超䜎消費電力のシステムの開発に向けお、適切なマむクロコントロヌラを遞択する方法

IoTInternet of Thingsの掻甚が進むに぀れ、バッテリ駆動の機噚に察する莫倧な需芁が生たれおいたす。それに䌎い、電力効率の高いマむクロコントロヌラなど、システム・レベルのデバむスに察しおはより高床な芁件が求められるようになりたした。その結果、超䜎消費電力ULP:Ultra Low Powerずいう蚀葉が、マヌケティング甚語ずしおも䜿われるようになっおいたす。特に、マむクロコントロヌラに぀いおは、ULP ずいう蚀葉が過剰に䜿われる傟向にありたす。この蚀葉の本圓の意味を理解するために、いく぀か䟋を挙げおみたす。たず、電力源が非垞に限られおいる堎合゚ナゞヌ・ハヌベスティングなど、動䜜電流は最小限に抑える必芁がありたす。たた、システムがほずんどの時間はスタンバむ・モヌドやスリヌプ・モヌドで埅機しおおり、時々定期的たたは非同期的に起動しおタスクを凊理する堎合には、スタンバむ電流やスリヌプ電流が最小限に抑えられおいるこずが求められたす。加えお、ULP ずいう蚀葉は、電力効率ずいう意味で䜿われるケヌスもありたす。その堎合、ほずんどの凊理は限られた時間内に実行されたす。バッテリ駆動の機噚では、䞀連のトレヌドオフに基づいお、そうした芁件の組み合わせに察応するこずになりたす。

もちろん、ULP は考え方や機胜の問題でもありたす。䟋えば、アクティブ・モヌドの消費電流が 30 µA/MHz  40µA/MHz、シャットダりン時の消費電流が 50 nA  70 nAのマむクロコントロヌラであれば、䞀般的には ULP であるず芋なされたす。ただ、ULP であるず分類されるマむクロコントロヌラは、アヌキテクチャ、SoCSystem onChipの蚭蚈、プロセス技術、スマヌトな呚蟺機胜、ディヌプスリヌプ・モヌドなどを耇雑に組み合わせなければ実珟できたせん。本皿では、アナログ・デバむセズが提䟛する 2 皮のマむクロコントロヌラを䟋に取り、ULP ずいう蚀葉の本圓の意味を解釈する方法に぀いお解説したす。たた、EEMBCEmbedded Microprocessor BenchmarkConsortium による認定のメカニズムに぀いおも説明したす。EEMBC はスコアの正確さを保蚌するこずにより、システム開発者が自分の゜リュヌションに最適なマむクロコントロヌラを遞択できるよう支揎しおいたす。

ULP の枬定、最適化

ULP に぀いお理解するための出発点ずしお、その枬定方法を取り䞊げたす。通垞、マむクロコントロヌラに぀いお怜蚎する際には、それぞれのデヌタシヌトを参照し、呚波数1 MHz圓たりの電流倀や、各皮スリヌプ・モヌドの電流倀を確認したす。ただ、デヌタシヌトを芋おも、アクティブ・モヌドにおける消費電流に぀いおは、枬定時に実行されおいるコヌドやフラッシュ・メモリの埅機状態など、枬定条件が现かく蚘茉されおいるわけではありたせん。これが最初に盎面する問題です。EEMBCの「CoreMark」のようなアクティブ・モヌド向けの基準を採甚するベンダヌもあれば、while 文による無限ルヌプの実行ずいった単玔な方法で消費電流を枬定しおいるベンダヌもありたす。フラッシュ・メモリの埅機状態が生じる堎合、マむクロコントロヌラの性胜は䜎䞋し、実行時間も長くなりたす。その結果、タスクを実行するための消費電力も増加したす。たた、消費電力ずしお、暙準電圧での倀が蚘茉されおいるこずもあれば、最小電圧での倀が蚘茉されおいるこずもありたす。さらには、電圧に぀いお䜕も蚘茉されおいないケヌスも存圚したす。ここに挙げたこずを些现な違いだず感じる人もいるかもしれたせん。しかし、基準を蚭けなければ比范ずしお成立しないこずも事実です。

䞀般に、ディヌプスリヌプ・モヌドに぀いおは、デヌタシヌトにかなり詳しい説明が蚘茉されおいたす。ただ、その皮のモヌドにおける消費電流の枬定条件もベンダヌごずにたちたちですメモリの容量や電圧など。たた、実際のアプリケヌションでは、そうしたモヌドに移行するずきず脱するずきの消費電力に぀いお考慮する必芁もありたす。それらの倀は、デバむスがほずんどの時間をスリヌプ・モヌドで過ごすずいう堎合であれば、さほど重芁ではありたせん。ただ、頻繁に起動スリヌプを繰り返す堎合には倧きな圱響が及びたす。したがっお、システムにおいおマむクロコントロヌラはどれだけの時間をスリヌプ状態で過ごすのかずいうこずも確認しおおくべきこずになりたす。ULP の枬定条件を定めるうえで、アクティブ・モヌドずスリヌプ・モヌドの間のバランスは重芁な意味を持ちたす。その䜜業を簡玠化するために、EEMBC のベンチマヌクである ULPMark-CoreProfileULPMark-CPでは、1 秒間ずいう呚期を採甚しおいたす。倚くのマむクロコントロヌラ・ベンダヌは、デヌタシヌト向けの基準ずしお、この ULPMark-CP を採甚しおいたす。1 秒間ずいうのは、EEMBC のワヌキング・グルヌプ内での合意に基づいお決定されたものです。ULPMark-CP のワヌクロヌド䜜業負荷においおアクティブ・モヌドにある時間を考慮するず、デュヌティ・サむクルは玄 2 % になりたす。マむクロコントロヌラは 1 秒に 1 床起動し、少量の凊理を実行しおアクティブ・サむクル、スリヌプ・モヌドに戻りたす。

䞀般に、アクティブ・モヌドの消費電流には、アナログ回路に起因するオフセットが存圚したす。システム党䜓の消費電力を最適化するうえでは、アクティブ・モヌドの消費電流を最小限に抑え぀぀、ディヌプスリヌプ・モヌドを有効に掻甚するこずが重芁になりたす。䟋えば、アクティブ電流は呚波数を䜎く抑えるこずで削枛できたす。その䞀方で凊理にかかる時間は長くなりたす。たた、アナログ回路に起因するオフセットは、マむクロコントロヌラがアクティブである間は䞀定に保たれたす。そうした点には泚意が必芁です。では、マむクロコントロヌラを遞択する際には、䞀般にどのようなトレヌドオフが発生するのでしょう。たた、アプリケヌションのデュヌティ・サむクルや、ディヌプスリヌプ・モヌドにおける消費電流は、消費電力党般に察しおどのような圱響を及がすのでしょうか。

ここでは、サむクル圓たりの消費電力を、デュヌティ・サむクル Dトヌタルの時間に察するアクティブ・モヌドにある時間の割合を甚いお衚しおみたす。スリヌプ・モヌドぞの遷移時に生じる消費電力は小さいず仮定するず、次のような簡単な匏で衚珟できたす。

Equation 1

傟きは ION で決たりたす。ISLEEP は ION よりもはるかに小さく、y 切片は ION だけで決たりたす。この匏は、デュヌティ・サむクルに぀いお理解するうえで圹に立ちたす。たた、アクティブ電流の方がスリヌプ電流よりも重芁であるこずがわかりたす。

Figure 1
図 1 . ULPMark-CP における動䜜条件。デュヌティ・サむクルを図瀺しおいたす。1 秒呚期でマむクロコントロヌラはディヌプスリヌプ・モヌドから起動し、定められたワヌクロヌドを実行しおディヌプスリヌプ・モヌドに戻りたす。

ULP のテスト向けプラットフォヌム

以䞋では、アナログ・デバむセズが提䟛するマむクロコントロヌラ「ADuCM4050」ず「ADuCM302x」を比范したす。いずれも、ULP 補品だず蚀うこずができたす。ULPMark-CP においお、ADuCM4050 ずADuCM302x はそれぞれ203、245.5 ずいうスコアを達成しおいたす。このベンチマヌクは、マむクロコントロヌラのコアだけを察象にしおいるこずに泚意しおくださいCoreProfileずいう名称がそのこずを衚しおいたす。䞡者には 18 % の差がありたすが、以䞋に説明する事柄が芁因ずなっお違いが生じおいたす。

たず、ADuCM4050 は、アヌキテクチャずしおARMv7E-M を採甚した ARM® Cortex®-M4F を搭茉しおいたす。それに察し、ADuCM302x はアヌキテクチャずしお ARMv7-M を採甚した ARM Cortex-M3 を搭茉しおいたす。どちらのコアも、分岐予枬を行う 3 ステヌゞのパむプラむンを備えおいたす。たた、呜什セットのアヌキテクチャずしおも類䌌したものを採甚しおいたす。なお、DSP ず浮動小数点挔算は、Cortex-M4F だけがサポヌトしおいたす。ただ、ULPMark-CP には DSP向けの呜什は存圚したせん。そのため、ADuCM4050 はCortex-M4F を搭茉しおいるものの、FPU によるメリットを埗るこずはできたせん。

ベンチマヌクを実斜するにあたり、ADuCM4050 ずADuCM302x は、それぞれ 52 M H z ず 26 M H z で動䜜させたした。ULPMark で定められたワヌクロヌドを実行するのに、ADuCM4050 では 1 侇 1284 サむクル、ADuCM302x では 1 侇 920 サむクルを芁したすサむクル数は抂算倀。぀たり、前者は 1 秒間のうちの 217 マむクロ秒でアクティブ・モヌドが終了するのに察し、埌者は 420 マむクロ秒の間アクティブ・モヌドで動䜜したす。ADuCM4050 の方が ADuCM302xこの䟋では「ADuCM3029」を䜿甚よりもサむクル数を倚く芁する理由ずしおは、䜿甚される呚波数が違うこず52 MHz ず 26 MHzが挙げられたす。もう 1 ぀の芁因は、ADuCM4050 ではフラッシュ・メモリの埅機状態が 1 ぀必芁になるのに察し、ADuCM3029 には埅機状態がないこずです。ADuCM4050 はキャッシュ・メモリを備えおいるので、フラッシュ・メモリの埅機状態が存圚するこずは倧きなペナルティにはなりたせん。倚くの呜什はキャッシュ・メモリを䜿っお実行されたす。キャッシュ・メモリには、埅機状態を増やすこずなく最倧速床 52 MH zでアクセスできるからです。実行時間に぀いおは、ADuCM4050 の方が、定められたワヌクロヌドを ADuCM3029 よりも高速に実行したす。ADuCM3029の 2 倍の呚波数で動䜜させおいるからです。

EEMBC のベンチマヌク甚コヌドは、同コン゜ヌシアムのメンバヌであるか、ワヌキング・グルヌプに所属しおいなければ入手できたせん。メンバヌ登録はこちらから行うこずができたす。筆者はアナログ・デバむセズを代衚しお EEMBC の圹員を務めおいたす。したがっお、詳现に぀いお筆者に問い合わせおいただいおもかたいたせん。

衚 1. 各 ARM コアで ULPMark-CP のワヌクロヌドを完了するために芁するサむクル数抂算倀。サむクル数はコンパむラに䟝存する郚分があるため、これらはあくたでも抂算倀ずなりたす
ARM コア ULPMark のアクティブ・モヌドを完了するたでに芁するサむクル数
Cortex-M0 15,174*
Cortex-M0+ 14,253
Cortex-M3 10,920
Cortex-M4 11,852
Cortex-M4F 11,284
*Cortex-M0+ ず Cortex-M3 の倀に基づく芋積もり倀です。

ずころで、ADuCM4050 の消費電流は、なぜ ADuCM3029より 10 µA/MHz も倚いのでしょうか。前者は埌者の 2 倍の呚波数で動䜜する可胜性がありたす。高い呚波数では、タむミング䞊の制玄を満たすために远加のバッファが必芁になるので、ADuCM4050 では消費電流が増えおいたす。なお、ADuCM3029 ず比范するず、ADuCM4050 には以䞋のような特城がありたす。

  • メモリ・サむズが 2 倍: SRAM ずフラッシュ・メモリをそれぞれ 128 kB ず 512 kB 備えおいたすADuCM3029 は 64 kB ず 256 kB。アプリケヌションの芁件によっおは、もっず倚くのストレヌゞが必芁になる堎合がありたす。
  • 呚波数が 2 倍: ADuCM3029 の 26 MHz に察しおADuCM4050 は 52 MHz なのでより高性胜です。
  • RGB タむマヌを内蔵
  • 新たなセキュリティ機胜を内蔵: 鍵のラップアンラップによる保護や、鍵のアンラップに察応する鍵付きHMAC をサポヌトしたす。
  • 3 皮の SensorStrobe™ 出力を远加。
  • SRAM 党䜓のデヌタを保持する機胜を内蔵: ADuCM4050 では最倧 124 kB たで保持可胜ADuCM3029 は最倧 32 kB
Figure 2
図 2 . EEMBC のりェブサむトに掲茉されおいる ULPMark-CP の䞊䜍 10 補品2017 幎 8 月 18 日珟圚1

電力の最適化、ストレヌゞの远加、アクティブ動䜜の性胜、保持の機胜など、アプリケヌションにはそれぞれ異なる芁件がありたす。そうした芁件に応じ、ADuCM4050ず ADuCM302x のうち、どちらを䜿甚するか遞択するこずができたす。

ディヌプスリヌプ・モヌドに぀いおは、ADuCM4050 はULPMark-CP の実行時に、 ADuCM3029 ず比べお 2 倍の容量のメモリ・デヌタを保持し぀぀前者は 16 kB、埌者は 8 kB、より少ないハむバヌネヌト電流を実珟したす。より新しい補品である ADuCM4050 は、より高床なアヌキテクチャを採甚しおいるからです。

コンパむラの圹割

先述したように、ULPMark ではマむクロコントロヌラがアクティブな状態ず、スリヌプ・モヌドに移行しお消費電力が抑えられおいる状態を扱いたす。これら 2 ぀の状態によっお、1 秒間の呚期が構成されたす。アクティブな状態においお、各補品は同じワヌクロヌドを実行するこずになりたす。しかし、圓瀟がこれたでに怜蚌した結果によれば、その凊理効率はアヌキテクチャに䟝存したす。それだけでなく、コンパむラによっおも巊右されたす。コンパむラによっおステヌトメントに倉曎や最適化が斜され、それによっお䜿甚される呜什に違いが生じる堎合があるのです。

アプリケヌションの芁件によっおは、サむズを最適化したいケヌス、凊理速床を最適化したいケヌス、あるいはサむズず速床のバランスを図りたいケヌスなどがありたす。単玔な䟋ずしおは、ルヌプ展開が挙げられたす。これに぀いおは、コンパむラごずに、ルヌプ内のコヌドに察する分岐実行の割合が倉化したす。コンパむラは、等䟡な凊理を実行し぀぀、蚈算結果を埗るためのより良い方法を芋぀けるうえで倧いに圹立぀可胜性がありたす。䟋えば、ADuCM3029 の堎合、ULPMark-CP の結果は、速床を最重芖しお最適化した堎合で 245.5、適床に最適化を斜した堎合で 232、わずかに最適化した堎合で 209 ずいった具合に倉化したす。たた、コンパむラずしお「IAR Embedded Workbench」の新バヌゞョンを適甚し、Texas InstrumentsTIの「MSP430FR5969」に぀いお ULPMark を実斜したずころ、結果が 5 % 改善したず蚀いたす。これはコンパむラの重芁性を衚す1 ぀の䟋です。ただし、内郚コンパむラによっおどのような倉曎が加えられ、その結果、どれだけの改善が達成できたのかは䞍明ですeembc.org/ulpbench/ 。同様に、プロプラむ゚タリなコンパむラ技術に関する知識がなければ、コンパむラを「armcc」から IAR Embedded Workbench に倉曎したこずにより、STMicroelectronicsの「STM32L476RG」における結果が 16 % も向䞊した理由を解明するこずはできたせん。

アナログ・デバむセズの䞡マむクロコントロヌラの結果は、IAR Embedded Workbench でコンパむルしたコヌドを䜿甚しお埗られたものです。ただし、コンパむラのバヌゞョンは異なりたす。ADuCM4050 では「IAR EWARM 7.60.1.11216」、ADuCM302x では「IAR EWARM 7.50.2.10505」を䜿甚したした。これらの䟋に぀いおも、内郚でどのような倉曎が加えられたのか知るこずはできたせん。どちらのスコアも、速床の最適化に察応する no_size_constraints オプションを指定しお埗た結果です。

ULPMark のスコアから電力倀ぞの倉換

ULPMark-CP では、電力倀の逆数を甚いた公匏が䜿われたす10 サむクルを実行したずきの、1 秒圓たりの平均電力の 5 倍の䞭倮倀。

Equation 2

䞊匏の電力量は、マむクロコントロヌラがアクティブ・モヌドでワヌクロヌドを実行するずきに消費する電力ず、スリヌプ・モヌドにおいお消費する電力の合蚈倀です。

Equation 3

ADuCM3029 のデヌタシヌトによるず、玠数蚈算のコヌドを実行しおいるずきのアクティブ電流は暙準倀で 980µ A です。そのコヌドはキャッシュに収たるため、消費電力が少ないずいうメリットを享受するこずができたす。ただ、ULPMark-CP のコヌドは䞻に線圢コヌドです。そのため、キャッシュを有効にしおおくこずに倧きなメリットはありたせん。実際、消費電流は、デヌタシヌトに蚘茉されおいるキャッシュ無効時の倀である 1.28mA ず同皋床の倀になりたす。ハむバヌネヌト電流に぀いお、ULPMark-CP では、LF XTAL䜎呚波氎晶発振噚ず RTCリアルタむム・クロックを有効にするこずが求められたす。スリヌプ・モヌドにおける消費電流はデヌタシヌトによるず830 nA です。先述したように、アクティブな時間は 420 マむクロ秒です。

Equation 4

デヌタシヌトに蚘茉された数倀ず実行時間から、アクティブ時の電力量は 1.61 µJ、スリヌプ時の電力量は 2.49 µJ ずなりたす。これらの倀に基づくスコアは、EEMBCの EnergyMonitor埌述を䜿っお枬定した倀ず䞀臎したす。

Equation 5

第 1 䞖代の ULPMark には 1 ぀欠点がありたす。それは、実斜䞊のルヌルずしお、動䜜電圧が 3 V に限定されおいるこずですすべおのデバむスに察しお共通のレベルを定めるために、ワヌキング・グルヌプがそのように定めたした。最新のマむクロコントロヌラのほずんどは、それよりも䜎い電圧で動䜜するこずで、より高い電力効率を達成したす枩床ず動䜜呚波数からの圱響は受ける可胜性がありたす。䟋えば、STMicroelectronicsの STM32L476RG で ULPMark を実斜した結果は、DC/DC コンバヌタを䜿甚しお電圧を 3 V から 1.8 V に䞋げるこずで 19 % 向䞊したす。

Figure 3
図 3 . ADuCM4050 のブロック図。1.2 V の LDO䜎ドロップアりトレギュレヌタずオプションの容量性降圧レギュレヌタを内蔵しおいたす。

DC/DC コンバヌタを䜿甚するこずで結果が倉わるのは、この補品だけではありたせん。ただ、ADuCM302x ずADuCM4050 は、DC/DC コンバヌタを内蔵しおいたす。そのため、電力性胜を高めるために DC/DC コンバヌタを倖付けする必芁はありたせん。いずれにせよ、DC/DCコンバヌタを䜿甚すればマむクロコントロヌラは最適な電力効率で動䜜できるため、公平性の確保に぀ながりたす。䟋えば、3 V でしか動䜜しない補品は、最適なあるいは適切な効率で動䜜するので、DC/DC コンバヌタによるメリットはありたせん。䞀方、1.8 V で動䜜可胜なのに DC/DC コンバヌタを䜿甚しなければ、基本的に䟛絊電力の 64 % を無駄にしおしたうこずになりたす。たた、電力効率を重芁芖しおいるシステム蚭蚈者にずっお、3 Vのバッテリをシステムで䜿甚しおいる堎合に倖付けの DC/DC コンバヌタを䜿甚するための远加のコストは問題にならないかもしれたせん。なお、DC/DC コンバヌタを䜿甚する堎合、マむクロコントロヌラではなく、DC/DC コンバヌタの電力効率を枬定しおいるこずになっおしたわないように泚意を払う必芁がありたす。加えお、実際のアプリケヌションでは、D C / D C コンバヌタを䜿甚するこずにより、アクティブ・モヌドずスリヌプ・モヌドの間の遷移時間が長くなるずいったデメリットが生じる可胜性に぀いお考慮する必芁がありたす。

DC/DC コンバヌタを䜿甚する堎合、その皮類に぀いおも考慮する必芁がありたす。誘導性の DC/DC コンバヌタは占有面積が倧きく、コストが高く、EMI電磁干枉の問題を生じさせる可胜性を持っおいたす。このような問題を避けるために、ADuCM4050 ず ADuCM302x では容量性の DC/DC コンバヌタが䜿甚されたす。詳现に぀いおは、ADuCM3027/ADuCM3029 ナヌザヌ・ガむドUG-1091ADuCM3027/ADuCM3029 のセットアップず䜿甚方法を参照しおください。

ULPMark-CP の結果やデヌタシヌトに蚘茉された倀を解析する際には、どのような補品にもばら぀きが存圚するずいうこずを認識しなければなりたせん。スリヌプ・モヌドの電力効率を枬定する堎合には、リヌク電流が倧きな芁玠になりたす。埓来のベンチマヌクでは䞀般的には圱響はありたせんでしたが、枩床や湿床ずいったさたざたな芁因はリヌク電流に察しお圱響をもたらしたす。それにより、ULPMark-CP の結果にも圱響が及びたす。各瀟の補品は、各瀟のプロセスを適甚するこずで補造されたす。その際には、完党に質が均䞀なデバむスがいく぀も補造されるずいうわけではありたせん。日によっお、あるいはりェヌハごずに、わずかながら違いが生じたす。぀たり、同じ品番の補品であっおも、すべおの特性が完党に同䞀になるずいうこずはありたせん。もちろん、消費電力の倀にもばら぀きが生じたす。圓瀟の堎合、枬定を行った時間や堎所によっお、5 %  15 % の倉化が生じるこずを確認しおいたす。このようなこずを考慮するず、ULPMark-CP のスコアは電力効率の指針のレベルで䜿甚すべきものであるず蚀えるでしょう。䟋えば、あるデバむスで ULPMark-CPを実斜した結果、そのスコアが 245 であったずしたす。しかし、異なるりェヌハから補造されたデバむスでは、誀差を 5 % ず仮定するずスコアが 233  257 皋床の範囲でばら぀く可胜性がありたす。

認定のメカニズム―信頌を築くために

スコアの正確性を保蚌したい堎合、ベンダヌは EEMBCからの認定を取埗しようず詊みたす。そのためには、プラットフォヌムに固有の構成コンフィギュレヌションファむルを添えお、ボヌドやツヌルを EEMBC TechnologyCenterETCに送付するこずになりたす。EEMBC は、プラットフォヌムの構成ファむルを同コン゜ヌシアムのシステム・ファむルこれにワヌクロヌドに関する定矩が含たれおいたすに統合し、異なるボヌドを䜿っおスコアを耇数回枬定したす。そのようにしお埗られた党枬定倀の平均倀がスコアずしお認定されたす。

これにより、EEMBC は、すべおのスコアが同䞀の条件䞋同䞀のワヌクロヌド、電力監芖ボヌド、枩床などで取埗されたものであるこずを保蚌したす。

図 4 は、「ADuCM3029 EZ-KIT」を䜿っお ULPMark-CPの枬定を実斜しおいる様子を瀺したものです。

Figure 4
図 4 . ULPMark-CP のスコア枬定を行っおいる様子

先述したように、EEMBC はスコアを枬定するための゜フトりェアハヌドりェアずしお EnergyMonitor を提䟛しおいたす。このツヌルの GUI Graphical User Interface 䞊で「Run ULPBench」ボタンをクリックするず、Energy Monitor のハヌドりェアによっおADuCM3029 EZ-KIT のボヌドに電源が投入されたす。そしお、プロファむルの実行䞭の消費電力が枬定されたす。枬定の終了埌、゜フトりェアによっおスコアが蚈算され、結果が G U I 画面に衚瀺されたす。それたでのサむクルの平均消費電力も、GUI の履歎りィンドりに衚瀺されたす。

Figure 5
図 5 . EnergyMonitor の GUI

次のステップ―マむクロコントロヌラの効率の解析

EEMBC の最終的な目暙は、耇数のベンチマヌク甚スむヌトを提䟛し、ナヌザヌがマむクロコントロヌラを培底的に評䟡できるようにするこずです。ULPMark-CPは、マむクロコントロヌラのコア郚の効率を察象ずしたものです。それに続き、EEMBC は ULPMark-Per ipheralProfileULPMark-PPをリリヌスしたした。これは、A / D コンバヌタADC、パルス幅倉調PWM回路、SPISerial Peripheral Interface、RTCずいったさたざたな呚蟺機胜を察象ずしたものです。ULPMark-PPでは、マむクロコントロヌラがワヌクロヌドの凊理を行う際、呚蟺機胜に察しお耇数のトランザクションを実行したす。このずきのアクティブ電流ずラむトスリヌプ電流が、非垞に重芁な意味を持ちたす。ULPMark-PP の実斜結果は、EEMBC のりェブサむトに掲茉されおいたす。ULPMark-CP ず ULPMark-PP を組み合わせたものが、EEMBC のメンバヌに提䟛されおいるほか、ラむセンス䟛䞎も行われおいたす。

ULPMark-PP に続いおは、IoTMark-BLE ず SecureMarkの各スむヌトが提䟛される予定です。前者は、Bluetooth®を介した送受信におけるマむクロコントロヌラず無線の効率を枬定するためのものです。埌者は、耇雑なセキュリティ甚スむヌトです。IoT に察応するデバむスでは暗号に関するさたざたな芁玠を扱いたす。同スむヌトは、それらの芁玠の実装における消費電力ず性胜のオヌバヌヘッドを枬定するために䜿甚したす。どちらも 2017 幎末たでにメンバヌずラむセンシヌに察しお提䟛される予定です。

ベンチマヌクは自動車に䌌おいたす。ずいうのは、どちらも動䜜させおみる必芁があるからです。すべおのマむクロコントロヌラ・ベンダヌに察し、自瀟の補品を動䜜させた結果を公開するよう求めおください。筆者らは、AmbiqMicro、アナログ・デバむセズ、STMicroelectronics、TIなどず同じようにより倚くのベンダヌが ULPMark の結果をデヌタシヌトに掲茉するようになっおほしいず考えおいたす。それにより、スコアの信頌性が倧いに高たり、デヌタシヌトに蚘茉された仕様の珟実的な比范が可胜になりたす。そのような状況が蚪れれば、認定結果を公開しおいないベンダヌに察しおは、「なぜ公開しないのですか、䜕か隠しおいるのですか」ずいった質問がぶ぀けられるようになるでしょう。

参考資料

1 www.eembc.org/ulpbench/index.phpの最新スコアを参照しおください。

著者

Monica Redon

Monica Redon

Monica Redon は、2010 幎にアナログ・デバむセズのスペむン法人に入瀟したした。珟圚は、システム・゚ンゞニアずしお民生甚のセンシング凊理技術を担圓しおいたす。それ以前は、IoT 向けプラットフォヌム技術グルヌプのアプリケヌション・リヌドを務めおいたした。アナログ・デバむセズに入瀟する前は、電力線通信の分野の新興䌁業に 5 幎間、ドむツのフラりンホヌファヌ研究機構のワむダレス・ネットワヌク・チヌムに 5 幎間所属しおいたした。