AN-1045: iSensor® IMU の実装
概要
iSensor IMU 製品ファミリーは、3 次元構造で複数のMEMS センサーと信号処理部品を備えた統合慣性計測システムです。iSensor IMU 製品は、プラットフォームの動き検知に対応するために、タイトに機械的結合されたマウティング・タブを含むアルミニウム一体構造が装着されています。フレキシブル・ケーブルとコネクタにより、便利なユーザ・インターフェースを提供しています。このフレキシブル・ケーブルにより、製造ラインでの装着が大幅に簡素化されます。多くのユーザにとって、2 本のネジを取り付けて、フレキシブル・コネクタでPCB に接続するだけの簡単な設計となります。適切に取り扱うと、このフレキシブル・ケーブルは非常に信頼度の高い頑丈なものです。2000 g の衝撃テスト(落下テスト)、1000 サイクルを超える温度サイクル、その他多くの環境テストに耐えることができます。ただし、コネクタを外すときケーブルを引っ張るなどの不適切な扱いを行うと、これらのデバイスは損傷を受けます。開発時にデバイスの取り外しが必要な場合には、このアプリケーション・ノートの指示に従ってフレキシブル・コネクタを慎重に扱い、安全に取り外してください。
iSensor IMU を使用する際には、機械的装着と電気的インターフェースの2 つの機械的考慮事項があります。
機械的装着
iSensor IMUパッケージには、ベースの両側に2 つのアルミニウムマウティング・タブがあり、さまざまな装着方法が可能となります。iSensor評価ボードでは、マウティング・タブの間にM2 × 0.4 mmのネジを挿入できる箇所があり、そこに2 つのネジ穴を設けることにより、簡単に装着できる方法を使っています(図1 参照)。
片側にあるタブの1 つには、高精度なアライメント・ピンに合せる穴があります。これらのピンはシステム・フレームのアライメント用であり、ネジ用に使用するものではありません。したがって、マウンティング・ネジ用にこれらの穴を大きくしないでください。デバイスの物理的構造を変えてしまうため、補正の際に誤差が生じてしまいます。
ブラケット・マウンティング (図2 参照)または6 個のファスナー付きカバー・プレート(図3 参照)を使うことにより、高レベルの衝撃または振動を発生するシステムにおいて機械的共振の危険性を減らすことが可能となります。U字型プレート・デザインは、シャープな物体や損傷を与える危険から、システム内でフレキシブル・ケーブルを保護することができます。また、U字型プレート・デザインにはコネクタを固定する機械的な機能を持たせることもできます。ただし、マウティング・タブの高さと最終的なコネクタの高さの差を考慮する必要があることを確認してください。
図 4 に、3 種類の装着システムに適用できるネジ配置のデザイン例を示します。
iSensor IMUパッケージの1 つの利点は、このフレキシブル・コネクタにより、アルミニウム・ベース・プレートとは異なる面にあるコネクタが接続することが可能ということです。このオプションを使う場合、嵌合コネクタについて、図4 に示す穴位置の変更が必要となる場合があります。図5 に、嵌合コネクタと異なる面にIMUをマウンティングする際にネジ位置を変える方法を示します。図6 と図7 に、嵌合コネクタが本体装着面と垂直な面にある場合の例を示します。
アルミニウム・ベース・プレートと装着面の間に接着剤を使うと、強度を増すことができますが、デバイスの取り外しが困難になります。これらの材料は、ペーストまたは両面テープ/アップリケを利用することができます。すべての処理温度は125°C に制限してください。
電気的接続
電気的インターフェースは、1 mmピッチで並んだ2 列の24 ピン・ヘッダーです。iSensor 評価ボードではコネクタにSamtec 社のCLM-112-02-LM-D-A を使用しています。フレキシブル・ケーブルの曲げ半径は、信頼性に影響を与えます。このため、コネクタ位置の選択では、曲げ半径を少なくとも1.5 mm に維持して、シワの発生やその他の機械的ストレスを防止してください。ストレスが加わらないようにコネクタの位置を決め、装着時にフレキシブル・ケーブルが引張られることがないようにする必要があります。
取り扱い/取り外しのガイドライン
装着時と通常の使用時での基本的な取り扱い上の注意は、シャープな物体やその他に損傷を与えるような危険からフレキシブル・ケーブル・コネクタを保護することです。取り外しが必要なケースでは、フレキシブル・コネクタに無理な力が加わらないように保護してください。例えば、本体を引張ってフレキシブル・コネクタを引き抜かないでください。フレキシブル・ケーブル・コネクタが壊れ、センサー自体が破壊されます。
このデバイスを取り外すときは、始めにフレキシブル・ケーブル・コネクタに損傷がないことを確認してください。ツールやその他のシャープな物体との偶発的な接触による小さい傷や割れを探します。傷は、複数回の挿入と取り外しにより大きくなることがあります。フレキシブル・コネクタを検査した後、フレキシブル・コネクタを嵌合コネクタから慎重に外します。コネクタ本体に力を加えて、フレキシブル・ケーブルには力が加わらないようにします。接続を取り外して後、ネジを取り外して、デバイスをマウンティング面から持ち上げます。この作業では、フレキシブル・コネクタに十分注意が必要ですが、正しく装着した際には優れた信頼性が得ることができます。