質問:
トランス・ベースのアイソレータをフォトカプラの代わりにすることが できるでしょうか?DC信号、磁界、サイズに問題が生じないでしょうか?
回答:
トランスベースのアイソレータをフォトカプラの代わりに使用することで、かなり節電することができます。また、問題が生じることもありません。
ポール・リヴィアは提灯による合図(イギリス軍が陸路を選べば尖塔に1つ、海路なら2つ吊るして植民地人にイギリス軍の動向を知らせる合図)の欠点がわかっていました。提灯は電話よりも多くエネルギーを消費するだけでなく、提灯の光が2つ明滅した後に真夜中に騎馬で走ったのでは、イギリス軍の動向を知らせるのが遅くなってしまいます。1775年1に電話が発明されていたら、知らせはレキシントンとコンコードにたちまち届き、ポール(および彼の馬)は寒い夜の騎行をしなくても済んだことでしょう。その間に、銀のティーポットを1つ作ることができたかもしれません。2
デジタル・アイソレータは、数百~数千ボルトの電位差があるところにデジタル信号を送信します。フォトカプラは赤外線で信号を送りますが、LEDと光検出器はあまり効率がよくないため、高速のフォトカプラには大量の電力が必要です。気の毒なポールに欠けていた(磁石式)電話などの磁気信号結合のほうがずっと高速で、消費電力も少なくなります。
マイクロトランスの巻線はシリコン・チップ上に印刷でき、5kVを超える耐性がある20µmのポリイミド層によって分離されています。マルチチップ・ボンディングによって、1つのICパッケージにプリント・トランスによって繋がる複数のマルチチャンネル・チップを内蔵させることができます。フォトカプラとは異なり、これらは双方向にできます。これと同じ技術により、同じICパッケージ内に50mWの絶縁電源を作成することができます。これによって、絶縁回路に電力を供給せざるを得ないオプティカル・アイソレータの大きな問題が解消します。
マイクロトランスはHFでのみ動作し、DCで動作するトランスはありません。それでも、簡単な内部ロジックを使用することで、デジタル・アイソレータでDCおよびLFロジック信号の確実な送信や、最小ジッタでの高速信号の送信が可能になります。デジタル・アイソレータは小型で、磁性体を持たないため、外部磁界の影響はほとんどありません。3
デジタル・アイソレータの消費電力はLFでフォトカプラの消費電力の約1%であり、フォトカプラの最大速度である50Mbps(デジタル・アイソレータは100Mbps以上で動作可能)で約20%となります。低消費電力によって信頼性も高まります。
デジタル・アイソレータは、絶縁の安全性に関する大部分の国際規格に準拠し、UL、CSA、VDE規格に認定されています。これならポールも気に入ったはずです。
1 フランシスコ・デ・サルヴァは1775年にスペインで電気通信を提案しました。しかし、このアイデアは4月18日の時点でまだマサチューセッツまで到達していませんでした。
2 ポール・リヴィアの本職は銀細工師でした。その作品は、米国のボストン美術館に展示されています。
3 デジタル・アイソレータは、デバイスからわずか5mmのワイヤに1MHzで500Aの電流が流れても影響を受けません。