CCFLコントローラDS3xxxのためのLCMとOVDスレッショルドの決定

要約

DS3881、DS3882、DS3988、DS3991、DS3992、およびDS3994は、LCD (液晶ディスプレイ)をバックライトで照らすCCFL (冷陰極蛍光ランプ)コントローラです。各コントローラチャネルは、ランプの監視と電流安定化(LCMとOVD)のために2本の入力ピンを持っています。これらの2つの入力に関連した4つのスレッショルドがあります。このアプリケーションノートは、スレッショルドがどのように指定され、そして、どのようにアプリケーションに基づく正しいスレッショルドを決定するかについて述べます。

LCMおよびOVDスレッショルドと対応するリファレンス

CCFL (冷陰極蛍光ランプ)コントローラのDS3881DS3882DS3988DS3991DS3992、およびDS3994の各チャネルには、2つの入力、ランプ電流の監視のためのLCMと過電圧検知のためのOVD、があります。LCMとOVDに関連した4つのスレッショルドがあります。表1は、各スレッショルドの説明とシンボルについて簡単に述べています。

表1. スレッショルドの説明とシンボル

Associated Pin Symbol Description
LCM VLOT Lamp off threshold
VLOC Lamp overcurrent threshold
VLRT Lamp regulation threshold
OVD VOVDT Lamp overvoltage threshold

LCMとOVDの両ピンには内部DCバイアス電圧(VDCB)があり、DS3881とDS3882では1.1V、DS3988、DS3991、DS3992、およびDS3994では1.35Vです。このスレッショルドは、VDCBまたは信号グランド(GND)を基準にできます。

使用する電圧リファレンスによって、色々なデータシートに明記されるスレッショルドは異なる値を持つように見えるかもしれませんがそれらは実質的に同じです。DS3881、DS3882、およびDS3988のデータシートにおいて、4つのスレッショルドは、VDCBを基準としています。DS3991、DS3992、およびDS3994のデータシートにおいて、4つのスレッショルドはグランドを基準とし、このようにVDCBを含みます。たとえば、DS3988のためのランプ制御スレッショルド(標準値)はVDCBに対して1.0Vとしてデータシートに指定され、そしてそのVDCB は1.35Vです。DS3994のデータシートで、同じパラメータは2.35Vとして指定され、この値は信号グランドを基準にしています。このように、DS3988とDS3994のランプ制御スレッショルドは実質的に同じです。実際に、両データシートの注3でこれを説明しています。

アプリケーションに基づく正確なスレッショルドの決定

スレッショルド値は使われるリファレンスによって異なるので、ユーザーは正しいリファレンス(VDCBまたはグランド)を決め、正しい外部コンポーネント値を選ぶ必要があります。一般的なルールは、LCMとOVDの信号がAC結合の場合、リファレンスとしてVDCBを使うことです。これは、チャネルあたり単一のランプのアプリケーションのための代表例です。しかし、AC結合が使用されない場合、ならば、スレッショルドはグランドを基準にしなければなりません。このガイドラインは、一般的にチャンネルあたり複数のランプを使用するアプリケーションに適用されます。2つの例によってこの原理を説明します。

チャンネルあたり単一のランプのアプリケーション

このアプリケーションでは、LCMとOVDピンの内部DCバイアス電圧はAC結合入力を可能にします。このデザインは、外部回路をとても簡素化することができます。このアプリケーションのための標準動作回路を、図1に示します。

図1. チャンネルあたり単一のランプによる標準動作回路
図1. チャンネルあたり単一のランプによる標準動作回路

このアプリケーションでは、スレッショルドはVDCBを基準にします。値は表2に記載しますが、他の製品には異なる可能性があります。

表2. DS3994のLCMとOVDスレッショルド(図1用)

Parameter Symbol Min Typ Max Units
Lamp off threshold VLOT 0.30 0.40 0.50 V
Lamp overcurrent threshold VLOC 1.80 2.00 2.20 V
Lamp regulation threshold VLRT 0.94 1.00 1.06 V
OVD threshold VOVDT 0.90 1.00 1.10 V

チャンネルあたり複数のランプによるアプリケーション

図2は、DS3994を使用したチャネルごとの複数のランプによる標準動作回路を示しています。このアプリケーションでは、ランプ電流と電圧はワイヤードオアでなければならず、DS3994のLCMとOVD入力に入力されます。電圧分圧器とピーク検出器を含むいくつかの外部回路図で使われます。チャネルあたり単一のランプのアプリケーションとは異なり、チャネルあたり複数のランプによるアプリケーションは、LCM入力にAC結合コンデンサを使いません。DS3994はLCM入力で測定されるピーク信号に基づいたランプ電流を制御します。AC結合コンデンサなしで、ピーク制御レベルはDCバイアス電圧(1.35V)にランプ制御スレッショルド(1.0V)を加えた値または公称2.35Vです。それゆえに、デバイスが適切なレベルにランプ電流をコントロールできるように、ランプの電流フィードバック抵抗で作られるピーク電圧レベルはLCM入力で目標値の2.35Vピークまで減らされなければなりません。同様に、このアプリケーションのOVDスレッショルドは、グランド基準で2.35Vピークです。

図2. チャネルあたり複数のランプによる標準動作回路
図2. チャネルあたり複数のランプによる標準動作回路

図2で使われているスレッショルドは、表3 (グランド基準で)にまとめられています。これらの値は、他の製品には異なる可能性があります。

表3. DS3994のLCMとOVDスレッショルド(図2用)

Parameter Symbol Min Typ Max Units
Lamp off threshold VLOT 1.65 1.75 1.85 V
Lamp overcurrent threshold VLOC 3.15 3.35 3.55 V
Lamp regulation threshold VLRT 2.29 2.35 2.41 V
OVD threshold VOVDT 2.25 2.35 2.45 V

まとめ

  1. CCFLコントローラDS3xxxの各チャネルは、ランプ監視と制御のために4つのスレッショルドを持ちます。
  2. スレッショルドは、使用されるリファレンスによって、それぞれのデータシートで異なる値となる可能性があります。
  3. LCMとOVD信号がAC結合である場合、スレッショルドは一般的にDCバイアス電圧(VDCB)を基準とします。このアプローチは、一般的にチャネルあたり単一のランプのアプリケーションに適用されます。
  4. LCMとOVD信号がAC結合コンデンサなしで対応するピンに接続される場合、スレッショルドはグランド基準となります。このデザインは、一般的にチャネルあたり複数のランプによるアプリケーションに適用されます。

著者

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Shoumin Liu