デュアル・オペアンプとかけて二重スパイと解く:その心は…名は体を表さず

質問:

デュアル・オペアンプは、シングル のオペアンプをそのまま複製したバー ジョンに過ぎないのでしょうか?それ ぞれのアンプは同じ性能を提供 するのでしょうか?

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回答:

良い質問ですね。ユーザーとIC 設計者、両方の観点から多くの特徴が 存在します。回路内に複数のオペアン プを使用するユーザーにとってマルチ・ オペアンプはかなり利用頻度が高く(デュ アル、トリプル、クワッド、場合によっては オクタル・オペアンプも使用)、これには然るべき 理由があります。マルチ・オペアンプの使用には、 ボード面積の低減、コスト削減、優れたマッチン グといった利点があります。電気的な性能につい ては、メリットとデメリットの両面がありますが、 この点については、以下ご説明します。 

多くの場合、マルチ・オペアンプはシングル・アンプとそれほど変わるところがありません。とはいえ、 IC 設計者にとっては、2 個の「複製された」アンプ を用いると冗長性を活用できるという利点がある のでは?まさにその通り。オペアンプのバイアス 回路を例にとれば、複数のオペアンプにバイアス 回路を実装するような場合、全アンプに対応した 回路を代わりに用意することで、複雑さ、ダイ領域、 コストなどを低減することができます。ダイ領域 の削減は、パッケージされたオペアンプに比較し てサイズやコストに直接的に影響を与え、ボード・ コスト(ボードの小型化)、組立コスト(1 回で装着)、 在庫コスト(複数部品ではなく1 個の部品を使用) の削減につながります。複数のアンプがシリコン 基板を共用することによってトラッキング性能の 向上も利点の一つです。

しかし、注意すべき点もいくつかあります。マルチ・ オペアンプは、パッケージ当たりの消費電力が高く なります。消費電流はアンプ数を乗算した値となり、 消費電力は増大します。この結果ジャンクション 温度が高くなります。先ほど触れたように、マルチ・ オペアンプは半導体設計者にとっても難題です。 その一つとして、レイアウトの問題があります。 これには何らかの妥協が必要となりますが、それによって電気的性能が劣化するおそれがあります。 ダイ・レイアウトをフロー、サイズ、および性能 の面で最適化すれば、オフセット電圧やドリフト などのパラメータに影響が生じます。また、配置 する領域が混み合っていると、クロストークが問 題となります(特に高周波の場合)。アナログ・デ バイセズの幾つかの高速アンプや差動アンプは、 二つの別々のダイを一つのパッケージに封入して 提供されています。これらの製品は優れたクロス トーク性能と高い設計自由度を実現しています。

まとめとして、回路に複数のオペアンプが必要であり、かつ以下のような然るべき要件が存在する場合、すなわちコスト低減、PC ボード領域の低減、 在庫管理の簡素化、電気的性能の向上を実現したい場合に、マルチ・オペアンプは、優れた選択肢 となります。

John Ardizzoni

John Ardizzoni

John Ardizzoniは、アナログ・デバイセズの高速リニア・グループの上級アプリケーション・エンジニアです。 マサチューセッツ州ノースアンドーバーのメリマック・カレッジでBSEE(電子工学士)を取得し、2002年にアナログ・デバイセズに入社しました。エレクトロニクス業界で30年以上のキャリアがあります。