マルチセルから3Vを発生する高効率SEPICスイッチングレギュレータ
要約
このデザインノートでは、シングルエンドの一次インダクタンスコンバータ(SEPIC)がフライバックトランスやステップアップリニアレギュレータ回路よりも優れている点についていくつか紹介します。ここではSEPICスイッチングレギュレータはマルチバッテリセルから78%の効率で3.3Vの出力を維持します。この設計の利点は、簡素なSEPIC設計はシャットダウン時にも出力に電流が流れないこと、そして出力電圧も高精度に安定化されます。ステップアップDC-DCコントローラのMAX608が使用されています。
同様のアイデアが「EDN」の1996年11月21日号に掲載されました。
2セルまたは3セルから3.3Vを生成することは、設計者にとって容易ではありません。レギュレータは、セルが充電直後の時にステップダウン動作、セルが半分放電して弱い時にはステップアップ動作を行う必要があります。この問題に対する1つの解決法として、フライバックトランスを使用した設計が挙げられますが、その場合、様々な負荷条件で一定出力電圧を保証するためにトランス比を選択する必要があります。
別方法として、シングルエンドの一次インダクタンスコンバータ(SEPIC)を使用すると回路が簡単になります(図1)。この回路は、3.3V、400mAを78%の効率で生成します。入力電圧は出力の上下共に可能で、コンデンサ(C2)が出力をスイッチング回路にカップリングします。この構成は、フライバックトランス回路およびステップアップリニアレギュレータ回路と比較すると2つの利点があります。つまり、シャットダウン中に出力電流が流れない点、およびVINがVOUTレベルを通りすぎる時にVOUTのレギュレーションが良好に維持される点です。
この回路の2つのインダクタは別々の部品でも、共通のコアに巻かれていても構いません。これらはトランスとしては動作しないため、巻く時にカップリングのことを考慮する必要はありません。コンデンサC2、C3およびC5は等価直列抵抗の低い方が効率が上がります。C2の電圧定格は最大入力電圧を超えている必要があり、外部スイッチ(Q1)は(VIN + VOUT)の和に耐える必要があります。
ショットキーダイオードD2はQ1のスイッチングパルスを捕捉することにより、V+電圧を(VIN + VOUT)に昇圧します。この結果得られる高ゲート駆動電圧によりQ1の損失が(特に低入力電圧において)低減されますが、同時にVINが12V (max)に制限されます。出力電流能力は、VIN = 2Vで300mA、VIN = 3Vで400mAです。図2に、効率対負荷電流のグラフを示します。