概要

設計リソース

設計/統合ファイル

  • Schematic
  • Bill of Materials
  • Gerber Files
  • PADS Files
  • Assembly Drawing
設計ファイルのダウンロード 3.34 K

評価用ボード

型番に"Z"が付いているものは、RoHS対応製品です。 本回路の評価には以下の評価用ボードが必要です。

  • CFTL-LED-BAR ($58.85) 3-Channel RGB LED Board
  • EVAL-ADICUP3029 ($52.97) ADuCM3029 Arduino Form Factor Compatible Development System
  • EVAL-CN0397-ARDZ ($76.51) 3-Channel RGB Light Spectrum and Intensity Board
  • EVAL-CN0398-ARDZ ($82.39) Soil Moisture, pH, and Temperature Sensing Board
  • EVAL-CN0410-ARDZ ($88.28) 3-Channel LED Driver Board
在庫確認と購入

回路機能とその特長

IoTスマート温室は、植物の成長を最大限に促進するのに役立つ複数の重要なパラメータをモニタリングし制御するためのアプリケーションです。データはローカルで処理された後Wi-Fi経由でローカル・ゲートウェイに送信され、クラウドに接続されたプラットフォームに到達します。.

図1. 簡略化したシステム・ブロック図

図1. 簡略化したシステム・ブロック図

光は、植物の成長と光合成にとって最も重要な要素です。ほとんどの植物は、通常、赤とオレンジの波長、および青と紫の波長の光を吸収します。緑と黄の波長の光は通常反射され、成長や開花にはあまり寄与しません。

植物は、ライフサイクルの間にスペクトルの異なる光を異なる強度で必要とすることもあります。例えば、植物は発芽期および実生期に多くの青色光を必要とする傾向がありますが、後期成長段階や開花期、結実期には、赤色光がより重要になると考えられています

植物が様々なライフサイクルの期間中に曝される光のスペクトルと強度を制御することによって、植物の成長をより効果的かつ効率的に促進することが可能となり、最終的にはこれらの作物からの収量を増加させることができます。

土壌水分、土壌pH、温度を測定することで、最適な生育条件に見合う適切な量の水と栄養素を植物に供給することができます。

このソリューションはWi-Fi対応なので、収集データをコンピュータまたはスマートフォンのWebブラウザで表示させたり、照明設定を変更するためのコマンドをシステムに送り返したりすることができます。

回路説明

スマート温室アプリケーションは、各種植物の成長効率の向上と収量サイクルの最大化に重点を置いています。この理論と詳細は、屋内温室、垂直農業、コンテナ農業などの多くの農業分野に適用されます。スマート温室アプリケーションは、運用コストの低減やオーバーヘッドの削減(水のやりすぎや無駄な土壌改良の防止)など、農業市場に携わるユーザが抱える他の一般的な課題にも対処できます。

図2. スマート温室のデモ写真

図2. スマート温室のデモ写真

スマート温室アプリケーションのハードウェアは、3 種類のCircuits from the Lab リファレンス・デザインで構成されています。

CN-0397 は、特に赤、緑、青(RGB)の色に対応する波長での、可視光スペクトルの強度を測定するように設計されています。赤と青の光は植物によって吸収され光合成で使用されますが、緑の光は植物により反射されます。各センサーは、目的の波長の光強度を測定し、それに比例した電流を出力します。CN-0397 は、この小電流を電圧に変換し、その電圧を光強度測定の標準単位(Lux)に変換します。回路動作の詳細については、CN-0397 の技術文書を参照してください。

CN-0410 は、プログラマブルな3 チャンネル電流駆動LED 回路です。RGB の各チャンネルは個別に制御され、独自のLED カラーの組み合わせが可能です。このボードでは、各ボードの端子ブロックをツイストペア線で接続することで、CFTL-LED-BARに接続できます。光強度コマンドはWi-Fi 経由でスマート温室に送信され、CN-0410 とCN-0397 の間の比例積分(PI)ソフトウェア制御ループがRGB カラーの組み合わせの作成に使用されます。

また、CN-0410 はボード上に絶縁型のリピータ機能を備えていて、1 つのコントローラ・ボードで、CN-0410 の複数のバンクまたはベイとLED バーの組み合わせを1 つの値に設定できるため、多数のLED を使用する回路のコストを最小限に抑えることができます。リピータ機能、LED 設定、および消費電力の詳細については、CN-0410 の技術文書(回路ノートのWeb ページから入手可能)を参照してください。

CN-0398 は、土壌水分、pH、温度など、他の3 つの重要なパラメータを測定します。土壌水分測定は、植生の成長促進にとって適切な量の水分を確保し、また、決して水が無駄にならないようにする上で重要です。pH モニタも重要です。pH は栄養素の摂取と有害のおそれのある物質の吸収に影響を与えます。植物によっては特定の温度条件ないし生育条件で発芽または開花するため、温度測定値を使用してHVAC システムの調整を支援します。回路動作の詳細については、CN-0398 の技術文書を参照してください。

ADICUP3029 Arduino(アルドゥイーノ)フォーム・ファクタ互換開発プラットフォームは、前述のArduinoシールド・ハードウェア・モジュールを制御します。このプラットフォームには、超低消費電力のCortex-M3 マイクロプロセッサであるADuCM3029 が搭載されています。また、インターネットへの接続とIoT 接続アプリケーションの開発のためのBluetooth とWi-Fi 接続も内蔵しています。

スマート温室アプリケーションでは、データはノード(ADICUP3029 とシールド・モジュール)からWi-Fiを介して既存のワイヤレス・ゲートウェイに無線送信されます。Wi-Fi はメッセージ・キュー・テレメトリ・トランスポート(MQTT)標準プロトコルを使用します。これは通常、少量のデータをゲートウェイに送信する必要がある低消費電力のIoT センサー・ノードで使用されます。

スマート温室データを収集および表示するためには、IBM®Watson クラウド・サービスが使用されます。双方向通信により、データを受信し、それをクラウド・サービスからリモート・ノードに送信します。利用可能な接続オプションは他にもあります。IBM Watson のオプションおよびその他のクラウド接続オプションの詳細については、Smart Greenhouse Wiki ユーザ・ガイドを参照してください。

図3. Node Red を使用したIBM Watson データ

図3. Node Red を使用したIBM Watson データ

バリエーション回路

このアプリケーションには今のところ、温度、散水システム、または土壌養分の追加に対するクローズドループのフィードバックは存在しません。こうしたすべての操作は、ユーザのシステム条件に応じて制御ハードウェアおよびソフトウェアに取り入れることができます。例えば、温度測定値をHVAC システムに連動させて空調や暖房をオンにしたり、水分測定値を使用して灌漑システムのバルブを制御し、土壌の水分が必要な範囲内に収まるようにできます。


植生に対して特定の波長でLED を駆動する必要があるため、ユーザ固有のアプリケーションに応じてLED をカスタマイズしなければならない場合があります。CN-0397 は、フォトダイオードが光を感知するピーク波長を調整することによって、様々なLED 光源に対応するようにカスタマイズできます。フルスケールで使用するようにフォトダイオードとゲイン値を変更する方法については、CN-0397 の技術文書を参照してください。

回路の評価とテスト

スマート温室システムをセットアップするには、ボードを積み重ねます。センサーは指定のコネクタに直接差し込みます。システムを接続する基本的な方法について、以降のセクションで説明します。詳細については、Smart Greenhouse Wiki ユーザ・ガイドを参照してください。


必要な装置


以下の装置類が必要になります。


  • EVAL-CN0397-ARDZ
  • EVAL-CN0398-ARDZ
  • EVAL-CN0410-ARDZ
  • CFTL-LED-BAR
  • EVAL-ADICUP3029
  • Smart Greenhouse Embedded Software
  • USB ポート付きWindows® XP、Windows Vista®(32 ビット)またはWindows 7 (32 ビット)対応のPC
  • マイクロUSB ケーブル
  • 電源:6V~19V の電源アダプタ

設計の開始にあたって


スマート温室のセットアップ手順の詳細については、SmartGreenhouse Wiki ユーザ・ガイドを参照してください。以下に示すのは、基本的なセットアップ手順です。


  1. まず、ハードウェアを設定します。各ボードでジャンパが正しく設定されていることを確認します。
  2. すべてのセンサーがボードに接続されていることを確認します。
  3. CN-0397、CN-0410、CN-0398 の順でシールド・ボードを積み重ねます。
  4. Wi-Fi モジュールをP1 に差し込むようにADICUP3029 を設定します。S2 スイッチをWi-Fi の位置に設定します(クラウド接続を使用する場合)。それ以外の場合は、S2 スイッチをシリアル端末実行モード用のUSB 位置に設定します。
  5. USB ケーブルをADICUP3029 からPC に接続し、スマート温室ファームウェアをボードに書き込みます。
  6. 3029_Reset ボタンを押すかシステムの電源を入れ直し、Smart Greenhouse Wiki ユーザ・ガイドの指示に従ってください。

機能ブロック図


図4. スマート温室システムの機能ブロック図

図4. スマート温室システムの機能ブロック図