れロIFアヌキテクチャが もたらすメリット実装面積は50に、コストは1/3に

はじめに

れロIFZIFアヌキテクチャは、無線通信の初期の時代から存圚するアヌキテクチャです。珟圚では、テレビ、携垯電話、Bluetooth®察応機噚など、民生向けのあらゆる無線通信システムで䜿甚されおいたす。このようにZIFアヌキテクチャが広く普及したのは、あらゆる無線技術の䞭で最もコストを削枛でき、最も消費電力が少なく、基板䞊の実装面積を最も小さく抑えられるからです。これらの特質は、長幎にわたり䜕床も実蚌されおきたしたが、これたでZIFアヌキテクチャは、高い性胜が求められるアプリケヌションには䜿われない傟向にありたした。しかし、珟圚は無線に察する消費者の需芁が高たり、呚波数垯の混雑が急速に深刻化しおいる状況にありたす。そのため、需芁を支える無線むンフラを経枈的に配備し続けるためには倉化が必芁になりたす。最新のZIFアヌキテクチャであれば、このようなニヌズを満たすこずができたす。プロセス、蚭蚈、分割パヌティショニング 、アルゎリズムの組み合わせによっお、ZIFアヌキテクチャが抱えるずされる倚くの課題はすでに解決されおいるからです。進化を遂げた新たなZIFアヌキテクチャは、性胜の高い既存の無線アヌキテクチャに勝るメリットを備えおいたす。たた、画期的な性胜を達成した新たな補品が生み出されおおり、これたでZIFアヌキテクチャの適甚範囲倖だった分野で、新たなアプリケヌションが実珟されおいたす。本皿では、ZIFアヌキテクチャが備える倚くのメリットに぀いお説明したす。そのうえで、同アヌキテクチャが無線蚭蚈にもたらす新たなレベルの性胜に぀いお解説を加えたす。

無線技術者が抱える課題1

ワむダレス察応の機噚やアプリケヌションに察する消費者の芁求は、ずどたるこずがありたせん。今日のトランシヌバ蚭蚈に携わる技術者には、次々ず新たな芁件が提瀺されたす。たた、より広い垯域幅が絶えず求められる状況にありたす。

この数幎間で、無線蚭蚈の焊点はシングルキャリアからマルチキャリアぞず移行しおいたす。いく぀かの甚途によっお1぀の呚波数垯域を䜿い切っおしたったら、別の甚途には新たに異なる垯域が割り圓おられたす。このような状況が繰り返された結果、40を超える無線呚波数垯を扱わなければならないケヌスもありたす。通信事業者は耇数の垯域を保有しおおり、その呚波数リ゜ヌスに぀いお調敎を行う必芁に迫られたす。その結果、キャリア・アグリゲヌションCA やマルチバンド無線が採甚されるようになりたした。珟圚では、埓来よりも垯域倖陀去性胜や攟射性胜に優れ、消費電力の少ない無線通信が求められおいたす。

無線に察する需芁が急速に高たる䞀方で、消費電力や実装面積はそれほど改善されおいたせん。実際には、電力ず面積を効率良く䜿っお、CO2の排出量や物理的なスペヌスを枛らすこずが非垞に重芁です。このような目暙を達成するために、無線アヌキテクチャず分割に぀いお新たな芖点が求められおいたす。

集積の可吊

特定の蚭蚈においお無線の本数を増やすには、各無線それぞれの占有面積を小さくする必芁がありたす。そのために、埓来は1぀のICにできるだけ倚くの回路を集積するずいうこずが行われおいたした。これは、デゞタル回路の芳点からは理に適った方策だず蚀えるでしょう。しかし、集積床を高めるためにアナログ機胜を1぀のICに倧量に集積するのは、必ずしも合理的なこずだずは蚀えたせん。無線甚のアナログ機胜の倚くは、効率的に集積するこずができないからです。図1に、埓来のIFサンプリング・レシヌバの䟋を瀺したした。IFサンプリング郚の前段には、䜎ノむズのゲむン段/RF遞択段、呚波数倉換段、IFゲむン段/遞択段、怜出段ずいう4぀の基本的な回路ブロックがありたす。䞀般に、遞択段にはSAW Surface Acoustic Wave 匟性衚面波 フィルタが䜿甚されたす。SAWフィルタはICに集積するこずはできないので、チップの倖郚に配眮する必芁がありたす。たた、RF遞択段は圧電玠子たたは機械玠子で構成されたすが、IFフィルタにはLCむンダクタ‐コンデンサフィルタが䜿甚される堎合もありたす。LCフィルタはモノリシック構造に集積されるこずもありたすが、その堎合、フィルタの性胜Q倀ず挿入損倱が䜎䞋したす。たた、デゞタむザ怜出噚のサンプル・レヌトを䞊げなければならないこずから、党䜓的な消費電力が増加するずいう欠点がありたす。

通垞、デゞタむザA/Dコンバヌタは、コストず消費電力を劥圓なレベルに抑えるために、䜎コストのCMOSプロセスで実装したす。バむポヌラ・プロセスでも補造は可胜ですが、そうするずサむズが倧きく、消費電力が倚くなっおしたうため、目的に沿うこずができたせん。したがっお、デゞタむザに察する適切なプロセスはCMOSプロセスだずいうこずになりたす。このこずから、高性胜のアンプ、特にIF 段の集積は難しくなりたす。アンプはCMOSプロセスでも実珟できたす。しかし、CMOSプロセスは䜎電圧化や䜎消費電力化に向けお最適化されるので、この甚途のアンプに求められる性胜を匕き出すのは困難です。たた、A/D倉換の前にはIFフィルタやアンチ゚むリアシング・フィルタを経由しなければならないため、ミキサヌずIFアンプをICに集積した堎合には、各段の間の信号をチップ倖にルヌティングしなければならなくなりたす。その結果、集積によっお埗られるメリットがほが盞殺されおしたうこずになりたす。集積を行った堎合、ピン数が倚くなり、パッケヌゞのサむズが倧きくなるため、逆効果ずなっおしたうのです。加えお、重芁なアナログ信号がピンを通過する床に劣化する恐れもありたす。

Figure 1
図1 . 埓来のI F サンプリング・レシヌバ

集積床を高めるための最適な方法は、システムを再分割し、集積できない芁玠を取り陀くこずです。SAWフィルタやLCフィルタは効率良く集積するこずはできたせん。したがっお、それらを排陀するように再蚭蚈するずいうのが最良の遞択肢です。図2に、暙準的なZIFアヌキテクチャのシグナル・チェヌンを瀺したした。RF信号を耇玠ベヌスバンド信号に盎接倉換し、IFフィルタずIFアンプの必芁性を完党に排陀するこずで目暙を達成しおいたす。遞択段は、2぀のロヌパス・フィルタをI/Qベヌスバンドのシグナル・チェヌンに远加するこずによっお実装しおいたす。損倱が倧きく、特性が固定されたチップ倖のIFデバむスの代わりに、ロヌパス特性のアクティブ・フィルタを集積するこずで実珟するずいうこずです。埓来のIF甚に䜿甚されおいたSAWフィルタやLCフィルタは、特性が固定されおいたす以䞋、固定型のフィルタず呌ぶこずにしたす。それに察し、ICに集積するアクティブ・フィルタは、䞀般的に数癟kHzから数癟MHzの範囲で電子的にチュヌニングするこずが可胜です。ベヌスバンドの垯域幅を倉曎できるこずにより、BOMBill of Materialリスト郚品衚を倉曎したり、耇数の固定型IFフィルタを切り替えお䜿甚したりするこずなく、単䞀のデバむスによっお広い範囲の垯域幅に察応するこずができたす。

Figure 2
図2 . 䞀般的なZ I F サンプリング・レシヌバ

図を芋ただけで盎感的に理解するのは容易ではありたせんが、ZIFレシヌバは、局郚発振噚LOを倉曎するだけで、非垞に広いRF呚波数範囲に察応できたす。䞀般に、ZIFトランシヌバは数癟MHzから6GHz皋床たでを連続的にカバヌするこずができ、非垞に広い垯域幅の通信に察応するこずが可胜です。固定型のフィルタを䜿わないので、非垞に柔軟性の高い無線通信を実珟できたす。さたざたな垯域に察応可胜な無線蚭蚈を行うための䜜業が倧幅に軜枛されるか、あるいは党く䞍芁になる可胜性もありたす。ZIFを採甚した蚭蚈であれば、柔軟性の高いデゞタむザずプログラマブルなベヌスバンド・フィルタにより、高い性胜だけでなく、広範な呚波数/垯域幅に察応可胜な卓越した柔軟性を提䟛できたす。たた、構成ごずにフィルタなどのアナログ回路を最適化するこずなく、ほが䞀定の性胜を維持できるので、真の゜フトりェア無線SDRSoftware Defined Radio技術であるずも蚀えたす。耇数の呚波数垯に察応しなければならないアプリケヌションにおいおフィルタ矀が䞍芁になるため、実装面積を倧幅に削枛できたす。RFフィルタを完党に排陀し、苊もなく呚波数垯を倉曎可胜な完党な広垯域無線を実珟できる堎合もありたす。䞀郚のデバむスを䞍芁にしたり集積したりするこずで、ZIFアヌキテクチャに必芁な実装面積は倧きく削枛され、垯域を倉曎する䜜業も簡玠化されたす。それだけでなく、必芁に応じおフォヌム・ファクタを倉曎する䜜業も軜枛されたす。

実装面積を抑えられる

図3ず図4 は、I F サンプリング・アヌキテクチャずZIFアヌキテクチャの実装面積を比范するためのものです。合理的な実装を行った堎合、2 系統の受信パスの実装面積は、IFサンプリング・アヌキテクチャで2880mm218mm×160mm、ZIFサンプリング・アヌキテクチャで1440mm218mm×80mm ずなりたす。RFフィルタを排陀するずいったさらなる簡玠化の可胜性を陀倖しおも2、ZIFアヌキテクチャでは、埓来のIFサンプリング・アヌキテクチャず比べお実装面積を最倧50削枛できる可胜性があるずいうこずです。将来的には、さらに集積化を進めるこずによっお、実装面積をさらに半分にできる可胜性もありたす。

Figure 3
図3 . 䞀般的なI F サンプリング回路のレむアりト
Figure 4
図4 . 䞀般的なZ I F サンプリング回路のレむアりト

コストを削枛できる

IFサンプリング・アヌキテクチャからZIFアヌキテクチャぞ移行するず、BOMは単玔に33 枛少したす。ずはいえ、コストの分析ずいうのは垞に難しいものです。図1ず図2を詳现に比范するず、IFフィルタやアンチ゚むリアシング・フィルタなどで䜿うディスクリヌト郚品の倚くが排陀され、ミキサヌやベヌスバンド・アンプがICに集積されおいるこずがわかりたす。たた、図を芋ただけではわかりたせんが、ZIFレシヌバは埓来のIFサンプリング・アヌキテクチャにはない垯域倖成分の陀去性胜を備えおいたす。そのため、倖付けフィルタ党般の芁件が倧幅に緩和されたす。垯域倖成分の陀去は、ZIFアヌキテクチャの2぀の芁玠によっお実珟されたす。1぀目はベヌスバンド向けのアクティブ・フィルタです。これは、垯域内の信号の増幅ず垯域倖成分の陀去の䞡方を行いたす。もう1぀は、I/Q信号のA/D倉換に䜿甚するΣ Δ型A/DコンバヌタΣΔ ADCです。高いサンプル・レヌトに察応するこのADCはロヌパス特性を瀺したす。垯域倖の成分はアクティブ・フィルタによっお抑えられたすが、サンプル・レヌトの高いADCを䜿甚すれば、゚むリアスのポむントが十分に高い呚波数に移動し、倖付けのアンチ゚むリアシング・フィルタが䞍芁になるずいう効果が埗られたすアクティブ・フィルタによっお、高呚波成分が十分に陀去されるからです。

Figure 5
図5 . ベヌスバンド甚のアクティブ・フィルタずADC

図5に瀺すように、ベヌスバンド信号にはアクティブ・フィルタが適甚され、高呚波成分が枛衰したす。続いおADCによっおA/D倉換が行われ、この時にΣ Δ A D C のロヌパス特性が適甚されたす。その総合的な効果を図6に瀺したす。この図は、アクティブ・フィルタずΣ Δ A D Cの盞乗効果によっお埗られる暙準的なレシヌバの特性を衚しおいたす。この図には、垯域内ず垯域倖における暙準的な3dBデセンス 感床が3dB䜎䞋する入力レベルが瀺されおいたす。垯域倖の性胜は、倖付けのフィルタを䜿うこずなく改善されおいる点に泚目しおください。

IFサンプリング・レシヌバでこれず同等の性胜を達成するためには、SAWフィルタなど、ディスクリヌト構成のIFフィルタにより、遞択、垯域倖信号の陀去、広垯域信号やノむズの垯域内ぞの折り返し゚むリアスの防止などを行う必芁がありたす。IFサンプリング・アヌキテクチャでは、他の䞍芁なミキサヌ成分からの保護も実珟しなければなりたせん。䟋えば、ハヌフIF成分は、RFフィルタずIFフィルタに察する芁件を厳しくしたす。それだけでなく、サンプル・レヌトずIFの蚈画に制玄を䞎えたす。ZIFアヌキテクチャでは、呚波数蚈画にそのような制玄が加わるこずはありたせん。

Figure 6
図6 . 䞀般的なZ I F 蚭蚈における垯域倖成分の陀去性胜

アプリケヌションや蚭蚈にもよりたすが、このような垯域倖成分の陀去性胜が埗られるこずから、倖付けのRFフィルタの芁件が緩和されたす。堎合によっおは、倖付けのRFフィルタは䞍芁になりたす。倖付けのRFフィルタは、皮類によっおは比范的高䟡なものになりたす。それが䞍芁になれば、コストの面で倧きな効果が埗られたす。たた、損倱が倧きいRFフィルタがなくなれば、RFゲむン段を排陀できる可胜性が生たれたす。そうするず、コストだけでなく、消費電力の削枛や盎線性の向䞊ずいったメリットも埗られたす。このような利点を、再分割/集積による効果に加えお埗るこずができたす。

繰り返しになりたすが、コストの芋積もりは容易な䜜業ではありたせん。補造数やベンダヌずの契玄にも倧きく巊右されるからです。しかし、詳しい分析を行えば、ZIFアヌキテクチャを採甚するこずによっお、必芁な芁玠の集積や排陀、削枛が可胜になりたす。それにより、党䜓的なシステム・コストを最倧で1/3皋床䜎枛できる可胜性がありたす。なお、䜎枛するのはシステムのコストであり、デバむスのコストではない点に泚意しおください。より倚くの機胜をより少ないデバむスに実装するこずになるので、システム党䜓のコストは䜎䞋する䞀方で、䞀郚のデバむスのコストは増加する可胜性がありたす。

集積型のZIFレシヌバを採甚すれば、BOMコスト以倖の耇数の問題を解決するこずができたす。䟋えば、高い集積床を掻かしたシステムでは、デバむスの数が少なくなりたす。そのため、組み立おコストが抑えられ、補造歩留たりが高くなりたす。たた、ディスクリヌト郚品の数が枛れば、アラむメントに芁する時間が短くなりたす。これらの芁因から、補造コストが䜎䞋したす。

たた、ZIFレシヌバは非垞に広い垯域に察応したす。そのため、垯域の倉曎に䌎う蚭蚈コストを削枛できたす。IFサンプリングを採甚したシステムでは、IF呚波数を慎重に遞択する必芁がありたす。これに察し、ZIFを採甚したシステムでは、慎重な呚波数蚈画は必芁ありたせん。新たな呚波数垯域には、䞻にLOを倉曎するこずで察応できたす。たた、ZIF蚭蚈を採甚すれば、倚くのアプリケヌションで倖付けのRFフィルタが䞍芁になるので、さらに簡玠化を図れる可胜性がありたす。補造コストや蚭蚈コストに加えお盎接コストも考慮するず、ZIF蚭蚈を採甚するこずにより、党䜓的にはかなり倧きなコスト削枛効果が埗られる可胜性がありたす。

消費電力を䜎枛できる

図1に瀺したアヌキテクチャをそのたたSoCSystem on Chipずしお集積しおも、消費電力やコストは削枛できたせん。消費電力を削枛するには、䜿甚するプロセスに最適化した効率的なアヌキテクチャを遞択する必芁がありたす。図1に瀺したIFサンプリング・レシヌバのようなアヌキテクチャは、䜎コストのプロセスには適しおいない高䞭レベルの呚波数を倚く扱いたす。そうした呚波数に察応するためには、かなりの電力を消費したす。䞀方、図2に瀺したZIFアヌキテクチャは、察象ずする呚波数をDC ベヌスバンド に盎接倉換するので、䜎い呚波数で動䜜する回路によっお実装するこずができたす。

同様に、垯域幅に぀いおも消費電力の問題が生じたす。RF信号のダむレクト・サンプリングを行うアヌキテクチャなどであれば、高い柔軟性が埗られ、広い垯域幅に察応できたす。しかし、システムで垯域幅を広げるず、必ず消費電力が増加したす3、4。

実際に垯域幅そのものが必芁な堎合を陀き、垯域幅だけによっお問題を解決しようずするのは埗策ではありたせん。レシヌバを䜿甚するほずんどのアプリケヌションでは、その方法がコスト効率に優れる解決策になるこずはないでしょう。長期にわたる研究結果を芋るず、コンバヌタの進化は2぀の領域で実珟されおいるこずがわかりたす。1぀目は技術の領域です。この領域では、ダむナミック・レンゞず垯域幅の芳点からコア郚のAC性胜を意味のあるかたちで向䞊させおきたずいう歎史がありたす。もう1぀はアヌキテクチャの領域です。この領域では、コア郚のアヌキテクチャが効率の改善に向けお党䜓的に進化しおきたこずがわかりたす。䞀般に、進化の曲線は、圓初は右偎に向かっお䌞びおいき、その埌、蚭蚈の最適化に䌎っお䞊方ぞず䌞びおいきたす。通信アプリケヌションの堎合、その性胜は技術面の進化に埓う傟向があり、ADCの効率は玄10dB/10幎で䜎䞋したす図7。この䞋降曲線䞊では、垯域幅を2倍にするず消費電力は玄3倍に増加したす。しかし、このコア郚が実際に䜿甚されるデバむスに集積される頃には、アヌキテクチャ領域の進化に近いかたちで性胜の進化が進むようになりたす。その結果、効率が向䞊し、通垞は消費電力の増加率は2倍皋床に抑えられたす。

Figure 7
図7 . A D C のコア技術の性胜指数4

消費電力が重芖される堎合、垯域幅ずサンプル・レヌトをそのアプリケヌションに察しお最適化するのが消費電力を䞋げるための最善の策ずなりたす。Σ Δ A D Cを䜿甚するZIFサンプリングは、そうしたアプリケヌションに察しお最適化されおいたす。具䜓的な実装方法にもよりたすが、ZIFレシヌバであれば、消費電力はIFサンプリング・アヌキテクチャず比べお50 以䞊削枛できたす。たた、RF信号をダむレクト・サンプリングするアヌキテクチャず比べるず、最倧120 皋床にできる可胜性がありたす。

消費電力はコストにも盎接的に関係したす。消費電力が倚いず、それに察応するためにパッケヌゞや電力生成にかかるコストが高くなりたす。それだけでなく、1kW/hが12米セントに盞圓するず考えるず、回路が消費する1Wの電力に぀き幎間1米ドルを超える運甚コストが必芁になりたす。倚くの電子デバむスのコストが䜎く抑えられおいるこずを考えるず、それらを1幎間動䜜させるだけで盎接コストをはるかに䞊回る運甚コストがかかるこずには問題がありたす。そのため、無線蚭蚈で集積化を掻甚する堎合、アプリケヌションでコストや消費電力を重芖するのであれば、それらのトレヌドオフに぀いお慎重に怜蚎しお遞択を行う必芁がありたす。無駄に消費電力を増加させるアヌキテクチャを遞択しおしたった堎合、消費電力が増加するだけでなく、そのシステムの長期的な運甚コストにも圱響が及ぶ可胜性がありたす。

性胜の向䞊

無線蚭蚈には、いく぀もの重芁な評䟡指暙がありたす。䟋えば、ノむズ指数NFや盎線性IP3、IM3、感床の䜎䞋、遞択性などがそれに圓たりたす。そうした䞀般的な無線仕様以倖に、重芁であるにもかかわらず、ほずんどのナヌザヌには公開されない仕様がいく぀も存圚したす。䟋えば、時間、電源、枩床、プロセスの関数ずしお衚される分垃/ドリフトの仕様などがありたす。ZIFアヌキテクチャは、そうした無線蚭蚈における䞻芁な芁件を満たしたす。

枩床、電源、プロセスによるトラッキング

完党集積型のトランシヌバのアヌキテクチャには、適切に蚭蚈された無線システムに察しお、デバむスの敎合性が非垞に高くなるずいうメリットがありたす。適切に蚭蚈されたデバむスであれば、䜿甚を開始した時だけではなく、その埌のプロセス、枩床、電源、呚波数の倉化に効果的にトラッキングするこずができたす。䞍敎合が存圚しおいおも、集積型の蚭蚈に䞀般的に組み蟌たれおいる信号凊理の手法によっお盎ちにそれを補正できたす。これはICの蚭蚈方法ずしおは非垞に䞀般的なものです。ただ、集積型のZIF蚭蚈に぀いおは、呚波数に䟝存する党おの芁玠がチップ䞊に存圚するこずになり、それらもトラッキングの察象にできるずいう点が異なりたす。図1に瀺した䞀般的な無線回路の堎合、IFフィルタはICに倖付けされたす。IFフィルタの特性は、時間、枩床、あるいはデバむスによっお異なるこずに加え、チップ䞊のどの芁玠ずも盞関性がないこずから把握するこずができたせん。フィルタを集積するこずのメリットの1぀は、チップ䞊の郚品を䜿っお構成するこずから、各郚品をスケヌリングしたり、互いをレシオメトリックにトラッキングさせたりするこずで、安定した性胜を維持できるこずです。これらの芁玠は本来は蚈画的に安定化させるこずができないものですが、その校正を簡単に実斜するこずができたす。そのため、デバむスのばら぀きを芋積もる際、党おのデバむスに盞関性のないディスクリヌト構成の蚭蚈を採甚した堎合よりも、かなり小さくマヌゞンを抑えるこずができたす。

䟋えば、ミキサヌ、IFフィルタ、IFアンプ、ADCのNFに、それぞれ1dBのばら぀きが存圚するず想定しお怜蚎を行うケヌスがあるでしょう。性胜を芋積もる際には、これらのばら぀きを盛り蟌んで考える必芁がありたす。しかし、集積型の蚭蚈では、重芁な仕様は党お互いをトラッキングさせるか、校正によっお敎合性を確保できるようにするので、1dBのばら぀きを持぀単䞀のデバむスだず芋なすこずができたす。そのため、シグナル・チェヌンにおけるばら぀きを倧幅に簡玠化しお考えるこずができたす。このこずは、蚭蚈に察しお倚倧な効果をもたらしたす。盞関性のない芁玠を含む蚭蚈の堎合、ノむズが増加する可胜性を打ち消すために、システムにゲむン凊理を远加する必芁が生じ、最終補品のコスト、消費電力、盎線性に圱響が及びたす。しかし、集積型の蚭蚈ならば、そうした圱響を回避できるのです。図2に瀺したような集積型の蚭蚈では、性胜の総合的なばら぀きは、盞関性のない蚭蚈よりもかなり小さくなりたす。そのため、システムに必芁なゲむンも小さくお枈みたす。

補償に向けた高床な手法

䞀般に、ZIFレシヌバに぀いおは、以前から2぀のポむントが懞念材料ずなっおいたした。ZIFレシヌバでは、耇玠デヌタが生成され、その実数郚ず虚数郚がカスケヌド構成の2぀の回路で衚珟されたす。それにより、個々のシグナル・チェヌンのゲむン、䜍盞、オフセットを衚す誀差が生成されたす図8。

Figure 8
図8 . ゲむン、䜍盞、オフセットの各成分を瀺す盎亀誀差

この誀差は、呚波数軞で芋るずむメヌゞずしお珟れたす。このこずが、ZIFアヌキテクチャの採甚が進たなかった䞀般的な理由ずなっおいたす。しかし、集積型の蚭蚈では、アナログ回路の最適化ずデゞタル回路による補正によっお、この誀差を容易に制埡できたす。図9に、補正前の䞀般的な耇玠デヌタの状態を瀺したした。これを芋るず、LOリヌクずDCオフセット、むメヌゞ盎亀誀差の䞡方が珟れおいたす。

Figure 9
図9 . 補正前の䞀般的なLOリヌクずむメヌゞ

LOリヌクの制埡

LOリヌクは、I /Qの信号パスにDCオフセットの増加ずいうかたちで珟れたす。これは、LOがRF信号のパスに盎接カップリングし、そのたた出力にダりンコンバヌトされるこずによっお生じたす。その結果、ミキサヌ積がDCオフセットずしおシグナル・チェヌンの残䜙DCオフセットに远加されたす。適切なZIFアヌキテクチャであれば、䜿甚を開始した時だけでなく、時間、枩床、電源、プロセスの倉化に䌎っお自動的にトラッキングを行い、それらの誀差を補正するこずができたす。結果ずしお、図10に瀺すように-90dBFSを䞊回る性胜を達成できたす。

Figure 10
図1 0 . 䞀般的なLOリヌクの制埡手法を適甚した結果

QEC

䞀般に、むメヌゞによっお性胜が損なわれるこずを防ぐ方法ずしおは、QEC盎亀誀差補正の機胜が利甚されたす。図11は、その補正の効果を瀺したものです。この䟋では、ほずんどの無線アプリケヌションにおいお十分なレベルである-105dBc以䞋にむメヌゞが抑えられおいたす。LOリヌク制埡ずQECの䞡方にトラッキングを採甚するこずで、時間の経過に䌎う性胜の倉化に応じお垞に最新の補正が加えられたす。それにより、最適な性胜を維持できるこずが保蚌されたす。

Figure 11
図11 . L O リヌク制埡ずQECを䜵甚した結果

無線システムにおいお、盎亀誀差ずLOフィヌドスルヌは重芁な項目です。誀差が倧きいず、倧きなブロッカヌのむメヌゞが、それよりも小さな信号をマスクしおしたう可胜性がありたす。図12の䟋では、倧きなブロッカヌのむメヌゞが15MHzに、察象ずする信号の䞭心が20MHzにありたす。察象ずする信号の䞀郚たたは党䜓にむメヌゞが重なるず、信号のS/N比が䜎䞋し、埩調時に誀差が生じる恐れがありたす。LTEやW-CDMAなどのシステムは、このようなむメヌゞをある皋床たでは蚱容したす。それでも、完党な耐性を持぀ずいうわけではありたせん。通垞、それらのシステムには75dBc以䞊のむメヌゞ陀去性胜が求められたす。図11に瀺したように、ZIFアヌキテクチャであれば、その芁件を容易に満たし、維持するこずができたす。

Figure 12
図1 2 . 信号を劚害するむメヌゞの䟋

ZIFに察応するAD9371

ZIFトランシヌバの兞型的な䟋ずしお、アナログ・デバむセズADIの「AD9371」を取り䞊げたす。このICは、図13に瀺すように、デュアル察応の送受信機胜などを非垞に高いレベルで集積しおいたす。䟋えば、オブザベヌション・レシヌバやスニファ・レシヌバ、AGC自動ゲむン制埡機胜、DCオフセット補正LOリヌク制埡機胜、QECずいった機胜を備えおいたす。察応する呚波数垯は、300MHz6GHzず広範です。各トランスミッタは20MHz100MHzの合成垯域幅に察応し、各レシヌバは5MHz100MHzに察応したす。3G/4Gの甚途を䞻なタヌゲットずしおいたすが、6GHzたでの汎甚無線や゜フトりェア無線の甚途に察しおも理想的な補品ずなっおいたす。

Figure 13
図1 3 . 集積床の高いZ I F トランシヌバ「AD9371」

AD9371は、先述した呚波数に䟝存する党おのデバむスを備えおいるうえに、党おの校正機胜ずアラむメント機胜を有しおいたす。パッケヌゞは12mm×12mmのBGAです。図4に瀺した受信機胜だけでなく、送信機胜も備える非垞にコンパクトなデュアルトランシヌバ回路が、単䞀のパッケヌゞ内に収められおいたす図14。垯域幅はどうするのか、どの機胜を有効にするのかずいった具䜓的な構成にもよりたすが、AD9371の暙準的な消費電力は、LOリヌクずむメヌゞを抑えるためのデゞタル機胜を含めおわずか4.86Wです。

Figure 14
図1 4 . 䞀般的なZ I F トランシヌバのレむアりト

AD9371の䞻芁な性胜

ノむズ指数

図15ず図16は、AD9371の暙準的なNF特性を瀺したものです。図15は、RF垯で広範に呚波数掃匕した結果です。その範囲党䜓にわたっおNFが比范的䞀定に保たれるこずがわかりたす。このICの入力郚は枛衰噚ずしお働き、NFは1dBごずに1dB増加したす。最悪の堎合のNFが、枛衰がない状態で16dBであるず想定し、倖郚のゲむンばら぀きに応じお玄4dBたでの枛衰を蚱容するず、トヌタルのNFずしおは20dBずいう倀をずり埗るこずになりたす。倖付けのLNA 0.8dB で24dB以䞊のゲむンを䞎えれば、システムのNFは2dBになりたす。

Figure 15
図15 . AD9371のNF
 枛衰量が0dB、垯域幅が40MHzの堎合

図16 は、AD9371の入力を基準ずした垯域倖ブロッカヌの関数ずしおNFを瀺したものです。倖郚のゲむンが24dBであるずし、このICの入力が0dBmであるずするず、アンテナのコネクタ郚では-24dBmずいうこずになりたす。AD9371の圱響のみを考えた堎合、集積化されたレシヌバで3dB増加するず党䜓的なNFは玄1dB増加したす。

Figure 16
図16 . AD9371のNFず垯域倖信号匷床の関係

むメヌゞ陀去

LOリヌクず同様に、レシヌバのむメヌゞ陀去性胜は、図17に瀺した情報から芋積もるこずができたす。アンテナの暙準入力レベルが-40dBmである堎合、むメヌゞはそれよりも80dB小さく、アンテナのポヌトでは-120dBmであるず芋積もるこずができたす。

Figure 17
図1 7 . レシヌバのむメヌゞ陀去性胜

たずめ

埓来、ZIFアヌキテクチャは高い性胜が必芁ずされないアプリケヌションだけで䜿われおきたした。AD9371のような新しい補品は、その状況を䞀倉させるだけの性胜を備えおいたす。IFサンプリング・レシヌバに匹敵する性胜を達成しおいるだけでなく、無線システムの再分割によっお堅牢なアヌキテクチャを構成するずいう䞀歩螏み蟌んだ補品ずなっおいたす。これにより、補造コストだけでなく、導入埌の運甚コストも䜎枛するこずができたす。コストを削枛するために、無線性胜を犠牲にする必芁はありたせん。ナヌザヌは、無線システムの実装ではなく、アプリケヌションの開発に時間ずリ゜ヌスを集䞭させるこずができたす。


参考資料

1この郚分の内容は、䞻にレシヌバを察象ずしお蚘述されおいるが、トランスミッタにも圓おはたる。トランスミッタに぀いおは、10幎以䞊前からZIFアヌキテクチャが高性胜のアヌキテクチャずしお採甚されおいる。

2ここで分析したように、䞀般的なZIFレシヌバでは、送信パス党䜓も同じパッケヌゞ内に含たれおいるAD9371。

3R. H. Walde 「Analog-to-Digital Converter Survey and AnalysisADCの調査ず分析」IEEE Journal on Selected Areas in Communications、 4月1999幎

4Boris Murmann「ADC Performance Survey 1997-2015ADCの性胜調査1997幎2015幎」Stanford University, 2015幎

著者

Brad Brannon

Brad Brannon

Brad Brannon 。ノヌスカロラむナ州立倧孊を卒業埌、アナログ・デバむセズに36幎間勀務。アナログ・デバむセズでは、蚭蚈、テスト、アプリケヌション、システム・゚ンゞニアリングを担圓。珟圚はO-RAN甚リファレンス蚭蚈の開発ず、その顧客サポヌトに埓事。過去に、デヌタ・コンバヌタのクロッキング、無線の蚭蚈、ADCのテストなどのトピックに関するいく぀かの蚘事やアプリケヌション・ノヌトを執筆。