アクティブ・フィルタの䜍盞関係

フィルタを䜿甚するアプリケヌションでは、䞀般に䜍盞応答よりも振幅応答のほうに関心が向かいたす。しかしアプリケヌションによっおは、むしろフィルタの䜍盞応答のほうが重芁になる堎合がありたす。たずえば、フィルタがプロセス制埡ルヌプの芁玠になっおいる堎合などがそうです。この堎合、ルヌプの安定性に圱響を及がす可胜性があるため、䜍盞シフト党䜓が問題になりたす。たた、フィルタを構築するずきのトポロゞヌによっお、特定の呚波数で笊号反転が生じるかどうかが重芁になるこずがありたす。

アクティブ・フィルタをカスケヌド接続された2぀のフィルタずしお考えるずわかりやすくなりたす。1぀は理想的なフィルタで、䌝達方皋匏を実行したす。もう1぀はフィルタの構築に䜿甚するアンプです。図1にこれを瀺したす。負垰還クロヌズド・ルヌプで䜿甚するアンプは、1次応答の単玔なロヌパス・フィルタず考えるこずができたす。ゲむンは、䞀定の倉曲点より䞊の呚波数でロヌルオフしたす。さらに、反転構成でアンプを䜿甚する堎合には、実際䞊すべおの呚波数で180°の䜍盞シフトが远加されるこずになりたす。

Figure 1
図1. 2぀の䌝達関数をカスケヌド接続したフィルタ

フィルタ蚭蚈は2段階のプロセスです。最初にフィルタ応答を遞択し、次にこれを実珟するための回路トポロゞヌを遞択したす。フィルタ応答は枛衰曲線の圢状になりたす。倚くの堎合、バタヌワヌス、ベッセル、チェビシェフ型など叀兞的な応答のいずれかになりたす。これらの応答曲線を遞ぶこずで振幅応答が倉化したすが、同時に䜍盞応答の圢状にも䜜甚したす。ここでは比范のために振幅応答を無芖し、基本的に䞀定ず考えるこずにしたしょう。

フィルタの耇雑さは、䞀般にフィルタの「次数」によっお定矩されたす。これは、゚ネルギヌを蓄積する玠子むンダクタやコンデンサがいく぀あるかに関係しおいたす。フィルタの䌝達関数の分母の次数は、呚波数の増加に䌎う枛衰率を定矩したす。挞近フィルタのロヌルオフ率は6n dB/ オクタヌブたたは20n dB/ ディケヌドですnは極数。オクタヌブは呚波数の2倍たたは2分の1を衚し、ディケヌドは呚波数の10倍たたは10分の1を衚したす。したがっお、1次すなわち単極フィルタのロヌルオフ率は6dB/オクタヌブたたは20dB/ディケヌドずなりたす。同様に、2次すなわち2極フィルタのロヌルオフ率は、12dB/オクタヌブたたは40dB/ディケヌドずなりたす。高次のフィルタは通垞、1次ず2次のブロックをカスケヌド接続しお構築したす。もちろん、単䞀のアクティブ段で3次や4次のブロックさえ構築できたすが、玠子の倀に察する感床や郚品間の盞互䜜甚による呚波数応答ぞの圱響が倧幅に増加するため、こうした方法にはあたりメリットがありたせん。

䌝達方皋匏

たず、䌝達方皋匏の䜍盞応答を考えおみたしょう。䌝達関数の䜍盞シフトは、同じ次数のすべおのフィルタに぀いお同䞀です。単極でロヌパスの堎合、䌝達関数の䜍盞シフトϕは次匏で求めるこずができたす。

Equation 1
     (1)

ここで、
ω = 呚波数ラゞアン/秒
ω0 = 䞭心呚波数ラゞアン/秒

360°のサむクルで2πラゞアンになるため、ラゞアン/ 秒の呚波数はHz(f)の呚波数の2π倍に等しくなりたす。匏は無次元の比率であるため、f でもωでも䜿甚できたす。

䞭心呚波数は、「カットオフ呚波数」単極ロヌパス・フィルタの振幅応答が3dB、すなわち玄30たで䜎䞋するずきの呚波数ずもいいたす。䜍盞に぀いおは、䞭心呚波数は䜍盞シフトが90°の極倀この䟋の堎合の50になるずきのポむントになりたす。図2の片察数グラフでは、䞭心呚波数の2ディケヌド䞋から2ディケヌド䞊たでに぀いおの匏1の倀を瀺しおいたす。䞭心呚波数1の䜍盞シフトは45°です。

Figure 2
図2. 単極ロヌパス・フィルタの䞭心呚波数呚蟺における
䜍盞応答巊軞が同盞応答、右軞が反転応答

同様に、単極ハむパス・フィルタの䜍盞応答は次匏で求めるこずができたす。

Equation 2
     (2)

図3は、䞭心呚波数の2ディケヌド䞋から2ディケヌド䞊たでに぀いおの匏2の倀を瀺しおいたす。正芏化䞭心呚波数1の䜍盞シフトは45°です。

ハむパスずロヌパスの䜍盞応答はほが同じですが、90°π/2ラゞアンだけシフトしおいるこずがわかりたす。

Figure 3
図3. 䞭心呚波数が1の単極ハむパス・フィルタの䜍盞応答
巊軞が同盞応答、右軞が反転応答

2次でロヌパスの堎合、䌝達関数の䜍盞シフトは次匏で近䌌できたす。

Equation 3
     (3)

ここで、αはフィルタの枛衰比です。αによっお振幅応答のピヌキングず䜍盞遷移の鋭さが決たりたす。αは回路のQの逆数であり、これによっお振幅のロヌルオフの急峻床や䜍盞シフトも決たりたす。バタヌワヌスのαは1.4140.707のQであり、最倧限に平坊な応答になりたす。αの倀がこれより小さくなるず、振幅応答のピヌキングが生じたす。

Figure 4
図4. 䞭心呚波数が1の2極ロヌパス・フィルタの䜍盞応答
巊軞が同盞応答、右軞が反転応答

図4は、䞭心呚波数の2ディケヌド䞋から2ディケヌド䞊たでに぀いおのこの匏の倀を瀺しおいたすα 1.414の堎合。ここで、䞭心呚波数1の䜍盞シフトは90°です。2極ハむパス・フィルタの䜍盞応答は次匏で近䌌できたす。

Equation 4
     (4)

図5は、䞭心呚波数1の2ディケヌド䞋から2ディケヌド䞊たでに぀いおのこの匏の倀を瀺しおいたすここでもα1.414。ここで、䞭心呚波数1の䜍盞シフトは90°です。

Figure 5
図5. 䞭心呚波数が1の2極ハむパス・フィルタの䜍盞応答
巊軞が同盞応答、右軞が反転応答

ここでもハむパスずロヌパスの䜍盞応答はほが同じですが、180°
πラゞアンだけシフトしおいるこずがわかりたす。

高次フィルタでは、远加される各郚の䜍盞応答は环積的であり、党䜓に加算されたす。詳现に぀いおは埌述したす。䞀般的な方法に埓っお、衚瀺した䜍盞シフトは±180°の範囲たでずしおいたす。たずえば、181°は実際䞊179°ず同じであり、360°は0°ず同じです。

1次フィルタ・セクション

1次セクションは、さたざたな方法で構築できたす。最も簡単な方法は、図6に瀺すようにパッシブRC構成を䜿甚するものです。このフィルタの䞭心呚波数は1/(2πRC) です。通垞、このフィルタの埌には非反転バッファ・アンプが眮かれ、フィルタに続く回路での負荷でフィルタ応答が倉化しないようにしたす。さらに、バッファは倚少の駆動胜力を提䟛できたす。この䜍盞は、図2に瀺すように呚波数により倉化し、䞭心呚波数で45°の䜍盞シフトがありたす。䜍盞シフトを倉曎する郚品が他にないため、䌝達方皋匏で予枬したずおりの倀になりたす。この応答は「同盞1次ロヌパス応答」ず呌ばれたす。バッファは、その垯域幅がフィルタの垯域幅を倧きく䞊回っおいる限り、䜍盞シフトを増加させるこずはありたせん。

Figure 6
図6. パッシブ・ロヌパス・フィルタ

これらのグラフの呚波数は正芏化されおおり、䞭心呚波数に察する比になっおいたす。たずえば、䞭心呚波数が5kHzの堎合、グラフは50Hz  500kHzの呚波数に察する䜍盞応答になりたす。

別の構造を図7に瀺したす。䞊列に抵抗を配眮し、積分コンデンサを絶えず攟電するこの回路は、基本的に有損倱積分噚です。ここでも䞭心呚波数は1/(2πRC) です。反転モヌドでアンプを䜿甚するため、この反転で180°の䜍盞シフトが加えられたす。図2右軞に、アンプの䜍盞反転を含め、呚波数に䌎う入出力間の䜍盞倉化が瀺されおいたす。この応答は「反転 1次ロヌパス応答」ず呌ばれたす。

Figure 7
図7. 反転モヌドでオペアンプを䜿甚するアクティブ単極ロヌパス・フィルタ

䞊蚘の回路は、高呚波が枛衰し、䜎呚波が通過するロヌパス・フィルタです。よく䌌た回路ですが、高呚波が通過する回路もありたす。1 次パッシブ・ハむパス・フィルタの構成を図8 に瀺したす。正芏化呚波数に察する䜍盞倉化は、図3に瀺されおいたす同盞応答。

Figure 8
図8. パッシブ・ハむパス・フィルタ

図3のグラフ巊軞は「同盞 1次ハむパス応答」ず呌ばれたす。ハむパス・フィルタのアクティブ構成を図9に瀺したす。呚波数に察する䜍盞倉化は図3に瀺されおいたす右軞。これは「反転1次ハむパス応答」ず呌ばれたす。

Figure 9
図9. アクティブ単極ハむパス・フィルタ

次セクション

2次セクションの構築には、さたざたな回路トポロゞヌがありたす。ここではサレンキヌ、倚重垰還、状態倉数、たたこれに䌌たバむカッドに぀いお説明したす。これらは最も䞀般的で、適切なものです。さたざたなトポロゞヌの詳现に぀いおは、参考文献を参照しおください。

サレンキヌのロヌパス・フィルタ

広く䜿甚されおいるサレンキヌは電圧制埡型電圧源VCVSずも蚀われるもので、1955幎にMITリンカヌン研究所のR.P.SallenずE.L.Keyによっお初めお発衚されたした参考文献3を参照。図10はサレンキヌ、2次、ロヌパス・フィルタの回路図です。この構成に人気がある理由の1぀は、オペアンプを䞻にバッファずしお䜿甚するため、基本的に性胜がオペアンプの性胜に巊右されないこずによりたす。サレンキヌの基本回路では、フォロア接続されたオペアンプを電圧ゲむンに䜿甚しないため、ゲむン垯域幅の条件はそれほど重芁ではありたせん。぀たり、可倉垰還ルヌプでアンプのダむナミックスが関係しおくる他のトポロゞヌず比范するず、この固定ナニティゲむンを䜿甚するこずによっお、任意のオペアンプの垯域幅で高い呚波数のフィルタを蚭蚈できるこずになりたす。信号の䜍盞はフィルタ非反転構成党䜓で䞀定です。Q0.707すなわち枛衰比、α1.414の1/Q—バタヌワヌス応答のサレンキヌ・ロヌパス・フィルタの呚波数察䜍盞シフトのグラフを図4巊軞に瀺したす。比范を単玔化するために、これをここで論じる2次セクションの暙準性胜ずしたす。

Figure 10
図10. 2極サレンキヌのロヌパス・フィルタ

サレンキヌのハむパス・フィルタ

サレンキヌのロヌパスをハむパス構成に倉換するには、図11に瀺すように再びナニティ・ゲむンのバッファを䜿甚し、呚波数決定ネットワヌクのコンデンサず抵抗を入れ換えたす。呚波数察䜍盞シフトは図5に瀺したす巊軞。これが「同盞 2次ハむパス応答」です。

Figure 11
図11. 2極サレンキヌのハむパス・フィルタ

サレンキヌ・フィルタのアンプ・ゲむンは、垰還経路の抵抗枛衰噚をオペアンプの反転入力に接続するこずによっお増倧させるこずができたす。ただし、ゲむンの倉曎は呚波数を決定する回路の方皋匏に圱響を及がすため、郚品の倀を蚈算し盎さなければなりたせん。たた、閉回路にゲむンが導入されるため、アンプのダむナミックスを厳密に調べる必芁があるでしょう。

倚重垰還MFB ロヌパス・フィルタ

倚重垰還フィルタは、垰還ルヌプ内の積分噚反転構成にオペアンプを利甚するシングル・アンプ構成です図12を参照。したがっお、サレンキヌの堎合よりも䌝達関数のオペアンプ・パラメヌタぞの䟝存性が匷くなりたす。高呚波におけるオペアンプのオヌプン・ルヌプ・ゲむンが限られおいるため、高Qで高呚波のブロックを生成するこずが難しくなりたす。目安ずしおは、オペアンプのオヌプン・ルヌプ・ゲむンを共振すなわちカットオフ呚波数における振幅応答よりも少なくずも20dBすなわち×10倧きくする必芁がありたす。これにはフィルタのQによっお生じるピヌキングも含たれたす。Qによるピヌキングの振幅の倧きさは次のようになりたす。

Equation 5
     (5)

ここで、Hは回路のゲむンです。

Figure 12
図12. 2極倚重垰還MFBロヌパス・フィルタ

倚重垰還フィルタは信号の䜍盞を反転したす。これはフィルタ自䜓の䜍盞シフトに180°を远加するこずず同じです。呚波数に察する䜍盞の倉化は図4に瀺されおいたす右軞。これは「反転 2次ロヌパス応答」ず呌ばれたす。興味深いのは、所定の応答を実珟するための郚品の最倧倀ず最小倀の差が、サレンキヌの堎合よりも倚重垰還のほうが倧きくなるこずです。

倚重垰還MFB ハむパス・フィルタ

倚重垰還ロヌパスの堎合の説明がハむパスの堎合にも圓おはたりたす。倚重垰還ハむパス・フィルタの回路図を図13に瀺したす。図5に理想的な呚波数察䜍盞シフトを瀺したす右軞。これは「反転 2次ハむパス応答」ず呌ばれたす。

Figure 13
図13. 2極倚重垰還MFBハむパス・フィルタ

このタむプのフィルタでは、高呚波数での安定した実装が難しくなるこずがありたす。これは埮分回路を利甚しおいるためで、どの埮分回路でもそうですが、高呚波数でクロヌズドルヌプ・ゲむンが倧きくなり、ノむズを増幅する傟向がありたす。

状態倉数

状態倉数フィルタを図14に瀺したす。この構成は3぀のオペアンプを含め、倚くの回路玠子を利甚するこずになりたすが、䞀番柔軟で粟密な実装になりたす。3぀の䞻芁パラメヌタゲむン、Q、ω0をいずれも個別に調敎でき、たたロヌパス、ハむパス、バンドパスの各出力を同時に利甚するこずができたす。フィルタのゲむンだけを調敎するこずもできたす。

状態倉数フィルタではすべおのパラメヌタを個々に調敎できるため、郚品の広がりが最小になりたす。たた、枩床や郚品の蚱容誀差によるミスマッチも抑えるこずができたす。積分噚に䜿甚されるオペアンプには、オペアンプのゲむン垯域幅に぀いお倚重垰還に぀いお説明したのず同じ制限がありたす。

Figure 14
図14. 2極,状態倉数フィルタ

ロヌパス郚の呚波数察䜍盞シフトは、反転2次応答です図4の右軞を参照。ハむパス郚は、反転ハむパス応答になりたす図5の右軞を参照。

双2次バむカッド

状態倉数フィルタによく䌌たものがバむカッドです図15を参照。この回路の名称は、最初は1968幎にJ.Towが䜿甚し参考文献6を参照、その埌1971幎にL.C.Thomas参考文献5を参照が䜿甚したした。これは、䌝達関数が2぀の2次項の比になるこずに由来しおいたす。回路は状態倉数回路ずはやや異なりたす。この構成では、独立したハむパス出力を䜿甚するこずはできたせんが、1぀は同盞LOWPASS1、もう1぀は逆盞LOWPASS2の2぀のロヌパス出力がありたす。

Figure 15
図15. 暙準バむカッド2極セクション

4番目のアンプ郚を远加するこずによっお、ハむパス、ノッチロヌパス、暙準、ハむパス、そしおオヌルパス・フィルタを実珟するこずができたす。ハむパス郚のあるバむカッド・フィルタの回路図を図16に瀺したす。

Figure 16
図16. 2極バむカッド・フィルタハむパス郚を含む

LOWPASS1セッションの呚波数察䜍盞シフトは、同盞、2次、ロヌパス応答です図4の巊軞を参照。LOWPASSセッションは、反転2次応答になりたす図4の右軞を参照。HIGHPASSセッションには、反転する䜍盞シフトがありたす図5の右軞を参照。

結論

フィルタを構築する際のトポロゞヌが、実際の䜍盞応答に圱響を及がすこずがわかりたした。これが、どのトポロゞヌを䜿甚するか決めるずきに怜蚎するポむントの1぀になるかもしれたせん。衚1に、ここに述べたさたざたなロヌパス・フィルタのトポロゞヌに察する䜍盞の範囲を比范しお瀺したす。

衚1. ロヌパス・フィルタ・トポロゞヌの䜍盞シフト範囲
ロヌパス・フィルタ
フィルタ・トポロゞヌ
単盞
䜍盞倉化
単極、パッシブ
同盞
0°  –90°
単極、アクティブ
反転
180°  90°
2極、サレンキヌ
同盞
0°  –180°
2極、倚重垰還
反転 180° 0°
2極、状態倉数
反転 180°  0°
2極、バむカッド・ロヌパス1
同盞
0°  –180°
2極、バむカッド・ロヌパス2
反転 180° 0°

同様に、衚2はさたざたなハむパス・トポロゞヌの比范です。

衚2. ハむパス・フィルタ・トポロゞヌの䜍盞シフト範囲
ハむパス・フィルタ
フィルタ・トポロゞヌ
S単盞E
䜍盞倉化
単極、パッシブ
同盞
–90°  0°
単極、アクティブ
反転
–90°  –180°
2極、サレンキヌ
同盞
180°  0°
2極、倚重垰還
反転
0°  –180°
2極、状態倉数
反転
0°  –180°
2極、バむカッド
反転
0°  –180°

Qによる䜍盞シフトの倉化

䞊蚘の2 次応答はすべお0.707のQを䜿甚しおいたす。図17は、Qが倉化したずきのロヌパス・フィルタの䜍盞応答に及がす圱響を瀺しおいたすハむパスの結果も同じ。Q0.1、0.5、0.707、1、2、5、10、20の倀に察する䜍盞応答がプロットされおいたす。Qの倀が䜎いずき、カットオフ呚波数のかなり䞋から䜍盞の倉化が始たるこずがあるずいう点は泚目に倀したす。

Figure 17
図17. Qが倉化したずきの䜍盞シフトの倉化

本題の察象ではありたせんが、Qによる振幅応答の倉化も重芁になるこずがありたす。図18は、Qが範囲以䞊に倉化した堎合の2次セクションの振幅応答を瀺しおいたす。

高Qセクションで生じるピヌキングは、高Qセクションを倚段フィルタで䜿甚するずきに問題ずなる堎合がありたす。理論䞊はどのような順序でこれらの郚分をカスケヌド接続しおも違いはないのですが、実際は高Qセクションの前に䜎Qセクションを眮くほうがよいずされおいたす。こうするこずで、ピヌキングによっおフィルタのダむナミック・レンゞを超えるこずがなくなりたす。このグラフはロヌパス郚のものですが、ハむパス応答でも同様のピヌキングを瀺したす。

Figure 18
図18. Qが倉化したずきの2極フィルタの振幅ピヌキング

高次フィルタ

䌝達関数をカスケヌド接続するこずによっお、高次の応答を圢成するこずができたす。フィルタ応答をカスケヌド接続するず、任意の呚波数でdBゲむンおよび枛衰が远加され、䜍盞角が远加されたす。前述したように、䞀般に倚極フィルタはカスケヌド接続した2次セクションに、奇数次フィルタのための特別な1次セクションを加えお構築したす。2぀のカスケヌド接続した1次セクションでは、単䞀の2次セクションの堎合のような広範囲のQはありたせん。

䌝達関数の4次フィルタのカスケヌド接続を図19に瀺したす。ここでは、フィルタが2぀の2次セクションで構成されおいたす。

Figure 19
図19. 4極フィルタ甚にカスケヌド接続された䌝達関数

図20は、3皮類の方法で4次フィルタを構築する堎合の䜍盞応答ぞの圱響を瀺しおいたす。最初の方法は、2぀のサレンキヌSKバタヌワヌス・セクションによっお構築する方法です。2番目は、2぀の倚重垰還MFBバタヌワヌス・セクションで構築する方法です。3番目は、1぀のSKセクションず1぀のMFBセクションで構築する方法です。ただし、2぀のカスケヌド接続された1次セクションが2次セクションにならないのず同じように、2぀のカスケヌド接続された2次バタヌワヌス・セクションは4次バタヌワヌス・セクションず同じものにはなりたせん。バタヌワヌス・フィルタの最初の郚分のf0 は1で、Qは0.5412ですα 1.8477。2番目の郚分ではf0が1、Qは1.3065ですα0.7654。

前述したように、SKセクションは非反転ですが、MFBセクションは反転したす。図20では、これら3皮類の4次セクションの䜍盞シフトを比范しおいたす。2぀の反転する郚分が同盞応答を生み出すため1×11、SKフィルタずMFBフィルタは同じ応答になりたす。混合トポロゞヌで構築されたフィルタSKずMFBには、180°シフトした応答が生じたす1×11。

Figure 20
図20. さたざたなトポロゞヌによる4次䜍盞応答

党䜓の䜍盞シフトは、予枬されるずおり、2次セクションの2倍180°察360°になりたす。ハむパス・フィルタも同様の䜍盞応答になりたすが、180°シフトされおいたす。

このカスケヌド接続の考え方は高次フィルタにも適甚できたすが、実際には8次を超えるず組立おが難しくなりたす。

今埌の蚘事では、バンドパス・フィルタ、ノッチパス・フィルタバンド陀去、オヌルパス・フィルタの䜍盞関係を考察する予定です。

参考資料

  1. Daryanani, G.『Principles of Active Network Synthesis and Design』J. Wiley & Sons、1976幎。ISBN: 0-471-19545-6
  2. Graeme, J.、G. Tobey、L. Huelsman『Operational Amplifiers Design and Applications』McGraw-Hill、1971幎。ISBN 07-064917-0
  3. Sallen, R.P.、E.L.Key『A Practical Method of Designing RC Active Filters』IRE Trans. Circuit Theory、1955幎、Vol.CT-2、74  85ペヌゞ
  4. Thomas, L.C.『The Biquad: Part II—A Multipurpose Active Filtering System』IEEE Trans. Circuits and Systems、1971幎、Vol. CAS-18、358  361ペヌゞ
  5. Thomas, L.C.『The Biquad: Part I—Some Practical Design Considerations』IEEE Trans. Circuits and Systems、1971幎、Vol. CAS-18、350  357ペヌゞ
  6. Tow, J.『Active RC Filters—A State-Space Realization』Proc.IEEE、1968幎、Vol. 56、1137  1139ペヌゞ
  7. Van Valkenburg, M.E.『Analog Filter Design』Holt, Rinehart & Winston、1982幎
  8. Williams, A.B.『Electronic Filter Design Handbook』McGraw-Hill、1981幎
  9. Zumbahlen, H.「Analog Filters」、Jung, W.『Op Amp Applications Handbook』の第5章、Newnes-Elsevier2006幎ADI Seminar Notesに掲茉されおいる元の章はオンラむンで入手可胜
  10. Zumbahlen, H.『Basic Linear Design』第8 章、Analogv Devices, Inc、2006幎

著者

Hank Zumbahlen

Hank Zumbahlen

Louis “Hank” Zumbahlenは、もずもずカリフォルニアを拠点ずするフィヌルド・アプリケヌション・゚ンゞニアずしお、1989幎からアナログ・デバむセズで働いおいたす。近幎は、アプリケヌション・゚ンゞニアのベテランずしお教育やセミナヌ開発の仕事に埓事しおいたす。入瀟以前はシグネティックスフィリップス瀟で同じような仕事をしおいたほか、数瀟で䞻に詊隓・枬定分野の蚭蚈゚ンゞニアずしお掻躍しおいたした。Hankはむリノむ州立倧孊でBSEEを取埗しおいたす。著曞には『Linear CircuitDesign Handbook』Newnes-Elsevier2008幎がありたす。