概要

設計リソース

設計/統合ファイル

  • Schematic
  • Bill of Materials
  • Assembly Drawing
設計ファイルのダウンロード 3 kB

評価用ボード

型番に"Z"が付いているものは、RoHS対応製品です。 本回路の評価には以下の評価用ボードが必要です。

  • EVAL-ADF4350EB1Z ($224.70) ADF4350 evaluation board used to evaluate this circuit. Please see "Circuit Evaluation & Test" section for set up information.
在庫確認と購入

デバイス・ドライバ

コンポーネントのデジタル・インターフェースとを介して通信するために使用されるCコードやFPGAコードなどのソフトウェアです。

ADF4350 GitHub no-OS Driver Source Code

ADF4350 IIO Wideband Synthesizer GitHub Linux Driver Source Code

ADP150 Regulator Fixed Voltage Linux Driver

機能と利点

  • 広帯域ダイレクト・コンバージョン・トランシーバ
  • 69 MHz~2.2 GHzで機能

回路機能とその特長

この回路は、ブロードバンドのダイレクト・コンバージョン・トランスミッタにおけるアナログ部(アナログ・ベースバンド入力、アナログRF出力)に導入可能な完結回路です。広帯域(ブロードバンド)の電圧制御発振器(VCO)が内蔵されたPLLを使用して、68.75 MHz~2.2 GHzのRF周波数がサポートされています。一倍にデバイドされたLO段を使ったモジュレータ(CN-0134で説明されている)回路と違って、LOでの高調波フィルタリングは不要です。

的確な性能を実現するためには、モジュレータのLO入力が差動でドライブされることが必要となります。ADF4350 は、差動のRF出力を提供しますので、適切な組み合わせとなります。このPLLとモジュレータのインターフェースは、全てのI/Qモジュレータと2倍のLOベースの位相スプリッタを携えたI/Qデモジュレータに適応可能です。低ノイズのLDOの使用は、そのパワーマネージメント・スキームが位相ノイズとEVMに悪影響を与えないことを、確かにしています。このような部品の組み合わせによって、68.75 MHz~2.2 GHzの周波数範囲にわたる、最先端のダイレクト・コンバージョン・トランスミッタ性能を実現します。2.2GHz以上の周波数に関しては、CN-0134で説明しているように、一倍でデバイドしたモジュレータを使用することをお勧めします。

Figure 1. Direct Conversion Transmitter (Simplified Schematic: All Connections and Decoupling Not Shown)

 

回路説明

図1に示した回路は、フラクショナルNのPLLを完全集積化したADF4350と広帯域トランスミットモジュレータADL5385 を使っています。

ADF4350は、ADL5375トランスミット直交変調器用の局部発発振器(このLOはモジュレータRF出力周波数の2倍です)信号を提供しており、ADL5375変調器はアナログI/Q信号をRF信号にアップ・コンバートしています。これらを共に用いて、2つのデバイスは、広帯域ベースバンドI/Q信号をRFトランスミット信号に変換するソリューションを提供します。

ADF4350は、適切なLO位相ノイズ性能を得るため、超低ノイズの3.3VレギュレータADP150 を電源としています。ADL5375は5VのADP3334 、LDOを電源としています。ADP150(LDO)の出力電圧ノイズはわずか9μVrms(10Hz~100kHzの積分値)で、VCO位相ノイズの最適化を手助けし、VCOプッシングからの影響を低減します(等価的には電源電圧変動除去)。ADP150・LDOによるADF4350への電源設計についての詳細はCN-0147 を参照してください。

ADL5385は、直交LO信号を生成するために1:2 デバイダ・ブロックを使っています。直交精度は、入力されるLO信号のデューティ・サイクル精度(内部デバイダのフリップ・フロップのマッチングとともに)に依存します。立ち上がりと立ち下がり時間のアンバランスは、ADF4350のRF出力上に明確に偶数次の高調波の起因となります。モジュレータのLO入力を差動でドライブする際、偶数次高調波のキャンセルを実現すると、全体の直交信号生成を改善します。( ““ダブル・トランス構成を使用する場合のワイドバンドA/Dコンバータ、フロントエンド・デザイン考察”Rob ReederとRamya Ramachandran(アナログ・ダイアログ、40-07)、を参照してください。 Analog Dialogue, 40-07.)

サイドバンド抑圧比性能はモジュレータの直交精度に依存するため、LO入力ポートをシングルエンドでドライブするより差動でドライブしたほうが、より優れたサイドバンド抑圧比が実現します。VCOを内蔵した多くの競合PLL製品と比較した場合、ほとんどのデバイスはシングルエンド出力ですが、ADF4350は差動のRF出力を備えています。

ADF4350の出力はZBIASのプルアップを備えてマッチングがはかられており、電源ノードでは程よくデカップリグ・コンデンサが使われています。広帯域のマッチングを得るために、抵抗性負荷(ZBIAS=50Ω)またはZBIASとしてリアクティブ負荷を並列に備えた抵抗を使用することを推奨します。後者では、わずかに高い出力パワーが得られますが、これは使われるインダクタに依存します。1GHz以下の動作では、LOとして、19nHまたはそれ以上の値のインダクタを使う必要があります。この回路での測定結果は、ZBIAS=50Ωと+5dBmの出力パワー設定を使って行われました。50Ω抵抗を使ったこの設定では、フルバンドにわたる各出力では約0dBm、または差動では+3dBmとなります。ADL5385のLO入力ドライブ・レベルの仕様は-10dBm~+5dBmですので、電流をセーブしてADF4350の出力パワーを削減することが可能となります。

RF出力周波数スイープとサイドバンド抑圧比の測定結果が図2に示されています。このスイープでのテスト条件は以下の通りでした:ベースバンドI/Q振幅=1.4 Vp-p、500mVのDCバイアスを持った直交での差動サイン波、ベースバンドI/Q周波数(fBB)=1MHz、LO=2×RFOUTテスト・セットアップの簡易図が図3に示されています。標準のADL5385ボードでは差動のLO入力ドライブができないため、ADL5385評価用ボードを若干変更して使っています。

Figure 2. Sideband Suppression, RFOUT Swept from 68.75 MHz to 2200 MHz

 

Figure 3. Sideband Suppression Measurement Test Setup (Simplified Diagram)

 

この回路は、低ノイズを備えたADL5385信号生成器のドライブ(データシート内の測定で使われた結果)と比較した場合、同等のあるいはそれ以上のサイドバンド抑圧比性能を実現します。ADF4350の差動RF出力を使用することで偶数次の高調波キャンセルを行い、モジュレータの直交精度を改善します。このことは、サイドバンド抑圧比の性能とEVM(誤差ベクトル・マグニチュード)に影響を及ぼします。シングル・キャリアのW-CDMA合成EVMは、図1に示した回路で2%以上優れて測定されました。このソリューションは、このように、68.75MHz~2.2GHzの周波数において、低EVMブロ-ドバンド・ソリューションを提供します。2.2GHz以上の周波数に関しては、CN-0134で説明しているように、一倍でデバイドしたモジュレータ・ブロックを使うべきです。

この回路ノートに関する完全な設計サポート・パッケージはhttp://www.analog.com/CN0144-DesignSupportで入手できます。

バリエーション回路

この回路ノートに記載されているPLLとモジュレータのインターフェースは、全てのI/Qモジュレータと2×LOベースの位相スプリッタを携えたI/Qモジュレータに適応可能です。また、ADL5387 のような2×LOベースのI/Qデモジュレータにも応用可能です。

ソフトウェア

設計ツール

ADIsimRF

アナログ・デバイセズのADIsimRF設計ツールは、カスケード・ゲインやノイズ指数、IP3、P1dB、総合消費電力などRFシグナル・チェーン内の最も重要なパラメータの計算を行います。

ADIsimPLL™

アナログ・デバイセズの新しい高性能PLL製品を迅速かつ確実に評価できるツールです。現在利用できるツールの中で、最も総合的なPLLシンセサイザーの設計/シミュレーション・ツールです。実施されるシミュレーションには、主要な非線形効果が含まれており、これはPLLの性能に大きく影響を及ぼします。ADIsimPLLによって、設計プロセスの繰り返し作業が1つ以上排除されるため、設計から製品の市場投入までの期間が大幅に短縮することができます。

回路の評価とテスト

回路ノートCN-0144は、記載されている回路の評価のためは、EVAL-ADF4350EBZとADL5385-EVALZボードを使用しており、即座にセットアップおよび評価が可能です。


必要な装置


USBポートを備えた標準PC(Windows®XP、Windows Vista(32ビット)またはWindows7(32ビット))、ADF4350EBZ、ADL5385-EVALZ回路評価用ボード、ADF4350プログラミング・ソフトウエア、電源、I-Q信号源(例、Rhode & Schwarz社のAMIQ)、スペクトラム・アナライザ、この回路ノート、評価用ボードEVAL-ADF4350EB1ZのためのUG-109ユーザ・ガイド、およびADF4350、ADL5385データシート


評価開始にあたって


この回路ノートには、回路の説明、回路図およびセットアップのブロック・ダイアグラムが含まれています。ユーザ・ガイドUG-109には、EVAL-ADF4350評価用ソフトウエアのインストール法および使用法が説明されています。また、UG-109には、ボードのセットアップ方法、ボードの回路図、レイアウト図および部品表も含まれています。ADL5385-EVALZボードの回路図、ブロック・ダイアグラム、部品表およびレイアウト図、組み立て情報などはADL5385のデータシートに記載されています。デバイスの詳細情報については、ADF4350とADL5385のデータシートを参照してください。


機能ブロック図


回路ノートCN-0144には、図3でのテスト・セットアップの機能ブロック・ダイアグラムも含まれています。


セットアップとテスト


各装置のセットアップ後、回路のサイドバンド圧縮の測定のためには、標準的なRFテスト方法を使ってください。