慣性計測ユニット (IMU)
慣性計測ユニット(IMU:Inertial Measurement Unit)とは、各物理情報のセンサー(加速度センサー・回転角加速度センサー:ジャイロセンサー・磁界センサー・気圧センサー・温度センサー)をひとつのパッケージに統合したセンサーユニットです。
慣性計測ユニットを使用すると、面倒なセンサー回路の調整や補正機能なども不要となり、ユーザーのシステムにマイコンと接続するだけで、高精度なセンシングデータを簡単に取得できます。この統合されたセンサーユニットであるIMUを使うことで、個別のセンサー設計は不要となり、部品点数を減らしながら、ユーザーのシステムに必要とされる最適な自由度(DoF:Degree of Freedom)の物理情報を、簡単にセンシングすることができます。
近年、慣性計測ユニット(IMU)はゲームコントローラのような多くの方々に親しまれる製品から、産業用大型工作機器のような精密で暮らしを支える製品まで、幅広く利用されています。また、現在はIoT(Internet of Things:モノのインターネット)が注目され、システムの小型化にあたりサイズの小さいIMUが求められるようになり、ますますIMUを利用した製品は、身近なものとなっています。
図1. 慣性計測ユニット
アナログ・デバイセズが提供する代表的なセンサー製品 |
||||
自由度 | ||||
6DoF | 7DoF | 9DoF | 10DoF | |
加速度センサー (運動測定) |
◯ x,y,z方向 |
◯ x,y,z方向 |
◯ x,y,z方向 |
◯ x,y,z方向 |
ジャイロセンサー (回転角加速度) |
◯ x,y,z軸周り |
◯ x,y,z軸周り |
◯ x,y,z軸周り |
◯ x,y,z軸周り |
磁界センサー (方位検出) |
- | - | ◯ x,y,z方向 |
◯ x,y,z方向 |
気圧センサー (高度計測) |
- | ◯ 高度計測 |
- | ◯ 高度計測 |
温度センサー | ◯ 利用環境監視 |
◯ 利用環境監視 |
◯ 利用環境監視 |
◯ 利用環境監視 |
慣性計測ユニット(IMU)のデモ
ダウンロード
上で紹介しているビデオの、「慣性計測ユニット「ADIS16460」をマイクロコントローラから制御し、3 軸加速度と3 軸回転角速度を取得する」の手順書と、コード例を公開しています。
右のフォームへ必要事項を入力して、登録ボタンをクリックいただくとダインロードページが開きます。
ダウンロードページでは、慣性計測ユニット(IMU)のコンテンツのほか、加速度センサーのデモ手順書・コード例、光学センサーのデモ手順書も併せてダウンロードいただけます。
アナログ・デバイセズのIMUとは
アナログ・デバイセズの提供するIMUは、高品質や扱いやすさ、壊れにくいパッケージの採用などのこだわりが認められ、多くの産業で、日々新しいシステムへ搭載されています。たとえば、精密さが強く求められる産業用機器、航空防衛領域。微弱な情報をモニタリングした、故障予測まで、ミクロの世界からマクロな世界まで、すべてのレンジの生活基盤に搭載されます。
もちろん、センサー周辺回路の開発コストが非常に小さいため、迅速な適応力(アジリティ)を求める多くのユーザーの現場にて、アプリケーション開発のコストを最適化しています。また、ユーザーの利用分野にあわせた製品を提供するため、幅広い価格帯として、エントリーからハイエンドまで、多くの製品を取り揃えています。
アナログ・デバイセズのIMUに統合されたセンサーは「MEMS(Micro Electro Mechanical System)」技術を採用しています。MEMS技術についてはこちらをご参照ください。
特長
アナログ・デバイセズのIMUは、センサー回路設計に伴うこれまでの課題を、「扱いやすさ」「丈夫なパッケージ」「高品質なデータ」「出荷時校正済み」の4つに分類し、それぞれの課題に対するソリューションを1つのモジュールにインテグレーションした統合センサーユニットです。ここでは、それぞれの特長について、具体的に紹介します。
アナログ・デバイセズのIMUは、IMUの扱いやすさを容易にするために、「金属製の丈夫なパッケージ」を採用しています。センサーを統合する際に、基板をプラスチックで固めると安価にできますが、金属パッケージにすることにより、衝撃や熱による損傷や変形も発生せず、副次的にシールド効果が上がります。 この丈夫さは、システムへIMUを組み込む際にもデリケートな心配の必要がなく、長期的、過酷な環境下の運用するシステムにも安心して搭載することができます。 図2. 電気的接続図
図3. ADIS16490のパッケージ
アナログ・デバイセズのIMUは、IMUの扱いやすさを容易にするために、「金属製の丈夫なパッケージ」を採用しています。センサーを統合する際に、基板をプラスチックで固めると安価にできますが、金属パッケージにすることにより、衝撃や熱による損傷や変形も発生せず、副次的にシールド効果が上がります。< この丈夫さは、システムへIMUを組み込む際にもデリケートな心配の必要がなく、長期的、過酷な環境下の運用するシステムにも安心して搭載することができます。
さらに、アナログ・デバイセズはIMU内に高品質な測定を守るためのフィルター機能を組み込んでいます。 フィルターによるノイズ・リジェクション(ノイズ除去)機能はもちろんのこと、オフセット・キャリブレーション機能、デジタル変換機能を搭載しています。さらに、すべての機能は、長年のアナログ・デバイセズの培った豊富な知見を盛り込んであるため、「高品質な出力をさりげなく手にいれる」ことができます。 ユーザーはアナログ・デバイセズのIMUを使うだけで、高品質な計測知識や回路設計を意識することなく、システムに高品質な計測データを取り出せるため、アプリケーションの構築に注力することができます。
図5. 6自由度のIMUは加速度センサーと
高精度へのアナログ・デバイセズのこだわりは、生産工程にも隠されています。 アナログ・デバイセズの工場で生産される、すべてのIMUは生産の最終工程においてIMU内センサー軸をすべて校正しています。この校正により、「誤差のない信頼性のある情報を入手」することができます。 個体差による誤差を許さない、確実な生産方式により、IMUを利用するユーザーは、IMUの取り付け誤差(ネジ止め誤差)を補正するだけで、繊細で高精度な計測結果を手にいれることができます。 なお、アナログ・デバイセズは取り付け誤差(ネジ止め誤差)の補正についても、IMUの扱いやすさを徹底し、IMUにアラインメント機能を含めていますので、簡単に取り付け誤差も補正することができます。
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ユーザーシステム内での取り付け誤差の補正(アラインメント動作)について
ユーザーシステム内にIMUを取り付けた後に、取り付け位置の補正(アラインメント動作)を行うことで、取り付け誤差(ネジ止め誤差)を補正した制御に最適なセンシング情報を簡単に取得できるようになります。アラインメント動作の詳細は、技術記事「MEMS IMU/ジャイロスコープにおけるアライメントの基本」をご参照ください。
図1. ネスト構造のベースプレートを
使用する場合の設計
図2. 取り付けレッジのばらつきに起因する
ミスアライメント誤差
なお、システムを構築した際の「取り付け誤差の校正」にて利用可能な、アラインメント動作のサンプルコードは、デモ・アプリケーションに同梱されています。より早く、より簡単に、アプリケーション開発を立ち上げる用途に、ぜひご活用ください。
(※なお、ユーザー毎の環境に最適化したアドバンスドな校正方式や制御方法をご提案可能な個別サポートも別途ご用意しています。是非ご相談ください。)