kHzの高スイッチング周波数
  • 超小型の8ピンµMAXパッケージ
  • 小電流検出スレッショルドにより低損失
  • 発振器の周波数が比較的正確なためLED電流の変動が低減
  • 内蔵の電圧フィードバックアンプを使用して開放出力電圧を制限可能

所定のLEDパラメータは、以下のとおりです。

ステップ1:最小入力電圧で必要となる、最適な「オン」デューティサイクルの概算値を計算します。

ここで、Rbは、アプリケーション回路図のR11と同じ安定抵抗器であり、このアプリケーションでは1Ωに設定されています。VDは整流ダイオードD1の順方向ドロップです。

上式に既知の値を代入すると、次の値が得られます。

ステップ2:必要なピークインダクタ電流の概算値を計算します。

ここで、kfは非クリティカルな「誤差」であり、この例では1.1に設定されています。

上式に既知の値を代入すると、次の値が得られます。

ステップ3:必要なインダクタの概算値を計算し、この計算値より小さくて最も近い標準値を選択します。

ここで、Lはアプリケーション回路図のL1で、fは262kHzに等しいスイッチング周波数です。

上式に既知の値を代入すると、次の値が得られます。

上の値より低くて最も近い標準値は10µHです。

ステップ4: フライバックプロセスによって出力回路に伝達される電力は、以下のとおりです。

出力回路で消費される電力は、次のようになります。

ここでLは、選択した実際の標準インダクタ値です。

上式に既知の値を代入すると、次の値が得られます。

ステップ5:R9およびR10の並列結合からなる電流検出抵抗の値と、R6およびR7からなる電圧検出用分圧器の抵抗値(必要な場合)を計算します。

MAX16802の電流制限スレッショルドは291mVです。したがって、ステップ4で計算したインダクタピーク電流を生成するようにR9、R10、R6、R7の値を選択します。

以上で完了です。アプリケーション回路図には、12Vで350mAを生み出す値が示されています。寄生容量があるため、抵抗値(R7)を微調整して所望の電流を得ることが必要となる場合があります。ステップ6:部品R1とR2はオプションであり、+VLEDノードを29Vに調整するために使用しています。これは、出力端子が誤って開放状態になった場合に有効です。上記の部品によってもたらされる電圧のフ

ィードバックがなければ、出力端子電圧は、おそらく破壊レベルに達することでしょう。

部品C1とR5もオプションであり、電圧フィードバックループを安定化するために使用しています。このタイプのアプリケーションでは、これらの部品は省くことが可能です。

低周波PWM調光

LED光源の輝度レベルを制御する最良の方法は、LED電流を低周波PWMでパルス駆動する方法です。この方法では、電流定数の絶対値を保時しつつ、さまざまなデューティサイクルでLED電流をパルス駆動します。この方法では、デバイスから放射される光の波長は、調光範囲の全体にわたって変化しません。

PWM調光を実現するには、以下の回路を使用します。

性能曲線

プリント回路基板

µMAXは、Maxim Integratedの登録商標です。

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