評価用ボードEVAL-LT8356-1-AZは、LT8356-1を採用した高電圧LEDコントローラです。昇降圧モードのLEDドライバとして組み立てられていますが、FBネットワークとLED接続を調整することで昇圧LEDドライバに変更することができます。入力が8V～36Vの場合、EVAL-LT8356-1-AZは1A最大36Vで1列のLEDを駆動します。低電圧ロックアウト（UVLO）は、立下がりが6.5V、立上がりが7.5Vに設定されています。評価用ボードは、PWM調光、アナログ調光、シャットダウン、LEDの断線や短絡に対する故障保護と通知機能を備えています。

EVAL-LT8356-1-AZは250kHzのスイッチング周波数で動作し、EMI放射を低減するためにスイッチング周波数を250kHz～310kHzに変調させるスペクトラム拡散周波数変調（SSFM）機能を備えています。スペースとコストを節約するために、小型セラミック入出力コンデンサが使用されています。100Vの高電圧外付けパワー・スイッチと100Vのキャッチ・ダイオードを、最大36Wの降圧モード出力に使用します（組み立て時）。オープンLED過電圧保護（OVP）では、LEDストリングがオープンになると、ICの定電圧レギュレーション・ループを使用してLED+～LED–の電圧を約41Vに制限します。GNDを基準としている場合、LEDストリングがオープンになると、V_OUTはV_IN + 41Vにジャンプします。

EVAL-LT8356-1-AZの入出力フィルタは、EMIを更に低減するのに役立ちます。フィルタは小型のフェライト・ビーズまたはインダクタと、高周波セラミック・コンデンサで構成されています。パワーMOSFETのゲート・ピンにある小型の抵抗は、高周波EMIを低減するために使用されます。これらのフィルタを適切なボード・レイアウトおよびSSFMと組み合わせると、EMIを低減してCISPR25クラス5の制限値に準拠するために非常に効果的です。EVAL-LT8356-1-AZの推奨レイアウトと4層PCBの厚さに従ってください。最良の効率とPWM調光性能を得るために、EMIフィルタを取り外すことができます。

LT8356-1の内蔵PWMTGハイサイドPMOSドライバは、接続されたLEDのPWM調光を支援します。外部で発生するPWM信号を使用して、PWM調光によりLEDストリングの正確な輝度制御を行い、達成可能な最高PWM調光比を実現できます。また、LT8356-1の内部生成PWM機能を利用することで、最大128：1の指数調光を実現できます。PWM調光を実行する場合、LEDストリングの動作中のフリッカを防止するためにSSFMがPWM信号に整合します。この整合は、内部および外部のPWM調光の両方で行われます。LT8356-1は、2個のピンによるアナログ調光にCTRLピンとIADJピンを使用します。

入力の低電圧ロックアウト（UVLO）、LED電流、出力過電圧保護（OVP）、スイッチング周波数はすべて、EVAL-LT8356-1-AZの抵抗に対する単純な変更で簡単に調整できます。ボードを昇降圧モードのLEDドライバから昇圧モードおよび降圧モードのLEDドライバに変換し、低EMI、PWM調光、および故障診断機能を維持するよう変更を加えることができます。降圧モードと昇圧LEDドライバの回路図は、データシートに記載されています。EVAL-LT8356-1-AZのカスタマイズ方法については、データシートを参照するか、アプリケーション・チームにご相談ください。

LT8356-1のデータシートには、部品、動作、および用途の詳細が記載されています。このデータシートは必ず、この評価用ボードEVAL-LT8356-1-AZ用デモ・マニュアルと併せて参照してください。LT8356IUDCM-1は、熱強化型露出グラウンド・パッドが付いた、側面からハンダ付け可能なプラスチックの20ピンQFNパッケージで組み立てられています。最大の性能を得るため、ボードを適切にレイアウトすることが重要です。データシートの「プリント回路基板の設計」セクションを参照してください。